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egut さんのレビュー一覧

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レビュー数130

全130件 81~100 5/7ページ

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No.50:
(6pt)

月見月理解の探偵殺人1の感想

1巻完結もののライトノベル系ミステリ。もしくは、ミステリっぽいラノベ。

個性的な表紙絵の探偵役が学園に転校してきて、とある事件の犯人を暴くという。この探偵や主人公など、登場するキャラクター達は何かを隠しており、読者にはそれが何か分からない。この分からない謎のモヤモヤがミステリっぽい雰囲気なのですが、全体的に何かを理論的に推理するような話ではない作品。
「探偵殺人」や「ゲーム」から連想する要素を感じず、タイトルと内容が合っていない気がしました。 本書は人狼系で、嘘や隠し事を直感的に見破るような作品です。

あんまり他作と比較するのも良くないのですが、雰囲気が西尾維新作品で、本作の「れーくん」は「いーちゃん」を連想してしまう読書でした。読者に全てを打ち明けない語り手として巧い存在です。

ライトノベル系のミステリは、異能力が存在する世界の設定なのかが、判らないままの読書が辛いですね。何系の本か判断に迷いました。
設定が複雑でしたが、読みやすい文章だったので楽しめました。個性的で綺麗にまとまっていた作品。

▼以下、ネタバレ感想
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月見月理解の探偵殺人 (GA文庫)
明月千里月見月理解の探偵殺人1 についてのレビュー
No.49:
(6pt)

ジンクスゲームの感想

世間を震撼させている連続見立て殺人事件の犯人:通称「毒リンゴ」。とある条件で相手を殺す事ができる能力を持つ5人が集められ、いち早く「毒リンゴ」を抹殺した者が、死者を蘇らせる権利を与えられる。

誰が毒リンゴなのか?願いをかなえる為にライバル同士のデスゲーム模様。相手の能力は何なのか?と、駆け引きもあり、そこそこ楽しめました。本書1冊完結型の中で、世界観の導入、事件の顛末、ラストの収束まで綺麗にまとまっていて良かったです。

ミステリの小ネタが多くて楽しめましたが、驚きや理論的な何かに繋がるわけでは無かったのが物足りなかったです。結末は好み。

▼以下、ネタバレ感想
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ジンクスゲーム (GA文庫)
アダチアタルジンクスゲーム についてのレビュー
No.48:
(6pt)

放課後デッド×アライブの感想

高校生達が謎の現象に巻き込まれて、理不尽な死が待つデスゲームに参加させられる話。
校内放送にて謎のボスからゲームのお題がでるわけですが、ルールをアレンジした神経衰弱など内容が身近で分かりやすく、読者が混乱しない作りはよかったです。
序盤のゲーム内容や雰囲気としては何だか軽い話だなと思っていたのですが、中盤あたりから戦略や人間関係の心理面がでてきて面白くなりました。
バトルロワイヤルのような相手を出し抜いて殺してやろうというデスゲームではなく、理不尽に巻き込まれた状況で、友達を殺したくない、何か傷つけない方法はないのかと、常に模索する登場人物達の心理面がよかったです。こんな現場に巻き込まれなければ普段は仲のよいクラスメートだったんだとよく伝わりました。
雰囲気は漫画『神様の言う通り』に似ている感じと言えば伝わりやすいかな。結末もよくある落とし所で既視感があり、新鮮な刺激がなかった事が物足りませんでした。真相の目的については、内容に齟齬が多くてちょっとすっきりしない話でした。

▼以下、ネタバレ感想
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放課後デッド×アライブ (角川ホラー文庫)
藤ダリオ放課後デッド×アライブ についてのレビュー
No.47:
(6pt)

うさぎ強盗には死んでもらうの感想

角川カクヨムWeb小説コンテストのミステリー部門大賞作品。
この大賞で注目というより、京大ミス研の学生が獲った所で気になった作品。web小説じゃ軽いだろうな…でも京大ミス研ならしっかりしてそうな安心感アリ。WEBでも読めますが、ちゃんと編集が入って整っているだろう文庫で読書です。

