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りーり さんのレビュー一覧

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レビュー数163

全163件 81~100 5/9ページ

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No.83:
(7pt)

リアリズム故の地味


 不況の煽りを受け経営者チャールズの工場は閉鎖寸前、頼みの綱は叔父の財産だったがあえなく断られる。 先の短い一人の老獪と将来のある従業員たちを天秤にかけたチャールズは・・・。

古典中の古典の倒叙ミステリです。 一章にて叔父が殺されます。 当然犯人はチャールズなのですが二章以降のチャールズの計画・行動・心理描写が素晴らしい。 人間の一喜一憂、警察の領分や法廷の様子を丁寧に描いている。 ミステリにありがちな過剰な装飾や目立ちたがりな探偵や警部は登場せず現実に則った警察と容疑者の攻勢が描かれる。 派手さを削いだリアル故の地味、解決に至るまで精緻を究めた一作。 ★は7つ。
クロイドン発12時30分【新訳版】 (創元推理文庫)
F.W.クロフツクロイドン発12時30分 についてのレビュー
No.82: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

美味しい

 
 上巻にて作中作「カササギ殺人事件」著:アラン・コンウェイが展開される。 クリスティのオマージュのような英国古典ミステリはラストに大きな謎を残し・・・。
 下巻にて「カササギ殺人事件」を読み終えた編集者の私はアランの残した謎と現実世界での事件の解決を試みる。 古典と現代の上下巻のミステリの結末は・・・?

 一粒で二度美味しいです。 結構バカなことやってます。 ★は8つ。
カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)
No.81:
(7pt)

東京二十三区女の感想


 流石長江さん、人の負の側面の恐怖を描くのが上手い。 ただのホラーじゃ終わらない東京散策ミステリ。
東京二十三区女 (幻冬舎文庫)
長江俊和東京二十三区女 についてのレビュー
No.80:
(7pt)

これが50年前の作品か・・

 
 汝夜歩くなかれ――
三流推理作家の屋代寅太は腐れ縁の知人仙石直記から脅迫まがいの手紙の存在を打ち明けられる。 手紙が届いたのは土地の権力者古神家の娘八千代、奔放で不道徳な彼女は先日の銃撃事件の犯人なのだと仙石は語るが・・・。 そして彼女を狙う、同じ佝僂の症状を持つ二人の男、露骨なまでに身元隠蔽を狙った首なし死体が転がり連続殺人の幕が上がる。

これが50年前に出てるんだもん、現代の作家はネタ作りが大変だなって

▼以下、ネタバレ感想
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夜歩く (角川文庫―金田一耕助ファイル)
横溝正史夜歩く についてのレビュー
No.79:
(7pt)

撓田村事件 ―iの遠近法的倒錯の感想


 1997年、岡山県の小さな集落・撓田。 土地の旧権力者・朝霧家と遠縁の桑島家との古い派閥の残る村で中学生の阿久津智明はドライな学生生活を送っていた。 世の中を俯瞰したような思春期らしい壁に直面し悶悶とする一方で、村内で過去の伝説に見立てたような下半身切断死体が見つかる・・・。 横溝正史をリスペクトしつつ、そこに中学生の青春を織り込んだ挑戦作。

 非常にテンポは悪い。 青春小説らしく人物の描写に筆を傾けすぎた結果、事件の発生から解決までの道のりはスローペース。 しかし待つに値するぐらいのとんでもない真相はあるので一読の価値は多大にある。 タイトルと表紙のおどろおどろしさに対して結構青春してるのでそこは考慮されたし。 ★は7つ。

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撓田村事件―iの遠近法的倒錯 (新潮ミステリー倶楽部)
小川勝己撓田村事件 ―iの遠近法的倒錯 についてのレビュー
No.78: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

連続殺人鬼 カエル男の感想


初めての中山七里。 ただの食わず嫌いだけど流石有名作家なだけあって面白いわ。 珍しく推理が当たって楽しい、勿論深読みせずに読んでいっても面白い。 星は7つ!!

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連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
中山七里連続殺人鬼 カエル男 についてのレビュー
No.77: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

生ける屍の死の感想


 アメリカ全土で起こる死者の甦り現象、生と死の境界が曖昧になり「死者」の定義が崩壊する中でパンク青年のグリンもまた屍の仲間入りをしてしまう。 なぜ自分は死ななければならなかったのか、死者が次々と甦る中で起きる連続殺人は何を意味するのか、あらゆる常識を覆した山口雅也氏の伝説的SFミステリ。

 設定は実にシンプル、死んだ人間が生き返ってしまうというただそれだけである。 しかしそれだけで動機、、証拠、あらゆる角度の事件の手掛かりが常識から逸脱してしまう。 そもそも死者が死んでいないような世界になった中で殺人を犯す意味は何なのか、逆説的な謎が立ちはだかる。 非現実的な世界に論理的な解決を、★は7つ。
生ける屍の死(上) (光文社文庫 や 26-3)
山口雅也生ける屍の死 についてのレビュー
No.76: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
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遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?の感想


