劫尽童女
- 超能力 (64)
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父伊勢崎博士に遺伝子をいじられたかしたで、超能力(身体能力、鋭い五感等)を獲得した伊勢崎遥。父の謂われるがまま殺戮を繰り返す。 彼女は設定上は小学生中学年か高学年という事だが、意識としては老成した50代程度みたいな設定です。 倫理的な思考はできるものの、殺戮への罪悪感は薄い模様。ただ、物語の後半でニューメキシコかシェラネバダあたりの貯蔵施設で核爆弾の処理(誤爆→周囲の汚染)に騙されて加担するというくだりがありました。これが応えた?模様。 ・・・ このあたりの「心」未熟さが面白いところかもしれません。 ミュータントやロボットは自尊心を持ちうるのか、とでも言い換えることが出来るのかもしれません。キチンと情動もそなわっているのに、他人の為に労働を強いられる。感じる心が無ければ労働だって殺戮だって呵責もないものを、わざわざ心が、感じる能力が備わっている。だからこそ主人公の遥も他人の計算通りに動かずサプライズを起こす要因にもなりましょう。 で、ふと思い立ったのが、「アキラ」です。かの作品でも超能力を使える子どもたちが隔離され、訓練されていました。彼らもまた周囲の他人の為に自分の人生を犠牲にすることを余儀なくされていました。 同様に思い出されたのが「私を離さないで」のキャシー。詳らかにされませんが、臓器移植のために生み出されたクローンのような人々。これまた自己意識があるために、「なんだかんだで自分の人生悪くなかった」と必死に思い込もうとするような、まあどんよりした作品でした。 ・・・ 「人間は考える葦である」なんてパスカル某が言ったとか言わないとか。 その「意識」「思考」こそが人・生き物を崇高にもすれば、苦しみもさせるのかもしれません。 ・・・ ということで、恩田陸さんの作品でした。相変わらず作風に富んだ作家さんであると感じました。 本作単体ではそこまで響くところは個人的になかったのですが、非人間の生き方、生き様、生命の優劣、自己決定権は人工物に及ぶのか、みたいなテーマで考えると世界が広がってゆく作品だと思いました。 ですので、本作はエンタメ好き、恩田さんファン、SF好きやディストピア好きのみならず、生命倫理等に興味がある方にもお勧めできると思います。 | ||||
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第3章「化色(けしき)〈前編〉」までは、スリリングな話の展開で、とても面白かったです。超能力を持った少女〈遥(ハルカ)〉の孤独感、彼女の特異な能力が、サスペンス満点の話と上手く絡まっていたし。 ところが、「化色〈後編〉」以降の話は、前半と比べて非常に違和感がありました。おかしな方向に、話が転がっていってるとしか、私には思えませんでした。 幕切れも、唐突過ぎて、「なんじゃ、こりゃ。ワケ分からんわ」と、首をかしげるしかなかった。作品の前半が良かっただけに、なおさら、後味の悪い印象が残りました。 | ||||
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父親の実験の道具とされ、ある部分で人よりも優れた力を持つ動物の能力をフィードバックされて生まれてきた遙。初めは小さな女の子として登場する。彼女が辿る過酷な運命を描いていく物語である。こんな力を持っていては圧倒的な孤独にならざるを得ない。とはいえ彼女に寄り添う高橋シスターや神崎の存在は読む者にとっては救いである。突然現れたトオルの存在もー。しかし、この出会いの後、とんでもない出来事が起こる。 特殊な能力を持った人間の物語でありながら、我ら凡人にも生きる意味とは何かということを突き付けてくような思いがしてならない。 | ||||
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何の予備知識もなく読んだが、読者の意表を突くスト-リー展開で、面白く読む事が出来た。ただ演出過剰と言うか、リアリティには欠け、荒削り。特に核ミサイル処理に失敗して多くの人間が死に放射能が拡散される大事故のエピソードは、さすがに如何なものかと思った。 だが、核兵器や地雷撤去などの今日的なモチーフを取り入れ、全編に漂う豊穣な視覚的イメージは魅力十分。意欲的な力作と評価したい。 | ||||
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ある組織「ZOO」に所属していた伊勢崎博士が研究していたのは、人間のさらなる進化についてです。その為に娘である遥にまで実験を施し、さらに組織を抜けだします。当然組織は追ってを放つのですが・・・というのが冒頭です。 正直ちょっと舐めてました、導入からして少し現実離れしすぎているのに、妙な生活感溢れる文章なので、余計な情報が入ってくる感じなのです。もうSFなんだから、いろいろ細かく描写するよりどんどん進めばいいのに、と。すいません、私があさはかでした。 で、何が凄いのか?というのを話すとネタバレになってしまうというジレンマがあるのですが、なんとなく、ホラーの要素を抜いたスティーブン・キング著「キャリー」です。でも、そうかそういう小説か、ならきっとこんな感じで・・・という予想を軽く、軽く超えてくれます。この軽く超える、という部分が驚きなんです。 そして物語の終着点の、ある意味絵画的な美しさの為の描写だったんだな、と感じています。とても映画的なラストだと思うのです。決して万人受けする映画ではないかもしれないけれど、一部の人からは賞賛される映画になるんじゃないか?と思わせるような映画の原作(昔から、いつも思ってるんですが、原田 宗典著「スメル男」は日本映画的な原作で素晴らしいと思うんですが、誰か映画化しないんですかね・・・)のような感じです。 今読む事にもちょっと意味があるような・・・ ジュブナイルのようでちょっと違った印象を残す読みやすい小説、余韻もあります。さらりと読める作品が好きな方にオススメ致します。 | ||||
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