幻霙
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ミステリーらしく書いていきつつ、 「ミステリーっぽく伏線が繋がって、清々しく解決…したりしないのよね」 というオチが快感になるかどうか。 例えば、共感や繋がりを求めて全ッ然報われなかったなーという空振りの経験があるひとほど 「あったあった」「やっぱそうだよね」という妙な心地よさが得られるんじゃないでしょうか。 本作の犯人も、お節介な探偵を気取る誰かがいれば救われたのでしょうが 実際に周囲の人間がやるのは見て見ぬふりです。 気付けたはずではなく、誰も気づきたくない。 ミステリーなら、ほんの些細なきっかけから思わぬ連鎖が起こりますが、そんなことは起きない。 そしてより残酷なのは、被害者のほうです。 かけがえのない自分自身の人生。 しかし犯人にとっては、被害者も最後まで上っ面で関わった大勢の一人でしかなかったのです。 余りに理不尽であっけない。 劇中の職場の後輩の台詞「裏表なく頑張りますから」。 本当に裏表なく頑張る人だったらそんなこと言わないんですが、 自分の本質さえ見て見ぬふりをする人間の性質をよく表しています。 犯人の生い立ちは完全に悲惨ですが、その思考回路は終始自分本位で 感情移入していたはずが、最後には突き放されます。 誰が悪かったのか、どこで間違ったのか。 そんな問いかけは、余りに空しい。 だって誰もそこまで関わりたくないんだから。 | ||||
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主人公の育った環境が自分と同じだったので、ハッピーエンドになるんじゃないかという淡い期待を抱いていたのですが・・・。虐待されたことのない人には気持ちの悪い話と思えるかもしれませんが、子供って自分が親に虐待されているなんて思わないんです。必死で親に好かれようとしたり、自分のどこがいけなくてぶたれたのか、いろいろ考えても思い当たらなくて、混乱したり。それでも、いつも親は子供にとって正しいんです。あのころの自分の不安な気持ちが見事に表現されていて、切なくも読み進んでしまい、バッドエンドになった時、泣けてしまいました・・・・・私は、今は幸せなので、主人公にもそうなってほしかったです。 | ||||
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夕刊紙の書評を見て購入。 自分はプロットの練り込まれたエンターテインメント性のあるミステリーを期待していた。 この小説は私小説風に男女二人の視点から淡々と心理描写が続き、ほとんどオチはない。 現代社会の一断面を描いている点は評価できるが、自分は「だからどうした?」という感じだった。 | ||||
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斉木香津さんは「凍花」が単行本で出たときに読んで以来です。このあいだ出たデビュー作の文庫本はミステリじゃなさそうだったのでパスしましたが、新作を心待ちにしていました。 この小説は蒼太という男性主人公と、桃里という女性主人公(なのかな)が交互に語っていくことで話が進んでいきます。二人は派遣のアルバイトをしていて、桃里が一人暮らしをしていた部屋で同棲しています。蒼太は桃里に、無差別殺傷事件の犯人に見間違えられたことを気にして、それをきっかけに、自分の子どもの頃のことを思い出していきます。桃里はお金がないこと、ショップ店員になかなか戻れないこと、蒼太がかっこよすぎて、だれかにとられそう、といったことを悩んでいます。 蒼太の思い出す母親と自分との過去が強烈で、回想シーンが出てくるたび、読んでいて激しく感情を揺さぶられました。二人がどうなっていくのか見守るような気持ちで読み進めましたが、とにかく後半に入ってからの急展開がすごくて、そこからは読むのをやめられなくなりました。なにが起きたのかはまさかここには書けませんが、とにかく冷水に叩き落とされたような、心臓の凍るような衝撃がありました。今まで本を読んできて、ここまでの衝撃は初めてかも。 「凍花」は共感できるかできないかで好き嫌いがはっきり分かれたようですが、私は自分自身にぴたっと合うものがあって、読んだあともずっと余韻が残りました。そしてこの「幻霙」ですが、さらに読む人によって好き嫌いが分かれそうです。私は痛いぐらいに突き刺さってきました。「凍花」がぴんと来なくても、こっちは来るって人もいるかもしれない。逆もあるかな。どちらになるかは読まないとわかりませんね。私はほかの著者の作品では味わえないような、すごい読書体験をさせてもらったので、星5のお薦めです。 | ||||
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