【千野隆司】
徳川家慶、推参: 若殿見聞録
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将軍家継嗣の徳川家慶は、相変わらず西の丸での窮屈な暮らしに鬱々とした日々を過ごしていた。
将軍家継嗣の徳川家慶は、見聞を広め将来の政に活かしたいと、城を抜け出し江戸の町へ物見に出かけていた。
文化十三年閏八月三日、江戸の町を嵐が襲った。そんな中、八歳になる参吉は、酒飲みの父親・留吉の遅い帰りを待っていた。
江戸城御用達の呉服商い・紀州屋の主が、小料理屋のおかみと心中したという。
将軍家継嗣の徳川家慶は、江戸城での窮屈な生活に鬱々と時を過ごしていた。
藩と領民が力を合わせ「国替え」という最大の難事を乗り越えた高岡藩井上家。
武家社会の中で江戸の裏長屋暮らしだった少年・弐吉は、直参の侍の狼藉がもとで両親を亡くし、札差・笠倉屋で小僧奉公をすることに。
百姓から憧れの武士へと出世した藤吉に、中小姓として俸禄と姓が与えられた。ある日、奉公先である永穂家の家宝が盗まれる。
定信が発布した棄捐令(徳政令)に歓喜の声を上げる旗本、御家人だったが、その喜びも長くは続かなかった。
旗本の小出家で、上役の悪辣な妨害にも負けず職務と武芸に励む川端藤吉。
菊薗平次郎と同じ長屋に住まう長谷川は胃の腑の痼りから病の床に臥せっていた。
将軍御目見の旗本・香坂家へ婿入りし、新御番衆として、江戸城へ出仕する身分となった藤吉。
金貸の鉞ばばあお絹は孫娘お鈴と二人暮らし。お絹から金を借りた絵描きの与三次の身投げをお鈴が止めて……。
同日に起こった三つの難事件。若い男女の駆け落ち、問屋の強盗事件、付け火と焼死体。
大身旗本への奉公替えで更なる出世を果たした川端藤吉。俸禄も上がり、前途洋々かと思われた。
南町奉行所定廻り同心だった菊薗平次郎は隠居し、蕎麦売りを始めた。出汁に拘り、界隈では知られる評判の屋台店となる。
煙管職人の佐之助は、品物を届けた後、かつての恋人で今は老舗足袋問屋の女房おつなと再会した。
造酒額厳守の触が出されているなか、天領の村から手に入れた二升の酒によって窮地に立たされてしまった高岡藩井上家。
上州の水呑百姓の家に生まれた藤吉は、下男奉公先で米作りや馬の世話、雑用など何でもこなす毎日を送っていた。
亀之助の一件を機に、加賀百万石の前田家と縁を結んだ尾張一門。反定信派の勢いが増すなか、公儀は『造酒額厳守』の触を出す。
幕政改革に邁進しようとする八代将軍・徳川吉宗の先兵として奔走する惣目付の水城聡四郎。
金貸の鉞ばばあお絹から金を借りた商家の主が首を括って死んだ。孫娘のお鈴は、残された妻子のため、真相を……。
浦川や正棠たちの企てを打ち破り、無事高岡藩主の座に就いた正紀。
廃嫡を目論む正棠や浦川たちの奸計に嵌まり、蟄居謹慎を余儀なくされた正紀。
先代藩主正森の頃から三十年にわたって仇を追っているという高岡藩の下士と出会った正紀。
正国のお国入りは無事済んだものの、今度は八月の参府の費用捻出に頭を抱える正紀たち。
正国の奏者番辞任で反定信の旗幟を鮮明にし、同じく反定信派の大奥御年寄滝川と急接近した尾張一門。
反・松平定信ということで急接近した尾張徳川家一門と将軍付御年寄・滝川。
武士が民の頂に君臨せねばならぬという松平定信の施政に疑問を抱きつつも協力してきた尾張徳川家一門だが、尊号事件を契機に定信政権との訣別を決める。
正紀と京のあいだに子が生まれ、正紀の親友、山野辺には許嫁ができた。
高岡藩では、河岸のさらなる発展のため納屋の普請を検討したが、先立つものがない。
海賊船は正紀らの活躍で退治したが、一味の幹部と悪徳商人は捕縛の手を逃れ、米俵四千俵とともに行方をくらましていた。
藩主井上正国の奏者番就任を祝って、狩野派の掛軸が贈られてきた。ところが、目利きの和によれば、掛軸は真っ赤な偽物。
血と汗を流して江戸への廻米を果たしたものの、米価高騰は続いている。
江戸の米価高騰を解消すべく、老中・松平定信が廻米の触を出した。だが、不作、凶作のなか余分な米など誰も持ってはいない。
順調に進む菩提寺改築の一方で、あちらこちらで一揆、打ち壊しの話を聞くようになった。
仇討ちの父子を道場に居候させた豊之助だったが、どうやらその仇とは、江戸を騒がす火付け盗賊団の頭らしい。
神田上水の堀が決壊した。その甚大な被害が明らかになるにつれ、普請奉行の責任を問う声が日ましに大きくなっていった。
本所来栖道場の師範代・豊之助は懸命にオンボロ道場の立て直しをはかるが、弟子は遅々として集まらない。
若旦那修業が始まって半年が経ち、金貸しの仕事にも慣れてきた新五郎。そこへ、意外な客が訪れた。
家禄三百五十石の旗本家の次男だった角次郎は米屋の大黒屋に婿入りした。
旗本家次男の五月女角次郎は、縁あって舂米屋の大黒屋に入り婿した。
商家の若旦那の刺殺、そして、闇討ちにされた身元不明の浪人。
旗本家の次男、大曽根三樹之助は家を飛び出し大繁盛の「夢の湯」に居候している。
元南町奉行所の同心で、今は屋台の蕎麦売りの菊薗平次郎は、同心時代に捕らえ死罪になった男の遺児・長太郎の逆恨みに遭い、妻と娘を殺害された。
米問屋の手代甲太郎は、金子の掛け取りを終えた帰りに、二人の破落戸に追われている娘を助けた。
御留守居役を勤める五千石の旗本・坂東の側室綾乃は、坂東に酷い仕打ちを受けていたが、雪の降るある夜、意を決して家を飛び出した。
ついに、その時がきた将軍の腹心候補は見つかるのか?決死の秘命を受けた射貫大伍の「諸国大名調査行脚」が始まる旅に出たくても出られない。
浄心寺改築で己の懐を肥やし、なおかつ正紀、正広を世子の座から追い落とそうと、正棠一派が悪巧みを進めていた。