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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数221件
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特殊な設定をきちんと活用した、斬新な本格ミステリを堪能できました。
あらすじにて予め提示されている通り、"異形の存在"による無慈悲な殺戮が発生する舞台での本格ミステリです。 読者の期待するシリーズの特性をちゃんと踏まえているのは好感。特殊な状況の面白さと、剣崎比留子と葉村譲の関係など期待する要素がちゃんと楽しめました。 ミステリとしてはとても面白かったのですが、難点としては内容の把握が困難でした。 1作目と反して人物が分り辛い。そして館が複雑な構造をしているので、誰が何処にいて今どんな状況なのかが分り辛い読書でした。登場人物一覧と館の見取り図を何度も見直しました。その為、没入感がとても薄れたのが残念でした。事件の状況やミステリ要素もかなり込み入っています。正直な気持ちとして、本書は推理したり登場人物と一緒に悩んだりドキドキしたりという感覚が生まれ辛く、監視カメラで話を傍観しているような読書感でした。何か複雑で大変な事をしているなという感覚で終わってしまった気分です。 誤解なく言うと、ちゃんと特殊な設定を用いたミステリとして素晴らしいです。ただ把握しながら読書できる人は多くはないだろうと感じた次第です。 映像で補完できる要素が多い為、もしかしたら映像化を狙った構成とも感じました。時期的に『ネメシスI』がドラマ化向けの描き方だったので、そのような文章になったのかもしれないかなと勝手に感じました。 ちょっと小言が多くなってしまいましたが、それだけ期待して楽しみなシリーズである事は変わらず。次回作も楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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書店で沢山並んでおり、表紙と帯に惹き付けられて購入。装丁のワクワク感が凄い。これだけ装丁に力を入れているということはそれだけ自信があるのだろうと思った次第。
読んだ結果、ミステリ要素が豊富な作品で面白かったです。 表紙の雰囲気から館もののコテコテ堅物の本格ミステリかと思いきや、中身はライト寄りのミステリ。本格物を期待すると中身はアニメ調の名前やセリフ運びなので合わない人が出てくるかもと思いました。それが気にならなければPRに偽りなく作中作を用いた多重解決ものの作品が楽しめます。作中作を用いた多重解決ものの構造や"最後の事件"にちゃんと意味があり、真相および読後感が良い作品でした。近年のミステリで再流行なのか、名探偵の存在理由も扱われています。本書における名探偵や"名探偵"を生み出すために必要な怪盗王の役割など、扱うテーマをいろいろ感じた読書でした。 著者は城平京作品がとても好きなのだろうと感じる内容になっており、随所にオマージュを感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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普段読まない時代小説。明治時代×デスゲームの宣伝に釣られて購入。
結果はとても面白い作品でした。 ただ、本書全3巻のシリーズものでした。本作だけでは完結しません。 そういうのは分かりやすく明記してほしかった。上中下巻なら手に取っていたか判断が悩む所なので版元としてはそれも戦略なのかもしれません。 物語は明治11年。廃刀令により帯刀しなくなった時期。 争いは銃や砲弾になり、武士だった者達の生き方が変革される時代。そこに「武技に優れるものは大金を得られる機会がある」という文書が出回り、身に覚えのあるものが集まった所、デスゲームに巻き込まれるという流れ。 突然のゲーム参加により逃げ出す者、追う者、共闘する者といったパニック感はとてもよかったです。