メタボラ

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メタボラの評価:

4.32/5点 レビュー 96件。 C ランク

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平均点4.32pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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未読の方はご注意ください

全102件 61〜80 4/6ページ
No.42
(5pt)

どこかに連れて行ってくれる小説

2人の訳ありニートの過去と現在を交錯させながら進んでいくロード小説。
主人公が男のためか、同時期の他作品と違う位置づけにしたかったのか、桐野夏生らしいエログロは少ない。
あまり考えたくはないんだけど、他作品のように「エログロを呑み込んで更に逞しくなっていく女性」的な生命力は感じず、男って「死に向けて行進する存在」と桐野さんが定義づけているようで怖いです。
なにかのインタヴューで彼女が語っていたように、ちょうど派遣地獄的な社会問題がクローズアップされた時期に発刊されたので、そういう括りでこの作品が話題になった側ところがあるのですが、社会問題を取り上げて話題作りしたというよりも、現在的な男性性の文脈を探していたらそこに行きついたという感じで、嫌味は全くありません。
エログロジェットコースター的な盛り上がりが上滑りする時期(東京島とか)から、引き算をしながら作品を成立させることに成功していると思います。新たな変容の可能性すかね。
しかし、いつもながら、読後に読む前よりも違ってる自分に気付かせる小説が書ける桐野さんはすごいな〜と思わされます。
現在そういう書き手はいないでしょう。
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.41
(5pt)

沖縄の青い空・海 そして 重いテーマ

最近、桐野夏生ファンになった私は、ついに文庫をすべて読み終えてしまい、このぶ厚く重い『メタボラ』を読むことになった。
カッコに標準語の意味を書いていてほしかったと本気で思ったくらい、「オゴエッ(うわっ)」「ズミズミ(とてもとても)」「ゆんたく(おしゃべり)部屋」「フラー(馬鹿)」といった、連発する聞いたこともない言葉がたくさん出てきて、最初は非常に戸惑った。でもそれだけ、沖縄、離島の宮古島が独自の文化を持った地域ということを感じることができた。
記憶喪失の無一文で、ひたむきに生きようとするギンジ、そして宮古島の青い空と美しい海に囲まれ、経済的に恵まれた環境で育ったアキンツ。対照的な2人の生き方や考え方は異なるが、2人が抱える葛藤(ギンジは家族に手をあげる父親、そこから子どもを捨てて逃げてしまった母親、新しい人生のスタートを切った順応性の高い妹:アキンツは好きなのに振り向いてくれない元同級生の愛、愛のことをデリヘル嬢にしても平気なギンジへの憎悪、自分を大切にしてくれないギンジにいつまでも執着している愛、そしてそんな愛に囚われている自分など)、共感できる部分はたくさん描かれていた。
桐野作品を読んできて、読後、初めて涙が流れた作品だった。ピュアで素朴なアキンツが好きだったし、「磯村ギンジ」として新たな人生を切り開いたギンジにも今度こそ幸せな生き方をしてほしかったので、このラストは本当に悲しかった。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.40
(5pt)

ギンジとジェイク

最近は桐野夏生さんばかり読んでいる。「メタボラ」以外の数作品を読んだだけでも、桐野作品の女性陣は強かさを持っているのだなと分かる。 桐野さんの小説を読んで他の作家と違うと思う点は、私の読書傾向からもよるのであろうが、登場人物が易々と「いい人」に流れていかないという点である。どこまでいっても、人間臭い毒の持続を失わない。それが、読んでいてもアクセントにはなりこそすれ邪魔にはならないのが、やはり作家としての技量なのかなあと思ったりもする。というか桐野作品の場合、毒が要でもあるのだろうけれども。 さて、「メタボラ」。主な舞台が沖縄で、主人公的と言える人物は二人。 沖縄というと、優しげな人ばかりというある種の偏見があったりするのだが、そこは心配ご無用桐野作品、という感じでもある。例えば、主人公間であってもすぐにお金を貸さない。例えば、不細工より美人へ移る情のほうが大きい。など、作品世界を構成する価値観というものにも細やかな神経が配られていると言ってよい。そういうところから受ける刺激が、病みつきになる一つの原因であろう。 ……また話しがずれ込んだ。「メタボラ」、読み終わってから私は泣いた。レビューによっては、希望が見えたと書いている方もおられたが、私はどうしてもラストで逼迫を感じられて仕方なかった。長編だからこそなのか、長く関わった主人公たちがやけに心に残った。短編小説とはまた違った、桐野さん独特の疾走感で後半は本当に夢中で読んだ。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.39
(4pt)