とある場所で、殺し屋、泥棒、人身売買関係者、など、癖のあるキャラクターのエピソードが交差し、ミステリーらしい驚きの背景や繋がりを感じる作品でした。表紙通り、雰囲気がアニメっぽいのでその辺りが大丈夫な人向け。

ネタバレではないと先に伝えたうえで、ちょっと思うところとしては、様々なエピソードが繋がって、実はこうだったのかとか、読後に再読して新しい発見があるのはよいのですが、それらが仕掛けとして狙った感じはしませんでした。読者をうまく誘導して驚かせるというより、話がバラバラで理解ができないまま進み、あとで解説を受けて納得するような印象。「やられた!」ではなくて「そういう事だったんだ」という感覚。散らばった話をまとめる難しさを感じました。

うさぎ強盗が12歳の設定って必要だったのかな。16ぐらいの方がなんか合ってました。強すぎ。キャラクターは一之瀬が好みです。と、なんだかんだ書きながら、2度読みもして楽しませてもらった作品でした。


▼以下、ネタバレ感想
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うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)
橘ユマうさぎ強盗には死んでもらう についてのレビュー
No.46:
(6pt)

恋する寄生虫の感想

今作も不思議な世界観で楽しめました。
他人から見たら不幸の男女の恋愛模様で毎回安心して楽しめます。本作は非ミステリの恋愛小説でした。

今回は過去作に比べて説明や解説が多い印象でした。個人的に著者の本は登場人物達の心情や周りの情景を味わう感覚が好きなのですが、本作は寄生虫やコンピューターといった現実世界に存在する内容の解説が多く、雰囲気を味わうというより学習するような読書でした。ここは好みに合わずでした。

説明がしっかりしていたので、要素要素が最後に繋がるのかな?と思わせておいて活用がよくわからず。例えば、主人公高坂が引きこもってコンピューターウィルスを自作して、それらの系統はこんなのがあると詳しく書きますが、ただの自己紹介で終わってしまうなど。クリスマスシーンもラストに何か効果的に使うのかと思ってしまってました。そういう本では無かったという事で。

さて、ラストの締めくくり方は定番ですね。こういう所は安定して楽しめました。

▼以下、ネタバレ感想
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恋する寄生虫 (メディアワークス文庫)
三秋縋恋する寄生虫 についてのレビュー
No.45: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

仮面病棟の感想

書店でいっぱい並んでおり、帯の「どんでん返し」「一気読み」のコピーにつられて購入。
読後の正直な気持ちは、新鮮さや個性的な尖った要素が見あたらず、なんとなく想像できてしまうネタが続く物語でした。

ただ、個人的に刺激がなかっただけで、作品自体はミステリとして無駄なく整った作品でした。謎解きの要素をパズル的に散りばめていたり、緊迫感を出すために強盗の設定を加えたりと、お手本の様。文章も読みやすかったです。

現役医師の著者なので、医療に関する事は雰囲気だけでなく、仕掛けにも活用するなど独自路線の驚きが見てみたいなと思いました。
仮面病棟 (実業之日本社文庫)
知念実希人仮面病棟 についてのレビュー
No.44: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

この闇と光の感想

書店で大量に面陳されていて「大どんでん返し」の帯。これはと思って手に取り、著者初読書。
読後の感想として、これはミステリの手法を使った耽美小説ですね。

闇の世界にいるからこそ希望の光を感じる事ができ、光の世界では見たくもない影が見えてしまう。
そんな心境を、素敵な文章で感じさせてくれる話でした。

予備知識ない方が楽しめる作品です。

▼以下、ネタバレ感想
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この闇と光 (角川文庫)
服部まゆみこの闇と光 についてのレビュー
No.43:
(6pt)

虎よ、虎よ!の感想

60年も前に作られた不朽の名作の1つ。
日本の作品では『仮面ライダー』や『サイボーグ009』に影響を与えており、多くのSF作品のアイディアを感じました。物語の終盤あたりは近年の映画『インターテスラー』の表現を脳内でイメージしていました。

