レビュー一覧
マリオネットK さんのレビュー一覧
マリオネットKさんのページへ 全347件 21〜40 2/18ページ
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私はミステリの中でも警察小説はあまり好きではない、特に事件そっちのけで警察内の派閥だ面子だでグダグダするような話は不快になるため嫌いであり、この小説はまさにそういう話なのですが、やはり横山秀夫氏の作品だけは例外です。決して読んでいて愉快なストーリーではないのですが、楽しく読めました。
主人公が警察関係者の中でも、直接事件を捜査する刑事ではなく、マスコミとの仲介役となる広報官という設定がまず斬新です。
マスコミからも刑事部からも板ばさみになる葛藤が存分に描かれ、主人公の広報官側に感情移入すると「マスコミも刑事部も勝手な事ばかり言いやがって」という感想が沸くのですが、結局はどの人間も自分の置かれている立場で物事を言っているにすぎず、ふと離れた視点から見ると、名前を出す出さないだ、誰に抗議文を出すだ出さないだ、いい大人たちが大勢揃ってどうでもいいことにこだわり、誰も得しない非生産的な争いをしている滑稽な構図に見えてきます。
こんなことよりも重要なのは誘拐された子供の命(それはもう奪われてしまった)と犯人逮捕だろ?と途中から感じてしまいましたが、結局直接の被害者以外にとっては、目の前の自分の立場や面子こそが一番重要なのが現実なのでしょう。しかしその中に確かにあるそれぞれの人間個人の譲れない感情や矜持というものが表れ、まさに『人間』というものがこれでもかと描写されていた作品と感じました。
そのように未解決誘拐事件そのものよりも、マスコミとの駆け引きや警察内でのゴタゴタがメインの前半は少し間延びした印象でしたが、再び64(ロクヨン)が大きく話に絡むようになり、同時に次々と真相が判明していった終盤の展開は驚きの連続で目の離せないものとなりました。
▼以下、ネタバレ感想