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幽霊人命救助隊



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【この小説が収録されている参考書籍】
幽霊人命救助隊
幽霊人命救助隊 (文春文庫)

幽霊人命救助隊の評価: 6.00/10点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

幽霊人命救助隊の感想

笑いあり涙あり感動ありで高野和明の傑作の一つだと思います。
物語の中には喜怒哀楽の全てがつまっています。
自殺という重いテーマをこれだけ読みやすく明るく描ききった作者の文章力に脱帽です。

歌舞伎蝶
LMC3R9P9
No.1:5人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

幽霊人命救助隊の感想

愚かにも自殺という選択で人生を終えた「神に選ばれし」4人が、天国に行くために100人の自殺志願者を救済するという物語。
彼らは、現世の人間からは透明人間の如く目に見えず、また物に触れる事すらできませんが、自殺志願者を発見でき、人間に憑依する事により思考をトレースする事ができ、メガホンを使って語りかける事によりある程度行動を操る事ができます。
オヤジギャグは満載ですし、4人が自殺志願者を取り囲み、メガホンで説得している姿を想像すると、最早コメディとも思えてしまうのですが、否!!、これは良質の社会派小説ですよ。

兎に角「神に選ばれし」4人のキャラクター設定が抜群です。
東大受験に失敗した19歳の青年、会社を倒産させてしまった零細企業の元社長、仕事と恋愛に行き詰ってしまった若い女性、そして鬱病のヤクザの親分。
金銭問題、会社や家庭での人間関係や処遇の問題、肉体的な問題、精神的な問題・・・などなど、自殺の原因は数多くありますが、住む世界、自殺した理由も全く異なる4人が、得意分野、不得意分野に上手く棲み分けされ、説得に際して存分に個性を発揮していきます。
それだけではなく、青年が「現在」、女性と元社長が「バブル直後」、ヤクザが「高度成長期」と、4人の死亡時期が異なっており、またキャラとその死亡時期が何とも絶妙で、物語にスパイスを効かせています。
たまに4人の議論がちぐはぐになったりするのですが、時代時代の人間の価値観や考え方の違いが表面化され、非常に面白いです。
中でもヤクザさんは、思考も単純で、言葉も汚く、ただ勢いだけで余り役に立っていないような気にもさせられますが、チームのムードメーカー的存在であったのは確かですし、実際のところ作者は、(自殺を多発させてしまうような)現代社会の矛盾に対しての怒りを彼に代弁させているような気がしました。
この作品にはほろっとさせられる箇所がいくつもありますが、ヤクザさんの言動によるところが多かった気がしますしね。

自信を持ってお薦めできる作品です。

梁山泊
MTNH2G0O

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