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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数155件
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凄い書物に触れてしまいました。内容の密度がとても濃く読み終わるまで1か月要しました。ただ、この期間は難しくて挫折の意味ではなく、数多く現れる内容から興味を持ったものを脱線して調べながらの読書だったためです。それでも正直わからない事だらけで、拾えるものが微々たるものでした。本書の凄まじさは読者が持っている知識に呼応して魅力が増す作品になっている所です。
いきなり本書に触れると返り討ちに合いそうなので、先人に習って以下の手順で自分は触れました。 ■個人的なオススメの作品の触れ方 ▽映画を見る(ショーン・コネリー主演、ジャン=ジャック・アノー監督) ↓ ▽下巻の解説を読む ↓ ▽本書を読む。 まず映画の出来がとてもよいです。本書のミステリ部分が強調された作品となっており、難しい知識が必要なく楽しめます。 1327年の修道院で発生した連続怪死事件をバスカヴィルのウィリアムとメルクのアドソの探偵&助手(書記)の2人が体験します。ピンと来ると思いますが、シャーロックホームズの設定を活用しています。ウィリアムの圧倒的な知識と洞察力で、修道士達の発言や行動、黙示録に見立てられたような事件現場や占星術や神学等、見習いアドソ&読者に教える先生のように推理と解説をしていきます。ミステリの面白さを十分に楽しみながら全体像を映像として把握できるので映画はオススメです。 次に下巻の解説を読みました。ストーリーは映画で把握済みなので、ネタバレ気にせず翻訳者の解説にて本書の背景がどういうもので、歴史や書物、著者専門の記号論がどのように扱われているかが感じ取れます。 この手順であれば、登場人物のカタカナ名に悩まされる事も場面混乱も回避でき、最大の魅力であるミステリを模した書物の迷宮を集中して体験できるでしょう。 個人的な感覚ですが、昔に体験した三大奇書の黒死館の衒学やドグラマグラの作中作の面白い意味でのパニック感を、数年経った今、学術的な要素で再体験した気持ちです。難しくて好みが分かれるかもしれないですが、そういう圧倒的なものに触れるのが好きな方にはささる作品です。 拙い知識でどう書いたらよいか悩むのですが、設定の数々である、時代や現場や言語体系やミステリ要素や書物に関する事、どれもこれもが外せずに絡んでいて、こうじゃなきゃ成立しない凄まじいバランスの妙の作品ですね。何かに気付いてもそれが必然になっている事に気づかされる。。。。うーむ、、、すごい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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舞台は東京駅。保険の契約ノルマで奮闘する人、俳句仲間のオフ会、男女のもつれ、オーディンションを受ける子役、爆弾犯、etc...
総勢28キャラが交差する物語。 サウンドノベルゲームの『街』『428』が好きなのですが、これに似た小説が読みたいと探した所、見つけたのが本書の『ドミノ』でした。ゲームを知っているなら同じ雰囲気を楽しめます。 本書の凄い所は、28もの登場キャラがいるのに混乱がない事です。 ゲームのように音や写真・イラストはなく、文章だけで書き分けて混乱させないのは凄いです。そして、それぞれのキャラ達は自身の物語が存在し、それぞれの主人公なのです。個々のストーリーを楽しみ、東京の舞台でそれぞれが交差し、あれがここで影響して、あの人の行動がこっちで影響して。。。という楽しさが最高でした。 サウンドノベルゲームの場合、プレイヤーが物語に介入して失敗すればバッドエンドが起きますので、誰かが死んじゃったり、悲惨な結末が起きる刺激がありますが、小説による偶像劇の場合はエンディングに向けて1本道を進むので、刺激的なアクセントが付け辛い難しさがあると思っていました。が、本書は爆弾事件や保険契約処理のノルマなど、タイムリミット系のハラハラ内容を複数設置することで、飽きさせない作りにしている点で成功しています。 悲惨な事件や複雑な仕掛けはなくて、サラッとしていますが、気軽に楽しみ充実できる良い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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書物が駆逐され、水没しつつある世界が舞台の『少年検閲官シリーズ』第2弾。
