浴槽で発見された日記
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全編を通じて現代のペンタゴンを舞台にたらいまわしに会う人物の苦悩を描いてカフカばりの不条理劇を延々と見せられれる異様な作品で、この作品でSF的なのは「まえがき」だけなのだ。 その「まえがき」のほうはレム一流のおふざけで書いたのは明白で、その「まえがき」を前提に読むから解釈がおかしくなる。 まあレムの中では1~2を争う失敗作です。面白くないとは言わないがレムの作品としては凡庸。復刊されないのも納得。どうせ高いお金払って中古本買うなら「泰平ヨンの現場検証」のほうをお勧めします。 | ||||
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本書にはご存知のように2種類の「翻訳本」が出版されていて、本書『浴槽で発見された手記(1983年刊・ 村手義治 訳)』と『浴槽で発見された日記(集英社 1980年刊・深見弾 訳)』が存在している。 国書刊行会から「スタニスワフ・レム コレクション 全6巻」が刊行されたが、なぜ本作がコレクションから 外れてしまったのか、多くの人が疑問を抱いていることだろう。 私もそのひとりで、レムの文学を語る際には外すことが出来ない水準にある作品である本作を、2018年現在 においても「絶版状態」という極めて信じ難い状況は、「それ」が「そのまま」本作のテーマに近似した状況 であるという、まるで「冗談」のような事態になっていと思う。 これだけ絶版期間が長いので、「ネタバレ」を含んだことを書かせてもらうことにするが、内容を簡単に書く と、地球上の「パピル(紙)」が「天王星」から持ち込んでしまった「細菌」によって突然分解消失されて しまったという設定で始まり、幸いにも主人公が書いた「手記(日記)」だけはなんとかペンタゴンの浴槽の 中で分解されずに残って発見されたということかから始まる。 主人公は様々な命令を受けて、色々な部署の色々な人に会うが、その主人公もけっきょくは「タライ回し」の ような状態が延々と続いていき、混乱の中で手記は途切れる・・・という内容なのだが、これは多くの人から カフカの『城』という小説と似ているという指摘があるとおり、まさに「レム版・城」という認識で間違いない。 ならば、本作を「読む必要はない」と判断する向きもあるだろうけれども、そこはあの「巨人・スタニスワフ ・レム」であるから、そもそもカフカの『城』という作品を「前提」にして書いているという意図がちゃんと存在 しているわけで、むしろカフカの『城』を読んでから本書を読むほうがより本作の「面白さ」や「凄さ」が感じら れるはずだ。 カフカの『城』は「未完の作」で、カフカの死後、カフカの友人であるマックス・ブロートという人がその題名 すら決定していない「未完の草稿」を編集して出版されたものだが、おそらくレムは『城』の小説として内容以上 にこうした作者ではなく、完成しておらず、第三者によって「編集」され、タイトルすら第三者が勝手につけた という「作者」から切り離さられた一連の「経緯」に大きな興味をもち、カフカの『城』として出版されて多くの 読者に読まれて「解釈・理解」されているという現状を主題にするという、「反転」の手法を用いているように 思われる。 それ故に、本書は『城』とは違ってストーリー自体が「消失」してしまっているという「パラドックス」のような 「小説構造」になっていて、ようは「玉ねぎを剥く」ように「主題」すら存在しない「小説」という前代未聞の 小説作品になっていることに気が付いた時に、レムの仕掛けた「装置」としての本作が、いかに奥行きの深い作品 であるかということに気づく仕組みになっているのだ。 これはもう、哲学者・サルトルの『嘔吐』という有名な小説すら軽く飛び越えてしまっている。 完全にレムの「思想書」であるという「解釈」をしたほうがいいくらいの「読解力」を読者に要求する、難解な作品 だという「結論」に、私は勝手にたどり着いたのだが、それすら私の「一読者」としての解釈に過ぎない・・・。 是非とも復刊して欲しいし、書かれている「小説」の「字面」以上に込み入った「創作システム」の中で、読者には 大いに「驚愕」して欲しいものです。 | ||||
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ドラマチックでSF的な導入部である「序」が与える予感とは異なり、本題の内容は地味に淡々として、遅々として展望は開けない。 冷たく壮大で迷路のようなペンタゴンと呼ばれる地下施設の一室で、秘密諜報員の私は、勲章を胸いっぱいにぶら下げたもう何も管理することのできない老齢の宇宙司令官にある任務を命じられる。しかしその指令書がなかなか手に入らないまま、嘘と裏切りと意味のない行為ばかりが繰り返されていく。 レビューの表題に書いたように物語としては無意味、つまり伝えるべきものは何も無い、と言ってかまわないとは思いますが、ただしその無意味さを執拗に積み重ねていく言葉と、それによってイメージ化されていく無意味さ?そのものが、この小説の本質のような印象を受けます。 また、個人的には映画「未来世紀ブラジル」(テリー・ギリアム 1985年)の世界観が想起されるのですが、そのテーマが『ぶざまなほど統制された人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求』であるとすれば、この小説のテーマは『意味もなく統制されるだけの人間社会の虚しさと、そこから逃れることのできない人間の悲劇』と言ってよいのではないかと思います。 また、飛ばし読みをしてもあまり展開を読み間違えることは無いとは思いますが、たとえわれわれの人生がほぼ何の意味の無い人生だとしても飛ばし読みができないように、飛ばし読みはしない方が良いと思います(笑) | ||||
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5000円くらいで古書で買ったけれど、読んで、つまんなかった。5000円もあったら、もっとたくさんおもしろいものが読めたのになって思った。 | ||||
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かなり前に奇跡的に古書店で入手しました。 今やカバーも破れてしまい、かなり黄ばんでしまっています。 ですが、1年か2年に一回は読み返していますね。 単純な感想しか書けませんが、とにかく面白いです。 サスペンス、スパイ小説、スリラー、何でしょうか? ジャンルなどなんでもいいのですが、ただただ面白くて一気に読めてしまいます。 不条理で訳の分からない世界に迷い込んだ唯一まともと思われる主人公が「自分探し」、「自分の任務を探す」といった内容です。 難しいところなど全くなく、語弊があるかもしれませんがレムなりの超一級エンターテイメントです。 ありえない状況に挑み続ける主人公の不思議な冒険談程度の感覚で読み進めていけばそれでいいのだと思います。 レムのことですから、この小説自体が何かのオマージュとなっているのではないかとも思えますが、まあそんなことは考えずにただただ不思議な世界を主人公とともに探検すればいいだけです。 「捜査」のレビューでも書きましたが、不条理を最高のエンターテイメントに仕上げてしまうレムの手腕は見事です。 新訳、新品の状態で入手したいですね。 ぜひ復刊あるいはキンドル化を希望します! | ||||
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