ストーリーを持つ中国人労働者

結構いいテンポで読み進めることができて面白かったです。
桐野さんにしては性的描写って全然なかったです。
印象に残ったところ。
後半でとある工場にて働く中国人労働者。同じ場所で働く日本人は休憩しているのに、彼らは休まない。
自らすすんで残業をこなす。創意工夫して仕事の能力を磨きあげている。
時給が日本人よりも低く設定されているということもあるが、
彼らには日本で稼いで家族を養うという使命、つまり劣悪な労働環境の中でも、
頑張っていけるだけのストーリーを持っている。
同じところにいる日本人労働者との一番の違いはそこなんだろう。
一昔前だと日本でも「金の卵」という言葉があったように、
労働にストーリーがあったように思います。
日本という国が成長して成熟したという事なのかもしれません。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.38
(2pt)

物足りなかったです!

『桐野夏生が新境地に挑んだ最新長編小説』
と言う紹介文を読んで楽しみに手に取った1冊だったけれど…
桐野作品は全て読破しているけれど個人的にこの作品は苦手な部類です。
沖縄を拠点に置き数々の方言・記憶喪失・ネット自殺・ボランティアetc
様々な要素が溢れているけれど、それらがまとまっていない感じ。
読後感もなんだか今ひとつかな…
やっぱり桐野作品は女性を中心に描いて欲しい。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.37
(5pt)

自殺願望の若者の心境が理解できるかも、結末はでも?

心の闇を描き続ける著者が、自殺を試みるまで心に深い挫折感、絶望感を負った若者を描く。「リアルワールド」では、自殺する少女を描いたが、あまり内面にまで迫れていなかったと思う。本作では、努力してもどうにもならない状況に追い込まれた(それは今では特異な状況ではなくなっているのだが)若者像を描くことに成功している。
但し、結末がどうにも納得できない。(以下ネタバレ注意。)どうしてギンジはジェイクをすぐ病院に連れて行かずに、海に出て、ジェイクを死なせてしまうのか。最後は、まるで真夜中のカウボーイのような、ロードムービーみたいになっているけど、何故助けないのか。ギンジが警察と係わるのを避けたのだとしか思えず、救いのない闇と作者の毒を感じた。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.36
(1pt)

なんだこの終わり方・・・

物語の序盤から中盤は、息つく暇も与えないほどの力量で読ませてくれるものの、
終盤に差し掛かってからは「え、あと○○ページしかないのに、どうやってこの状況をまとめるんだろう?」という不安のほうが先にきてしまった。
で、終わってみたら、なんだこれ?という感じ。
まさに「置いてけぼり」という感じがぴったり来る読後感。
なんじゃこりゃー。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.35
(3pt)

面白かったけれど

一晩で読みきってしまうほど面白かったけれど
読み終えて感じたのは虚無感みたいなものだけだった。
ラストが、本当にあそこで終わっていいの?という感じ。
ただひたすら鬱にさせられただけで、むしろ不快感が沸いてきた。

桐野さんは、作中の人物に愛情を持っているんだろうか?
ただ時事的なネタをのせるためだけのコマのようにでなく
主人公に愛情を持って、少しでも希望を抱けるようなラストにしてほしかった。
こんなひどい時代だから甘いことは書けないというのは分かる。
しかし、偽装請負や沖縄など、色々な時事問題を取り上げるのなら
中途半端にたくさん盛り込むだけで、
何の解決策も見出させないまま、どんどん次へ次へ、というのは、
要するにただ話題のネタを扱って、注目させればいいと思っているだけのように
感じてしまうのだ。非常にマスコミ的というか。

