飢餓海峡
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種別
長編
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評判
飢餓海峡の評価:
9.00/10点 レビュー 4件。 A ランク
飢餓海峡の総合評価:
8.81/10点 レビュー 72件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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史実の青函連絡船海難事故や戦後の荒廃した世相と風俗をもとに事件を起こした男と函館、札幌、舞鶴の刑事たちが必死に男の追跡を行い真犯人に迫っていく過程が描かれた物語。
札幌、函館の刑事たちの追跡から消えた男が10年の歳月を置いて再び事件を起こす。そのきっかけとなったのは一人の女。大罪を犯した男が10年前に人間らしい行いをその女に施したばかりに
自身に疑惑の目が向けられる結果となる皮肉。実際にあった海難事故。台風により転覆した青函連絡船。wikipediaによると死者・行方不明者1155人となっている日本の海難史上最大の惨事である。
浜に打ち上げられた何百という死体。乗船名簿と遺体を引き取りに来た遺族の照合のあとに残った遺体が二つ。誰も引き取りに来ない遺体が二つ残った。頭に傷のある二つの死体。
ひとりの刑事が不審を覚える。しかし、大惨事の中で体に傷を負った死体はおかしくはない。それが大方の意見であった。出航間際に乗り込む人間もいてそんな場合は名簿に記載しないこともあったという事実。
大勢に押し切られる形で一人の刑事の思惑は消えていく。そして函館から130キロほど離れた町で火災が起きる。台風の風に煽られた炎は町の三分の二が焼失する大火事となった。
火元の質店では一家四人が殺害されていた。地道な聞き込みだけで調べを進める刑事たち。昭和22年という時代では今の科学捜査など夢物語だ。
丹念に世相を切り取りながらそれぞれの人生が描かれる物語。敗戦国の貧しさが生んだともいえる事件。単行本上下巻に収められたこの物語は読まずには死ねない。