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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数231件
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この不自然な屋敷は一体何なんだ。窓は嵌め殺しがほとんで開放感はなく、唯一開閉できる窓は西側に面したウォークインクローゼットの中とは。あまりに無骨な屋敷の中で起きた密室殺人。その遺体もまた屋敷と同じように理に適っていないことだらけだった。事件から数年後、屋敷に招かれた客人の中に蜘蛛手の姿が・・・。
蜘蛛手探偵シリーズ。 シリーズよろしく建築にスポットを当てたミステリー。もう序盤から分かるぞ、絶対屋敷に秘密あるだろう。その大仕掛から導かれる結末は感嘆か或いは呆気か。令和の時代、タイトルに込められた「エンデンジャード(絶滅危惧)」の真意とは!? ▼以下、ネタバレ感想 |
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※この短編集はすべて叙述トリックが含められています。 似鳥ック炸裂!!叙述と分かっていても騙される快感を是非。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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現行“匠千暁シリーズ”の最新刊。安槻大学卒業後の彼ら特に変わりなく。 短編集ではあるけども中々ボリューミーで長編間の繋ぎ感はあまりなかったですね。事件の本筋とは関係ないような事柄が事件の事象の核心をついてくるような構成が面白い。 |
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事故物件に棲み付き、告知義務のない物件に塗り替えることで生計を立てる男<亜嵐>。事故物件から事故物件へ移り住む彼の噂は尾ひれに尾ひれが付いていつしかプロの<棲師>、凄腕の霊能力者と呼ばれることになる。そんな彼が新たに越してきたマンションで出会ったのは真を語る怪談師・弔ナイト。このマンションの怪談を語るものはライブ中に血を吹き、怨霊の幻覚に怯え続けるという。次のライブまでのタイムリミットは34時間、二人は真相を見つけだし真を語ることができるのか!? 引きこもりの棲師と積極的な怪談師の凸凹コンビが怪談噺の裏の真相を求めるライトミステリー。ライトな雰囲気ながら真相にたどり着けないと多分死んじゃう。今作は中編二編が収められているがどちらも捻りを加えた脱力寄りの真相で軽い読書には最適だった。 |
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家族とともに越してきた家は開拓された住宅地の中で不自然に一軒だけ屹立していた。 小学4年生の僕は幼少の頃より不可解な胸のざわつきに悩まされている。なにか恐ろしいことが起こる前兆として表れるその症状が家に近づくにつれ酷くなってゆくのを感じる。そして引っ越してから数日後、山に棲んでいるアレが家にやってきた。 家シリーズの2作品目で少年を主人公に新たに越してきた家での怪異現象と対峙するという点で共通している。少年が家族を守るために立ち向かうストーリとしては面白いが、肝心の怪異の謎については一貫性がなくちぐはぐした終わりになっていると思う。前作に比べ完成度はちょっと低め。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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設計段階で終わってしまった幻の蒸気機関車。それを現代に再現し、実際に中央本線で走らせる。 玩具会社コハダトーイが仕掛ける一大計画。「虎鉄」と名付けられた列車は世間の注目を浴び出発地である東甲府駅を発進した!!しかしその裏では或る者の遠大の計画も同時に始まろうとしていた・・・。 ユーモアを超えてギャグ、そしてギャグを超えてバカになってしまったミステリー。霞さんのバカミスは最後まで行くとバカなのに道中は割と凄惨に殺人事件や社会情勢を描く。そして今回はその真面目に書き上げた描写というのが裏で進められていた大仕掛けに大きく作用してくる。たまにこういう変なのが欲しくなるのよ。 |
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安槻大学のあの4人が大人になって登場!! 匠千暁シリーズの短編集です。高校教師になったボアン先輩や結婚したウサコなど4人の将来に触れられるのが嬉しい。 そして一番の謎はなぜかこれだけ祥伝社文庫だ。 |
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とある会社の温泉親睦会の最中、ある女性社員が転落死する。どうやら会社内のある噂話に起因しての死らしいが・・・。会社内の自称探偵・深水が調査に立ち上がった!! 徳間文庫から改題、復刊された「秘書室の殺意」を読んでの感想です。今まで天啓とか模倣とか抽象的な言葉で改題されてきたのに今回はなぜか秘書室をそのまま採用してます。思いつかなかったのかな。 内容はすごく地味、舞台、動機、トリック、どれをとっても会社内の一部署のお話に収まっている。 |