主人公が強キャラなのですが、過去がどんな人物だったのか徐々に明かになっていく展開も面白い。その時代の武士たちや藩や警察の背景なども合わさり、エンタメの読み物としてとても楽しい読書でした。 本書は1巻にあたるという事で、舞台説明や巻き込まれ系のパニック感、登場人物の紹介を主に感じました。デスゲームものとして頭脳戦に行くのか、各キャラの武技(能力)バトルものになるのかは未定な状況。今後も楽しみな作品ですが完結してから続きを読みたいと思います。 余談ですが『無限の住人』『るろうに剣心』『甲賀忍法帖』ここらへんも好きなので、そのイメージを含めて読んでました。最後のくるくる回す強敵表現好き。キャラクター性もあるので漫画やアニメにもなりそうです。オススメですがまだ未完結なのでご注意。 |
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出版禁止シリーズ3作目。シリーズではありますが、それぞれ単独の本なのでどれから読んでも大丈夫。
取材記事となる ルポルタージュを用いたミステリとして、前作同様に仕掛けを堪能できました。 本シリーズの特色としては、深読み・考察を楽しむミステリです。 全ての謎の解答が明らかになっておらず、最後まで読んだ手がかりを元に何度か読んで真実を自分で見つけるのが好きな人向けの作品となります。 個人的な完成度の好みとしては2作目が素晴らしい出来だったので本作はちょっと霞んでしまいますが、それでも一定の水準を超えた作品ではあるので、終盤読者は唖然とするでしょう。 呪いや民俗学を取り扱い、非現実的な恐怖、ホラーの雰囲気は抜群。 終盤にはプチ解説がある事により、本作で何が起きているかは何となく分かりやすくなっています。ただ個人的にはその解説なしで謎のまま終わった方がSNSなどで真相当ての考察で盛り上がっただろうなと思う次第。 前作との比較になってしまいますが、前作は隠された真実を読者自身が気づく事により、偏向報道など社会的なメッセージや注意喚起の意味付けに気づかされるテーマを感じましたが、本作の隠された真実には特にメッセージ性があるわけではなく、単に真相を書いていない謎解き本に感じてしまった所が個人的に物足りなかったです。 実はもっと気づいていない謎があるのかもしれませんが。。。と思わせる作品になっているのが良いです。なんだかんだで楽しんだ読書でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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女性の秘めたる思いを描くのが巧い著者。そしてライトなミステリの手法で物事の繋がりが見えてくるのも良い。
本書はタイトルが示す通り、幸せがテーマ。 主人公の女性は夫の転勤に合わせて、仕事を辞め、知り合いのいない新しい土地で家事に勤しむ毎日。子供もいない為、夫の帰りが遅ければ誰とも話さない日がある。何もない日常。でも平和な日常。 幸せを表現する為には逆の表現となる不幸や悩みを描くパターンがある。本書に登場するキャラクター達は各々の心の隙間を抱えており、それに対しての自身の考え方、他者からの見え方が巧く表現されている。他人に対して『羨ましい』や『かわいそう』という要素は、本人にとっては実は違う見え方が存在するかもしれない。そういう心情が描かれた作品でした。 読者の好みとして、登場するキャラクターの闇の部分に対して共感するか嫌悪するかは人それぞれだと思し、それがこの本に対する好みに直結するかもしれない。実際、個人的には主人公の女性の思考回路の波長に合わない事が多かったです。ただ後半につれて何故そういう考えになっているのか理解できる一面も出てくる為、他人に対しての印象と実際との違いを考えさせられた次第。自身が考える『幸せ』と『不幸』は、他人から見たら『不幸』と『幸せ』に映っているかもしれない。結局はそれらをどう受け止めて考えるかは自分次第の問題だったりする。 青い鳥のように身近にあるかもしれない幸せの探し方を現代的な女性視点で描かれた作品。 各々の考えや理解が深まり、幸せに向けて帰結する展開はよく、読後感も良かったです。 |
