失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。

夜更けの留置場に現れた、その不思議な老人は六尺四方にしか聞こえないという夜盗の声音「闇がたり」で、遙かな昔を物語り始めた―。

大手デパート勤務の椿山和昭は、ふと気付けばあの世の入り口にいた―。

大いなる母・西太后を喪い、清王朝の混迷は極まる。

片岡の一人息子・譲は、信州の集団疎開先で父親の召集を知る。

泰平の世に積もりに積もった大借金に嫌気のさした先代は縁の薄い末息子に腹を切らせて御家幕引きを謀る。

極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。

列強諸国に蹂躙され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。

「武勇伝なんぞするやつァ、戦をしたうちにへえるものか」二百三高地の激戦を生きのびた男はそうつぶやいた…。

ある日、目細の安吉一家に客分として現れた、時代がかった老侠客。

読者の意表をつく設定、家族も帰る場所も持たない還暦世代の「おひとりさま」を魅了する新しい故郷の形、母の抱く無限の愛情とその人生、細りゆく山村と最先端ビジネスの組合せ……。

江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。

『のぼうの城』から六年。

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。

奥多摩の、太古から神を祀ってきた霊山・御嶽山の上にある村。そこにある神官屋敷は浅田氏の実家である。

時は昭和九年。関東大震災から復興を遂げ華やかなモダン東京を謳歌したのも束の間、戦争の影が徐々に忍び寄っていた。

爆殺――その朝、英雄の夢が潰えた。 『中原の虹』完結から3年。

カトマンドゥの裏街でカメラマン・深町は古いコダックを手に入れる。

激動の時代を証した女たち―鎖国から開国へ流れる歴史のただ中で、時代の障壁と運命の隘路に窮しつつ、人生を選択した女たちを描く大長編。

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。

時は、明治元年暮。

文久三年八月。「みぶろ」と呼ばれる壬生浪士組は、近藤勇ら試衛館派と、芹沢鴨の水戸派の対立を深めていた。

【第166回直木賞受賞作】 どんな攻めをも、はね返す石垣。 どんな守りをも、打ち破る鉄砲。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

推理小説の傑作短編第1集。

旅と食と笑いの人気エッセイシリーズ最新刊 大物作家が遭遇した海外、国内での抱腹絶倒の出来事から身辺に起こるドラマチックな出来事を絶妙の筆致で描く。

墨田区・大川公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。

天文年間、小土豪が群雄割拠する中国地方で没落した宇喜多家の嫡男・八郎は、その器量を見込まれ、豪商・阿部善定のもとで父母とともに居候していた。

本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。

帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。

白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。

明治維新期。「武士」という職業がなくなり行き場を失った岩井五郎治は、遺された孫のために命も誇りも投げ出す覚悟を決める。

「戦いまする」三成軍使者・長束正家の度重なる愚弄に対し、予定していた和睦の姿勢を翻した「のぼう様」こと成田長親は、正木丹波、柴崎和泉、酒巻靱負ら癖のある家臣らの強い支持を得て、忍城軍総大将としてついに立ちあがる。

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。

連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。

京大生になったばかりの“僕”は、町に馴染めず友人もできずにいた。

義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。

妻・夏枝が逢い引きをしている隙に3歳の娘を殺害された辻口は、夏枝への復讐のために、密かに当の殺人犯の娘・陽子を養女にする……。

時は幕末、処は江戸。貧乏御家人の別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。

頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。

羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。

19年前の大阪の質屋殺し。迷宮入りしたこの事件に関係した少年と少女が歩んだ道は…。

毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。

万延元年（一八六〇年）。姦通の罪を犯した旗本・青山玄蕃に奉行所は切腹を言い渡す。

「人は誰でも、死にたがっている」「世界は絶望と悲惨に塗れている」でも僕は戦おうと思うんだ。

阿部看護婦長、またの名を“血まみれのマリア”は心に決めた。温泉に行こう。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。

浦島太郎は竜宮城でどんな饗応を受けたのか(サシミであるはずがない)思いを馳せる表題作ほか、大人気エッセイ第4弾。