死者が飲む水

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初版刊行(参考)
種別
長編
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3,427回
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3
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あらすじ

2008年03月31日 死者が飲む水

札幌の実業家系赤渡雄造のバラバラ死体が2つのトランクに詰められて、自宅に届けられた。鑑識の結果、死因は溺死、殺害場所は銚子と推定された。札幌署牛越刑事が執念の捜査で肉迫した容疑者には、鉄壁のアリバイがある。札幌、東京、銚子、水戸を結ぶ時刻表トリックで猟奇的殺人を解明する本格長編傑作。--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。(「BOOK」データベースより)

評判

死者が飲む水の評価:

7.00/10点 レビュー 1件。 B ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点7.00pt

死者が飲む水の総合評価:

8.14/10点 レビュー 7件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(7pt)

あのサブキャラも捨てたもんぢゃない

『斜め屋敷の犯罪』で御手洗に翻弄される道化役の刑事を演じた牛越刑事が主役を務めるスピンオフ作品。あの牛越刑事が粘り強い捜査で犯人を突き止める社会派推理小説だ。読んだのは『火刑都市』の方が先だが、刊行されたのは本作のほうが先だったらしい。

道警の、札幌署に勤務する牛越刑事がトランクに入れられたバラバラ死体となった一家の父親の犯人探しに、出稼ぎ先の関東(確か千葉の銚子あたりだったように思う)まで赴き、地道に足で捜査を重ねる。私は先に御手洗シリーズを読んで随分経ってから本書を読んだが、『斜め屋敷の犯罪』での無能ぶりに牛越刑事なんかが主人公で大丈夫かいな?と思っていた。が、不器用で決してスマートといえないその捜査過程は実に我々凡人に近しい存在であり、極端に云えば読者のお父さんが素人張りに奮闘して捜査しているような親近感を抱いた。思わず頑張れ!と口に出して応援してしまう、そんなキャラクターだ。
先に読んだ『火刑都市』は物語が内包する島田氏の都市論、日本人論が犯人を代弁者にして色々考えさせられる重厚感があったが、本作はそれとはまた違った重みがある。特に本作で描かれる房総半島の淋しげな風景は私の千葉に対するイメージを180°覆す物であった。九州の田舎から就職して四国の田舎に住んだ身にとって、千葉のイメージとはディズニーリゾートや成田空港など、大都会東京の延長線上にある発展した県という意識が強かったが、本書にはその姿はなく、昭和の雰囲気を漂わせる重く苦しい風景だ。八代亜紀の演歌が聞こえてきそうな荒涼感さえ漂う。特に銚子は学生の地理の授業で習った醤油の名産地、漁業の発達した街というイメージが強く、栄えているのだと思っていたが、あにはからずそんな明るいムードは全くなかった。

トランクに詰められた死体というとやはり鮎川哲也氏の『黒いトランク』が思い浮かぶだろう。実は私は鮎川作品を読んだことないのだが、多分に島田氏は意識して書いたに違いない。思えばデビュー以来島田氏は何かと過去の偉大なる先達にオマージュを捧げるような同趣向の作品を書いている傾向が強い。本作もどうもその一環だと云ってもいいだろう。
で、ミステリとしてはどうかというと名作の誉れ高い『黒いトランク』のようには巷間の口に上るほどのものでもないというのが率直な感想。しかし牛越刑事の愚直なまでに直進的な捜査は読み応えがあり、その過程を楽しむだけでも読む価値はある。島田氏の登場人物が織り成す彼の作品世界を補完する意味でも読んで損はない作品だ。

Tetchy
WHOKS60S

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.6
(5pt)

島田荘司の第三の探偵、牛越佐武郎

島田荘司の初期作品を読んでみると、島田荘司はミタライ・吉敷以外に、牛越佐武郎というキャラクターを生み出しているのが分かってくる。そういえば、『北の夕鶴2/3の殺人』にも登場している。

