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マッチマッチ さんのレビュー一覧
マッチマッチさんのページへレビュー数145件
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正真正銘の青春小説。非ミステリーです。
読んで思い出す自身の学生生活。 大学生になり一人暮らしをし、大人になったつもりでも結局は子供なんだよ。 世間に庇護され自由に生きる、オアシスのような生活。 タイトルの砂漠こそ、著者の意図するアンチテーゼ。 そのオアシスで青春を謳歌した5人の登場人物。大学生の北村、鳥井、南、東堂、西嶋。 そしてもう一人の登場人物社会人の鳩麦さん。鳩麦さんは、彼らを優しく見守っていたんだね、砂漠から。 あっと言う間に過ぎ去った4年間。卒業式での学長の祝辞。 「・・・学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生を送るなよ」 著者も自身の学生生活を振り返って、これが一番言いたかったんだろう。 懐かしく楽しんで読ませてもらいました。 ★7つ。 |
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先日の日経新聞で、SF界のスポークスマンとも呼ばれる大森望氏の絶賛書評を読み、手にした。
中国SFが急速に台頭する一方、アメリカSFの影が薄い。そもそも、一般に知られる作家や作品が出てこない。 そんなアメリカSF界のさびしい状況を打ち破る希望の星が、『火星の人』で2011年にデビューしたアンディ・ウィアー。・・・ ・・・しかし、その『火星の人』をも上回る人気を得たのが、21年に出た最新長編『プロジェクト・ヘイル・メアリー』・・・ ・・・「だれが読んでもおもしろいSF」という無理難題に果敢に挑んで見事に成功した奇跡的な傑作だ。 という書評である。これは是非読まなくてはならない。 確かにシンプルに楽しめた。 上巻の大半が、主人公グレースの一人称語りでストーリーが展開する。 ややもたもたしているが、上手く疑問を膨らませる。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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第1部 2004年 前林市(「東京から新幹線と在来線で2時間弱の北関東にある」と、第2部本文中で紹介されている架空の市らしい)で起こったある少年の事故死に関する内容。
第2部 2019年 東京都新宿区で起こった若い女性の殺人事件と容疑者の失踪に関する内容。 ミステリーとしての本書の読みどころは、2つの事件がどう絡んで、最後のオチに繋がるのかという点にあると思う。 そして、この小説のもう一つの読みどころは、少年とその母、容疑者とその母、そして容疑者の妻とその母、その関係性と両者間の心情を扱ったところです。 特に少年と容疑者のそれぞれの母親の心情は、母親の愛情が持つ負の側面をうまく描いていると思います。まさに異様な母子愛ですね。 感想ですが、なかなか面白かったです。読み易く、ストーリーがどう展開するのか気になり、あっと言う間に読み終えました。 ミステリー面としては、一体全体どこで両事件が結びつくのか、ラスト近くまで判然とせず、もしかすると両事件を結ぶことなく、母親の異様な愛を扱っただけの小説家かと危惧した位です。 でもキチンと解答は与えられていました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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一作目の「殺人鬼フジコの衝動」を読んだのが2022年の冬。
