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陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧

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レビュー数78

全78件 61~78 4/4ページ

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No.18:
(7pt)

マスカレード・ホテルの感想

刑事がホテルに潜入してまだ知らぬ犯人を逮捕しようと奮闘する様が手に取るように伝わってきました。警察の在り方やホテルの姿勢といったものかぶつかりながらも、事件解決のために協力する様子が緻密に描かれていたのが良かったと思います。一方で潜入捜査にもかかわらず終盤までの緊張感のなさは仕方ないとは思いながらもそこは物足りなく感じました。

途中から、主役である刑事とホテル従業員の2人の関係がジメジメと湿っぽくなってくるのが少し苦手でした。


マスカレード・ホテル
東野圭吾マスカレード・ホテル についてのレビュー
No.17:
(8pt)

陽気なギャングⅡ

陽気なギャングシリーズの2作目の本作は、タイトル通り陽気なギャングの日常から始まり、その後襲撃を行うお話です。主役の4人が日常生活で巻き込まれる4つの出来事が第1章で描かれており、それが伏線となって第2章からがらっと変わって事件に突入します。驚いたことに、第1章の4つの物語はもともと短編集として雑誌に掲載したもので、その後本作で続編を書いて一冊の小説に仕上げたとのことがあとがきに書かれていました。

前作同様にユーモアのある会話や辞書ネタを楽しめました。やっぱり響野と久遠が好きです。

前作を読んでいないとわからない内容が所々あるのと、前作のネタバレを含む内容も書かれているので、「陽気なギャングが地球を回す」を先に読むことをオススメします。
陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)
伊坂幸太郎陽気なギャングの日常と襲撃 についてのレビュー
No.16:
(7pt)

大胆で独創的な発想

鮎田冬馬という黒猫館の管理人が書いた手記と、それを読んだ鹿谷と江南の行動がカットバック形式で展開されていきます。終盤には何となく真相を予想できましたが、それでも筆者の大胆で独創的なアイディアに驚かされました。それも理不尽な論理のゴリ押しではなく、よ〜く読めばしっかり気付けるところが良かったです。
黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
綾辻行人黒猫館の殺人 についてのレビュー
No.15:
(8pt)

片眼の猿 One-eyed monkeysの感想

序盤は読んでいて意味がよくわからない。それぞれの場面、登場人物に何らかの謎が隠されていて、どこか違和感のある文章。それでもテンポよく場面が切り替わっていき、序盤から事件が盛り上がって面白かったです。最後に謎が明かされた時には、物語の見え方が全く異なりました。



▼以下、ネタバレ感想
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片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫 み 40-2)
道尾秀介片眼の猿 One-eyed monkeys についてのレビュー
No.14: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

特異的な本格ミステリー

著者が最初に、容疑者はこの4人だ!と教えてくれるのには驚きました、これで面白くなるのかと…
短い話ですが、いろんな展開が盛り込まれていて飽きずに一気に読めてしまいました。真相を知って、読者が見破るのは難しいだろうなと思いました。大事な情報が隠されているので、少し納得の行かない人もいると思いますが、全く隙のない結末に清々しい気持ちにさせられました。
ミステリーに必要な要素ではないですが、ユーモアのある軽さと伏線回収が所々で見られ、読み終わりは微笑ましいものでした。

1つツッコミたいのは、長男が「恭三」で次男が「慎二」、末娘が「いちお」って……
0の殺人 (講談社文庫)
我孫子武丸0の殺人 についてのレビュー
No.13: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

良くも悪くも裏切らない

一気に読みたくなる物語でした。読んでいるときは全く交わる予感のない2つの話がどうやって結び付くのか、とにかくそこが気になる!といった気持ちで溢れました。
多くの人が結末に気づいてしまったと言っているように、先が読めてしまうのが残念でした。最後まで引っ張らなくても…と思ってしまったのが本音です。謎を隠したいのか、読者に突き付けたいのか、その辺りのメリハリがもう少しハッキリしていると、より気持ちよく読めた気がしています。

