うまいと評判の蕎麦屋“さなだや”で、貝柱のかき揚げをやりはじめた平蔵だが、店を出た先客がどうも「気に入らぬ」と…。

火付盗賊改方とは、放火・盗賊犯を捕らえるための一種の特別警察。

「おなつかしゅうござります」二十余年ぶりに平蔵の前に現われ、「密偵になりたい」と申し出たおまさには、平蔵への淡い恋心と語りたがらぬ過去があった(「血闘」)。

小兵衛と大治郎の親子が、ばっさばっさと悪を斬る。女武芸者・三冬も登場――。

妻を亡くし、隠居の身であった平蔵の従兄・三沢仙右衛門が突如、茶屋女を「嫁にもらいたい」と言い出した。

舟の上で“隠居”を待ちながら、のんびりと交わす老船頭と平蔵のかけ引きの妙味(「大川の隠居」)。

この年二十の平蔵の長男・辰蔵は、剣術の稽古そっち退けで、女あそびに打ち込んでいる。

仕掛人・藤枝梅安非情の世界に棲む男 生かしておけないやつらを闇へ葬る仕掛人。

女密偵・おまさと、かつては本格派の盗賊の首領であった大滝の五郎蔵。

人のこころの奥底には、おのれでさえわからぬ魔物が棲んでいるものだ―。

火付盗賊改方の同心・小柳安五郎は、一昨年、妻と子をうしなった。以来、人が変わったように、われから危難に立ち向かっている。

「おもしろいものを、見せてつかわそう」と、筆頭与力・佐嶋忠介を伴い市中見廻りへ出た平蔵だが、変事の予感を覚える。

おまさは、昔の仲間・お糸を茶店で見かける(「女密偵女賊」)。

食い気盛んな同心・木村忠吾の大好物は、深川の一本饂飩。柚子や摺胡麻、葱などをあしらった濃目の汁で食べる。

盗賊の頭・長沼又兵衛は、かつて本所・高杉道場で、平蔵、岸井左馬之助とともに、三羽烏と呼ばれた男だった(「高杉道場・三羽烏」)。

「丹波守様が亡くなられたぞ。知っているか?」…従兄の話に興味をそそられた平蔵は、駒込の「権兵衛酒屋」に立ち寄った。

目黒不動まで見廻りに出た平蔵は、門前の桐屋で妻・久栄の好物である黒飴を求め、少々のんびり過ごす。

肴は豆腐の一品のみの、味も素っ気もない居酒屋が麻布にある。

女密偵おまさは、万年橋から川面を見つめている女に気づく。以前、同じお頭の許で、「引き込み」をつとめた女賊のお元であった。

四谷伝馬町の御用聞き・弥七、下っ引きの「傘徳」こと傘屋の徳次郎、 亀沢町の町医者・小川宗哲、そして居酒屋「鬼熊」の亭主・熊五郎……。

新婚の同心・木村忠吾の惚けぶりは延々綿々、平蔵の皮肉も通じない(「白根の万左衛門」)。

火付盗賊改方の二同心が、立て続けに殺害される。その太刀筋は、半年前に平蔵を襲った兇刃に似ていた。

この商品はセット買いができます 『鬼平犯科帳＜新装版＞ 全24巻セット』 こちらをチェック 2017年、本格時代劇アニメ「鬼平 ONIHEI」登場。

謹厳実直な亡父・長谷川宣雄の隠し子出現に、平蔵は苦笑い(「隠し子」)。

近年、いよいよ兇悪化する盗賊どもの跳梁。

同心・松永弥四郎は、自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る(「夜針の音松」)。「酒もうまい。

江戸の闇に光る梅安、必殺仕掛針 「鬼平犯科帳」「剣客商売」と並び称される傑作シリーズ第2弾! 医師・宗伯と間違われ闇討ちを受けた梅安が、翌日依頼された仕掛けは、宗伯と因縁の深い蝋燭問屋・伊豆屋長兵衛であった。

記憶を失した若侍 女殺しとの関わりは…… 暗黒世界に生きながらも情に厚い梅安たち。シリーズ初の長編。

江戸のピカレスク梅安シリーズ最終話 白子屋残党の執拗な攻め。

祖父の代から目黒に道場を構えていた小野派一刀流の剣客・波切八郎は、御前試合の決勝で敗れた秋山小兵衛に真剣勝負を挑み、小兵衛は二年後の勝負を約した。

小兵衛は今も時折、二十六年前、門弟・滝の仇討ちに立会った際の、相手方の助太刀・山崎との死闘を思い出す。

若衆髷をといて、裸身を湯槽に沈めた佐々木三冬に突然襲いかかる無頼の浪人たち。

「梅安を殺せ」最強の刺客が放たれた 梅安を恨む白子屋との息づまる戦いを描く。シリーズ屈指の長編。

深夜、覆面をして、酒に酔った侍に喧嘩をしかけては、髷を切ったり川に投げ込んだりして楽しんでいる男装の女剣士。

二人そろって朴念仁(ぼくねんじん)ゆえ、らちがあかぬ……。

盲目の武士をやさしくいたわる托鉢僧――旅の途中で出会った、年老いた二人連れが何故か秋山大治郎の心に残った。

白子屋残党との息づまる闘いの日々 鍼医師として人を救い、仕掛人として命をうばう。

物のはずみで起きた決闘で相手を斬殺した片桐宗春は、逆うらみによる敵討ちに狙われていた。

人間という生きものの不思議さ、運命のおそろしさ……。

盗賊の小頭、雲津の弥平次は、山奥の湯治場で思いもつかない〔ひろいもの〕をする。

『のぼうの城』から六年。

江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。

日残りて昏るるに未だ遠し――家督をゆずり、離れで隠棲の日をおくる清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。

恩人を仕掛けるか……苦悩する梅安だが 冷酷な殺人と人情の温かさ。

さえない男がいざとなったら大活躍! 一読、心が晴れ渡る。痛快連作全八編。

ひくく声をかけて、いきなり女に飛びかかった小平次は、恐ろしい力で首をしめあげ、すばやく短刀で心の臓を一突きに刺し通した。

「まるで不作の生大根をかじっているようだ」さんざんにもてあそばれた挙句、罵られ捨てられたお松は、偶然出会ったその男、煙管職人の勘蔵を絞殺してしまった。

〔けころ〕とよばれる娼家から身請けされ、いまは囲われ者となっているおせんと、かつてのなじみ客でゆすりの罪で島流しにあった男の母親との心のふれあいを描いた表題作。

足軽という身分に比して強すぎる腕前を持ったがために、うとまれ、踏みにじられ、孤独においこまれた男。

秋山小兵衛の若き日の愛弟子が斬り殺された事件と、江戸市中の三か所で女が殺され、陰所と左の乳房が抉られていた事件。

音もなく小兵衛の前に現れ、「秋山先生に勝つために」、八年ぶりに帰ってきたとうそぶく役者のような若侍の正体は? 次々と道場を襲い相手を一撃のもとに殺していく魔性の天才剣士と秋山父子との死闘を描く表題作。

越後、新発田の剣客・神谷弥十郎の道場で下女として働いていたお福は、主人が暗殺されたため、下男の五平と一緒に江戸へ出る。

得体の知れぬ目眩（めまい）に襲われたその日、小兵衛は、恩師・辻平右衛門ゆかりの侍・井関助太郎を匿うことになる。

その試合「負けてやれ」。

小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。

人生、なかなかこの木のようには……。 練達の筆がとらえた人の世の哀歓。