ただの娯楽作品として読むとしても、あの終わり方は納得がいかないし。

個人的には、非常に消化不良な作品だったと思う。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.34
(5pt)

期待通りの快作・力業です

さすがキリノ!
「東京島」からさかのぼってこの本にたどり着きました、あばーなんとなんとすばらしい快作ばーよ。壊れゆく家族の肖像、ネオ蟹工船ともいわれる派遣仕事の救いのなさ、ネット自殺、ホストクラブの世界、癒しの楽園と裏腹な沖縄の真実・・・現代の日本の問題点について詳細なレポートを何十部も読んだような充実感があります。しかもそれぞれのエピソードは重層的に渦巻いて、章ごとに語り手が変わっても、一つ一つの小道具の位置から光の加減まで変わらない緻密に計算され尽くした世界を堪能いたしました。これこそキリノワールド!。最後に慈叡狗ことアキンツが冷たくなっていくシーン・・「真夜中のカウボーイ」をちょっと思い出しました。
星が5つまでしかあげられないのがくやしいくらいです。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.33
(4pt)

ぐいぐいラストまで引っ張ってかれる

主人公の男の過去が気になって、決して楽しい話ではないのに、いやむしろ、だんだんつらくさえなってくる話なのに、ラストまで一気に読まされてしまった。自分がイメージしていた、リゾート・アイランドとしての沖縄と、この本に書かれている生活する土地としての沖縄のギャップが悲しく、消化しきれなかった。しかし一番つらかったのは、主人公の家庭。親は選べないと言う。じゃあ、その運命をどうすれば…?というところには全く触れていない。そういうことではなく、現在の若者の姿を描くことにより、社会構造の矛盾や、理不尽さを浮かび上がらせたかったのだろうということは分かるのだが、ここまで辛い話に付き合わされ、誰にも感情移入できず、何か素晴らしい啓示が得られるでもなく…疲労感、絶望感だけが後に残ってしまった。何か、もう一歩踏み込んだ何かがあれば…。環境をどうすれば…という部分で、最後に力のある強い結論が欲しかった。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.32
(5pt)

搾取される若者

沖縄を舞台として、方や仕事をしっかりこなしていくタイプ、もう一方がそれとは反対に女好きで自分の思うように生きようとするタイプの、正反対の二人の青年の生き様が描かれている。そこからは、上の世代の大人たちのよって振り回され、搾取される若者像が浮かび上がってくる。いくら真面目に働いても、あるいは好きなように生きても、大人たちによって人間を破壊されている、という強烈なメッセージが伝わってくる。
そうなったのは誰の責任なのか、その怒りをどこに向ければよいのか、破壊されつつも、怒りの矛先がわからずに、口を封じられていく様は見事に描かれている。沖縄という舞台も、本土の人間と沖縄の人間の認識の違いが浮かび上がらせることによって、日本本土の人間像がくっきりと浮かび上がっているのに役立っている。そこでも、本土の人間の人間性が失われていることを暗に浮かび上がらせている。
格差社会、経済問題の人間に及ぼしている影響が、具体的にどのような人間を作り、また人間を追い込んでいるか、強烈に浮かび上がらせている。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.31
(3pt)

