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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数126件
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デス・ゲームものは多種多様に昔から存在していますが、本作は現代風に世に出した作品。という印象を強く受けます。
それぞれ固有の能力を持つ、16人の魔法少女が生き残りをかけて、ルールに則した戦略を立てたり殺し合いを行う娯楽作品です。 本作を読むにあたって類似の作品が思い浮かぶ事だと思います。 例えば、『バトル・ロワイヤル』や『インシテミル』では、それぞれの異なる道具を得られ、生き残りをかける。山田風太郎の『忍法帖』なら忍術。少年漫画では多いですが、能力バトルものは、時代に合わせたエンタメ作品として世にでてます。 本作は2011年度のアニメ、魔法少女まどか☆マギカの影響も多分に感じましたが、それは時代に合わせてアニメ・ライトノベル読者層に買われる事を狙った商業本としてアリだと思います。 ネタばれではない話で。 変身したら魔法少女ですが、変身前は普通の子供だったり、男だったというアバターのゲーム要素や、この手のデス・ゲームをライトノベルに落とし込んだ商品としては、売れる客層を考えらている、よくできた作品だと思いました。16人のバトルに対して300ページ台のコンパクトな作品にまとまっているのも読みやすくて良かったです。 登場人物紹介で、読者に対してだけ各人の能力が明かされている試みが面白いと思いました。 事前に把握できているので、能力の混乱や置いてけぼり感はまったくなく、能力の相性バトルが楽しめます。最後まで誰が生き残るだろう?というパズル小説のような楽しみがありました。 欲を言うと、ミステリ読みなので、その視点で考えると、意外な展開や驚きの仕掛けが無かったのが物足りなかったです。魔法やアバターを活用した、本作ならではの仕掛けが欲しかった次第であります。 適当発言ですが、実は敵だと思っていた相手の本体が仲の良い友人や兄弟だったり、複アカで2人の魔法少女が同一人物だったり、とか。。そんな感じの、デスゲーム以外に、何かしら本作の設定だからこそできる驚きの真相が欲しかったと思いました。 そういう本ではないのは承知ですが、そんな事を思った次第です。 単純な萌え娯楽小説かと思いきや、意外とダーク。みんな一人ぼっちで何か心に抱えている様子など世界感に合っていて良かったです。 |
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今年の作品なのに読んだ気持ちは昔の古典作品を彷彿させます。
探偵学校の同窓会として集められた雪の山荘にて起きる連続殺人。クローズドサークルもの。 山荘の見取り図やメンバーの名前を見ながら状況を把握したりと、なんだか懐かしい気持ちで読みました。 なんというか、ド定番路線で、これといった個性を感じられず刺激がなかったのが残念。 この手の本格物は好みなのですが、古典以降いろいろなバリエーションが生まれた現代において、あまりにも直球だと物足りなくなった個人的な心情も感じました。 この本の立ち位置が難しい所で、ミステリを読み始めの人で、この手の本が読みたい場合は、既に存在する有名どころを先に読むでしょうし、ミステリを読み慣れた方だと可もなく不可もなく無難に終わってしまう気がしました。 そんな事を考えると、作者の本格が好きなんだろうな。という気持ちを強く感じ、自分で作品を作ってみた。と言う所に落ち着きました。 デビュー作との事で、この路線でまた2作目が出たら、なんだかんだでまた読むと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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脳死の病所や月明かりの夜のみに話せる死者の声、タイトルの水、と言った単語のインスピレーションが影響して物語は幻想的で不思議な読書でした。
ミステリとして見ると特出した好みがなかったのですが、文学的には読書中に感じる空気感が良かったのと、重いテーマなのに読後は悪い気持ちにならないのが良かったです。 本書はオスカー・ワイルド『幸福な王子』の体の一部を他人に与える様を、臓器提供として現代版の物語を作り上げている所が見事です。有名な童話なだけに、使用されているモチーフに気付きやすい点が読みやさに繋がりました。 序盤の暴走族の模様は正直、嫌な気分にさせられたのですが、ツバメの代用となる臓器を運ぶ為に警察の検問を掻い潜って滑走するバイクを演出して、アクション要素で物語の中に起伏を作る、必要な設定と感じて読後は個人的に納得しました。 |
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ハネムーン帰宅の飛行機内から夫が行方不明になってしまった。
