コーンウォールに死す
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完全なる勧善懲悪小説です。前作のフェルメールと同じく今回のピカソも物語の端緒を飾るだけで、結局お目にかかることはかないません。大英帝国以来の悪しき伝統であるタックスヘイブン、租税回避地を目指しロンドンに集中する公にすることができない黒い資金をロンダリングする悪徳なやつらに鉄槌を下すべく奮闘する元・イスラエルの情報機関長官だった絵画修復師、コミック「キャッツアイ」風の美しき女性の大泥棒などの活劇です。 「斧男」による連続殺人事件か、とも思わせますがこれも本線とはあまり関係ありません。安心して読み進められる上品なエンターテインメントでした。 | ||||
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ダニエル・シルヴァによるガブリエル・アロン・シリーズの最新作。前作「償いのフェルメール」(2024/6月)は、不浄の神の化身の如きガブリエルがこの世界を修復しようとする秀作でした。このところ立て続けに女性が主役の小説を読んでいましたので、今回は読み知った世界、馴染み深い世界に戻った気がしました(笑)。 物語は英国、コーンウォール州北部から幕を開けます。アカデミアンのダスティン・ホフマンが終盤、暴力の化身と化す映画「わらの犬」(監督:サム・ペキンパー)の舞台がコーンウォールではなかったか? <斧男>と呼ばれる連続殺人鬼の存在があって、その捜査をガブリエルの古い友人、デヴォン&コーンウォール警察の巡査部長、ティモシー・ピールが担当するわけですが、そこでオックスフォード大学・美術史学科教授、シャーロットが殺害されて発見されます。果たして、犯人は<斧男>なのか?今はヴェネツィアを拠点とするイスラエル諜報機関<オフィス>の元長官であり、美術修復師でもあるガブリエルが巻き込まれていくわけですが。舞台が、英国、イタリア、ドイツ、フランス・・・と変展しながら、大戦時、ドイツ軍によって略奪されたピカソのシュールレアリスム時の絵画の存在が示され、物語は<フリーポート>と呼ばれる絵画の保管先へと繋がっていきます。そして、そのバックグラウンドに存在する現実世界の或る大掛かりで悪辣な「陰謀」の存在が明らかになっていくわけですが、スリラーですからそれについてこれ以上語ることはできません。 今も、これからも、このままでは一部の富裕層のための世界が出来上がりつつあります。そのことについて、ダニエル・シルヴァは彼らしい透明感のある視点を保持したまま告発しているような気がします。(巻末の”著者ノート"は刺激的な内容に満ちています) バイオリニスト、アンナ・ロルフ、シリーズの暴力装置、クリストファー・ケラー、コルシカ島のマフィアたちに加えて、前作から登場したデンマーク人、天才ハッカー・イングリッドも登場し、八面六臂の活躍を見せます。こたえられません。 アウシュヴィッツで殺害されたユダヤ人たち。その記念館でガブリエルの腕に縋り涙するイングリッドは、ガブリエルの導きによって或る<嗜癖>から回復する糸口を与えられていきますね。それこそが「希望」と呼べるものだと思います。 個人的には46%あたり、南仏、マルセイユにて、ガブリエルとイングリッドがヨーロッパ最高の泥棒と出会うシーンがとても好きです。何故なら、私もまた一瞬でもローズマリーとラベンダーの香りを嗅いだ気がするからでしょう。 ◻︎「コーンウォールに死す "A Death in Cornwall"」(ダニエル・シルヴァ ハーパーコリンズ) 2025/6/26。 | ||||
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