気力を殺がれる、しかし

相変わらず、遠慮なく厳しく痛い世界を描ききる。
こんなに暗いのに途中で放棄することが出来ない。
残酷なシーンの続く映画なら、きっと観るのはやめるのに
桐野作品の残酷さや暗さは途中で放棄出来ない魅力がある。
最後まで読んでも救いがないこともわかっていて、それでも期待し、割と厚めの本ながら
一気に最後まですすませてくれる。
波長が合うのだろうか?
こんなに中盤から後半にかけて読む速度が一気に加速して、手放せなくなる。
何に面白さを感じるのか、本当によくわからない。
自分には絶対に出来ない世界で彼らは生きている。
そんな憧れがあるのかもしれない。
ボロボロで不自由で、希望もほとんどなくて、息苦しい世界。
どこかで、羨ましいのだ。
だからかなあ。
しかし読了後の数時間私はなんともいえない暗い空気に包まれた。
そんな空気に包まれたい方にはおすすめです。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.30
(4pt)

住み込みの工場の話だけでも、十分に読む価値あり

記憶喪失になった男。
その記憶の片鱗はわりと早い段階でわかるのだが、
そのすべてが思い出されるのは、物語の終盤になってからである。
私個人としては、一番最初の、主人公と昭光が
コンビニで知り合った女の子の家にころがりこんだ時の話と、
終盤の、主人公が柏崎の工場に住み込みで、
集団で働きに行った時の話がとても面白かったと思う。
住み込みの工場での生活。
彼はその時に初めて、
見ず知らずの他人と生活を共にすることの
精神的苦痛と悲惨さを知るのだった。
あれほど忌み嫌っていた父。
あんなにイヤだった父との生活を思い出して
「これなら、父と暮らしていた方がずっとマシだった」
と思わせるほどに。
やっと一筋の光明のように新ルームメイトの木村が現れたが、
それも束の間の夢でしかなかった。
この工場の中での話だけでも一冊の小説になり得る程に、
充実した内容になっている。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.29
(3pt)

前半は長い、後半はリアルで引き込まれる。

前半は沖縄で記憶喪失になって、地元の昭光と出会う若者。昭光からギンジという名前を与えられる。そこから自分がだれかわからないままギンジは沖縄で生活するが、正直長すぎた。途中で読むのやめようとしたくらい。でも後半、記憶を戻したところから一気に読んでしまった。壊れてしまった家族関係、請負で低賃金で働く、その後絶望して集団ネット自殺をするという話。あまりにもリアルでこわいくらいだった。壊れてしまった父の描写を読んだ日の夜はは悪夢をみたくらい。請負で働くあたりは、私は経験はないものの、「日雇い派遣グッドウィル、フルキャストで働く」で読んだグッドウィルの派遣労働者の告白そのものだった。そういえば、桐野氏は「OUT」で弁当工場の描写も生々しかったが、社会の暗部を切り取るのが得意な作家だと思った。この作品は後半を中心にするために、前半をもっとコンパクトにしたらもっとよかったと思う。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.28
(4pt)

ずみずみ

それにしても桐野夏生は、リビドーに突き動かされる人間
を描くのがとてもうまい。この小説でも、ギンジとアキンツ
という対照的な2人が活き活きと描写され、行間からは彼らの
吐く息すら匂ってくるような気さえした。
社会の底辺で生きることの悲哀をテーマにしているが、
舞台が沖縄ということもあるせいか、明るく眩しい青春映画
を見ているような気分になる。宮古弁が実に効果的だ。
悪く言えば中途半端、良く言えば余韻の残るラストは心に沁みた。
新たな旅立ちを遂げた2人はあの後どうなったのか、とても気になる。
是非とも続きが読みたいのだが・・・・。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.27
(5pt)

自分探しの暗中模索

舞台は沖縄で、沖縄特有の文化が散りばめられている。
主人公である記憶を無くした「僕」と、周囲の人物は、全員がより良い自分を求めてもがいている。
登場人物それぞれには、それぞれの事情があり、時に壮絶ではあるが、いちいち共感出来る部分は多い。
主要登場人物は、魅力たっぷりだ。
当初、非常に謎めいている「僕」や、あっけらかんとしたアキンツには、愛着を持てる。
アキンツが話す、郷里の言葉も、良い響きがある。
著者の作品の常であるが、作品を支配する独特な世界観は、明るいものではない。
むしろ、絶望感を、これでもか、これでもかと提示してくる。
そんな世界に、長時間酔える、長編作品だ。
また、著者の作品の成り立ちは、層を次々と積み重ねるタイプの、独特な印象がある。
それは、綿密にプロットされた推理小説などとは対極をなし、その部分も、良い意味で新鮮だ。
若者たちが、自分自身を求めて、暗中模索を繰り広げる。
否、のたうちまわる、と形容したい。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.26
(4pt)

