ユートロニカのこちら側

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長編
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あらすじ

2017年12月06日 ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)

巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。その街では個人情報―視覚や聴覚、位置情報等全て―を提供して得られる報酬で、平均以上の豊かな生活が保証される。しかし、誰もが羨む彼岸の理想郷から零れ落ちる人々もいた…。苦しみの此岸をさまよい、自由を求める男女が交錯する6つの物語。第3回ハヤカワSFコンテスト“大賞”受賞作、約束された未来の超克を謳うポスト・ディストピア文学。(「BOOK」データベースより)

評判

ユートロニカのこちら側の評価:

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ユートロニカのこちら側の総合評価:

7.64/10点 レビュー 22件。

感想一覧

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.22
(5pt)

ディストピア好きは読むべき

荒い部分もあるかもしれない。だが、ディストピア好きは必ず読むべき。
ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)より
4150312990
No.21
(4pt)

自由という名の不自由に気づかない人々の話

誰も悪くないのにどうしようもなく苦しい状況が、作者特有のユーモアと客観的な視点でわかりやすく描かれていて、哲学的な内容なのにとても読みやすい。
また淡々と書いているようでありながら、父親の本当の姿を知る喜びと切なさだの、宗教みたいに他人を信奉する人々のおかしさだの、人間ドラマも起伏があって面白かった。

中盤から後半にかけては作者の造語である『ユートロニカ』が頻出して少し論文めいてくるのが読みにくかった。好きな人もいるんだろうけど自分はこっちじゃない方が好き。

見えてない奴らに限って自分が見ていないことに気づかない『バカの壁論』みたいな話になっていく。人間は自分の理解できる範囲の中でしか物事を受け取れず、それを越えるものは無意識に排除してしまうというやつ。
『全て自分の思い通りになる世界では、人間は次第に一切の欲を失い、意識のない世界になる=ユートロニカ』
当たり前が当たり前になりすぎて、もうかつてなにが当たり前ではなかったのか思い出せない、みたいな。
『自由を感じるのは、檻から出た瞬間である』檻がなければ自由とはなにか意識すらしない…。
最終章ではそういう話が主人公の牧師と絡めて綴られている。宗教の思想も入ってくるからなんかもうすごく重い。
これをデビュー作で書ける作者は凄まじいし、全ての人に知って欲しい視点だし、絶賛したいところだけど(中盤までは自分も絶賛してた)……前半と後半のノリが違いすぎて少し重かった。
ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)より
4150312990
No.20
(4pt)

哲学的な物語

小説というよりは、哲学的な問題を提示され続けた著作という印象がある。SFとしてはAIが実用化された今、そう的外れにはなってない。
自由とは何かとか、多様な問題を出される。そして、解答はない。
ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)より
4150312990
No.19
(1pt)

現代の私たちが感じる「既視感」

タイトルにもある「こちら側」という視点は、
オーウェルが描いたディストピアを現代的にアップデートした結果と言えます。
『1984』のウィンストンは、システムの「あちら側」へ抗おうとして失敗します。

『ユートロニカ』の登場人物たちは、自分がシステムの「どちら側」にいるのか、
その境界線すら曖昧なまま、便利さという名の管理に溶けていきます。

小川哲さんは、オーウェルが描いた「恐ろしい独裁」を、
現代の私たちが直面している「データによる最適化という名の幸福」に
置き換えて描き直したと言えるでしょう。

スマホのレコメンドに従い、効率を求め、
SNSで自分を切り売りする現代の延長線上に、
あの「静かな管理社会」が地続きで存在している。
その「地続き感」こそが、血の流れない物語の中で最も恐ろしい部分なのだと思います。

「自由」という重荷を、私たちは「幸福」という報酬と引き換えに、
案外あっさりと手放してしまうのではないか。
どちらも「人間から人間らしさを奪うものは何か」を突きつけてくる作品です。

『1984』の世界では、党を憎むという「心の自由」がまだ残されています。
しかし『ユートロニカ』の世界は、あまりにも合理的で、快適で、正しいのです。

恐怖の所在: 自分が受けているサービスが、
自分のプライバシーを切り売りした代償だと分かっていても、
それによって生活が最適化され、不幸が取り除かれてしまう。

絶望感: 「こんなのおかしい」と言おうとしても、
システム側から「でも、あなたはこのおかげで今、幸せでしょう?」
とデータで証明されてしまう。
反論する正当性すら奪われてしまうことへの恐怖です。
ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)より
4150312990
No.18
(4pt)

自由とはと考えさせられる小説

AIが面倒を回避してくれるようになる世界線で、人間が悩むことがなくなっていく。(無意識的に生きるようになる。)それに対して、抗うことで自由を見出す人々の姿を書いています。自由って何だろうと考えさせられる本でした。
ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)より
4150312990

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