そんな名作と言われる本書なのですが、正直な感想を言うと、歴史的な名作としては十分に納得なのですが、内容の把握が困難で読書中は楽しめませんでした。
というのも、1文における内容の密度が濃すぎます。1つの文の中で、旅の準備をして違う惑星に移動していたり、新しい登場人物と出会って場所を移動していたりで、ちょっと目を離して文章を読んでしまうと、まったく状況がわからなってしまい、読書の混乱が起きるのです。

1行1行をしっかり把握しながら読み進めるのは正直疲れましたし、初回はよくわからない所も多かったです。
1度読んで全体を見渡してから、所々の解説を調べて、再読してやっと世界観や内容が掴めてきた所です。そうなってやっと所々の味わいやキャラの感情が楽しめてきます。個人的にはスルメ系SFといいましょうか。
見渡せば壮大な物語で圧巻。記憶に残る作品の1つでした。

▼以下、ネタバレ感想
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虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)
アルフレッド・ベスター虎よ、虎よ! についてのレビュー
No.42:
(6pt)

さよならダイノサウルスの感想

恐竜は何故絶滅したか?の話をSFアドベンチャーの面白い読み物とした作品。

実は何々だった!これはあれだった!的な話を構築する発想は面白い。ミステリ要素はほとんどなくファンタジー+SFの作品でした。
古い作品の為、扱われるネタの既視感が多かったです。

ソウヤー3作目の読書になりますが、常に男女のいざこざを組み込むのは作風なのですね。
SF要素+ミステリ風仕掛け+人間ドラマ?の土台を毎回感じるのが良い。他の作品も続けて読んでみます。

▼以下、ネタバレ感想
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さよならダイノサウルス (ハヤカワ文庫SF)
No.41: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

まるで天使のようなの感想

新訳で読了。
舞台が街と怪しげな宗教施設だけなので、物語は把握しやすく読みやすかったです。

1962年作で50年前を考えれば、噂通りの上質なミステリで満足。ただ、ちょっと地味で、なかなか進展しない中盤は退屈でした。
仕掛けも然ることながら、登場人物達が何を考えているか分からない(理解できない)心理模様は、宗教という存在が効果的に効いていて、巧い謎となっていました。

ちょっと読み方を失敗してしまった感があって、楽しみ辛かったのが正直なところでした。

▼以下、ネタバレ感想
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まるで天使のような (創元推理文庫)
No.40:
(6pt)

夏を殺す少女の感想

たまたま読む本が引いてしまっているのか、海外ミステリでは、誘拐、監禁、虐待の重いテーマに出会う事が多い。本書もその1つで気持ちが晴れずちょっと憂鬱。

2つの事件パートが最後に交わるのはよくある構成なのですが、視点が変わる事によって人物の役柄が不確かになるのが面白い。少女は被害者なのか加害者なのか。殺された人物は本当に被害者なのか。実は加害者ではないのか。女性弁護士は主人公なのか何かの被害者なのか。各人は別の役割なのか?ページが進む事で徐々に本書の背景に渦巻いている恐ろしい姿を感じる面白さがありました。

さて、本書は大分読みやすい本でした。最初に手に取って登場人物表を見た感じでは、馴染みのないオーストリア名な為、男女も区別できなくてチンプンカンプンでした。ただ、実際読んでみると誰が誰だか把握しやすいのでそこは巧いなと思います。上質なサスペンス映画を見ている気持ちでした。まぁ、ただやはり個人的にはかなり心境が重い本でした。その重さを少しでも軽くする為にラストはちょっと晴れやかにしたのかなと思いました。
夏を殺す少女 (創元推理文庫)
アンドレアス・グルーバー夏を殺す少女 についてのレビュー
No.39:
(6pt)