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3つの事件の短編集。
本作に関してはキャラものではなく、本格ミステリ寄りの推理と謎解きが楽しめる作品集でした。 著者の作品はとても読み易く言葉遊びも楽しいので気軽にサクサク読めます。 収録作は以下3編。 1話目『掟上今日子のアリバイ証言』 2話目『掟上今日子の密室講義』 3話目『掟上今日子の暗号表』 1話目は倒叙ミステリ。 何かの計画的犯行を進行中、アリバイを作る為に喫茶店で印象付けをした相手が記憶を1日しか保持できない掟上今日子だったというもの。犯人視点の倒叙とアリバイにならなかったアリバイ工作から導きだされた推理と結末は中々見事。シンプルに面白い物語でした。 2話目は洋服屋の試着室が現場となった密室もの。これは面白かったです。 洋服屋の特性。試着室という狭い箱の中。お客さんが行き来する衆人環視の中で、どのようになぜ犯行が行われたのか?掟上今日子さん流の密室講義を交えて推理する本格ミステリでした。"密室"というちょっと古臭いテーマを現代的な要素で扱われているのが好感。短編ボリュームに合った仕掛けであり、とても面白い物語でした。 3話目は倒叙+ダイイング・メッセージ+暗号もの。 これは好みではありませんでした。 犯行後、被害者が最後の力を振り絞って描いたダイイング・メッセージは意味不明の文章だった。これを暗号と見立てて解く話。ただこの話の本筋は別の所にあるのが捻くれていて面白い。 1,2作目の流れからキャラ主体の話かと思いきや、しっかり謎解きミステリだったので嬉しい誤算でした。 サクッとミステリを味わいたい時に触れるには良いシリーズです。 |
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シリーズ3作目。
人狼ルールは、村人2名。占い師1名。狼2名。今回追加された役職は誰が狼か知る事ができる占い師。 昼は無人の街にて指定時間までに目的地にたどり着かなければいけない『集合ゲーム』。夜は今まで通り誰が狼かを投票する『人狼ゲーム』。この2つを合わせたデスゲームが本作の内容となります。 大人が読む分にはちょっと物足りなくて緊迫感は薄いですが、レーベル通りの児童書ミステリとしてはとても良いバランス作品。小学生が読者ターゲットとしてみれば、何をしてもいい無人の街で拾い食いしたり、火を扱ったりする事は、ちょっとイケない事するドキドキ感がありますし、他にはコンパスを手作りしたりと、年齢層に合ったサバイバル展開。子供に読ませても問題ないサバイバル&デスゲーム内容なのが良いです。さらにミステリのように意外性のある仕掛けをいれてくるシリーズで侮れません。疑心暗鬼の攪乱戦と●●ものの仕掛けが見事に決まり、本作も楽しめました。 少しだけ難を言うとサブタイトル『絶望街区 生存率1%』が中身と合っていないと思いました。まったく絶望感はありませんし、生存率を問われる感覚もないです。むしろ無人となった街で小学生の皆がのびのびと冒険を楽しんでいるようにも感じました。 次回作もどんな仕掛けを取り入れてくるのか楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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2作目も読んでこのシリーズはちゃんとしたミステリの部類だと感じました。
児童ミステリの部類ですが、しっかりとしたデスゲームものであり、かつ知能を使った謎解き&犯人(狼)当てのストーリー。 シリーズものなので1作目から読書推奨。 前回の人狼構成は狼vs村人でしたが、本作は騎士が加わります。"人狼"自体を知らなくてもどういう役回りなのかちゃんと1作目から順番に説明されている丁寧な作り。ルールをしっかり読者に把握させたうえでの犯人(狼)当ての事件模様は面白いです。騎士という役回りから誰を守るか、皆どういう疑心暗鬼になるか、登場人物達の思考回路に違和感なく読めるのが意外と素晴らしかったです。 終盤のトリック的な仕掛けについてはもう少し説明があればと思いました。少し納得し辛い内容なのが残念。とはいえ、そういう細かい所が気になるぐらい他は十分に面白いので次巻も楽しみなシリーズです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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カッコいい女性主人公ものとして面白く読めました。