前作は読んでおいた方が良いです。 デビュー作からファンタジー×ミステリの作風でしたが、その作風を着実に進化させた本シリーズはとても面白いです。城シリーズ序盤あたりの、ラノベファンタジー模様は、あまり好みではなかったのですが、ここまで来ると世界観に浸れて楽しめます。 また、思い返せば『瑠璃城殺人事件』でも図書館を舞台とした密室がありましたが、当時から作者の本とミステリに対する思いがずっと続いているのだと感じました。 ネタバレ以外での話として、このファンタジーの世界観を十分に活用した事件を行なっている点が凄く評価です。本作は前作以上の出来でしょう。 序盤のオルゴール職人が少女をオルゴールにするエピソードについても、残酷性はなく、ゆったりと静かな情景の中でひっそりと聞こえるオルゴールの音色のように悲しく神秘的な雰囲気に惹き込まれました。 オルゴール職人の集う孤島での連続殺人。 物理トリックや多重解釈といった本格ミステリ要素をファンタジーの世界観で包み、独自の個性を生み出しています。本作は十分に堪能できました。 その他余談として、 スピンオフ作品『ダンガンロンパシリーズ』における、事前に本書の仕掛けを匂わせる『黒の挑戦』の設定と、『少年検閲官シリーズ』の『ガジェット』の扱いが似ています。事件模様も解決模様も似ているので、この2つのシリーズ間は互いに刺激を与えあっていると感じました。 発売時期としては少年検閲官のガジェットが先で、その後、知名度が高いダンガンロンパを描いていく中で、ミステリ×キャラ×ファンタジーの描き方が培われて、オリジナル作品の少年検閲官シリーズである本書『オルゴーリェンヌ』へ昇華したと感じました。 シリーズ作品として次作を楽しみにしています。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みの本でした。
こういうのが読みたかったと思えた作品。ミステリを読み始めた頃の懐かしさと新しさのバランスがうまく取れていて好みでした。 期待させると落胆させてしまいそうなのですが、ミステリの驚きや濃さとか人間味とか、そういうのを求めると浅いと感じられてしまうかもしれません。ただ、楽しいミステリってこういうのだよ。と改めて認識できた作品でした。 星読館という天体を観測する館。そこに住まう博士。孤島に集められた7名の男女。 好みのシチュエーションの中で起きる事件。何故事件が起きたのか。理由や動機は?これらミステリ模様は読んでいて楽しいです。ライトノベルの作者なのでキャラクターは軽めなのですが、おっさんやヒロインなど定番だけど分かりやすくてよい感じ。 読書前と後で印象が変わりました。ミステリ・フロンティアのレーベルだったこともあり、読書前は重いコテコテのミステリを想像していたらライトで違う。でも、これはこれで面白くて、最後は納得で綺麗にまとまるのが見事。 個々の要素は見知った定番ネタなのに、使い方と整え方が凄く綺麗です。天体観測や流れ星や願い事などの雰囲気もロマンチックで楽しめました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリの手法を使ったSFの名作という事で読書。
SFだからと言って難しい言葉はないですし、登場人物も少ない為、把握しやすいのが良い。 50年以上前の古典作品に分類されていますが、今読んでも分かりやすく楽しめました。 人々はドーム型のシティの中で生活しており、外気や日光は直接浴びず、食糧危機の影響により子供の出生数や食事の内容と量まで制限を受けている窮屈な世界。知能・技術に優れた宇宙人との交流や、ロボットの発達により人間の仕事が奪われてロボットが憎まれているなど、現代でも少し感じる所があり、SF作品として興味深かったです。 人々は皆、懐古主義者で、地球が唯一の世界であった時代を思い出すさまに哀愁を感じました。 これらの世界観を土台に宇宙人が何者かに殺された事件が起きます。 ロボット工学三原則により、ロボットは人に危害を与えられない。地球人も心理的理由から殺人を犯せない。本書のSF世界観ならではの謎で、作品を読んだ時に感じるテーマに沿ったミステリ要素が見事でした。 ミステリとして期待してしまうと斬新な驚きはないのですが、世界を味わう感じで読むと楽しめます。 希望に満ちた未来を感じる読後感も良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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書物が駆逐された特殊な世界でのミステリ。