 有能な書店員として過ごしてきた彼の裏の顔は86人もの人間を殺したシリアルキラーだった。 証拠も遺体も完璧に処理し、警察に事件とすら認識させない彼の仕事の中で、唯一異端とも言える事件が「遠海事件」。 遺体の首を切って持ち去るという謎の行動、殺人鬼佐藤誠はなぜ首を切断したのか? 直球なワイダニットがここに。

 ここまでワイダニットに凝った作品は珍しい、どうしてもハウやフーに比べると謎の大きさという点で劣りがちだが本作は申し分ない出来である。 何故か作者視点のメタフィクションの構成をとっているが、それがプラスに働いてるかは微妙である。★は7つ。

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遠海事件
No.75:
(7pt)

具合悪いときに発生したら嫌だね


同じ一日を九回繰り返してしまう高校生・大庭久太郎。 同じ行動を取れば同じ一日が繰り返されるはずだったが、二週目の一日から殺人事件が発生して・・・。 死者を出さずに明日を迎えることはできるのか・・?

 西澤保彦の日本SFミステリ界の胚胎的作品。 0時を起点に一日を何回も繰り返してしまい、九週目の一日の内容を引き継ぎ明日へ進むという特殊能力を持った主人公のお話。 SF世界に論理的解決を見出す挑戦的秀作、ラストの急転直下も良し、★は7つ。
新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)
西澤保彦七回死んだ男 についてのレビュー
No.74:
(8pt)

新世界崩壊 上小野田警部の恥辱の事件の感想


 ニューヨークの一室でシンディは特殊な任務を遂行する。 ある時はイギリスとアメリカ、ある時はニューヨークからサンフランシスコと瞬時に移動して殺人を行う。 FBIに出張してきた上小野田警部はシンディに“理想の犯人”の匂いを感じ、彼女の住む坂の上の館で対決を挑むが・・・。 英米同時進行の二段プロットに刮目せよ!!

 上小野田警部シリーズの二作目。この作品の前のバカミスが三崎黒鳥館なので、バカミス作者としてもう限界突破していて本作も驚天動地のアイディアが光ります。 もうやりたい放題ですよ、★は8つ。

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新世界崩壊 (講談社ノベルス)
No.73:
(7pt)

略してボラバス


 東北で地震が発生した。 ボランティアバスに乗り込むは就活を控えた大学生、震災地に何かを想う会社員、一人でやって来た女子高生、何かから逃げる男、崩壊した都市で人々は何と出遭い何を想うのか、最終章に驚嘆すべき仕掛けが光る!!

なんてこった!! ボランティアをテーマにした被災地ミステリーと軽い気持ちで臨んだら・・・これは中々・・・。ミステリーとしても勿論面白いですし、被災地でのボランティア活動への考察・是非についても興味深いことが書かれています。 
 ボランティアは素晴らしいことだと思うし、被災地まで足を伸ばす行動力は中々真似できることじゃないです。 でも行動する前に少しだけでもいいから立ち止まって自身の行為が本当に必要なことなのか、勇み足ではないのか確認してほしい。 生半可な準備や気持ちでは逆に迷惑な存在になってしまうかもしれないのだから。 そしてミステリを読む時も・・・死なないミステリだ、ユーモアミステリだ、と慢心してはいけない、巧妙な仕掛けを乗り過ごしてしまうかもしれないから・・・。 ★は7つ。
ボランティアバスで行こう!
友井羊ボランティアバスで行こう! についてのレビュー
No.72: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

死と砂時計の感想

 
 砂漠の国ジャリーミスタンは他国から死刑囚を預かり、代わりに処刑することで外貨を獲得してきた。 死刑囚が集う終末監獄で不可解な事件に遭遇する青年と老人。 何故死刑執行前夜に殺されなければならなかったのか、何故態々不利なタイミングで脱獄を企てたのか、死に限りなく近い閉鎖状況下で起こる事件は常識に則っては解決しない・・・。 

 終末監獄を舞台にした連作短編集。 随所に逆説が施され、犯人の起した迂遠的な手法に迫る。 そして最後を締めくくるエピソードは予想もしえない終結を迎えるのだった。 ★は8つ。
 
死と砂時計 (創元推理文庫)
鳥飼否宇死と砂時計 についてのレビュー
No.71: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ディクスン・カーに捧ぐ


 綾鹿科学大学助教授の"増田米尊"は女性に対して数学的解法を目指しフィールドワークと称して一人の女性をストーキングしていた。そう彼は“変態”だったのだ。 そんな彼の特殊能力は興奮するほどに天才へと“変態”を遂げること。 一見不可能な事件を超理論で解決に導く!!