鸚鵡楼の惨劇の感想

オウムを漢字で表記したタイトル『鸚鵡楼の惨劇』。このおどろおどろしい文字の雰囲気はいいですね。
ただ、期待した怖さや嫌な雰囲気はあまり感じず、心理面はあっさりしていました。
宣伝キャッチのフジコを超える"戦慄"とか、 担当編集のコメントで使われている単語や、"惨劇"とか"イヤミス"とかのPRに期待してしまうと、ちょっと肩すかしな印象です。ただ、女性向けの商品作りとしては釣針が豊富で巧いなーと感じる内容でした。
作品内に出てくるエッセイストさんのセリフと読むと、仕事の為や読者サービスの原稿作りの考え方は、作者の気持ちが出ているように感じました。

ミステリ模様は終盤になってやっと発生しますが、それまでのエピソードを絡めて読者をミスリードする技は巧いです。やられた!というものではなくて、作品の作り方が巧いな~と感じる内容でした。文章が読みやすいのもよいです。

もうちょっと棘がある作品を期待してしまったので、個人的に普通なミステリの印象でした。

▼以下、ネタバレ感想
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鸚鵡楼の惨劇
真梨幸子鸚鵡楼の惨劇 についてのレビュー
No.38:
(6pt)

犯罪の感想

200P台の本に11の作品が含まれた短編集。1つ辺り20Pちょっとで登場人物も少ない為、海外作品に苦手意識がある人にも読みやすい作品。ページ数が少ないとはいえ、中身に無駄がなく濃密な文章を得た気持ちでした。

ただこの作品、謎解きや仕掛けがあるミステリではないので、好みが分かれそうです。
弁護士視点から依頼者の犯罪を聞き、その犯罪の結果だけでなく、その人の人生模様を感じる文学作品となっています。私は、作品に気持ちが入りこむことはなく、様々な人生を眺めるような読書でちょっと物足りませんでした。

好みは『エチオピアの男』です。
『エチオピアの男』はなんといっても読後感が良い事。そして犯罪者とされる人物の人生が短いページ中にぎゅっと詰まっていてよい作品でした。

『犯罪』というタイトルから感じるオドロオドロしさはなく、寧ろ爽やかにも感じた本書。
嫌な気持ちにならずに様々な話を楽しめた不思議な作品集でした。
犯罪 (創元推理文庫)
No.37: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

100人館の殺人の感想

100人の容疑者。これだけで手に取ってもらえる作品のキャッチとしてはアリですね。

パーティ開催中に殺人事件が発生。その舞台に集められていた人数は総勢100名。100人の容疑者という、読む前から把握できるのかと不安を感じる本書ですが、それは杞憂です。探偵やアシスタント、メイドや警察や殺し屋など、主要人物は特徴的に描かれているので、多くの容疑者は気にせず読書可能でした。

その場合、100人の意味はあるのかと考えると商業的なキャッチが主で、物語の必要性としては弱く感じました。50人でも80人でも変わらない気がしました。ただ、何故こんなに人がいる中で殺人が行われたのか?という考え方は面白かったです。

橋は爆破されて交通不可。なんで爆弾なんてあるんだよというツッコミや、よくある少人数のクローズド・サークルでは閉じ込める事に意味が見い出せるが、100人の規模の意味は何か。姿をくらませるから?でもそれなら犯人も逃げられないし、閉じ込める必要ないじゃん。などなど、舞台ならではの推論が考察されるのが面白い。

作中の雰囲気もユーモアに溢れて軽いのが個人的に読みやすかったです。著者の経歴を見るとゲームプランナーだったので凄く納得。多少非現実的でも面白さを優先させるゲームシナリオを感じていました。

100人いた為か、あまりキャラクターに思い入れができないままの読書だったのが残念ですが、ミステリのパズル的な面白さが楽しめた本でした。

▼以下、ネタバレ感想
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100人館の殺人
山口芳宏100人館の殺人 についてのレビュー
No.36:
(6pt)