書籍がなく情報規制がされており、メディアは耳で聞くラジオが主。『殺人』や『探偵』とはどういう事なのか?そもそも言葉の意味もわからないような空間での物語です。箱庭の世界の中で首なし死体が発見されても『殺人』と言う意味が存在しないため、『自然死』として処理されてしまうような常識が異なる村の中で、どういうミステリになるのか全く予想できずでした。 文庫版解説にもありましたが、序盤で感じたのはシャマラン映画の『ヴィレッジ』の雰囲気そのものでした。 ファンタジーだから何でもありなのかなと思いきや、ある1つの事が明らかになった瞬間、不可解な謎が一斉に解決する終盤は本格ミステリ模様で見事でした。 童話的な物語は、デビュー時の城シリーズから比較すると、意味があり面白くなっているのがとても感じます。 また、特殊設定の中で、ガジェットと呼ばれる結晶の設定が面白いです。 昔の人が、ミステリをこっそり世に残そうと、細分化された要素(『密室』『首切り』など)をガジェットという結晶に詰め込み装飾品として世に散らばっているエピソードなのですが、どの結晶が今回の事件に影響しているのか?と考える楽しさもありました。 その他、深読みですが、メディアの情報規制や電子書籍に代わる出版業界の今後も感じ取れました。 得られる情報を規制して与えた内容が正しいと刷り込まれた人々の姿は、自分から調べないTVやラジオの話に見えますし、書籍がない空間は電子書籍への暗示にも感じます。 結局の所、どこまでの情報が得られた世界なのかが分かり辛い為、整合性や現実的な事を気にする場合は好みに合わなくなると思います。細かい事は気にせず不思議な童話を読んでいたら実はミステリだった、ぐらいの感覚がとても楽しめる読書だと思います。 著者の作品で、ミステリ要素以上に世界観が楽しめたのって初かもしれません。次作も楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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漫画『DEATH NOTE』のノベライズ。物語の時代設定は漫画より過去で、南空ナオミがLと知り合うきっかけになった事件です。
漫画を途中まででも読んでおり、ミステリ小説が好きな方には、お薦めの小説です。原作の設定や読者イメージを効果的に使ったミステリに仕上がっていました。スピンオフ作品としては十分なクオリティで楽しかったです。 多少原作を知っている前提なので、キャラ紹介や死神の能力などはあっさりとした説明になっており、余分なページを削っています。全ページ数は180Pぐらいで無駄がないと感じます。 私自身、連載中の漫画を読んでいたぶりの読書なので、南空ナオミって誰だっけ?程度の記憶だったのですが、そのぐらいが寧ろキャラの性格に影響を受けず、丁度よい読書だと思います。 物語は既に起きた3つの猟奇事件について、FBI南空ナオミがLから連絡を受け捜査に乗り出します。 密室状態の事件現場、藁人形の見立て、異なる殺害方法、被害者のミッシングリンク。事件は既に起きている為、小説の中身は推理と謎解きが大半を占めています。異常思考での事件な為、読者はついていけない展開なのですが、Lの超思考だから追いつけるのかも。と変に納得できる推理の展開が見事です。 見立てまで行い、明らかに他殺なのに何故密室にするのか?この扱いも個人的には逸品だと思います。 全貌がわかった時、この原作だからできる特有の内容を感じられ凄いと思いました。 賛否両論な世の中の評価も、 △:原作好き+小説読まない層 △:原作知らない+小説読む層 ○:原作知っている+小説読む層 という風に感じます。 合う場合は埋もれた作品だと思います。たまたま見つけて読んだ次第ですが、予想以上に満足でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは完成度が高い作品。あれこれ言う言葉がなく、読後の余韻が凄かった。
