豊臣家の猛将・福島正則の前に現れた徳川方の女忍者・小たまは、正則を籠絡し、巧みに城内に入り込んだ。

織田信長、浅井長政らの屋敷に身分を偽って仕え、機をうかがう於蝶。

法の裁きの届かぬ悪を、闇から闇へと葬る仕掛人。

〔けころ〕とよばれる娼家から身請けされ、いまは囲われ者となっているおせんと、かつてのなじみ客でゆすりの罪で島流しにあった男の母親との心のふれあいを描いた表題作。

恩人を仕掛けるか……苦悩する梅安だが 冷酷な殺人と人情の温かさ。

「光秀が生きていたぞよ」。山崎の合戦で明智光秀の首を取り、甲賀から離れた小五郎に、かつて命を救った仲間の助七がささやく。

野州・真岡の小栗一家と竹原一家の大喧嘩にやとわれて人を殺めてしまった渡世人たちーその不幸な生い立ちゆえに敵・味方をこえて結ばれる男と男の友情を描く連作「さいころ蟲」「あばれ狼」「盗賊の宿」。

人間という生きものの不思議さ、運命のおそろしさ……。

仕掛人・藤枝梅安非情の世界に棲む男 生かしておけないやつらを闇へ葬る仕掛人。

江戸の闇に光る梅安、必殺仕掛針 「鬼平犯科帳」「剣客商売」と並び称される傑作シリーズ第2弾! 医師・宗伯と間違われ闇討ちを受けた梅安が、翌日依頼された仕掛けは、宗伯と因縁の深い蝋燭問屋・伊豆屋長兵衛であった。

2020年は著者没後30年。 再び味わいたい、池波正太郎の世界。

「梅安を殺せ」最強の刺客が放たれた 梅安を恨む白子屋との息づまる戦いを描く。シリーズ屈指の長編。

江戸で父の敵を探しつづける浪人・堀辰蔵は、空腹のあまり逆上し、煙管師を斬殺してしまう。

深夜、覆面をして、酒に酔った侍に喧嘩をしかけては、髷を切ったり川に投げ込んだりして楽しんでいる男装の女剣士。

江戸のピカレスク梅安シリーズ最終話 白子屋残党の執拗な攻め。

さびしげな花の色にたくして武家の老女が語る若き日の淡い恋とそれにまつわる仇討ちの話。―異色の表題作ほか名手会心の七編。

2020年は著者没後30年。 再び味わいたい、池波正太郎の世界。

養子に入った武家の妻にへきえきしていた男が、初めて連れていかれた谷中の茶屋の女に魅せられ、武士の身分を捨ててしまう表題作。

白子屋残党との息づまる闘いの日々 鍼医師として人を救い、仕掛人として命をうばう。

記憶を失した若侍 女殺しとの関わりは…… 暗黒世界に生きながらも情に厚い梅安たち。シリーズ初の長編。

剣の屈指の使い手であるにもかかわらず、役所きっての自堕落者と知られる玄次郎の心の闇とは? 虚しさと憐れみが去来する8篇

小兵衛と大治郎の親子が、ばっさばっさと悪を斬る。女武芸者・三冬も登場――。

著者曰く、「最初の一冊だけで終るはずだった小説」。

盗賊の小頭、雲津の弥平次は、山奥の湯治場で思いもつかない〔ひろいもの〕をする。

若くして頭髪が抜け落ちる奇病を主君の嗣子・千代之助に、侮蔑された１７歳の源太郎は、乱暴をはたらき監禁される。

元・岡っ引きの伊之助の心に去来する、別の男と死んだ女房の面影――。 時代小説の名手が描く、江戸のハードボイルド。

青江又八郎、26歳。江戸・裏店(うらだな)にて、生活のため用心棒稼業に手を染める。

円熟期にあった作家の、代表的短篇連作シリーズ 旗本の家を出奔、裏店に住みついた平四郎、「よろずもめごと仲裁つかまつり候」の看板を掲げた。

市井の人々の悲哀をつつみ、今日も「しぐれ町」は明け暮れる――。 再会、借金、深情け。

秘剣、外に語らず―藤沢周平が剣客小説に新境地を開いた名品集“隠し剣"シリーズ。

「あのころにくらべれば、いまのおれは心身ともに小さくかがんで生きているとは言えぬか」 姿なき暗殺者は何に怯えてみなごろしの凶刃を振うのか! 登場時26歳だった又八郎も40も半ば、16年後の物語。

元は凄腕の岡っ引、今は版木彫り職人の伊之助。

時代ものの小説を書いていると、とかく筆が江戸期にむかい、 またその時代を小説にするのが一番面白い。

青江又八郎、ふたたび脱藩! またしても用心棒稼業に身をやつす。 藤沢周平の大人気シリーズ、第二弾。

短編の名手が綴る 哀しく愛しい男と女 貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。

小兵衛は今も時折、二十六年前、門弟・滝の仇討ちに立会った際の、相手方の助太刀・山崎との死闘を思い出す。

「半どのに、会いとうて、ここへ来た…」はじめて女の体を教えてくれた於蝶と再会した半四郎。

四谷伝馬町の御用聞き・弥七、下っ引きの「傘徳」こと傘屋の徳次郎、 亀沢町の町医者・小川宗哲、そして居酒屋「鬼熊」の亭主・熊五郎……。

「名は秋山大治郎」とわざわざ名乗って辻斬りを繰り返す頭巾の侍。

ひくく声をかけて、いきなり女に飛びかかった小平次は、恐ろしい力で首をしめあげ、すばやく短刀で心の臓を一突きに刺し通した。

小兵衛の剣友を見舞った帰途、大治郎の頭上を一条(ひとすじ)の矢が疾(はし)った。

微禄の若者小森又十郎は、辛夷の花のようだと憧れていた首席家老の娘の再婚相手に指名され、夢見心地。

斬り捨て御免の権限を持つ幕府の火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵。盗賊からは“鬼の平蔵"“鬼平"と恐れられている。

老いを感じる男の人生の陰影を描いた傑作長篇 心が通わない妻と放蕩息子の間で人生の空しさと焦りを感じる紙屋新兵衛が、薄幸の人妻おこうに想いを寄せ、深い闇に落ちていく。

――殺しだよ。 傷は、柔術で言う独古(どっこ)と呼ぶ急所を抉ったあとだった……。

日残りて昏るるに未だ遠し――家督をゆずり、離れで隠棲の日をおくる清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。

この作家のロングセラー“隠し剣”シリーズ第二弾。気難しい読者をこれほど愉しませた時代小説は稀れである。

部屋住みの源次郎が心寄せる娘の家が突然改易。父親は藩金横領の科で切腹させられたらしい。

出世の階段を駆け上り、ついに首席家老へと登りつめた桑山又左衛門の許に、「言語道断の所業有り」と、ある日果たし状が届く。

「まるで不作の生大根をかじっているようだ」さんざんにもてあそばれた挙句、罵られ捨てられたお松は、偶然出会ったその男、煙管職人の勘蔵を絞殺してしまった。

うまいと評判の蕎麦屋“さなだや”で、貝柱のかき揚げをやりはじめた平蔵だが、店を出た先客がどうも「気に入らぬ」と…。

時は元禄ー旗本の息・徳山五兵衛（幼名・権十郎）は、妾腹の子ゆえに父から疎まれていた。

小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。

得体の知れぬ目眩（めまい）に襲われたその日、小兵衛は、恩師・辻平右衛門ゆかりの侍・井関助太郎を匿うことになる。

その試合「負けてやれ」。