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ダイイング・アイ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ダイイング・アイ
ダイイング・アイ (光文社文庫 ひ 6-11)

ダイイング・アイの評価: 4.56/10点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.56pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ダイイング・アイの感想

最初の事故シーンの描写は印象深い

mick
M6JVTZ3L
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

交通事故の多い今こそ読まれたい?

本書は長年お蔵入りしていた作品として発表時に宣伝文句として謳われていた作品だ。

バーテンダーの雨村が過去に起こした交通事故の復讐で被害者の夫に殴られ、意識昏倒の中、目覚めてみるとその事故の記憶がすっぽり忘れられており、周囲は忌まわしい記憶だから忘れた方がいいとなだめるが、雨村本人はなぜ今頃になって自分に復讐をしたのか知りたくなり、当時の事件を探っていくうちに奇妙な事実が判明していくと云うのが粗筋だ。

記憶喪失の主人公が過去を探る話と云うのはそれこそ世にゴマンとあるが、それが過去に起こした交通事故、しかも相手は亡くなっている事件であることが東野氏の着想の妙と云えよう。
通常ならば周囲の人間が勧めるように早く忘れた方がいい記憶であり、それが襲われたとはいえ、忘れる事が出来るのは非常に幸運なことだろう。実際、私の立場ならば忘れたままに放置するだろう。だから私はドラマの主人公に不向きであると云える。

それはさておき、過去を探っていくことで、寝た子を起こすことになるのは物語の常であるが、雨村の捜査をきっかけに彼の周囲にも変化が訪れる。

同棲相手の失踪、ファム・ファタールの出現、そして被害者岸中美菜絵の幽霊の出現と物語は一種オカルトめいた様相を呈していく。

交通事故と云うのは正直当事者の思い込みによって左右されることもあり、はっきりとした真相が曖昧になりやすくもある。実際私も2度ほど事故を起こしたことはあるが、それはどうにも納得できないことが残った。
走行の邪魔にならぬよう停止していたはずなのに、なぜかぶつけられ、ゼロヒャクの被害者だと思っていたら、進路妨害の加害者になったり、前車が急ブレーキしたのを見てこちらも急ブレーキし、ブレーキランプが消えたのでブレーキを解除したら、前車が再びブレーキをした―それはポンピング・ブレーキだったのだが―ために間に合わずオカマを掘ってしまった、などとどちらも十分に納得できない部分が残って今に至る。
それは運転と云う行為に癖や基準に明確な差が生まれるからだろう。黄色信号は「止まれ」の意味なのだが、人によっては急いで進めと理解しているだろうし、制限速度40km/hの道を40km/hで走る人もいれば、50、60km/hで走る人もいる。はたまた今や社会問題とまでなっている飲酒運転も、このくらいならば飲んだうちに入らない、自分はまだ酔っていない、まさか事故らないだろう、警察に捕まらないだろうとそれぞれが運転に対するハードルを持っているだけになかなか無くならないのが実状だと思える。

だからこそ交通事故には隠された真相が生まれやすいミステリとして宝の山とも云える。
実際本作でも事故の当事者と思われた雨村が、実際に被害者を轢き殺したのは別の車であったことが判明したり、さらに読み進めるうちに驚愕の事実が明らかになっていく。

銀座に高級バーを持つ男、事件をきっかけに大金をせしめて夢を叶えようとする男、社長令嬢の婚約者という玉の輿に乗ったゼネコン社員と社会の勝ち組(になろうとする人)たちへ慎ましくも幸せな暮らしを送っていた一介の主婦の怨念の乗り移った目こそが下した正義の鉄槌の物語は思いの外、心寒からしめる物語であった。

しかしなぜ本書が長い間お蔵入りしていたのか?道交法の改正によって物語の整合性が取れなくなったのだろうか?
お蔵入りするには勿体ないクオリティであったし、きちんと刊行されたことを一ファンとして喜びたい。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S

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