まず作品への没入感が凄かった。これは丁寧な描写と翻訳が巧く、映画を見ているかのように場面をイメージする事ができる要因が大きい。登場人物達も個性的に設定され、混乱する事もない。残酷な要素は読書の刺激を演出している。翻訳物を読んでいるとは思えない感じでスラスラ読めました。 3部構成で作られている本書。構成が実に巧い。部が変わる事に舞台模様がガラリと変わり先が読めない。物語の魅せ方が大変うまくて惹き込まれました。 好みに合わないと言うか個人的なつぶやきとして、 近年の海外ミステリは、女性被害を作品のキャッチによく使われているように感じます。日本と海外の違いだと思いますが、女性を監禁したり暴行したりの描写が海外作品には多く既読感があり、内容自体も然ることながら好みではない。警察についても職権乱用が激しく、特にアルマンは盗人じゃないのかと思える始末です。 さて、本作は先入観なしで読むのが良いです。 あまりにもランキングで紹介された為、販売戦略的なものかと避けていましたが、読んでみたら面白かったので、疑り深いのは良くないと個人的に反省。 海外作品なのに、とても読みやすいのが一番印象に残りました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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絶妙な構成。狙って作っているのか、勢いで書き上げたらこうなったのか。
文章構造に味がある怪作ミステリ。 本屋の新刊コーナーで表紙と帯を読んで衝動買いした本書でしたが、現代ミステリではなく、実は1945年発表の古い作品である事に驚きます。今でも普通に楽しめます。 語り手による事件の再構成で進むストーリーは時系列がバラバラ。あの時こうだった。そう言えばもっと前はこうだったっけ。と言った具合。 違和感のある構成は叙述トリックでも仕掛けているのか?と思いたくなるのですが、読んで行くうちに、あっこれ、話が整っていないだけかも。。と感じる始末。 ですが、この構成が絶妙な混乱と錯覚を生み出して、スリラー小説がミステリになってしまっているのが面白い。 200P台でサクッと読める古典ミステリ。読後、全体像がわかると、あれもこれもと必要な設定要素である事がわかり、伏線やミスリードが狙って書いているわけではなくて、そういえば普通に書いてあったな……。ほんと普通に、、、構成が奇妙過ぎて見逃した。と、独特の文体にやられました。 話は読みやすく、舞台も小規模の山中の出来事であり、把握しやすいように地図の挿絵が含まれていて丁寧な作りです。 ストーリーや仕掛けではなく、文章に価値がある作品。 好みは人それぞれですが、他にない個性的な一品を感じる意味として手に取るのはアリでしょう。なかなか面白い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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久々に強烈なの来た!面白い。と思ったら、世間の評判がよろしくなくて温度差を感じた1冊(汗)
壊れっぷりが凄く良くて、刺激や毒のある構成が好みでした。 世の中、期待するものと内容の差が激しくてがっかりしている印象なので、どんな本なのか少しガイドします。 ネタバレを避けると要点は下記2つ。 ・超コテコテな孤島のミステリが舞台 ・事件シーンはスプラッター色が強い(グロい) あらすじにある『本格ミステリ』に期待してやってくるものを強烈な刺激で返り討ちにする作品です。 著者の本は本書が初めてなのですが、作品傾向でグロさが1つのウリでもある模様なので、そこが苦手な人は嫌な気持ちになる事でしょう。 グロいのも刺激、そして緊張感の中でミステリがあるなら好みかも。という人にはアリかもしれません。 本書で特徴的な演出の1つは『透明標本』。ネットで物を見てなんとも言えない気持ち。 骨格を染色した標本で、その神秘的というか背徳的な芸術を感じます。 その透明標本の博物館がある孤島が舞台。 見学会に集まった男女9名。 迎えのボートは明日の朝。 閉じ込められた孤島の屋敷内で、首だけ発見された殺人事件が発生する。 誰がどうやって?胴体はどこ?疑心暗鬼にかられる中、偶然メンバーの中に名探偵がいる事がわかり、事件の捜査を名探偵に"させる"。 うん。させるんです。人間臭さや人の醜い所を描きます。「名探偵解いてよ。」と人任せな流れ。後々効いてきます。 館の雰囲気も新鮮。透明標本に覆われ、室内は赤く染めれられている。 この不気味な空気感がとても読みやすく感じるので、嫌なんだけどなんか不思議な雰囲気を描くのは著者の持ち味なのかもしれません。 どういう展開になるのかはネタバレなので言えませんが、 冒頭に書いた通り、本格ミステリを期待した人をホラー色で蹴散らす狂騒っぷり。 でもちゃんと伏線があり、ミステリとして筋が通る話なので、面白く楽しめました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは好きな部類。90年代の新本格系のミステリを感じました。細かい矛盾は気にせず、閉ざされた空間で、探偵がいて、密室トリック、消失トリックなどの犯罪が行なわれて誰が犯人?という作品が好きなら当たります。この手のコテコテ作品が今の世は減ったので嬉しいです。