密室殺人講座の感想

90年代の新本格物。たまたま検索していて見つけ、"密室"・"講座"のタイトルに釣られて購入です。

あらすじ通り、閉ざされた空間で連続殺人もの。誰が犯人で、どんなトリックで、目的は何なのか?と、コテコテの展開が楽しめます。お約束な展開そのままで隠れた名作なのでは……?と思いながら読みました。
ただ、300Pぐらいの本で、200P終盤まではワクワク・ドキドキ楽しめていたのですが、収束の仕方が盛り上がらず、残念な気持ちになりました。パズル小説としての展開は良かったのに妙に人間的になってしまったからでしょうか。キャラクターが無駄に不快になり、拍子抜けでがっかりでした。

"密室講座"も舞台の設定なだけで期待するようなものはありませんでした。

▼以下、ネタバレ感想
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密室殺人講座 (講談社文庫)
水野泰治密室殺人講座 についてのレビュー
No.35: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

神なき世界のトーメンターの感想

デビュー作の『罪色の環』が個人的にツボだったので2作目はどうなるのだろうと楽しみにしていた所、作風が一気に変わった装いに驚きました。表紙からミステリなのか判別つかなかったのですが、とりあえずファンタジーも好きなので手に取り読書。
ライトノベルが好きな読者に対しては、本書は綺麗にまとまった内容なのでお薦めですが、ミステリ志向な方にはそぐわない内容かと思います。一応ファンタジー×ミステリです。

著者は元警察官という経歴であり、留置場での看守時代、留置人との会話の実体験が本書に活きていると述べていまして納得。
階級が烙印として体に刻まれており、上の者からの指示は絶対で逆らうと烙印の影響で死んでしまうという世界観。今回は被疑者や身分が違うものとの関わりが強く感じる物語でした。

数年前の『執事×お嬢様ブーム』の影響か、本書もその手の会話がありまして序盤は楽しめましたが、終盤のシリアスな佳境においては雰囲気が崩れてしまった気がします。ちょっと狙い過ぎかなと。
ミステリとしては、オカルト実験のスクエアで起こる殺人の謎が提示されます。暗闇の中、四隅に人を配置して、壁伝いに前の人をタッチして周る定番のやつですね。
このネタは有名過ぎて、不可解な状況が起きても仕掛けが思いついてしまうのが難点で、ファンタジーの怖さやミステリの謎に魅力が弱かったのが正直な感想です。

ただ、本書の魅力は設定が全てなわけではなくて、王女アリシアと拷問官ジグの絆の物語が楽しめます。
王女のアリシアは我儘だけど脆くて可愛いし、ジグは暗殺者の過去と現在の優しき二面性があり、キャラ物として安定して好み。無実の王女を、命令だからという理由で意志のない人形のように行動した序盤とは違い、段々とジグの思いの変化が感じられました。

世界観や話の伏線も丁寧なので個人的に新作が楽しみな作者さんになりました。

▼以下、ネタバレ感想
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神なき世界のトーメンター (電撃文庫)
仁科裕貴神なき世界のトーメンター についてのレビュー
No.34: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

虹の歯ブラシ 上木らいち発散の感想

これは1作目を読んでからの方が良い作品です。ストーリーの繋がりはないのですが、作風を事前に知る意味でです。
デビュー作の『○○○○○○○○殺人事件』では、ネタ本なんだけど、ただのネタだけで終わらず意外にも真面目で本格志向だ!と感心すると同時に、この作風からして2作目はどうするのだろう?と色々思っている所に早速2作目が刊行。『上木らいち』が探偵役の短編集。

援交高校生の名探偵の設定通り、下ネタや過激なネタを活用しているのですが、それが単純なネタだけでなく、その設定を活かしたミステリにしているのが見事。人によってはバカミスの部類になると思うのですが、前作同様に骨格は真面目にミステリをしているのがとても感じるのが良いです。
まぁ、ただホント、人を選ぶ作品ですね。

読後感として、後半の『橙』と『赤』の章は正直好みではありませんでした。『赤』の章に関してはやっている事は凄いのですが、それが面白さに感じられませんでした。『橙』自体も作風が変わってしまい、補足する為だけの存在に思えて可哀想になりました。この2章は他の作品に比べると後付けに感じてしまいました。