ちょうど二年後に本作に辿り着いたことになる。シンプルに面白かったです。 二年前に書いた一作目の自身の感想を読んでみると、「ちょいと難しいが、後味の残る癖になりそうな小説」という風にコメントしている。 それを踏まえて本作を振り返ると、一作目の「…衝動」が問題集。本作である「…真実」がその解説集ということか。 解説集ということもあって、本作は前作より内容が分かり易い。前作を読んでいなくても、ストーリーとしては成立している。 また、読み手の心身が健全で体力も充実している時に読めば、ギャグとして笑い飛ばせるが、心身不調で衰弱してるときに読めば、深くて暗い淵に引き込まれようなイヤミス感も前作同様しっかり残されている。 とはいえ、ミステリー小説として、事件本体のディテールを冷静に眺めてみると、非現実的でぐちゃぐちゃ。「これはないでしょう(笑)」という感じのB級感ツッコミどころ満載。 しかし、これをツッコんでも始まらない。ご愛敬でいいと思います。本作はサイコ感と不穏な雰囲気を楽しむためにあると思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著名な大作である。入手する機会があったので手にした。読んだのは新潮文庫の文庫版(上・下)である。
とにかく読み応え十分。特に上巻は面白い。 著者のあとがきに書かれている「…無理な事件を設定しておいて、それに現実性をあたえる営為の苦しさは、よく出来上がれば楽しいが、なかなかうまくゆかないのが常だから…」とその苦労を書いている。 まさにこの小説の本質はそこにある。戦後から昭和30年初頭にかけての日本の地方の貧困。舞台となった北海道積丹半島・青森県下北半島・京都北部の舞鶴や丹波山地。その僻地ににある寒村・僻村。そこで生活する人々。なかなかリアルである。 Wikiで調べてみると、何度も映像化されている。主要登場人物の俳優陣もなかなかの顔触れ。確かに映像化にはもってこいのストーリーだと思う。 1965年(映画) 1968年(TV) 1978年(TV) 1988年(TV) 1990年(TV) 杉戸八重 :左幸子 :中村玉緒 :太地喜和子 :藤真利子 :若村麻由美 樽見京一郎:三國連太郎 :高橋幸治 :高橋悦史 :山﨑努 :萩原健一 弓坂刑事 :伴淳三郎 :宇野重吉 :金内喜久夫 :若山富三郎 :仲代達矢 ▼以下、ネタバレ感想 |
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短編集である。
当サイト内で偶然に見つけ手にする。著者初読み。 大正から昭和初期にかけての動乱期に、男女が織りなす綾を描いた小説。 ミステリー小説らしからぬ格調高き文体で、文学的に書かれてはいるが、これは歴然としたミステリー小説である。 特に表題の短編「戻り川心中」では、冒頭での歌人「苑田岳葉」についての解説が、まるで実在する歌人であるかのように描かれ、騙し絵のように騙される。 「ひと枝の花をかたみに逝く春を雲間のかげに送る夕月」…ただ初期の作品は、表面的な物象にとらわれ、才に溺れすぎ、現在では大した評価を受けていない。 うーん、著者が詠んだ作中歌なんだ。そしてそれを著者自身で解説する。 「明日はまた涸れぬ命をつかの間の朝陽に結び蘇る花」「世の中は行きつ戻りつ戻り川 水の流れに抗ふあたはず」 こんな感じで、なかなか本格的。著者紹介に早稲田大卒と書かれていたので、Wikiで調べてみたら文学部ではなく政経学部卒なんですね。意外でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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履歴を見ると、著者の青山七恵氏は2007年第136回芥川賞受賞、2009年第35回川端康成文学賞受賞とある。しかも受賞時の年齢は20代前半。お若い!