ゲームダンガンロンパのスピンオフ作品ですが、ダンガンロンパ自体は知らないでも問題ないです。 ただ前作を読んでないと、登場人物や犯罪者・探偵図書館などの設定が分かり辛い為、前作は読んだ方がよいです。 予め読者へ通知される本事件の主の題材は、『密室トリック』『消失トリック』『現金10億円』。 閉ざされたホテルに集められた10名にそれぞれ1億円づつ配布。 夕方にオークションが開催され、一番現金を積んだ者がその日の探偵権を獲得。 夜は各自部屋に待機しなければならず、犯人と探偵権を持つものが自由に行動できる。 犯人は夜に犯行を遂行する。探偵権を持つ者は殺されない。 デスゲーム作品のペナルティなどルールがある特殊設定、探偵権を得るためのオークションの心理戦、従来のミステリの密室・消失トリックなどなど、かなり面白い要素が豊富でした。 そして、それらがバラバラなエンタメ要素ではなく、上手く関連して事件を構成しているのが見事です。個々は見慣れていても使い方の複合技がとても巧妙です。 ゲームをしているのでより一層ですが、霧切の家庭や意外な一面を見せる素顔も魅力的でした。 ミステリ以外にも霧切&五月雨のペア探偵物語としても面白いですし、犯罪被害者救済委員会や探偵図書館の今後の展開も気になります。 続編が楽しみな作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読後の率直な感想は、バカバカしい(笑)。そして初期のメフィスト賞を思い出すキワモノ。
新しい刺激としては満足。心が広くミステリを読み慣れている人向け。万人に薦められないけど、理解ある人へは薦めてみたくなるそんな作品。だけど理解ある人が分からない(苦笑)読んだ人いますか?と悶々とする作品。 タイトルからネタ本なんだけど読んだ後はネタを突き抜けた巧妙さがうかがえます。 ミステリとコミカルが上手く合わさっており、読んでいて楽しかった。没ネタになりそうなアイディアを世に出したメフィスト賞にも拍手。新たな刺激に出会えました。 当初は、あんまり気にしていなかった本なのですが、タイトルの特殊性からネットでの話題が目に入る。ネタバレされる前に読んでおこうと思って手に取りました。何も知らずに読めて良かったです。 冒頭に読者への挑戦があり、ちゃんとミステリが読みたい!って人向けに、孤島のクローズド・サークルを用意して密室殺人事件も起きる。 ミステリの中に1発ネタを盛り込んだ奇作ですね。 読み返すと、あれもこれもとネタが巧妙で素晴らしく感じます。 ネタとミステリがちゃんと関連しているのが見事でとても楽しい作品でした。 なんとなく「かまいたちの夜」の裏シナリオのような登場人物達のコミカル+ミステリは個人的にツボです。 好みが非常に分かれると思う作品。 ネットやAmazon書評などネタバレが増えてきているので、ネタ本も楽しめる方は調べず読書が良いと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読後、ついに念願の作品を完成させたんだな……。と感慨深くなりました。
物語の面白さについては正直好みとは違うのですが、歴史に刻まれる仕掛けの1つを作品に残した点で評価です。 著者言葉にある、 『すべての文章、いや、すべての言葉が伏線になっているミステリー』 このコンセプトを実現させる為にどんな方法をどう表現して物語に組み込んだらよいのか。その1つの解答が本書です。 作者初めての方の場合は、読んでもさっぱりかもしれないので、 導入のしやすさ、わかり易さという点で『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』を手に取ると良いと思います。 私は著者の作品は『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』から入った口ですが、その作品以前である5年以上前から、幾度となく作者の言葉で、作中すべてが伏線になっているミステリーが理想でそれを作りたい。という想いを読んできました。著者の写真や、参考文献まで伏線にした病的な作品も生まれていますが、『本』である事自体が絶対的な要素。電子書籍では表現できない、本と言う作品を作るという事の想いはとても感銘を受けたものです。 本書で使われている題材と仕掛けの選び方は見事に調和されていますし、過去作の『五色沼』『不可能楽園』では仕掛けを施す為に読み辛くなってしまった点が、本書では改善され質も上がっています。 ついに完成したんだな……と、感動しました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは面白かった。斬新で知的好奇心をくすぐられました。法医昆虫学を扱ったミステリ。
