インヴィンシブル(砂漠の惑星)
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レビュアーにとって本作は三度目の購買である。最初は早川書房の世界SF全集23「レム」の巻での「ソラリスの陽のもとに」との合冊、二度目はハヤカワSF文庫の独立書「砂漠の惑星」、そして今回。 現在ではほとんどあり得ないことと思うけど、もしヴァン・ヴォクトの「宇宙船ビーグル号の航海」を読んだ直後に本書を読んだら、ほとんど違和感なしに自然にストレートSFを精緻化したものと受け取るだろう。巨大な宇宙船による恒星間航行、専門職に分かれた大勢の乗組員、異質な惑星、異様な脅威に立ち向かう地球文明。なんとも血湧き肉躍る(古典的)設定ではないか。 今ではこれは素朴すぎる読み方として「レム専門」評論家諸氏から大ブーイングを受けることだろうが、むしろそういう受け取り方を「取り戻す」ことこそが本作にとって重要だと思う。 テクノロジーの描写はさすがに現在から見ると時代遅れになってしまってる部分も多々あるが(コンピュータの記憶媒体が磁気テープだとか、巨大宇宙船の惑星への直接着陸とか)、防御バリヤとか多種類の使役ロボットとか死亡直後の死体の脳から視知覚記憶を取り出す技術とか万能ロボット戦車「キュクロプス」とか、ワクワクさせるSF的な技術の描写には事欠かない。中んずく「キュクロプス」と「虫」との死闘の描写は本書のクライマックスであり物凄い迫力だ。多分レム自身もこの部分は相当楽しみながら書いたのではないか。その無生物同士の苛烈な戦いに人間は傍観者でしかあり得ないというサタイアを読み込むのは後知恵に過ぎない、と思ってしまおう。 また本書では映像伝達技術の描写に異様に注力している。現在で言うドローンを駆使した映像中継など、映像の迫真性の説得力をいやましている。これはひょっとすると映画化を狙った作品だったのではないか。もしくは「映画にできるもんならしてみろ!」という挑戦的な意図を持ってのことかもしれないが。 全くの私見、それも年季の入った(時代遅れの)元SFファンの憶測だが、レムのいわゆる「ファーストコンタクト三部作」は1956年のアメリカのSF映画「禁断の惑星」のインパクトから発想を得たのではないか。レム自身の発言録には全くないし、レムが「禁断の惑星」を観たという積極的な証拠もないが、時代的に整合性はある。本作との関係で見れば、異星での事件もしくは事故に巻き込まれたらしい僚艦の捜索と調査に赴くという大まかな設定などそのままではないか。また「敵」となる脅威は、「禁断の惑星」では本来は形を持たない「イドの怪物」であり、本書ではレギス第3惑星の文明の残滓らしい進化と闘争の果ての産物(という仮説)のマクロな姿形を持たない微小な集合知性の「虫」だ。 とにかく本書は口うるさい評論家先生連がなんと言おうとも肩の凝らない娯楽ストレートSFとして読んでしまって全然構わない。またそう読まれ読み継がれした方が本書にとって幸福だ。 欲を言えば(国書刊行会では望むだけ無駄だけど)今時のかっこいいイラストを何枚か挿入しても良かったと思う。それこそしかつめらしくなる前の(青背ではない)ハヤカワSF文庫みたいな。 | ||||
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昭和52年発行とありますので、初版なのでしょうか?もちろん古さは否めませんが、読むにあたって全く問題のない良品です。『ソラリス』を読んで、他の作品も知り、今回まとめて(『エデン』『大失敗』と同時に)購入したので、これからゆっくりと時間をかけて読んでいきたいと思います。なので、申し訳ありませんが、内容に関するレビューはございません。他の皆さんのレビューを参考になさってください。 | ||||
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「ソラリス」や「大失敗」は宇宙的原理が強く出ている作品だが、「インヴィンシブル」は宇宙の神秘に抗う人間のドラマでありちょっと違った印象を受けるだろう(アニメにしたら映えそうな壮大な戦闘シーンもある) しかし実は同じテーマがあり、また作品背景も共通している 訳者あとがきと解説も必読 | ||||
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人間は異星文明との接触にふさわしい成熟をまだ遂げていない。 作家の想いがストレートに表現されていて好きだ。 「自分たちの理解と矛盾するすべてのものを粉砕するために、どこへ行くにも大量破壊兵器を宇宙船に積んでいなければならないのか?」というモノローグはぐっときた。 虫とキュクロプスの戦い、キュクロプスの暴走が最大の見せ場だと思うが、 個人的には野良化したアルクタンにやるせない悲哀を感じ心掴まれた。 微晶体の虫たちがロアンを<初期化>しなかった理由も何方向か深読みでき、ロマンが広がる。 そこに繋がる伏線があちこちにあったように思う。 | ||||
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ハヤカワ文庫で出ていた「砂漠の惑星」のポーランド語からの直訳版だそうです。 消息を絶った探査船を探して宇宙船が未知の惑星を訪れる、、、という導入部は、何が先にこの惑星を訪れた船とその乗組員に起きたのかというミステリ的な興味と、砂漠に覆われた未知の惑星の姿というSF的な描写で読者の興味を引き付けます。 何が起きたのかという点がおおよそ明らかになると、一転して物語の主眼はその惑星に存在する脅威とは何か、なぜ現在のようになったのかという謎に物語の核が移っていきます。この謎を中核に据えた点が、まぎれもなく本書をSFとしている点だと思います。 マイケル・クライトンなら脅威から如何に逃れるかを中核にスリルとサスペンスにあふれた物語にするでしょうし、ホラー作家なら迫りくる脅威への恐怖を物語の中核にするかもしれません。 ”未知の脅威と相対する”という題材ながら、SFと他のジャンルとの扱い方、捉え方の違いという観点でも興味深い1冊ではないでしょうか。 | ||||
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