冒頭からエリート弁護士事務所所属の強い女性の思考が全面に出ており、キャラの印象付けとしては十分。 過去に3ヵ月だけ付き合った元彼の奇妙な遺産相続の遺言状から物語は展開します。 『このミステリーがすごい!』大賞作品ではありますが、ミステリというより弁護士のお仕事小説といいますか、 企業を舞台にしたエンターテインメント小説の印象でした。 第一章は主人公のキャラ付け、第二章では弁護士ならではの企業を相手にした戦い方。ここまでは抜群に惹きこまれました。それ以降ももちろん面白い物語であり、事件模様や展開、真相に至るまで綺麗にまとまっており楽しめます。 ミステリっぽくなくお仕事小説に感じるのは、読者の目線と主人公の目線が重なり辛く感じる為です。主人公が強すぎてこの事件の物語を俯瞰して眺めているような、主人公を追っ掛けるような読者目線であり、事件よりも凄い人の背中を見ている読書感。一緒に謎を考える余地がありません。いい意味では力強く勢いがある主人公。読者はそうだったのか!と驚くのではなく、事件の結末を教わったような気分。遺言状の経緯やそれぞれの舞台裏の真相はミステリとして内容十分なので、明かされていく演出や展開が欲しかった所。さらによくなりそうな勿体ない印象でした。 文章は読み易く、一見固くなりそうな弁護士や企業話もコミカルで楽しめました。主人公の魅力が分かりやすいので俳優を引き立てるドラマ向きかも。 続巻があれば読みたいと思います。 |
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タイトルから感じる印象と読後は違うものでしたが、犯罪小説の1つとして巧く整ったと感じる作品で楽しめました。
物語は平凡な家庭が凶悪犯罪に巻き込まれる内容で、生き残った男性被害者の視点と犯罪を行なった加害者の視点が交互に描かれます。著者作品は凶悪犯罪者の視点で暴力やエロの描写が持ち味ですが、本書はさらに被害者の視点を取り入れて復讐という憎悪の立ち上がりを加えました。 ジャンルはホラーやサイコもの。謎解きやミステリを求める人には不向き。ただ毒を食らうと言いますか、犯罪者視点の少し刺激が強いものが読みたくなる時は著者の作品を手に取る次第。 犯罪に巻き込まれる理不尽さ。犯罪を行なう異常心理。世の中どういう繋がりで巻き込まれるか分かりません。些細な1つの切っ掛けが描かれた本作。現実的に起こり得そうなバランスと結末の虚無感は見事でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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あの世の喫茶店が舞台のライトミステリ。
死んだ魂が生まれ変わる前に訪れる来世喫茶店。大事な思い出、最後に会いたい人、生まれ変わる前のちょっとした相談、イケメン店主のマスターがいれる珈琲を飲みながら当時を振り返るという流れ。お客様の話を聞いていると、ふとした疑問や勘違いが発覚し、実はこういう事だったんじゃないかと謎が解き明かされる構成。バー/喫茶店もののミステリです。 大きな驚きや仕掛けは無いですが、出版レーベルのターゲットを考えると適した雰囲気や内容ですし、話も読みやすいので楽しめました。最後の章に至ってはそれまでのエピソードの繋がりを感じ、丁寧に役割や小道具を考えられている作りだったと感じます。女子小中高生でライトミステリをお探しの方にはオススメ。 一応の気になる読後感として、結末はハッピーエンド模様で終わってますが、主人公と家族の今後を考えると素直に喜べないのが本音でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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人工知能による死者の再現を軸に、何故彼女は自殺したのか?という謎を追いかける物語。