科学捜査系の小説で、焼死体を解剖すると中の内臓は荒らされ、異様なウジの塊が見つかる――。 前半の導入から虫達のウネウネと気持ち悪い雰囲気を醸し出して敬遠されそうですが、この虫が何故こういう成長を遂げているのか?現場の虫の生態系に変化がないか?など、虫を基点に推理を進めていくのが斬新で、気持ち悪いよりも虫から導かれる科学捜査の流れに興味津々で楽しめました。 また、虫の気持ち悪い雰囲気を払拭するかの如く、捜査依頼された昆虫学者が底抜けに明るい性格の女性に設定されているのも良いです。 虫が大好きで生態系を楽しく解説してくれたり、おもむろに網で虫を採集しだすわと、変人ぷりも活き活きしてます。警察が、うげーっこの人は住んでる世界が違う!というやり取りがユーモア溢れて楽しめました。 TVドラマでも楽しめそうだなーと思いましたが、虫の映像がちょっとNGか...。 類似作品が思い浮かばない斬新な小説で面白かった。次作も楽しみ。 |
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横須賀米軍基地の内側と外側が舞台の本格ミステリ。
日本でいながらアメリカの法律が適用される米軍基地の特殊な舞台。 基地の内側で発見された惨殺死体と基地の外側で発見された大量の血痕の関連性の謎から始まる『基地の密室』という問題が新鮮でした。 基地の内側と外側、事件現場はどちらなのか?被害者or犯人はどうやって出入りしたのか? 密室殺人でのテーマが基地の規模で行われている面白さがあり、さらに法律の違いから、基地の内側の米軍と外側の日本警察とで情報共有の制限が生まれ、今ある手がかりで事件を推理するロジカルな面も楽しめます。 本書を読む前は、警察小説のサスペンス的な本なのかと思っていたのですが、上記の密室問題。手がかりを得るための推理考察。最後は関係者を集めての推理披露の解決編。などなど、好きな様式の本格ミステリを味わえました。 また、作品の中に組み込まれているテーマや話題など無駄なく関連していたり、手がかりの散りばめ方が綺麗で読み直すと発見もある。かなり整ってます。 雑誌のランキングからは外れている作品なのですが、見落とされて読まれていないのでは?と思う気がするぐらい、よく出来ている作品だと思います。 好き嫌い分かれそうな要素もありますが、とてもよかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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日本の高齢化社会、介護問題を改めて突きつけられ、なんとも言えない気持ちになりました。
ミステリ要素は弱め。ただ、ミステリの形式を借りた社会派小説としては一級品です。 扱われている伏線も社会的なテーマの為に存在していると感じました。 裁判にかけられた犯人の供述から始まる冒頭。 犯人が行なった犯罪は、在宅介護に苦しむ家庭を探し出し、老体を自然死に見せかけて毒殺して周った事。 殺人=罪で悪い事だという人間的な感情がありますが、介護に苦しんだ家庭にとっては地獄の日々が終わり、救われた気持ちも芽生える事から、殺人が必ず悪ではない状況が生まれている問題を読者に投げかけます。 正義の立場である検事をキリスト教徒とし、度々現れる教えの扱いが凄い。 黄金律である、 『人にしてもらいたいと思う事は何でも、あなた方も人にしなさい』 この言葉の意味を本書の介護においてみた時、介護の苦しみを終わらせてほしいという希望を叶えた犯人の行動は正しかったのか?道徳的に考えさせられます。キリスト教徒の検事の葛藤が何とも言えませんでした。 犯人、キリスト教の検事、介護会社の社員、現場の介護スタッフ…。それぞれの視点から描く高齢化社会の問題。お金が無ければ安全地帯である老人ホームの施設に入るのも難しい。また介護者達の時間、金銭的、精神的なストレスなど、今は身に覚えなくても将来自分が高齢になった時、社会や家族はどうなるのか。とても考えさせられました。 誰が犯人なのか?と言ったミステリの下地はありますが、それを考える暇がない程、この本書の掲げているテーマは深いもの。 読後将来について不安を感じる後味は辛いですが、一読の価値はある作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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2作目も満足。シリーズが楽しみになりました。
