デビルズ・ピーク
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
デビルズ・ピークの総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
南アフリカといえば学生時代に習ったアパルトヘイトや貧困くらいしかわからない。 そんな私でも、最初からストーリーにグイグイ引き込まれた。 三人の人物の視点で語られる物語。 娼婦、刑事、怒れる男。 繋がっていくこと自体はわかるが、どうつながっていくのか? 男たちは娼婦の客とか? 予想外でしたよ~~。 この物語の主軸は子供たちの危機的状況である。 私たちは子供の性的虐待というと 「小児性愛者」、つまり一部の変態を思い浮かべるが アフリカには処女と性交すると病気が治るという迷信があり、 その迷信のために虐待を行うものもいるというのだ。 この小説でもエイズを治すため、赤ん坊が虐待される。 恐ろしいことである。虐待の傷に加え、(羅患率は低いとは言え)病気の危険性にも怯えなくてはならない。 また、訳者あとがきに書かれているが児童施設等に預けられている子供の数は南アフリカでは10万人にも上るという。 守ってくれるはずの保護者すらいない状況で危険に備えなくてはいけない子供たちがいかに多いことか。 作者はこの大きな問題を巧みにストーリーに盛り込み、素晴らしい作品に仕上がっている。 他の作品もぜひ読んでみたいと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
南アフリカを舞台にした濃厚なハードボイルド・ミステリー。一人息子を殺害されたトペラ・ムパイフェリは『アルテミス』と呼ばれる殺人者となり、犯罪者を次々と死に至らしめる。『アルテミス』を追うアルコール依存症の警部補ベニー・グリーゼル、シングルマザーの娼婦クリスティーン・ファン・ロイヤン…殺人者、警部補、娼婦の視点で物語が目まぐるしく描かれ、少しずつ交錯していく。そして、結末は… 最初に読んだ『流血のサファリ』より断然面白い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この小説は南アフリカを舞台に三つの家族がたどる、苦悩に満ちた運命を描き出した物語である。 「ベニー・グリーセル」南アフリカ警察の警部補だが娘カーラと息子を持つ「父」である。重度のアルコール依存症で、妻から断酒しない限り家族には戻れないと宣告されている。 「トベラ・ムパイフェリ」過去の人生は謎につつまれたコーサ族の男だが、一か月前に亡くした愛する女の子供パカミレを養子とし、新しい生活を始めようとした矢先、銃撃でパカミレを失った怒れる「父」である。 「クリスティーン・ロイヤン」突然、牧師の家を訪れ長く衝撃的な告白を始める美しき娼婦。娘ソニアを持つ「母」でもある。 児童虐待犯が次々に殺されていく。「アセガイ」という槍の一突きで。 南アフリカでも児童強姦事件が多いが、その内40%がその行為でエイズが治るという恐るべき俗説が背景にある。 グリーセル警部補がアルコールに溺れるのは<どんなに働こうがどんなに苦労しようが報われるのか?(略)この白い肌のせいで、警察で二十六年働こうが何にもならなかった。>不満の背景には「黒人優遇政策」があったのだ。彼らはとうの昔に退任し警備会社で高給取りになっている現実があるのだ。 トベラは罪もない息子を殺された怒りをぶつける。 <武器を手にとるのは相手が不正を働いている場合に限る。防御や説得といった他のあらゆる手段が尽きた時だけ、最後の最後に人に武器を向けるのだ。>と言い、目的のない殺人は絶対に許せないと言い切る。でなければアパルトヘイトも抑圧も革命も動乱も東西の対立も子供たちにどう説明できるのかと。 トベラとは何者なのか。<農場主?父親?自由の戦士?麻薬の売人?国からの逃亡者?> 幼児虐待、コロンビア麻薬カルテルの犯罪を起点に三つの家族のドラマが始まる。 スウェーデンでも翻訳され「マルティン・ベック賞」を受賞した手練れの作品である。 尚、本書のどこにも三部作の一作目とは書いてないし、前訳「追跡者たち」(ハヤカワ文庫)の記述もない。著者名は「マイヤー」ではなく「メイヤー」であったがこの作品も互いに関係のない、主婦とボディーガードと私立探偵の三人がからみあうサスペンス豊かなミステリであった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
南アフリカに蔓延する社会問題、人種間の差別・偏見、貧富の格差、治安の悪化、警察組織の弱体化といったことを作品の背景として、重たく、巧みに活かしきった快作です。 アル中の刑事、シングルマザーの娼婦、悲憤に駆られた殺人者と、全く立場の異なる3人の登場人物の運命、人生のそれぞれが異なるプロットとしてストーリが始まります。 最初のうちは、この3人の接点が「あるような、無いような」状態で進行します。この前半の展開がなんともいえない不気味さ醸し出し、また、3人の人生(悲運)、心情について克明に描かれており、最初のうちから、登場人物に感情移入させられ、登場人物のキャラクタに印象を深めながらどんどんと引き込まれていきました。 中盤から終盤み向けては、もう一気読みでしたね。 3人の行動が、深く、そしてがっちりと絡みだし、また、どのような運命が待ち受けるのか、全く展開が読めず、結末にむけて、どんどんとスリルが高まっていきました。 場面展開の仕方も絶妙だったと思います。 前半から中盤までは小刻みな展開で、取っ付き良く読み進めることができ、終盤にかけては、ひとつのシーンがじっくりと描かれいて、クライマックスへの盛り上がりを高めていると思います。また、現在進行中のシーンの合間、回想シーンの差し込み方も巧みで、登場人物の心情やキャラクター設定、さらに、ストーリーの展開にしっかりと納得しながら読み進めることができました。 作品のラストは、よくぞここまで考えられたものと、圧巻でした。 最後の方の数ページ、ドキドキしながら、ページめくるのが怖いような、話が終わってしまうのが惜しいような感覚にとらわれました。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 4件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|