横溝正史ミステリ大賞受賞を受賞した本書。作品雰囲気は"横溝正史"から連想する古くアナログ的なミステリとは違い、人工知能を始めとしたプログラム要素となる機械学習や音声合成のワードもでる近未来風な作品。過去の受賞作品群と比べても少し毛色が違う為、受賞作品の審査時では新しく感じたのではないかと思う内容でした。 本書の主人公はかなりクセがあり読者に嫌悪感を与えやすい為、その感覚が本書の物語自体の評価に繋がりそうな危険を孕んでいると感じました。冒頭から主人公の特性付けとして紹介される内容は、勉強もスポーツも恋愛も何でも予想通りで人生が退屈であり自分の真の性格を表に出さないように仮面を被って生きている。みたいな流れでとても痛々しい。ただその痛々しさも最後まで貫いていけば一本筋で通る気がしますが、死者の水科晴に酔狂していく辺りから心境の変化と前向きに感じる良さもあれば、弱弱しくぶれていくと感じる面もある為に魅力を感じずでした。1番がっかりした所は頭の良い人工知能のエンジニアという設定で尖がっていたのに、写真のExif情報を知らないエピソードが出た時。をい!と思わずツッコミたくなってしまいました。一般人も知られてますし、エンジニアでは基礎知識であり人工知能学習ならそもそもExifも学習パラメータで使うでしょ。という感じでして所々設定が浅く感じてしまうのが残念に思いました。 主人公の癖が強いだけで物語の展開は面白く読めました。 水科晴の自殺の謎、それを調査していく流れ、人工知能開発の現場、調査していく内に不穏な流れとなる緊迫感、、、etc. 物語の起伏要素が多く飽きずに最後まで読めました。文章も読みやすかったです。 結末や真相についてはあまり納得できるものでなく、なんとなく当事者達で収束してしまった感が強くて好みに合わなかったです。横溝正史ミステリ大賞作品というのも違う気がしますが1つの作品としては面白く読めたので、あまりミステリを気にせず"人工知能で死者を再現する者達の物語"として捉えると、とてもよいドラマかと思いました。 |
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著者作品はSF寄りの記憶をテーマにした作品がいくつかありますが本書はその1つ。
・前向性健忘により記憶が保てない主人公 ・触れた相手の記憶を操作できる殺人鬼 この2人の衝突の物語。 まず殺人鬼の行動や言動が胸糞過ぎて気分が悪くなりました。暴力から殺し、洗脳、日常の人々に対しての強烈な悪です。白昼堂々犯罪を行っても周りにいる目撃者の記憶を改ざんし自由に活動する倫理破壊。気分が悪くなりますが、ホラー文学として気持ち悪くなる文章や物語が巧いなという感想も得ました。苦手な人は苦手な話が多いです。 対して、記憶が保てない主人公。目覚めた所から物語は始まり、枕元に置かれたノートには自分の記憶障害と、"殺人鬼と戦っている"というメモが残されている。状況の混乱や疑心暗鬼、一方、慎重な言動や推測など頭を働かせる様が面白く読めました。 殺人鬼にどう挑むのか。悪との遭遇のサスペンスとして、不安な気持ちを抱えたまま最後まで一気に読めた面白い作品でした。 同じ主人公・田村二吉が登場する未読の別作品がある為、いつか追って読もうと思いました。 |
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ほんわか日常の謎のライトミステリ。
小学生から読んでも大丈夫な内容で、ゆるふわ系。殺伐さ皆無。 物語は、パン屋の女性に一目ぼれした大学生の主人公が、彼女と話す切っ掛け作りの為にパン屋に通い、身近に起きた謎についてお話するという流れです。 日常の謎を扱いますが、謎の程度はとても小さな事。本書の主体は男女の物語+ほんわか雰囲気。そこにちょっとだけ謎が加わったような話。男子学生の良い意味でのバカ騒ぎな雰囲気、漫才の様にボケとツッコミがあるユーモアな雰囲気、初々しい学生の恋愛模様を微笑ましく感じる読書でした。 ハリネズミは二人の様子を眺めるキューピットのような存在で、雰囲気を和ませる良い味出してます。 表紙にて雰囲気が出ている通り、小中学生から読ませられるミステリとしてよい作品だと思いました。 |