 舞台は綾鹿市、言うまでもなくタイトルはカーの四つの凶器からとっていて、中身もカーに触れているが内容は全然関係ない・・・。と思いきや全く違う角度からなんかぶっこんで来た!! 増田教授は他の作品にも出てくるけどこのシュールさがいいですねぇ、悪人ではないんです変態なだけで。 ★は7つ。

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官能的――四つの狂気 (ミステリー・リーグ)
鳥飼否宇官能的 4つの狂気 についてのレビュー
No.70: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

厭魅の如き憑くものの感想


 昭和のいつ頃か、代々と山神であるカカシ様を崇め奉ってきた神々櫛村。 村に残る因習を神秘の儀式と捉える者、唾棄すべき宗教と捉える者、そして怪異すらも解釈の一つとして現象として捉える幻想作家である主人公、様々な視点と思惑で展開される物語は果たして人間の犯した罪か或いは魑魅の下した罰か・・・。 ホラーとミステリーの融合、最期に残っているのはどちら・・・?

 刀城言耶シリーズの一作目。 時代設定、主人公の性格と金田一シリーズに近しいものが感じられます。ですが本作の最大の特徴はホラーとミステリーの混沌、推理の範囲を非現実的な解釈にまで広げてラストまで怪異の存在と恐怖を味わえます。 そしてホラーなのかミステリなのか、人か妖かの選択からあのクライマックスは予想外、また面白いシリーズを見つけてしまった。★は8つ。
厭魅の如き憑くもの (講談社文庫)
三津田信三厭魅の如き憑くもの についてのレビュー
No.69:
(8pt)

空中ブランコの感想

 
 精神科医・伊良部シリーズの第二作。 
「ハリネズミ」「義父のヅラ」が破天荒さ、エンドの爽やかさが素晴らしい。 その他も申し分なしでシリーズでは突出した出来になってると思います。 ★は8つ。 
空中ブランコ (文春文庫)
奥田英朗空中ブランコ についてのレビュー
No.68:
(7pt)

イン・ザ・プールの感想

 
 精神科医・伊良部シリーズの第一作。  ほんの些細な心の病から日常生活に大きな支障をきたした患者と破天荒な医師伊良部一郎の交流を描く。

 飄々としすぎてる医師とそれに縋るしかない患者のやり取りが楽しい。 おおよそ特効薬というものがない精神の世界において医師がうんうんと悩んでいたり、治療の手立てがないことをアピールしても仕方ない。 もしかしたらあれぐらいサバサバして行き当たりばったりの方がいい!? ★は7つ。

 

 
 
イン・ザ・プール (文春文庫)
奥田英朗イン・ザ・プール についてのレビュー
No.67:
(7pt)

<死者>は、誰――?

 
 夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、クラスの異様な雰囲気と一人の少女に戸惑う。 やがて始まる残酷な死の連鎖、この呪縛から逃れる術はあるのか、大いなる謎を最期に秘めたホラーミステリ。

 アニメの方を先に見てます(ついでに映画も見ちゃってるらしい)。 いくらか綾辻氏のホラー、スプラッターは読んできましたが、本作はそこにSFともとれる人智の及ばない領域を含めミステリーとして完成させています。 犯人を捜すわけでも事件を解決するわけでもない新感覚なミステリー、しかし伏線で使われる語句にはいまいち納得がいかないです。★は7つ。
Another
綾辻行人Another(アナザー) についてのレビュー
No.66:
(7pt)

流石ですね


 立場、年齢、性格を乗り越えた恋、時に不条理不整合な男女の恋愛の機微というものを描き切っています。 特に「紅き唇」が良かったなぁ、相手とひたすら近くに居たい想いと遠くに居ても幸せを願う気持ちの微妙な境目に心打たれた。 ★は7つ。
恋文 (新潮文庫)
連城三紀彦恋文 についてのレビュー
No.65:
(7pt)

腕貫探偵、残業中の感想

 
腕貫さんの所には食事の時も非番の時も相談が舞い込む、シリーズ第二作。 

腕貫さんも宛ら、ユリエちゃんのキャラが良かった。 クオリティも申し分なし、★は7つ


 
腕貫探偵、残業中 (実業之日本社文庫)
西澤保彦腕貫探偵、残業中 についてのレビュー
No.64:
(8pt)

し、あ、わ、せ、ぇ―ッ!

 烏賊川市シリーズ4作目。 タイトル通りの交換殺人もの、、、と思いきや、、

とにかくさくらちゃんが可愛い、うん。 ユーモラスミステリの第一人者となった東川氏、その域はユーモラスで伏線を覆い隠すとこまで来た!!!




交換殺人には向かない夜 (光文社文庫)
東川篤哉交換殺人には向かない夜 についてのレビュー