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「お前は記録世界の住人だ」
男子高校生・堅書直実は未来からやってきた自分にそう告げられる。この世界は現実世界を正確に複写した記録世界なのだと言うのだ。未来の恋人・瑠璃を救うために記録の書き換えに奔走し始める二人。未来の自分という最強の教科書を手に入れた堅書直実は内気な自分を変えてゆく、しかし記録の改竄の代償は確実に二人に迫っていた・・・。 一応映画の原作本とはなってますが映画の方が先にあるんですね。知らずに買っちゃった。 SF×恋愛青春ということで本作はあくまで記録世界のお話、現実に対して精巧に作られたコピーの世界の物語。現実が先にあるのだから、いくら記録を後から変えても意味ないんじゃないの?と当然の疑問が残りますがそこは野﨑まどらしいオシャンティーな動機があるのですよ。 個性的なキャラのテイスティング、仮想世界の中での恋愛というテーマ、そして終盤のひっくり返しと概ね満足な出来ですが、未来の技術を扱ったシーンや後半のアクション部分は素直に表現不足、ここら辺は映像化で一気に解決する所だから映画を見ていると全然感想は変わってくるとは思います。 |
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身代わりの代わりは身代わり。 安槻大の牢名主ボアン先輩こと辺見祐輔を中心に行われるいつもの飲み会。そこにあの三人がいないことを除いていつもの風景だったが飲み会の帰り道でメンバーの一人が腹を刺されて死を遂げる。また別の場所では小説「身代わり」を残した女子高生が何者かに殺害されていた。その女子高生の傍には警官の遺体もあったが二人の死亡推定時刻は4時間の開きがあって・・・。 無関係の事件は一体どのように収束していくのか、すべてのパーツが出切ったとき、あのコンビが復活。 「依存」よりそこそこ長い時間をかけて復活しました匠千暁シリーズ、現時点で最後の長編ですね。今回は男から見た女、そしてその逆、西澤保彦氏によく見られるジェンダー理論が散りばめられた中で犯人は一体どんな心情で犯行に及んだのでしょうか。確実に言えるのは一般人が人を殺すなど真面な心理状態には無いということですね、ましてやそれが恋愛が絡むものなら猶更。 |
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「 酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた。」二つの事件で同じアリバイを主張する重要参考人の謎、高校時代のタカチが辿った悲運。二年後、タクチが述べる真相とは・・・。 シリーズ5作品目。タカチの高校時代の話ですね。今までの酩酊推理合戦から一転、青春小説のような苦みのあるストーリーに仕上がってます。 |
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自らをコンクリートに閉じ込め、まるで石像のような自殺を遂げた作家・藤井陽造。傍らの空き瓶からは<メドゥサを見た>との謎のメモ書き。陽造の娘・菜名子の婚約者である私は不可解な自殺の真相を求めるが、その先にはある集落での事故が大きく関わっていた・・・。
久々に何を言ってもネタバレになりそうな危うい作品に出合ったな。 「メドゥサを見た」と残し死んでいった作家先生の原稿を追い求めるうちに主人公の私は過去のとある事件に真相を見出そうとするが、そこに関わっていたものは謎の怪死を遂げていた。やがて主人公の身にも超常現象のような不可思議な出来事が襲い始める。本作の謎は何故藤井陽造氏は自身を石に見立てるような自殺を遂げたのかということだが、その謎が終盤トリッキーな方法で示される。ホラーでありSFでもあり、ミステリーでもある上で特定の枠にとらわれない井上氏らしい作品だったな。 |
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超能力による密室生成!? ワンマン社長宅での新年会に招かれた社員4人。ふしぎな力により脱出不可となった空間で突然現れた社長の遺体、いったい誰がエスパーだったのか?超能力者問題秘密対策委員会、略してチョーモンインの相談員、神麻嗣子登場。 西澤保彦氏の匠シリーズに並ぶ長編シリーズ神麻嗣子シリーズの一作目ですね。正確には後に書かれる短編が時系列的には先行するのですが、本作から読んで問題ないでしょう。西澤氏お得意のSFものであり、犯人捜しよりも超能力の正体及び使用者を求めることを目的としている。主人公たちが事件の当事者ではないので、事件を事後捜査する推理合戦ものでもある。人格転移のようなリアルタイム進行のストーリーを期待してたのでそこはちょっと残念。 |
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サークル<あかずの扉>研究会に入会した僕。そこには複数の探偵と超能力者、鍵師とミステリの掟を破るような連中たち。一行は行方不明となった女子高生を探すために山奥の流氷館へ、分断された彼らの前にはドッペルゲンガーのように同じ間取りの建物が・・・。 第十二回メフィスト賞受賞作。デビュー作でメフィスト賞とるような作品はもうコンテンツもりもりといった感じ。正直、ここまでキャラクターが多い必要はいまいち分からない。ラストの冗長な謎解きももっとすぱっと解決できないものか。スローテンポで無駄な描写が目立つ作品。 |