仕方なしに帰宅して待つが夫の持ち物が消えている。警察に相談するも、虚言ではないかと疑われてしまう。 タイトルにある『存在しなかった男』と、夫がいなくなる導入は謎や葛藤が交差して面白いです。 実際問題、航空会社等で調べれば、席からいなくなったりする状況など調べてもらえそうだと想像しますが、 時系列のテンポもスピーディーなので、調査する余裕もなく焦る、主人公の奈々の行動がリアルに感じました。 ここからどんな事件への展望を遂げるかと期待したのですが、中盤からは社会派ミステリへ様変わりし、メッセージを帯びたものを読まされた印象です。 小説内でテーマを掲げそれを盛り込んだストーリーは好感触なのですが、訴え方が卑屈過ぎて、自業自得に思えてしまい共感できなくなってしまったのが個人的に好みに合わずでした。 初めて読んだ作家さんでしたが、社会的テーマ+ミステリを作る方なのですね。読みやすいので他の本も気になりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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いやはや。久々に頭使って読みました。かなり重厚です。
久々の翻訳物を読んだ為か名前や人物の把握に苦労しました。 中盤までは登場人物ページをいったりきたりしていました。 ピア警部に至っては、最初勝手に"警部"だからと、男の印象で読み進めてしまっていて、 女性警部と把握した時は、日本の警察小説で女性の階級が高いものって少ないな。と、国の違いを感じていました。 著者に関しても男性作家だと思っていたのですが、 読書後に著者を調べたら女性作家だった事に驚き、 それで、女性のキャラが生き生きしていたのかと合点。 などなど、名前に然り、ドイツの事をまったくもって把握していない自分を改めていました。 そんな自分に対して、本書がドイツのご当地物といいますか、情景・歴史がよく描かれているのでかなり学ばされた本でした。ミステリを通して他国を感じられるのは良いです。 かなり緻密な構成でストーリー展開は良い意味で混乱。 全容が分かる後半は、もうなんか凄い事になってるな。と感じるしかなかったです。 オリヴァー とピアの関係も素敵で好み。人物把握が慣れた所で、他のシリーズを読もうと思いました。 個人的には本書はシリーズの雰囲気・下地を把握する魅力的な体験版と言った感じでした。 |
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TVで話題の人気霊媒師の仕組みは、裏で情報を収集する調査チームによるものだった。
この調査チームの人々を視点に依頼者の悩みや素性を調べるうちに意外な真実を発見していく短編集。 霊媒師として、人々を嘘や詐欺で騙してはいるものの、 依頼主達の悩みを解消する事で家族や人間関係に暖かさが宿り、 結果として幸せになる様子は気持ちがよいものでした。 謎や推理や意外な展開は見られなず、淡々と進みますが、 手軽に読む分には楽しめました。 |
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終盤の真相の落とし所はとても気持ち良かったです。
ただ、作中のアニメキャラやそのネタ色が強すぎて意味が分からないのと、 過去作の「アムリタ」を読んでいる人への要素もあるので、 本作単品としてはちょっと辛い。 仕掛けを味わうなら「アムリタ」は必読。 未読の場合は本作の友達のテーマが楽しみ所と言った印象です。 学ぶ為に学校へ行く必要がないと述べる小学生の天才数学者が、 学校で経験する友達とはなんなのか?に興味を持ち学校へ通うようになる。 人をパラメータ化して解釈したり哲学チックに持論を述べる様は、 著者の描く天才の不気味さが、かもし出ていて面白い。 不安定な展開ながらも終盤の力技のようなまとめ方は好みが分かれる所。 著者の作品傾向を踏まえて読んでいるので、そんなに悪くはないと思う次第でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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"探偵"という単語がでてきますが、いわゆる謎とき本ではなくて、
その探偵の奇特さの設定を生かして世のニートや若者の代弁を描いた話でした。 キャラクターが魅力的で、クスっとくるセリフ回しなど明るくてよいですが、 物語を占める根底が結構重いテーマでして、それの反動表現とも感じました。 普段と違った読書ができたのでこれはこれで良かったです。 哀愁漂い、しんみりしました。 |
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囁きシリーズや館シリーズで感じていた
著者の雰囲気を十分に堪能できた作品でした。 ただ、いろんなランキングなどに取り上げられた事が 私には余計な期待を持ってしまい、本格物ではなかった印象が、 物足りなさを感じてしまいました。 そんな事を考えた時に、ふと十角館の当時の事を思い出しました。 私は十角館でミステリの小説にハマった口ですが、 その頃、身の回りにいた私よりも年配で乱歩や横溝、 黄金期の海外ミステリを多く読まれていた読者の方が 十角館をあまり好んでいなかった状況がありました。 この時の感覚がそのまま10年単位でスライドしたんだと思いました。 今の若い世代がどういう物が好みかを研究把握され、 それらの事を巧くミステリに取り入れ昇華している。 そんな事を感じました。 アニメやコミックなど複数のメディア展開など、 これを機にミステリが好きな世代が増えればよいなと思う所と、 デビューから20年経った状況で同じ事をやってのける著者の偉大さを感じた気がしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ネット世界で知り合った面々が、役を演じながら架空遊戯を行うアイディアが良いです。
