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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
世界99の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
世界99の総合評価:
8.82/10点 レビュー 22件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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実は物語はものすごいスピードで価値観が変化しており、
上巻は昭和の女性像
上巻の後半から下巻の中盤までは平成、令和の女性像
上巻の後半は未来の女性像
を描いているんですね。しかも解像度がものすごく、とくに昭和時代の女性像を表現している上巻は
読んでいてイライラ、従順な主人公にもイライラ、なんで言いなりなの?言いなりな方にも問題がある、と
強者の理論を押し付けるような気持ちにさえなりました。でもこれってきっと、私が昭和生まれではないから。
自分で稼げない、生活の手立てがないということは、ここまで人を卑屈に不幸にさせるんだ
ということをこれでもかと書き、
男性に媚びへつらい、自尊心を削り、心を麻痺させていくことでしか生きていけなかった昔の女性の苦悩が読み手にのしかかります。
明人は天罰をくらって酷い人生になるべきだ、とずっと思っていました。
以下、全体の感想です。ネタバレを含みます。
しかし下巻、ネットに出回るスカッと系のような気持ちいい展開にはならず
むしろ主人公は加害側の(いわゆる男性側の)気持ちにさえなっていきます。
1000万円を超える高額の、見た目だけは美しい、家事がへったくそなピョコルン。
ただ養うだけの余計なお荷物ピョコルンのことを疎ましく思う主人公。
これは完全に「見た目だけで選んだ若くて綺麗な妻が、家事能力ゼロで金食い虫」だった男性の悲劇と同じ。
彼女が歳をとり美しくなくなった時に、怒りが爆発する男性の気持ちも想像できるくらい、
ピョコルンを通しての主人公の気持ちの変化はえぐいしリアルでした。
そして男性側の苦悩も描くのがこの小説のえぐいところ。
明人と匠はいわゆる、現代だとマッチングアプリで会えない側の人なんでしょう。
男として背負わされる重積に耐えられず、楽して媚びて生きているように見える女性に恨みを持つ。
女は若い時に全員得してると思うからこそ、なにより年齢を重視し、歳をとった女性を価値がないとバカにする。
そのくせ甘えて、自分の手の内におきたい。見下しながら女体とその母性に依存しているんです。
まるで明人と匠は現代のネットにいる女性蔑視の姿そのもの。
しかし、匠はそのまま成長せずこどおじになり、果ては始末される。
一方、明人はピョコルンになった。
ここでも生き方は別れ、憧れの「可愛がられるだけの存在」になれたはずの明人でしたが
同じピョコルンでも美醜の差があり、明人はぶさいくなピョコルン。
だから「お前は家事だけやってろ」という雑な扱いを受けている。
かつて自分が差別してきた対象そのもののような存在になってしまうのは、この長い物語のなかで唯一のスカっと部分だったかもしれません。
これは男女の軋轢、ひいては人種差別、ひいては現代の問題であるルッキズム、あらゆることに通じる壮大な物語です。
これを読むと絶望的な気持ちになるのは、
理路整然と圧倒的な解像度をもって「差別はなくならない」「格差はなくならない」を見せつけてくるから。
この物語の中で幸せに自分の意思で生きれた人はいるんでしょうか。
主人公に対する気持ち悪さが、自分のこれからの人生の教訓になるとさえ思える。
本を読み終わった時、私は
「いやだ いやだ いやだ 怖い怖い怖い お母さんになりたくない お母さんになりたくない」
と連呼するサイレントヒルfの雛子のようになっているのでした。
いやまあ実際は今、母親なんですけどね・・・。
少なくとも今の時代に生きられていることに感謝してしまう。
読もうぜ、とくに女性。
読んだ方がいいよ。