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tacu さんのレビュー一覧
tacuさんのページへ書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.53pt |
レビュー数15件
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これまでに世界で起こったことであり、これから起こりうることであり、起こってほしくないことでもあります。
例えば、暴対法のため、ヤクザのしのぎがきつくなり、若者が半グレに流れ込み、裏社会が更に無秩序に、混沌とする日本。 多くの児童虐待が明らかになる中、未だに虐待から逃れられない子供たちがいる日本。 現代の日本で実際に起こっている、社会の歪みが、作品中でもかなり極端に、残虐な形で示されています。もちろん、本書に描かれているように、他国でも。 弱きものは暴力の連鎖から逃れられず、強きものも暴力の果てに滅びてゆく。 人間は所詮一人一人ばらばらの存在で、暴力=テスカポリトカの支配のもと、「われらは彼の奴隷」として、つかの間の生にひたり、いつの間にか死んでいく。 私たち人間の持つ残酷性、自己保全のために他者を切り捨てる酷薄さが、目を覆いたくなるような描写で、かつ淡々と叙述されていきます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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特異な状況にある主人公が、日常の中で事件に巻き込まれて解決するという大筋に、恋愛の要素の絡んだミステリです。プロットは決して明るいものではなく、むしろ現実における悪意や矛盾、理不尽が大いに絡んでいます。それらを乗り越えるところに「主人公の成長」が味わえる青春小説の味があります。
全部で4つの短編からなりますが、作中作のバリエーションである「幽霊はわらべ歌をささやく」が特にお勧めです。最後は希望の持てるエンドシーンだなと思いました。山本弘さんはもともとSF作家であり、この小説も「アントン症候群」にかかった主人公のバーチャルな視点の描写など、SFとしても「絵になる」シーンが見られて、にやりとさせられました。 |
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ゲーム業界もそうですが、アニメ業界も労働条件は決してよくないし、報酬もそんなに高くないしということで、それだけでは単なるブラックでは・・・と素人としては思ってしまいます。
結局、悪い意味での「サラリーマン的(給料分だけ仕事すればいいだろな考え)」では、作品に熱を込めることはできないし、視聴者もそっぽをむくでしょう。情熱をこめていい作品を作るために、時には人に誤解を受けたり、迷惑をかけたりしながらも、互いに作品への「愛」を持つ者同士、連携を取り合って情熱を形に残す。そのプロセスの一端を垣間見れる、「仕事ってどうするの?+恋愛要素」な、読みやすく心に落ちる小説でした。 私自身、アニメにはまった時期が(だいたい青春の真っただ中で)ありましたので、随所に身につまされる描写やセリフ、そして「わかるなあ」という部分が見れて、とても楽しめました。 ミステリではないです。でも、愛をもって世界に大きな可能性をもたらす熱い人たちの姿は、働く人々の心に響くものがきっとあると思います。 男性の主要人物がほとんどイケメンなのは「※ただしイケメンに限る」ではないと思いますけど・・・。 |
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「四つの椀の謎」と「光秀の人間としての理の解明」を軸に、愚息と新九郎という架空の人物たちの生きざまを闊達に描写した、非常に読み応えのある小説です。歴史に対して多方面からなされる解釈が、新たな視点を獲得し、さらなる歴史観の進歩を促す…小説のもつ醍醐味の一つを味わえました。「歴史の謎」の推理して着地点をもとめるところ、ミステリとしての要素も十分感じられます。
光秀の生き様以上に、愚息と新九郎の生きざまに多く描写がさかれています。特に、新九郎の「笹の葉流」のいわれや、追剥を試みたころからの心情の変遷には、いたく共感を覚えました。人は、何か自分の分にあったものを通して、初めて理に通じるという言葉には、自分自身の形にならない思いを代弁してくれたような気がしました。 愚息と新九郎の、なんとも言えないとぼけた味わい、十兵衛光秀の人間臭さといった、人物描写にも大いに魅力を感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリとしてよりも、山岳小説として、また文明批評の書としての側面がより強く感じられました。事前にトムラウシ山遭難に関する書籍を読んでいたこともあり、山の美しさや恐ろしさがわかる描写や、登攀の様子などより臨場感を持って読むことができました。
話としては、主人公が、父と田沢という二人の魂に対する理解を深める中で、自分自身にも「奈落の綱渡り」をする心境が訪れ、大きな自省と未来への歩みを見せる小説です。ミステリの要素としては、田沢の冤罪に関する部分や、それに絡むさまざまな事件が交錯しています。 重厚な話ではありますが、読みやすくお勧めです。また、オオカミについても、ミステリとしての体裁を備えたうえで、主人公の人生を転換する大きな経験として描かれています。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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「薔薇密室」や、「開かせていただき光栄です」でも、その当時の時代性を濃厚に描き切った感のある皆川博子さんの作品です。この作品では、太平洋戦争中の日本本土という、私たちにとって後世に伝えるべき時代を、決して難解でない平易な、かつある部分では淡々とした文体で描いています。人も多くなくなる場面が多いのですが、それを女学生の視点から、あたかも現実にこうであったのかもという描写でさらっと描き、それが却って印象強く迫りました。同時に、女学院の生徒との交流において、女生徒同士の交流にみられるさまざまな心の綾についても、どろどろになりすぎず読んでいて共感しやすい構成で描かれています。
ヤングアダルト向けということですが、どの世代の人が読んでも、十分読み応えのある物語だと、私は感じました。 個人的には、女学生の感想の形で描かれたエゴン・シーレの絵に関する記述が、簡素にしてその本質を言い当てているように思えて、その点でもこの作品にひかれました。 謎解きそのものよりも、謎が生じるに至った過程について、余韻の残る作品だと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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