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表題作を含む4つの短編集。
・透明人間の倒叙ものである『透明人間は密室に潜む』 ・アイドルオタク達の裁判員制度『六人の熱狂する日本人』 ・聴覚が優れた特殊能力を用いた犯人当て『盗聴された殺人』 ・船上の脱出ゲーム『第13号客室からの脱出』 特に2話目はアイドルオタクならではの気づきを用いた推理劇が新鮮でした。 3話目の探偵コンビとなる上司と部下の関係も良くてシリーズで読みたい程。 作品の雰囲気については、過去に『紅蓮館の殺人』を読んでいますが、その印象とは違いキャラクター達が元気で勢いがあるように感じました。言い換えると筆が乗っているというか読んでいて面白い。本書も手に取るまで表紙の雰囲気から重そうだなと感じていたのですが、読んでみたらサクサクと楽しい読書でした。著者からミステリが好きなんだなという気持ちがとても感じる作品で楽しかったです。 |
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シリーズ2作目ですが、本書単体で楽しめる作品。
前作では物足りなかった著者成分を十分に感じられた作品でした。 前作同様に物語は2つのパートが交互に描かれます。 1つ目は、廃屋で監禁された男女6名の惨殺シーン含む事件模様。 2つ目は、事件後に訪れた探偵パートの調査。 著者の持ち味である惨殺、微グロ、狂人の描写が活かされている内容。それ系が苦手な方には好まれない内容です。 B級スプラッター映画の中に探偵やミステリ要素を混ぜ込んだ内容であり、それが過激的な要素なだけでなく、真相がこの世界だから納得できる内容になっているのが見事。個人的にプラス点でした。 一方、純粋なミステリを好む方、グロが苦手な方には非常に評判が悪くなる作品です。良い意味でのB級・インディーズに属する少し尖がった所に魅力を感じる方向けの作品。個人的にこの著者の持ち味と本格ミステリっぽさを混ぜ込んだ作風は好みで、今後の作品も楽しみにする次第。 ちなみに帯の推薦が綾辻行人ですが、館ではなく『殺人鬼』の綾辻行人が推薦、と言えば内容がなんとなく伝わる事でしょうw ▼以下、ネタバレ感想 |
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気軽に楽しめた群像劇でした。
同著者の『悪夢の観覧車』も群像劇でしたが、このシリーズはそういう系統でしょうか?好みなので他の作品も読んでみたくなりました。 あらすじは、女子高生が交通事故に遭遇し、轢かれて瀕死のサンタクロースから身代金を託される所から始まる。 誘拐犯からの指示、意図しないアクシデント、主人公と読者は同じ目線であり、何が起きているか翻弄される物語は先が気になる面白さでした。章を変える毎に視点が変わり徐々に全貌が分る構成も面白い。コンパクトな群像劇ながらミステリ仕掛けの真相もあり気軽に楽しむのに良い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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シリーズ6作目。最終巻が出たためシリーズ読書再開。3~5作目にて物語が一段落した為、本書は最終章へ向けて新たな気持ちで読書。
個人的にはダンガンロンパおよび本書のシリーズ作品として楽しめた内容でした。 ただ本書の評判は悪いですね。その理由が明らかなポイントが2つあります。1つは単体作品ではボツネタになりそうな小ネタトリック集なミステリである事。2つ目は期待させておいて何もないというガッカリさせる要素がある事。 この2つは読書した人はわかります。で、この点が好みの別れ所でしょう。 ただこの2点は『ダンガンロンパだしなぁ。』で納得しました。ダンガンロンパのゲームやアニメの絶望に比べれば、それ系ですね。 本書をただのミステリとして作っても意味がない。シリーズ作品のダンガンロンパとして何ができるか。みたいな事を考えるとアリな気がしてくるわけです。 事前にトリックのヒントが明かされる『黒の挑戦』という存在自体を逆手にとっての探偵同士の攻防。トリプルゼロクラスの凄さ。形式島の2話目は期待させておいてアレな絶望的な落胆(苦笑)。残酷性。狙撃戦としてテーマをしっかり貫いた構成。良い点をみれば3~5作目の落胆とは違って楽しめた作品でした。最終巻まで続けて読みます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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なんというか、お手本のような綺麗なミステリ。