ただ内容としては今まで読んだことのないような暗さと奇妙さを含んでいて、読んで良かった一冊です。
慟哭 (創元推理文庫)
貫井徳郎慟哭 についてのレビュー
No.12: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

心情を理解できるかどうか

最初から謎めいた書き方をしていて、どういうことだろう?という想いに任せてひたすら読み進めていきました。青年と女性警官、犯人の3人の視点で勢いよく展開していきます。最初から事件の犯人を読者は知っているのに対して、細かい部分や登場人物の心理には謎を含ませられているので、モヤモヤしながら一気読みが捗ります。

孤独な登場人物の心理にはとても共感できました。独りでいることが好きだけれども、本当に誰とも関わらないことは辛いというのは、私もまさにその通りで読んでいて気持ちのいいものでした。感情移入できるかどうかで物語の面白さが変わってくるような気がします。少し台詞がキザな感じは気になりますが、それぐらいの表現の方が小説らしいのでしょうか。

▼以下、ネタバレ感想
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孤独の歌声 (新潮文庫)
天童荒太孤独の歌声 についてのレビュー
No.11:
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

アヒルと鴨のコインロッカーの感想

私は思いっきり騙されました。でも、叙述トリックがこの小説の中心ではないように思います。それは1つの楽しみに過ぎず、ミステリーの仕掛けだけではなく、切なさや登場人物の心情を楽しめました。

謎を先出しにしてくれているので、結末を予想するとかではなく、どうしてそうなったか経緯を読ませる作品ではないでしょうか。現在と2年前を交互に読み進めていくに連れて、切なさに魅せられてしまいました。
アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカー についてのレビュー
No.10:
(7pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

伏線回収が見事!

ネタバレにならないように書くと、過去を振り返りながら事件の真相を語り合う構成が良かったです。ほんのわずかなヒントが与えられ、続きを読めばその真相がわかる形で、続きが気になり読む手が止まりませんでした。

ところどころで謎が残りますが、最後には全て解けるので読みながらスッキリしていきます。叙述トリックも混ぜられていて楽しい作品です。爽やかな気分になれるミステリーだと思います。

▼以下、ネタバレ感想
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ソロモンの犬 (文春文庫)
道尾秀介ソロモンの犬 についてのレビュー
No.9:
(7pt)

望郷の感想

瀬戸内海に浮かぶ島の人々が、人とのつながりに悩みを抱えた物語の短編集です。それぞれの話は、大人になった主人公が、過去と現在を並行させて語りながら進行していきます。最初に気になる一言を残して、過去を振り返りながら徐々にその謎が解けていきます。著者のスタイルとしては珍しいのではないかと思います。
短編なので伏線を張るのも難しいとは思いますが、ところどころで驚かされてしまいました。
望郷
湊かなえ望郷 についてのレビュー
No.8: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

長い家の殺人の感想

このミステリーの楽しいところは、「最後に読者を驚かせてやろう」という気持ちが感じられず、「どうぞ謎を解いてください」といったところでしょうか。謎を隠すことなく、所々にヒントがほとんど隠されていない状態で登場するので、中盤には事件のトリックには気付けてしまいました。わざわざ見取り図まで載せてくれているのも、そういう遊び心からなのかなと思っています。少しちゃっちいトリックな気もしますが…


でも一方で、「そんなのわかるかい!」と思わずにはいられない点もありました。テンポの良さと出来事の多さから頭を整理するのに疲れました。ギリシャ文字が読めず、覚えるのも大変でした。ただ、読んでる時は楽しくて、手が止まらなかったです。
長い家の殺人 (講談社文庫)
歌野晶午長い家の殺人 についてのレビュー
No.7: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

斬新な発想

主人公の婚約者が事故死したところから始まります。婚約者の親族や関係者が別荘に集まっているときに、銀行強盗が紛れ込んできて、殺人事件が起きます。婚約者の事故と絡めながら、誰が犯人なのかワクワクしながら読んでいきました。

