COVERED M博士の島
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独特なシチュエーションの孤島ミステリーに最初は期待しましたが、後半以降の動機にも犯行方法にも、まったくリアリティの無い展開に脱力。 まったく全身の姿かたちを変えてしまうほどの整形技術という、いかにもミステリーのギミックとして用意された能力の使い方がそのまま過ぎて呆れる。それに加えて犯人の動機面においてリアリティが無さ過ぎて共感もしにくい。それを小難しい自己陶酔的な美に対する哲学の語りで誤魔化している印象が拭えなかった。つまりあえてミステリーというジャンルで勝負している必然性の分からない作品。 この著者さんの他の作品の傾向を見て分かりましたが、無理にミステリーとして書くよりも、自分の書きたい世界観や表現があるようなので、それを優先させたジャンルで活かした方が良いんじゃないでしょうか? | ||||
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アルファベット+「島」で作者が「森」、となるとちょっと推理小説を読んでいる人なら「森」違いで「すべてがFになる」を想起するかと思いますが、この作品がおそらく著者が描いた作品の中で一番「完成度が高い」と思います。ただし、ここでいう「完成度」とは登場人物を描き、その人物の抱える哲学を見事に表現している、という点から見ての完成度となります。 報酬1千万円の全身整形手術を希望し当選した主人公が、天才美容外科医のM博士の持つ私有地「O島」で滞在する生活と事件、その顛末を描く推理小説、といった概要になります。 ここで披露されるトリックは死体を活かしたもの。死体を「死体」とは思わず「物理的な物体」として活かしたトリックでいえば初期の西尾維新の作品を連想しますが、この作品においては死体をある種の「人間」であるかのように扱う(=振る舞わせる)という技を披露します。生理学的な知識などから物理的に可能か不可能かでいえば間違いなくありえませんが、あくまでラノベ風のトリックとしてであれば中々意表を突いてくるなと感じました。また表紙の美しさ――というか妖しさを、是非ともカバーをはずして楽しんでほしいところです。 そして作中を満たしている登場人物の持つ美への意識――もはや哲学を越えて妄想と言ってもよいその執念が、作中においてすさまじいことになっています。人を人と思わず、また「自分の顔」をさえ「自分」と思わない――。読み手によってはその倫理観の欠如に嫌悪を持つかもしれませんが、過剰なまでの美へのアプローチ、それを手法として福笑いのパーツのように実行してしまうところに登場人物の邪悪さがありますし、また目的への非情なまでの行動力を感じさせるところです。もちろん「誰」とは言いませんが。 今昔物語の一説「人の形をした鬼の話」をイメージの原型とし、美を求める「鬼達の孤島」に迷い込める一冊です。 | ||||
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