アリバイ
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種別
長編
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感想一覧
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ご存じ、ミステリ史に燦然と輝く『アクロイド殺し』を、1929年に戯曲化したものだ。当時ポアロを演じたのは、チャールズ・ロートン。映画『情婦』の弁護士役でおなじみの名優である。三幕劇で、1・2幕がアクロイド邸、3幕はポアロの書斎で物語が進行する。脚本を書いたマイケル・モートンは劇作家で、さすが本職だけにストーリーを舞台用にうまいことまとめるなあ…と感心しながら読んだ。
が、うまいことまとめたところで、叙述トリックを完全に捨てた『アクロイド殺し』に意味あるの? と思わないでもない。さらに言えば、もし僕がクリスティーなら、どうしても気に入らない点が2つある。1つはポアロをフランス人として処理しているらしいこと、そして2つ目は小説におけるキャロラインの変更である。おそらく自作を他人に委ねることを嫌ったクリスティーは、この後、自身で戯曲化(あるいは戯曲そのもの)を手がけるようになっていくのだろう。
ちなみに、舞台劇なので「上手(かみて)」「下手(しもて)」などの舞台用語がしばしば登場する。訳者の山口氏によると、本来は俳優視点で書かれてる指示を、混乱を避けるために、観客視点に立って左右逆に書き換えた、という。しかし、これにちょこちょこケアレスミスがある。僕が気づいただけでも、上下・左右の間違いが5カ所はあった。
と、いささか文句めいてしまったけれど、ミステリファンとしては十分楽しんだ。山口雅也さん、原書房さん、ありがとう。