アガサクリスティのような雰囲気・サスペンスの展開。コナンドイルのワトソン&シャーロックホームズのコンビ模様。ミステリの古典作品を現代の世界観で楽しめた感覚でした。残酷な描写、心理的不快感もありません。万人向けです。 物語は自分の葬儀の手配をした当日に殺された資産家の事件から始まります。非公式で警察から依頼を受けている元刑事のホーソンと、そのホーソンから事件の模様を小説にしてほしいと依頼を受けた作家アンソニーを主人公として進みます。 正直な所、事件に奇抜さや惹き込まれるような特徴的な要素はありません。殺人事件が発生して、何が起きたのか?誰が犯人か?を捜査していく流れを作家の視点から綴られていく展開です。事件模様は地味なのですが、この作家視点は面白かったです。ホーソン主体で進む捜査に関わる心境。困惑する作者の頭の中。世の中や仕事の話。色々な思考が楽しめます。そもそも著者自身がTVや映画脚本などそれなりに実績がある方なので、自身の史実を踏まえた経験がリアルで面白いのです。 徐々に手がかりが得られるサスペンス感と作家の思考で、後半までは惹き込まれた読書でした。が、残り100ページの20章ぐらいからは駆け足で事件が収束してしまった印象でした。手がかりや真相も一気に溢れて解決してしまい、真相もあまり驚きがないものでした。なので、それまでどうなるのだろう?と気持ちがワクワクして期待値が上がっていただけに、なんだかスッキリしない読後感でした。 視点を変えれば、映像脚本として質が高いです。 手がかりを小出しにして視聴者を繋ぎ止めたり、作家主人公に同調できたり、映像に不快感がでない事件など。奇抜さはないが敵を作らない万人向け。その方向性だと感じました。翻訳もよく文章も読みやすかったです。 |
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日本昔話を題材としたミステリ。
日本昔話の内容について新解釈を述べるようなものではなく、設定・小道具を用いた作り。 例えば、最初の物語は『一寸法師』が扱われます。小さな侍や、人を大きくしたり小さくする『打出の小づち』がある世界で殺人があったら?という作りです。 SFやファンタジーの特殊設定ミステリは世の中に沢山ありますが、本書の巧い所は特殊な設定を読者に説明する事無く認識させられる事。『一寸法師』『花咲か爺』『鶴の恩返し』『浦島太郎』『桃太郎』、どんな物語か説明せずとも読者はある程度の予備知識がある為です。さらに内容を伝えやすいので商業的にも宣伝し易いですね。中々巧いです。 さて、予備知識もあり物語を認識している中で、ミステリとしてどうだったかと言うと正直な気持ちは大きな刺激が得られなかった印象。ベースの昔話は認識出来ているのですが、そこから変化させた本書の物語が分り辛く感じました。『花咲か爺』『鶴の恩返し』に至っては昔話要素が雰囲気だけ活用されていて必然性はなく感じます。短編集として作品を揃えたような印象。ミステリとして考えなければ『鶴の恩返し』の構造は面白かったです。 『浦島太郎』についてはこの世界を活用したミステリとして見事でした。必然性もあり、これが一番良かったと思いました。 『桃太郎』については、鬼ヶ島での連続殺人CCもので、誰が犯人かのドキドキ感と真相の面白さは中々でした。難点は鬼の名前が把握し辛くて誰が誰だか分り辛い。鬼太(赤鬼)、鬼菊(桃色鬼)とかイメージし辛い。いっそ、赤鬼、青鬼と言った色だけで良かったのでは。 表紙とタイトルがいいですね。売りやすそうです。 |
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