それ以外は総じて面白かったです。
『黄』の章の短いながらもしっかりミステリをしている話。『青』の本作ならではの、ぶっ飛んだ仕掛けは脱力ものです。

『上木らいち』自身もキャラが確立していて好感。サバサバしていて性格も良いですし特殊設定の探偵として個性的。読んでいて楽しいです。

この作風、3作目はどうするのだろう。。。と心配と共に期待してしまう気持ちがありますが、
作風が変わったとしても、作者の本格好きはとても感じるので次回作を楽しみにしてます。

▼以下、ネタバレ感想
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虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)
早坂吝虹の歯ブラシ 上木らいち発散 についてのレビュー
No.33: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

チェーン・ポイズンの感想

扱うテーマは「生と死」であろうか。自殺願望、孤独、児童養護施設、ホスピス。絶望や希望の内面を描く物語。ミステリにおける事件が起こるわけでもないので、求心力が弱く感じましたが、文面は整然としいて読みやすく読書はあっという間でした。

作品内容の為か、登場する人物達にまったく共感ができなかったです。
正直扱いがアレでしたが、一番共感して、まともだと思えたのはベンツ(あだ名)でした。
なので釈然とせず、作品の意志と共感できない所が多い為、好みに合わずでした。

1年間何があったのか。その話の全容が分かった最後にやっとミステリらしくなって、なるほど。と楽しめた作品です。
テーマのわりに、終わりが爽やかにまとめているのが良かったです。

▼以下、ネタバレ感想
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チェーン・ポイズン (講談社文庫)
本多孝好チェーン・ポイズン についてのレビュー
No.32: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

グラスホッパーの感想

相変わらず伊坂幸太郎作品らしいと感じる、ちょっと外れた登場人物達。そして音楽に絡んだキザなセリフや軽妙なテンポは読んでいて楽しかったです。小説ならではと感じます。
個人的に苦手な、著者作品に入り込む悪意の模様については、本作の世界が殺し屋達の物語なので、そういうものだと嫌な気持ちにならずに読めたのが良かったです。

ザ・一般人代表といった鈴木の巻き込まれ型作品で、様々な殺し屋達の視点と共に物語が進み、どこに着地するのかわからない楽しさがありました。
が、一方、読み終わってみると、何も解決していないような、何かが心にグッと残るでもなく、一時の夢のように通り過ぎてしまった不思議な余韻を感じました。

▼以下、ネタバレ感想
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グラスホッパー (角川文庫)
伊坂幸太郎グラスホッパー についてのレビュー
No.31:
(6pt)

教場の感想

警察官になる前の、警察学校が舞台の連作短編集。どんな思いで警察官になろうとするかは人それぞれだと思いますが、本書に登場する人物達やエピソードが陰湿で暗い。相手を利用したり騙したり陰口やらで足を引っ張り合う。仕舞には退学や傷を負ったりとする訳で、厳しい所なのは伝わりましたが、これから警察官になろうとする人たちが舞台の警察学校において本書の内容はいかがなものかと思いました。

新しい警察小説としてPRされてますが、警察学校の舞台と内容の組み合わせが今までやらなかっただけで、
囚人達が更生して行く舞台の方が合っているような複雑な心境になりました。

ただ、感情的な好みの点はおいておいて、
警察学校の舞台を活用した、職務質問の実習内容や、拳銃の考え、書類、日誌などの制度を元にした物語の作りは良かったです。
他のミステリに登場する警察官達も、こういった警察学校を卒業していると思うと違う見方に変わります。

他の本の話になりますが、ミステリでスパイ養成学校を舞台にした柳広司『ジョーカー・ゲーム』と言う作品があるのですが、こちらは一種ファンタジーのような無関係な舞台のスパイの場を使う事で、場の疑問は感じさせず、厳しさや頭脳的な要素に専念できました。本書は警察官という現実的な存在を扱った為、仕掛けの面白さ以外に、日本の警察はどうなの?と、違うノイズを感じてしまった事が個人的に好みとは違った次第です。
教場 (小学館文庫)
長岡弘樹教場 についてのレビュー