銀行強盗犯に人質として囚われている状況で殺人を犯した人がいる、というのはかなり斬新な切り口で、現実的ではないもののフィクションとしてはかなり魅力的な内容だと思います。

▼以下、ネタバレ感想
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仮面山荘殺人事件 新装版 (講談社文庫)
東野圭吾仮面山荘殺人事件 についてのレビュー
No.6:
(8pt)

政治コメディ

総理大臣の父親とその馬鹿息子の頭の中が入れ替わるという物語。息子(見た目は総理大臣)は国会での答弁で秘書の書いた原稿の漢字が読めなかったり、酒に酔っ払って会見を開く大臣がいたりと、まるで一昔前の政治家を風刺しているかのような作品です。
思わず笑ってしまうようなコメディ作品で、軽いタッチでテンポよく進んでいきますが、そこに著者の強いメッセージを感じることができました。

なぜ親子の中身が入れ替わってしまったのか、しっかりとした記述があるので、ぶっ飛んだ設定に抵抗のある人でも楽しく読めるのではないでしょうか。
民王 (角川文庫)
池井戸潤民王 についてのレビュー
No.5:
(8pt)

鬼の跫音の感想

道尾秀介の小説を初めて読みましたが、暗い雰囲気が文章から見事なまでに伝わってきました。
短編で1話が短いので飽きずに一気に読めました。それぞれの話で衝撃的な内容が明かされていきます。冬の鬼は特に衝撃的でした。
最後に余韻を残す終わり方で、想像をかき立てられるラストが特徴的です。
鬼の跫音 (角川文庫)
道尾秀介鬼の跫音 についてのレビュー
No.4:
(8pt)

ファニー

登場人物の個性が強く、それぞれの会話が面白い!文章を笑いながら読んでしまったのは、この小説だけです。
伏線回収が読めてしまうのが物足りなく感じるかもしれないですが、ユーモアを楽しむためだけでも読む価値はあると思います!
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
伊坂幸太郎陽気なギャングが地球を回す についてのレビュー
No.3: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ハイテンポな殺し屋小説

いわゆる裏社会が舞台になっているので残酷な暗い話かと思いきや、いつもの伊坂幸太郎のようにユーモア溢れる小説です。

鈴木、鯨、蟬の3人の目線で物語は進んで行きますが、鯨と蟬の2人の殺し屋の話は軽く感じてしまいました。それが非常に残念。あくまで主人公は鈴木で、その物語を構成する脇役なのでしょうか。

最後のシーンのオチは好きです。
グラスホッパー (角川文庫)
伊坂幸太郎グラスホッパー についてのレビュー
No.2:
(7pt)

短編もいい!

短編集なのでテンポ良く飽きることなく一気に読めました。しかし、文章量が多くない分物語を正確に把握するにはしっかり読まないといけないようにも感じました。伊坂幸太郎お馴染みの伏線回収を期待する人は違うのから読んだ方がいいかも。

個人的な感想として伊坂幸太郎の小説は、殺し屋が登場するような暗い内容でも、ユーモア溢れる軽い作品に感じることがほとんどですが、収録作品の「ポテチ」には涙してしまいました。
フィッシュストーリー (新潮文庫)
伊坂幸太郎フィッシュストーリー についてのレビュー
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(7pt)

時代を感じるミステリー

物語の舞台が戦後であるため、実感が湧かない点も幾つかありましたが、時代を感じる作品です。馴染みのない難しい言葉や古い言葉も少なくはないですが、松本清張の文章が美しく、その場の光景や雰囲気が容易に浮かぶ情景描写は素晴らしいなと感じました。

物語の内容に関しては、失踪した男性の妻が事件の真相を探ろうとするもの。警察官目線ではないため、確実な証拠があるわけでもないのに主人公がほとんど想像に近い考えで推理をしていくので、本当にそうなのかな?と懐疑的に読み進めていきました。
主人公の感情や風景を描写するシーンが多いため、あまりテンポはよくはないですが、これが社会派ミステリーなのかなと思いました。
ゼロの焦点 (新潮文庫)
松本清張ゼロの焦点 についてのレビュー