少年から青年になる時の味わいが、きちんと表現されていた完成度の高い小説

最初から最後まで、丁寧できちんとした感触のある小説で、良質な娯楽だった。600Pというとても厚い本なのだが、さらっと一気に読めてしまった。
少年と青年の成長過程が丁寧に構築されていて、楽しいような、甘酸っぱいような、哀しいような。
そうした複雑にからみあった10代後半から20代前半の味わいがきちんと小説の中の世界に表現されていて、その世界観に感動した。
新聞の連続小説はほとんど無視しているのだが、連載をきちんと追う形で読んでみるのもいいかなと思わされた。
筆者の本ははじめて読んだと思うのだが、少し追いかけてみようと思った。
小説というものの性質もあるし、再度読みはしないと思う。しかし、良質でお勧めできるので星は4つに。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.25
(4pt)

アキンツかっこいい!

桐野ファンの私は、アキンツが今までの桐野作品の中で
一番好きな男性キャラクターになりました。
アキンツがかっこよくて、考え方などに共感でき、
読み進めるのが楽しかったです。
ただ、銀次との絡みがもっとほしかった、というのはあります。
二人がばらけて行動を始める構成はいいとしても
再会の場面でアキンツがぼろぼろでは・・・
でも面白かったですね!
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.24
(4pt)

若者たちはどこへ向かうのか

舞台は沖縄。
物語は逃亡してきた2人の若者の出会いによってはじまる。
一人は記憶喪失の男。
そしてもう一人は全寮制の職業訓練所のような施設を飛び出してきた昭光。
それぞれの視点から語られる沖縄と現代の若者の問題を描きます。
沖縄の政治問題、DV、集団自殺、低賃金で働く外国人労働者、
ニート、ワーキングプア、派遣社員の現状など
現代の日本が抱える様々な問題をたくさん絡めてあり、
グイグイ引っ張られるような吸引力がある。
でも、やや詰め込み過ぎな印象です。
そこへ沖縄のうだるような暑さが襲い掛かかり、
ジリジリと焼けつくような作品です。
中でも私にとって最も印象深かったのは
本土から移住してきた人と、
もともとの沖縄住民との「沖縄」に対する思いの差。
両者とも沖縄を愛しているのに変わりはないのに、
どうしても越えることのできない壁がある。
この温度差を埋めるにはまだまだ長い年月がかかるのでしょうね。
何人かのレビュアーさんはこのラストに救いや希望を感じたと書いているけど、
私はそうは思わない。
記憶喪失というゼロの状態から自分を見つけていったギンジ。
すべてを思い出した時の葛藤、そして最後の選択・・・。
彼の未来に果たして希望はあるのでしょうか。
このラストには彼のような若者には、
悲しいけど抜け道がない現状がはっきり描かれていると思うのですが・・。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.23
(3pt)

ちょっと散漫

視点が交差して書かれるのは、よくある手法だと思いますが、あまり有効に効いているように思えませんでした。バランスも悪いし。この視点の入れ替わりは、趣向に終わっていて、必然性があまり感じられませんでした。ストーリー的にも、人間描写的にも。
 主人公が昭光にあれほど惹かれることにも、あまり説得力は感じられませんでした。後半の記憶の復活や選挙運動の始まりなどになると、どうも話が散漫になるようで……。
 ただ、柏崎の工場や寮の過酷さや、昭光の勤めホストクラブの様子などは、とてもリアルに書かれていて、楽しめました。あのあたりをもっともっと深く描きつくしてほしかった。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797