で、3人を比較してみると面白い。

・ミタライ → 天才型
・吉敷 → 熱血漢
・牛越佐武郎 → 通称『モーさん』。最も一般的なタイプの日本の刑事

この三者三様のキャラクタが島田荘司の定番の謎

・まず、ありえないくらいの奇想がある
・その奇想をいくつかの別の奇想が加わり、より深い奇想になる
・それを最後には論理的に帰結させてしまう

に、各々が挑むのだ。なかなか面白い。

読了して最初に浮かんだのは、こんなステキな作品を読み逃さなくてよかった、ということだった。

この作品は、島田荘司らしさに満ち満ちている。特に、島田荘司だけの『優しさ』に溢れている。それは、たとえば『御手洗潔のメロディ』の中の『SIVAD SELIM』などでも感じられるのだが、心の優しさそのものだ。その奥深い温かさは他のどの作家からも感じることができない島田荘司だけのものだと思う。

この作品の後半で、刑事が犯人に自首させるためにクビを覚悟で単身乗り込む。こういうことは実際は無いのだと思うのだが、それも島田ワールドなら当然と思えてしまう。

ストーリーの組み立ても実に丁寧で、言葉に一つも無駄がない、美しい。読み逃すことなど許されない傑作だと思う。
死者が飲む水 Amazon書評・レビュー: 死者が飲む水より
4523264732
No.5
(5pt)

島田荘司の第三の探偵、牛越佐武郎

島田荘司の初期作品を読んでみると、島田荘司はミタライ・吉敷以外に、牛越佐武郎というキャラクターを生み出しているのが分かってくる。そういえば、『北の夕鶴2/3の殺人』にも登場している。

で、3人を比較してみると面白い。

・ミタライ → 天才型
・吉敷 → 熱血漢
・牛越佐武郎 → 通称『モーさん』。最も一般的なタイプの日本の刑事

この三者三様のキャラクタが島田荘司の定番の謎

・まず、ありえないくらいの奇想がある
・その奇想をいくつかの別の奇想が加わり、より深い奇想になる
・それを最後には論理的に帰結させてしまう

に、各々が挑むのだ。なかなか面白い。

読了して最初に浮かんだのは、こんなステキな作品を読み逃さなくてよかった、ということだった。

この作品は、島田荘司らしさに満ち満ちている。特に、島田荘司だけの『優しさ』に溢れている。それは、たとえば『御手洗潔のメロディ』の中の『SIVAD SELIM』などでも感じられるのだが、心の優しさそのものだ。その奥深い温かさは他のどの作家からも感じることができない島田荘司だけのものだと思う。

この作品の後半で、刑事が犯人に自首させるためにクビを覚悟で単身乗り込む。こういうことは実際は無いのだと思うのだが、それも島田ワールドなら当然と思えてしまう。

ストーリーの組み立ても実に丁寧で、言葉に一つも無駄がない、美しい。読み逃すことなど許されない傑作だと思う。
死者が飲む水 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 死者が飲む水 (講談社文庫)より
4061850849
No.4
(5pt)

島田荘司の第三の探偵、牛越佐武郎

島田荘司の初期作品を読んでみると、島田荘司はミタライ・吉敷以外に、牛越佐武郎というキャラクターを生み出しているのが分かってくる。そういえば、『北の夕鶴2/3の殺人』にも登場している。

で、3人を比較してみると面白い。

・ミタライ → 天才型
・吉敷 → 熱血漢
・牛越佐武郎 → 通称『モーさん』。最も一般的なタイプの日本の刑事

この三者三様のキャラクタが島田荘司の定番の謎

・まず、ありえないくらいの奇想がある
・その奇想をいくつかの別の奇想が加わり、より深い奇想になる
・それを最後には論理的に帰結させてしまう

に、各々が挑むのだ。なかなか面白い。

読了して最初に浮かんだのは、こんなステキな作品を読み逃さなくてよかった、ということだった。

この作品は、島田荘司らしさに満ち満ちている。特に、島田荘司だけの『優しさ』に溢れている。それは、たとえば『御手洗潔のメロディ』の中の『SIVAD SELIM』などでも感じられるのだが、心の優しさそのものだ。その奥深い温かさは他のどの作家からも感じることができない島田荘司だけのものだと思う。

