アルタイ
- ヴェネツィア (11)
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『アルタイ』は、1569年から71年までのヴェネチア共和国とオスマン帝国の対立が舞台である。 『Q』の続編としても楽しめるし、『Q』を読んでいなくても、全く別の読み物として楽しめる。 前作の『Q』はハッキリ言って、文章のなかで誰が主体なのかが大切な謎解きでもあるから、話の流れやペースを掴むまでが、とても読みにくい。 それに対して『アルタイ』は章立ても短く簡潔。とても読みやすい。スラスラと読めて、ドップリと物語世界に惹き込まれてしまった。 短い期間の物語なのに、とても展開が早い。 『Q』との関連でいえば、『Q』の再洗礼派だった主人公の、ヴェネチアでのロマンスのその後。ミケシュ家の顛末が描かれる。 著者のウー・ミンとは、メンバーの加減があるものの、『Q』の著者であるルーサー・ブリセットの別名である。訳者あとがきによれば、ウー・ミンとは中国語で「無名」や「5名」を意味するのだそうな。 自らの出自を隠したため、ヴェネチアを追われる事になった主人公は、オスマン帝国に逃れ、キプロス島にユダヤ人の王国を夢見る実業家に救われる。その姿は、旧約聖書創世記のヨセフの物語を彷彿とさせる。 歴史のなかで、翻弄されるユダヤ人を通して、迫害された人々が集い、平和に暮らせるユダヤの王国の夢(世界の修復)と挫折を描いていく。軍隊を持たない流浪の民は、果たして自らの王国を築くことができるのか。 ポーランドとイギリスが、イスラム教徒のオスマン帝国を支援するなど、キリスト教世界の複雑な心理がある一方、コンスタンチノープルの活気ある雰囲気が感じられる。国際都市で活躍する商人と外交官、宮廷での駆け引きや、馬鹿にできないイスラム世界の後宮(日本で言う、「大奥」のようなものか)の人脈、重みをうかがい知ることができる。 そして、戦争の、異教徒に対しての残虐さ。お互いの勇敢さを称えあった、次の瞬間から、包囲戦の最後にどれだけ野蛮になれるのだろうか。 ファマグスタの包囲戦から、雌雄を決するレパントの海戦に至る。 哀しい物語だった。 イギリスに渡った“紙袋”はその後、どうなったのだろうか。それも気になる。 | ||||
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