とは言え、当方全く知らない。 なのに何故本書を手にしたかというと、本年8月頃、愛読している日経新聞の書評欄でこの小説が紹介されていたからである。 当方、未読本の書評は出来るだけ避けるようにしている。もちろん、オチを想像してしまうことを避けるためだ。 日経の土曜日の書評ページは、基本的にお堅い書籍・専門書が多数である。ただ、たまにはこうした娯楽的な小説も取り上げられる。 という事情でついつい軽く読み流してみると、「不穏な気配」というフレーズが目に飛び込んできた。 これは大好きなフレーズである。 ということで、今回、手に入れ読んでみた訳である。 さて、主人公の猪瀬藍は37歳で独身の作家だ。 思い立ち、やっとのことで購入した中古の1LDKマンション。 ここからなにやら怪しげなことが起こってくる。 マンションの売主小林家は、妻と夫と小さな二人の娘の4人家族。 主人公がマンションを購入後、しばらくしてから、この娘たちがマンションを訪問してくる。 さらにしばらく経つとその母親まで。 うーん、その目的というか意味は? そしてさらに時が進むにつれ、藍は小林家の新居を訪問するようになり、歓待される藍は、ついには連泊するまでになる。 いやいや確かに不穏である。 不穏・不思議と言えば、この小林家の夫。目立たないようではあるが、何か秘密が? 娘たちも可愛いんだけど、藍に懐いているようで懐いていない。 主人公の藍も何やら頼りないし、小林家の妻の歓待は、無償の愛なのか。 うーん、なにやら本当に不穏である。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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マル暴担コンビ、堀内と伊達シリーズの3作目。
また読んじゃった(笑) 相も変わらずの3匹目のなんとか、という作品。 でも分かっていても面白い。止められないお手軽の娯楽作品。 当方、きっと4作目の「熔果」もいずれ読むんだろうね。まだ文庫は出ていないようだから、出たら読みましょう。 まあしかし、3作目になるともう完璧にヤクザみたいになっちゃったね、お二人。 でも元は刑事。ハチャメチャに悪を懲らしめる。痛快で面白い。 上手くいきすぎて最後のオチが少々ハラハラしたけれど、まあまあ無難な不時着で一安心。 伊達もあの程度の傷なら、堀やんと次のシノギを見つけることだろう。 解説はハードボイルドなんて書いてあったが、これはエンタメだよね。 息抜きに持って来いです。 |
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奥田氏の初期作。3作目。
味付けは2作目の「最悪」と同じ。犯人探しのミステリーではなく、展開を楽しむエンタメ系の小説。 でも決して楽しんで読める小説では無く、読み手によっては、そのエンディングも含めて、イライラ感やストレスが溜まる小説だったかもしれない。 しかし、当方、こういう流れ好きですね。奥田作品は、伊良部ドクターのギャグ系より、こっちの人間模様系の長編が面白いと思う。 世相を皮肉るちょっとした社会現象、脇役の何気ない癖や行動。こういった描写が、小説に妙にアクセントを付けてくれ、時には笑わせる。 当方、文庫本新装版で読みましたが、上下で800ページ強、あっという間に読み終えました。 メインの登場人物は、主婦・恭子と刑事・久野。 でも、主役は恭子だろう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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文庫本の解説を読んでみると、本作の初稿完成時期が1995年12月となっている。
今から約30年前で、阪神淡路大震災があり、オウム真理教による地下鉄サリン事件があったあの頃である。 果たしてあの頃に、巷でVR(仮想現実)の話題が上がることはあったであろうか。 本書では、終盤の犯人とのやり取りが、カートに乗ってVRで行われる。この辺りは凄く新鮮。30年ほど前の小説とは思えない新しさだ。 AI(人工知能)についての記述は無かったが、その初歩的発想のロボットも出てくる。 著者の履歴を調べてみると、執筆当時は現役の名古屋大学工学部助教授。うーむ、これはバックボーンが全く異なる。 こういう肩書でありながら、こうした大衆向けの娯楽小説が書けるわけだ。その当時、著者は大学でどのような趣向で学生に講義していたのだろうかと、色々と想像してしまう。 さてそういうことを含めて、本書のミステリー本としての感想だが、内容的にはクローズド・サークルのミステリー小説であった。 当方、基本的に、この手の謎解き本格物というものは、余り好みでは無い。 しかしながら、今回は妙に楽しく読ませて頂けた。理系ミステリーを標榜するだけあって、ややマニアチックな用語や数値が頻出したが、さほど苦にはならなかった。 謎解きの説明も、そこそこに納得できた。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「サスペンスミステリー」というキーワードで、引っかかった作品。