この作品の後半で、刑事が犯人に自首させるためにクビを覚悟で単身乗り込む。こういうことは実際は無いのだと思うのだが、それも島田ワールドなら当然と思えてしまう。

ストーリーの組み立ても実に丁寧で、言葉に一つも無駄がない、美しい。読み逃すことなど許されない傑作だと思う。
死者が飲む水 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 死者が飲む水 (光文社文庫)より
433470512X
No.3
(4pt)

御手洗氏は登場しませんが

読み応え充分な作品です。昔ながらの「刑事は足で稼ぐ」を信条とする牛越刑事が被害者の足跡を追い執念で解決へと導きます。
御手洗清のようにすぱっとした切れの良い解決というものではないけれど牛越刑事の活躍はなかなかのものでついつい引き込まれて読みました。
この事件自体はばらばら死体が詰められたトランクが被害者宅に送られてくるというところから始まるなんとも凄惨なものですし犯人が殺人まで犯す動機となった古い事件もまたなんともやりきれない痛ましいもの。読んだ後に残るのは救いようのない思いです。
とはいえ牛越刑事の人となり、また彼と他の登場人物とのやりとりなどにちょっとしたユーモアさえも感じられ暗い悲しいだけでない読物としての面白さも感じられます。
例えばモーさんこと牛越刑事が手がかりを求めて東京へ出向き、最後に被害者が訪ねるはずだった友人たちと会うシーンではとんでもなく衝撃的な人物が登場します。牛越刑事をして「この人物と会ったがために被害者は失踪することになったのでは・・・」と一瞬錯覚を起こさせるほどの人物です。こういった場面のやりとりや様々な場面での老刑事の心情などミステリーでありながらもただの謎解きに終わることなく小説を読む醍醐味を与えてくれる作者のさすがの筆力を感じます。
御手洗シリーズとはまた違った魅力のある作品だと思いました。
死者が飲む水 Amazon書評・レビュー: 死者が飲む水より
4523264732
No.2
(4pt)

御手洗氏は登場しませんが

読み応え充分な作品です。昔ながらの「刑事は足で稼ぐ」を信条とする牛越刑事が被害者の足跡を追い執念で解決へと導きます。
御手洗清のようにすぱっとした切れの良い解決というものではないけれど牛越刑事の活躍はなかなかのものでついつい引き込まれて読みました。
この事件自体はばらばら死体が詰められたトランクが被害者宅に送られてくるというところから始まるなんとも凄惨なものですし犯人が殺人まで犯す動機となった古い事件もまたなんともやりきれない痛ましいもの。読んだ後に残るのは救いようのない思いです。
とはいえ牛越刑事の人となり、また彼と他の登場人物とのやりとりなどにちょっとしたユーモアさえも感じられ暗い悲しいだけでない読物としての面白さも感じられます。
例えばモーさんこと牛越刑事が手がかりを求めて東京へ出向き、最後に被害者が訪ねるはずだった友人たちと会うシーンではとんでもなく衝撃的な人物が登場します。牛越刑事をして「この人物と会ったがために被害者は失踪することになったのでは・・・」と一瞬錯覚を起こさせるほどの人物です。こういった場面のやりとりや様々な場面での老刑事の心情などミステリーでありながらもただの謎解きに終わることなく小説を読む醍醐味を与えてくれる作者のさすがの筆力を感じます。
御手洗シリーズとはまた違った魅力のある作品だと思いました。
死者が飲む水 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 死者が飲む水 (光文社文庫)より
433470512X

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