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宝石強盗を終え山道を走る一台の車。土砂崩れに会い車は大破、メンバー六人のうちの一人が命を落としてしまう。近くの民家で急場を凌ごうとするがそこに住む住人は殺人を厭わない頭のおかしい連中たち。宝石の在り処と脱出方法を模索していくうちに宝石強盗たちは奇妙な違和感を覚える。 「俺たちは五人だった。今は、六人いる」 宝石強盗のうちに紛れた六人怪異の正体を探るという非常にそそられる内容。とは裏腹に読者側から怪異が誰かを論理的に推理することは出来ないと思われる。全体的に見るとホラーにかなり振られた作品で粗筋を読んで推理小説を期待するとかなり損。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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那々木悠志郎に指名され担当編集になった久瀬古都美は彼が初めて邂逅した怪異についての原稿を受け取る。その原稿は呪いの木の下に写真を埋めることによって呼び出される「崩れ顔の女」を小学生の篠宮悟と作家・那々木悠志郎が追っていく物語だった。読み進めるうちに久瀬の周りにも現れる崩れ顔の女・・・。担当編集に指名され、この原稿を渡された真意とは・・・? 那々木悠志郎シリーズ第三弾、先生が初めて遭遇した怪異の原稿という作中作とそれを読み進める担当編集者の二つのパートで物語は進んでいく。やがて現実世界に原稿の中の怪異の影が見え始めるという不可思議な展開、怪異の道理を知れば現象の正体も見破れる。今回も秀逸 なホラーミステリでした。 |
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「アルキメデス」という言葉を残して死んでいった女子高生・美雪。彼女の死の真相を握る級友たちは大人たちの追及を嘲笑うようにかわしていく。クラスメートの弁当に紛れた毒、ある男の失踪、いずれの事件にも柳生という生徒が関わっているようだが・・・。 昭和47年の学園を舞台に若者の未成熟な友情と世間への反抗を示した青春推理小説。 1972年の江戸川乱歩賞、高校を舞台に人の死の真相を扱った青春ミステリーの先駆けといえる作品ですね。とはいえその青春は現代とはとても似つかないような内容となっています。解説に「青春悪漢小説」と述べられている通り、この作品に出てくる高校生たちはアウトローで小生意気で大人への敬意を知らぬ未成熟な若者です。当時はSNSは勿論、携帯の普及もない時代なので若者たちのストレスや主張は直接的な言動や行動によって示すしかないのでしょう。それが正解なのか不正解なのはさて置き、おそろしく行動的で危なっかしい青年たちが事件の中心陣取っています。一方で追及する側の大人たちはというと極一部を除き、まともな大人たちなのでさらに青年たちの生意気さを際立たせています。 物語の謎が氷解した後に残る若者たちへの印象は「分からない」、「理解できない」という意見が多いと思います。それは作中の刑事もそう感じている通り作者も納得づくの計算、本作はそんな得体の知れぬような不安定な若者像をあえて表現していると感じます。 |
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「あの、失礼ですけど、アヤコさんではないですか?」 見知らぬ女性にそう話しかけられた香奈子。由子と名乗る相手はどこかおかしい・・・。まるで人格が複数あるような・・・。 同じ頃、大学生の根本は引きこもりの妹・亜矢子の異常行動を目撃する。話し掛けた妹の口調は昔のそれとはまるで違っていた。まるで人格が複数あるような・・・。 多重人格をテーマに、香奈子と根本の2人の視点で物語は進む。やがて2人の周りで殺人事件が起こり目の前の多重人格者?に疑いの目を向ける。 タグにイヤミスとある通り、絶望的に救いのない話になっている。ミステリーであり、当然謎解きや伏線もしっかり張られてるのだが、それ以上にグロテスクで悲惨な描写が目立つ作品になっている。真相が明らかになったことで心が晴れたり、前に進めた人が皆無な作品も珍しい。人を選ぶ作品なのは間違いない。 |
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タックとタカチが初めて会った去年のクリスマスイブ、ボアン先輩に振り回されるまま行われたプレゼント交換、一人の女性が身を投げたその日から一年後に再び身を投げたのは僕らの友人だった。 クリスマスイブの日に起こった3つの身投げの真相を今回はタカチメインで探求していく。前作は酒を交えたかなり軽いミステリーだったのに対して、本作は家族関係の醜さをタカチの過去にも触れながら解き進める非常に重いミステリーになっている。ボアン先輩とウサコには常に笑っていてほしいものである。時候を意識したけどクリスマスに読むような本じゃなかったね、甘いケーキでも相殺できないくらいビターな結末なので。 |
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