でもこれは、ミステリー小説でも無ければサスペンス小説でも一切ありません。 少年犯罪に関わった4人家族の揺れ動く心理を扱ったリアルな家族小説です。 登場人物は、設計事務所を構える夫、校正の仕事を請け負う妻、サッカー部を怪我で辞めた高校生の兄、高校受験を控えた中学3年生の妹の4人。 あらましは、兄が行方不明になり殺人事件という少年犯罪に関わっていることが判明。数限られた情報から、兄が事件の加害者であるか殺されてしまった被害者であるのか、その2者択一。 こうした状況下で、夫・妻・妹は、兄が加害者と被害者のどちらであることを望むのか、この心理の様をリアルに事細かく描いていく。 特に長男である兄のことを考える夫と妻の心理の対比はリアルです。 ストーリーはほぼ最後までこの描写が続きます。これを良しとするか悪しとするかは、読み手の年齢・家族構成によっても違うでしょうね。 また、この小説をミステリ本と思って手にした方は、正直、何の面白味も感じなかったでしょう。 当方は結構、夫や妻の思考・心理にそれぞれ同調でき、考えさせられました。 まあ、しかし、最後は親の立場として、見舞いに来た妻の母親がアドバイスした考え方が、道理でしょう。 読み手の立ち位置によって評価が分かれる本と思います。 私はある程度高評価のアマゾン評価4点にしました。 |
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「サイコミステリー」という検索ワードで引っ掛かった小説。
しかし、サイコというほどの内容ではなかった。まあ、エンタメ感たっぷりの警察小説というところでしょう。 と言っても、王道の警察小説に見られる重厚さは一切無い。 軽くてスピード感たっぷり。リアルには拘らず、筋書きの細かい齟齬にはお構い無く、娯楽色を全面に打ち出してストーリーが展開する。 だから、面白さは抜群。文庫本で400頁少々だが、あっという間に読み終える。 そして、事件の真相も影の主犯も、主人公の女性刑事姫川の直感で炙り出される。 ただし、これを良しとするか否かは読み手次第。 ※当方にとっては正直物足りない。娯楽だけに拘ればこれでもいいんだが、、、 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これって3部作だったんですね。
当方基本的に事前情報なしで、読み始めるので途中で気付きました。 あとがきにも、第1作の失踪症候群から読むべしと推奨されていましたが、確かにそうでしょうね。 第1作から出ている登場人物の背景が分かれば、より、ストーリーに深みが出てくる。 まあ、とは言え、本作だけでも十分に楽しめました。 少年や精神疾患者の起こした重大事件に関わる社会派小説という体ですが、エンタメ感も十分です。 700ページ超ですが、それほど重くない。結構、あっさり読み終えます。 展開的には、犯罪被害者の復讐を請け負う職業殺人者とそれを追いかける非合法警察組織。そして、それと同時並行に進行する不可思議な交通事故死。 後者は、現役の刑事が、臓器移植のドナー獲得のための殺人と見立てて捜査する。 要するに、この2つの事件がどう絡んでいくかが、本書の読みどころ ▼以下、ネタバレ感想 |
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湊氏が「イヤミスの女王」と言われる所以のような小説ですね。
灰汁が強いです。故に癖になりそうな味付けで、後を引きそうです。 ただ、後を引くなら、最後まで徹底して引いたままで終わって欲しかった。 終章の二人。明るく明日を向いて、前向きに終わっている。 この終わり方が、却って中途半端ですね。 この小説の構成なら、明日への希望や夢は不要でしょう。 ところでこの小説、イヤミスとは言っても、ミステリー要素は殆どありません。 都合よく人が死に、こじつけのように美少女殺しの犯人の正体が分かります。 驚きなど全くありません。 ポイントはイヤミスの「イヤ」の部分。 ここは面白い。痛快なほどに、人間の負の思考を晒しだします。 ここが面白いので、読みだしたら止まらない。 あっという間に読み終えます。 そういうこともあり、ミステリー部分では低評価ですが、総合的にアマゾン評価の4点にしました。 |
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