(短編集)
九時から五時までの男
- 高齢化社会 (10)
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エリンは1950年代から活躍したアメリカのミステリ作家で、若い頃からスティーヴンソンやモーパッサンなどに学び、短編の名手となる。長編としては『断崖』『ニコラス街の鍵』『第八の地獄』が邦訳されている。 本書は短編集"The Blessington Method and other strange tales"(1963年)の翻訳。10篇を収録している。すべて犯罪をあつかっている小説だが、探偵役は出てこない。むしろ犯罪者が描かれている小説というべきで、どれもおかしな犯罪ばかり。悪いことをしているという自覚がないばかりか、むしろ正義を執行していると信じて殺人を繰り返す人物さえいるのは、アメリカ的なセンスを感じる。「ブレッシントン計画」「倅の質問」は人間がどこまで堕落できるかを追求している文学作品という意味で、身の毛のよだつ傑作。評論家の瀬戸川猛資は、H・R・F・キーティングなどが推奨するエリンのもう一つの代表的な短編集『特別料理』を本書と比べて、「アホみたいなもの」と呼ぶ。それほど気に入っていたらしい。 | ||||
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「異色短編」というジャンルに属する作品で、あとがきの解説にもあるけれど、日本ではロアルド・ダールの方が有名で、自分もロアルド・ダールの「キス・キス」、「あなたに似た人」は読んだが、スタンリイ・エリンの作品は初めてだった。二人は、イギリス出身のダール、アメリカ出身のエリンとライバルという位置づけらしく、交互にMWA賞(エドガー・アラン・ポー賞)を受賞している。 全般的には、解説でいわれているように、ダールが、珠玉の名作もあればイマイチの作品もあるのに対して、エリンの作品はどれも面白い、でも面白いんだけど、ずっと印象に残り続けるような作品では残念ながらない。結末もどんでん返しというものはなく、悪〜い印象をさらに刷り込まれる様な終わり方をするものが多い。 自分がなかでもいちばん印象に残ったのが、「ロバート」という作品で、学校の生徒がよい子のフリをしながら、担任の女教師を徐々に精神的に追い詰めて行くというちょっとサイコスリラーっぽい話。いまでこそ珍しくない話だが、1960年代にすでにそういう話を考え付いたというのがすごい。 それとは一風変わって、「蚤をたずねて」というのはちょっとコメディっぽく、蚤のサーカスをやる男が主役級の蚤を死なせてしまい、かわりの蚤を探すという話。蚤と意志を通わせて芸をさせるということだけど、本当にそんなことができるのか?また、観客はどうやって蚤の演技を観賞するのか、と興味をもちながら読んだ。 | ||||
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作者には「第八の地獄」、「鏡よ、鏡」等の著名な長編もあるが、やはり短編における切れ味が真骨頂であろう。本短編集は特に人生のブラックな面を強調する出来となっている。 「ブレッシントン計画」は近い将来、日本でもこういう日が来るんじゃないかと思わせる妙な現実感がある作品。「不当な疑惑」は、双子物。ミステリに双子を登場させると大抵失敗するものだが、本作は双子ならではの完全犯罪計画を描いて秀逸。昔見た映画(題名は失念)にこれと似た作品があったが、本作が原作なのかもしれない。「伜の質問」は死刑執行人の息子が父に発する素朴な質問に対する父の回答は ? 「九時から五時までの男」は昼と夜とで二つの顔を持つ男の生態を描いた有名な作品。マンガ家柳沢某のアノ作品は、本作の頂きだろう。 短編の名手が特に人生の暗黒面を強調して、人間模様の機微を描いた傑作短編集。 | ||||
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すばらしい。 たんたんとした描写からでてくる結果が絶妙の暗さ。 ダールと比較されているが、フレドリック・ブラウンとも近いのでは。 表題作と倅の質問が好きだ。 | ||||
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MWA短編賞を2度受賞したスタンリイ・エリンの、ミステリーファンにはお薦めの傑作短編集。同じく短編小説の名手と謳われるロアルド・ダールと双璧を成すという解説も、一読すればうなずける。 流れるような文体、原文の質感を損ねない絶妙の訳、結末と、すべてにおいて合格点。全10編が収められているが次の3編が佳作。 『ロバート』(読後、背筋が薄ら寒い) 『不当な疑惑』(主人公の気持ちがよくわかる) 『九時から五時までの男』(日常的な、非日常の妙) | ||||
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