前作ファンの期待に答えるロジカルな推理が健在。前作は1本の傘。今作はモップとバケツの手がかりから真相を導き出していく思考錯誤は楽しいです。 警察が高校生に事件捜査を頼ったり、アニメオタクな探偵など、読者を選ぶ要素がありますが、私は金田一少年の事件簿系統の学園かつ本格物はとても好物なのでハマります。 11人の容疑者から犯人を特定していく流れについても、前作同様に推理の過程が丁寧。 ○○だから、数人一気に除外という荒削りな消去法はなく、1人1人丁寧に論理的に除外されていきます。 犯人が絞り込まれていく過程は読んでいて大興奮でした。 ただ正直な所、事件やトリックなど特出して印象に残るものではありませんでした。また、分単位で事件を検証する所に、そんなに正確な時間をみんな意識して行動しないよなぁ、と感じたり、本当にこれが唯一の解なのか?と思えたりとするのですが、 そんな細かい事は気にせず、なんか推理している様子が単純に楽しいと思える作品なのが好みです。 2作目だから水車館をもじった水族館についても、言葉だけではなく、ちゃんと水族館ならではの事件・動機であり、とても考えられていて面白かったです。 また、製本の見返しや、しおりひもも水族館ぽく青に染めてあり、色々とこだわりを感じました。 次回作も楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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過去作より、『花窗玻璃』での読者に与える文学表現や『ジークフリートの剣』を読んだ時の印象を融合して継承したような作品でした。作りが巧いです。
物語は将来を見出せない学生が単位取得を目的に高齢者向けのお弁当配達のボランティアを始め、そこで知り合ったおばあちゃんの過去に触れていく。 介護問題、戦争話など、高齢者と若者の関わりも描いており、要所要所で社会への訴えを感じたりしていましたが、雰囲気はユーモアが多く楽しいのが良かったです。 この方の本は、小説の作品として意味があるのが素晴らしく感動します。 映画を見てストーリーが良かった。という感想だけなら、それは映画じゃなくてもよいと思いますが、 この本は本だから受ける感じ方を操作されていて、文章を紡ぐ作家の凄さを感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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マンションを軸に、そこに住む者、関わる者の交差に謎を散りばめているのが面白いです。
上下左右の隣人がどんな人か分からない。人との関わり方が減った現代のマンション住民の模様を巧みに活用しています。 例えば、 ・上の階から聞こえてくる子供の騒音に苦情を申し出た所、幼児虐待疑惑の母親に遭遇。『子供を静かにさせる』と言ったあと、確かに足音はなくなった。騒音の悩みはなくなったが、子供はあれからどうなってしまったのか気が気でない・・・。 ・高齢のおばあちゃんを最近見かけない。部屋にいるのか。そういえば最近家から変な匂いがする気がする・・・。 と言ったマンション住民間で起きる疑惑の物語。 隣人との干渉、騒音問題、年金不正受給、高齢化社会、etc...。 社会的なテーマを持ちつつ、それでいて結末は予想外な方向へ展開するのでミステリとして面白いです。 著者の持ち味である、話の隠す所、見せる所の作り方がうまい。何が起きているのか気になって読めてしまいます。 さらに雰囲気もライトでテーマが圧し掛からず、読みやすかったのが良かったです。 こんなにも問題を抱えているマンションはどうなのよ。と言うのは気にせず、喜劇を見る感じて楽しみました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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