人物も匿名。それぞれの発言も本心の言葉なのか、役を演じているセリフなのか分からない。 この先どんな展開になるのか読めない魅力があります。 また、見慣れた古典的なミステリを感じさせつつも、 描かれる情景は現代的で文章も読みやすい為、 これからミステリを読む人には薦めやすい本だとも思いました。 個人的な好みとしては、閉じ込められたクローズド・サークルで 場面展開や他者が介入する街中の移動などを無くし、 制限された空間での架空遊戯が見たかったかなと思う所です。 ただ、そう言った限定した空間の殺伐とした雰囲気と本書は違う位置にあり、 爽やかで綺麗にまとまった作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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奇術師の集まる客船ウコン号で起こる奇妙な連続殺人事件。
著者自身が奇術師なのもあり、奇術の情景が良く描かれたミステリです。 また、言葉遊びを用いて回文を散りばめているのが面白いです。 これは、とても泡坂作品らしい作品だと感じました。 背景はちょっと重めな話を扱ってたのですが、 呑んだくれのダメ奇術師と若くて美人の弟子のコンビや 回文遊びなどが相まってユーモアな作品に仕上がっていると思います。 見出しを簡単に抜き出すだけでも 期待を抱き、危険劇、どこまで真(まこと) と言った具合に回文尽くしです。 奇術と回文を巧く用いた作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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絵画の世界や過去の世界の住人に精神が乗り移り、その世界で事件に遭遇する。
不思議な世界の短編集です。 なんともいえない特殊な設定を、硬質に感じる文章で描かれていて少し苦手でした。 ただ、序盤を乗り越え、作風に慣れた頃に挟まれた表題の「ゴーレムの檻」。 これは面白かったです。 檻の内側と外側の空間を反転させると謎の言葉を残して消失した 密室トリックとその動機が斬新でした。 短編集最後に収録された、現代版「ゴーレムの檻」の太陽殿のイシスも 物語の作りが巧い。 序盤、慣れが必要でしたが独特の雰囲気が面白い作品でした。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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トリックメーカーの著者が仕掛けた連続する不可能状況+密室劇。
ドアの開かなくなった事故車から出てきたのは、無傷の男性と内臓を取り出された女性。 事故の直前にすれ違ったドライバーは2人は生きていた事を証言する。 この不可能状況から一気に魅了されました。 その後も関係者の屋敷で起こる怪奇現象や新たな密室。 前作の武家屋敷の殺人を読んだ時の楽しさ同様、 1冊の中にいくつもの仕掛けを施した贅沢な作品でした。 ただ、トリックの奇抜さはとても楽しかったのですが、 「そうだったんだ!」と驚かされたわけではなく、 「そんなことがあったんだ…」と傍観者の気分での読了でした。 何となく思うところですが、 読者が探偵と刑事達から離れた位置で情報を零れ見ている距離感があり、 気持ちが事件に深く介入してなかった気がします。 なので真相を聞いても驚けなかったかな……と。 とは言え、第1の事件の真相のインパクトは強烈だったのは確かなので、 少し残念な読了でした。 それにしても著者からは本格やトリックに対する愛情が強く感じられ今後も読んでみたい作家さんになりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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感想が難しい…。
内容とは関係ない感じた事の感想です。 本格ミステリ大賞作品ですが、 私にはその本格やミステリの印象よりも、 自分の中にある心の闇のようなものを浮き出された感覚を受けた作品でした。 ミステリの雰囲気で多くを語らず何が起きているか分からないまま話が進むのですが、 要所要所に出てくる単語から連想するイメージに後ろめたさや悪い事を勝手に想像してしまいました。 その連想する思考を持っているから、変な方向に勝手に振り回されて 怖がったり疑ったりしたわけで、 純粋な気持ちで作品を俯瞰して見るとなんでもないようにも思えたりと、 なんと言いますか、心理を操られた気持ちでした。 好みの面で点数は低いですが、こういう作品が書けるのは凄く、 他の作品にも惹かれる気持ちになりました。 |
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幻想的といいますか宗教的といいますか、
本編にもあります蝋燭の炎の揺らぎの様な、 輪郭が定まらない不思議な世界でした。 ミステリのわかりやすい要素を挙げるとしたら、 穹廬(テント)の中でおきた密室殺人ですが、 このトリックも本書の不思議な世界により意識がぼやけ、 大胆な仕掛けが見えなくなってました。 端的に述べられる文とそこから生み出される幻想とで 不思議な魅了を受けます。読後の余韻も不思議なものでした。 |
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