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なおひろ さんのレビュー一覧
なおひろさんのページへレビュー数318件
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著者初読み。私立探偵物のハードボイルド、1952年のアメリカが感じられて楽しめた。ライセンスと銃を持ち、警察に同行して捜査に協力する。なるほど、日本での私立探偵物が成立し辛いはずですね。物語のプロットは結構複雑で、隠された真相が虫食い穴から少しずつ見えて来る感じ。文学的な表現と言うのか、比喩に装飾された分かり辛い説明で、より混乱させられたのかも。何時の時代も皆生きて行くのは大変なんだなぁ、抑えたトーンで人間の悲喜劇を読ませて貰いました。最後までタイトルの意味が分からず他の方の感想で理解出来た、ゾッとした。
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著者初読み。世界に一台だけあるタイムマシン、それを動かせる人間も一人しか居ない。すなわちその人物は自由に過去を改変出来る「神」とも言える存在な訳です。そんな世界で私立探偵をしている男を主人公としたハードボイルド。タイムマシンで過去を変える事がタブーでは無い、と言う設定は斬新で、話をしている相手が目の前で別の人物に「異化」する事もある。何も信じられない異常な世界なのに、ちゃんとSFハードボイルドミステリーになってました。34年前に書かれた作品ですが古さは余り感じず、面白かったです。まあ不思議な物語でした。
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著者初読み。1940年の作品ですが、新訳の為か大層読み易い。月明りの中逃げ出した犯人、三人の目撃者は全く違う証言をする。素晴らしい掴みからラストの意外な犯人との対決まで、きちんと整った端正なミステリーでした。当時最新の科学捜査と社会的背景が描かれている割には、現代の日本で読んでも楽しめるのは凄いですね。「本格ミステリベスト102018年版」第三位。シリーズを追いかけて見たい作品に出合いました。おススメします。
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超高層タワーで火災が発生する。圧倒的な炎と闘う消防士を描いたパニック小説。登場人物が多く、イライラさせる奴、ハラハラさせる奴、ウルウルさせる奴とバランス良く配置されている。そして死亡フラグを立てた奴は順次退場して行く。予定調和の中で展開していた物語が、終盤余りにも絶望的な状況へと進む事となる。このラストの壮絶な展開はパニック小説の理想形かも知れない。そして序盤から伏線が張られていた事に気付かされ、著者の凄みを感じる事になりました。ベタで良いんだよね、このタイプの作品は。ハリウッド映画を観ている様だった。
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解剖実習中に遺体の中からメッセージの書かれた紙が発見される。いったい何時、誰が、どうやって仕組んだのか?掴みは完璧でした。しかし余りにも大きな仕掛けは、その必然性や整合性の為に強引な設定を必要としてしまう。ラストまで読んで説得力を感じるかどうか、鮎川哲也賞受賞作として本格推理と呼べるかは、評価が難しいかも知れません。個人的には、主人公=ヒロインに魅力を感じず、応援する気になれなかったのが残念な所。とは言え、読み易い文章と飽きさせず連続する事件で、サスペンスミステリーとしては十分面白かったかなと思いました。
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第38回日本推理作家協会賞受賞作。旅芝居(大衆演劇)の一座で起きた殺人事件を、小屋主の娘秋子が推理する事となります。しかし、物語の主軸は大衆演劇の世界を描く事に置かれている。白粉の、汗の、酒の匂いが鼻っ面に押し付けられた様な息苦しさで、役者達の絶望的とも思える閉塞感がただ哀しい。ページが少ない為か登場人物が多い割に書き込みが薄く、また終盤の謎解きも駆け足の感は否めない所。ただ、私にはこの位の濃さが丁度良く、これ以上の皆川節は付いて行くの大変なんで、十分満足出来ました。ずっと読みたかった、念願が叶ったよ。
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今作は臓器移植をテーマの一つとしており、社会派警察小説となっています。脳死や臓器移植について考えるきっかけとなる様な重い所は有りますが、基本的にはストレートなミステリーであり、犯人やその犯行動機を推理する事が楽しめたと思います。登場人物が各作品でどんどんリンクして行く為、中山七里ワールドを追いかけて行きたくなる魅力が有りますね。問題は作品のクオリティに差が大きい(と言う風評)所でしょうか(笑)。
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「一人で2時間入ると必ず死ぬ部屋」の扉を開く事に。60年振りに実験すると、何と今回も入った人物は死体となって発見される。衆人環視の完全な密室、関係者全員の完璧なアリバイ、見当も付かない毒殺トリック。そして血塗られた一族の歴史を語るフランス革命時代の過去のエピソードが、この事件に一層不気味な色を付ける。江戸川乱歩もカー作品の中でおススメであったそうです。現代の視点で見ると違和感が有るのは古典名作の宿命でしょう。しかし、犯行可能な人物は一人しか居ない、なるほど見事な本格ミステリーでした。おススメです。
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タイムリミットサスペンスの古典的名作であり、著者の代表作。都会で偶然出会った若い男女は、更に偶然同じ町の出身だと分かる。都会を引き上げ故郷へ帰るきっかけを探していた二人は、早朝の長距離バスへ乗る事を決めるが、なんとそれまでに殺人事件の犯人を捕まえなければならない事に。残された時間は3時間。と言う訳で、無理に決まってます。犯人が特定出来ていても難しいのに、誰だか全く分からないのですから。簡単では無いこの状況をどう打開して行くのか、私は十分楽しんで読めました。無理を通すのですから、野暮な事は言わないでね。
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著者初読み。物凄い負のオーラに包まれた作品、幸せな家庭は出て来ません。「白夜行」や「砂の器」の様に、そうとしか生きられなかった、哀しい宿命を持った人々のお話で、面白いとは表現出来ないが引き込む力は物凄く強かったです。ミステリーとしては倒叙系なのでしょうが、序盤の仕掛けからラストのオチまで結構分かり易くてあまり驚きは無かった。きっとそれは重要では無く、安らぎは死ぬまで訪れない人々の壮絶で悲惨な物語であり、わが身のささやかな幸運を噛みしめたくなる物語。そんな読み方が多分正しい、素晴らしい作品だったと思う。
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銀行内部について、多少知れた様な気にさせてくれる作品集。銀行員も大変ですね、エリート揃いで人生楽勝のイメージでしたけど、それを維持していくのは強い精神力と運が必要なのかも知れません。さて、本作で一番気になったのは、主人公の指宿についての記述が全然無い事です。心境はほぼ語られず、何考えているか分からない。外見に関する部分、家族や生活に関する部分、ほとんど書いて無いですよね、敢えて記号的にしてあるのかな?。後半の主人公とも言うべき唐木は、対照的に人間味を感じるキャラ。面白かったんで著者の短編も読んで行きたい。
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グランドマンション、不穏で不気味なマンション。住民は高齢者が多いが、少ない若年者もなんか怪しく犯罪ばかり起こる所。連作短編集ですが当初その意図は無かった様で、年に1本程度発表されています。5年かけて書かれており、ホラー的だったり、コメディ的だったりと割とバラバラなテイストですが、それぞれ面白く読めました。登場人物が重なって来たりして、途中から纏まってラストを迎えた感じです。暗い雰囲気だと思いましたが、ブラックユーモアで皮肉なオチ、著者らしい。
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