奇譚を売る店
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初版刊行(参考)
種別
短編集
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あらすじ
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評判
奇譚を売る店の評価:
6.00/10点 レビュー 1件。 C ランク
奇譚を売る店の総合評価:
7.38/10点 レビュー 13件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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構成の方は連作短編なのだけれども、古書マニアである「私」の「また買ってしまった」という後悔めいた独白から入る冒頭が共通項となっている辺りに作者の遊び心を感じる。自嘲と共に買った物を読み耽っていると「私」はいつの間にか奇妙な事件や現象へと誘われていく……というのが主な展開。
各話で「私」が買うのは明治時代の精神科病院の案内であったり、戦後のカストリ小説誌であったり、既に廃刊したマイナーな児童向けマンガ雑誌であったり、制作されずにポシャった映画の企画書であったりと実に様々。ただ、展開自体は後発二作と比べると随分と怪奇調を帯びているというか、ホラーっぽい雰囲気を漂わせたものが多い。
少しばかりネタバレになるけれども後発の二作と通じる部分もあるのだが各話の独立性は本作が一番高いかも。何しろ「私」は毎回誘われた怪事件の末に悲惨な末路を辿るオチが殆どなのである。なので最初の話を読み終えると「あれ?主人公がえらい目に遭ったのにこれどう話を続けるつもりなの?」と戸惑われるかも知れないが、一章読み終えると次の話では何事も無かったかの様に「私」が古書を飼う場面から話が始まるので読者は再び「あれれ?『私』って同一人物じゃ無いの?」と大いに戸惑う事に(この点については最終章で意外な方向へと話が振られる)
怪奇っぽい話が多いとは申し上げたが、中にはメタフィクションっぽい実験作も混じっていたりする。特に「私」が子供の頃に読みながら続きが気になっていた児童漫画を漁り、投げっ放しな打ち切り同然のオチを突き付けられる「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」は終盤でフィクションと現実という階層の異なるリアリズムが溶け合う様な奇妙な味わいとなっている。
また、あとがきによれば作者自身が古書マニアの様で、古書を漁る楽しみを伝えたいという想いが割とストレートに出ている所も感じられる。特に第二章の「這い寄る影」なんかは戦後すぐに大量に出版されたカストリ雑誌の中で有象無象の作家が書き散らした後の時代に残らない珍作を漁る楽しさみたいなものが漂ってくるので思わず「古書店漁りに挑んでみようかな?」と思わされる方もいるかも。
ただ、読み終えてからの感想を申し上げれば、正直後から発表した二作に比べると完成度という点からは見劣りがする。とにかく各章で主人公である「私」の芝居っ気が強過ぎるというか、主人公の立ち居振る舞いが目立って、折角の怪現象を食ってしまっている印象。後発の二作が幻想的な怪事件を淡々と「私」の視線を通じて読者に披露していたのに比べると作者も方向性を決めかねていた様に思われる。
特に最終章で明かされる、各章の「私」が別人の様にしか思えない構成の真実が明かされる展開は芝居っ気が強過ぎて少々辟易させられたというのが正直な所。無論、この部分についての読者の反応があまり芳しくなかった事から作者なりに修正したから後発二作では怪事件や幻想じみた状況が主体になったのだとも言えるけれども。
作者の幻想小説シリーズをどれから読まれるかは読者自身が決めるしか無いが、本シリーズに関しては完成度が高められた後発作品から読んで正解だったなというのが正直な所。