メタボラ

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メタボラの評価:

4.32/5点 レビュー 96件。 C ランク

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平均点4.32pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全102件 41〜60 3/6ページ
No.62
(5pt)

したたかに生きること

桐野夏生の作品は
本作と「グロテスク」「東京島」しか読んでいないので
確かなことは言えないのですが、
この人のテーマは、一貫して
「したたかに生きること」なのかと思う。サバイバル。

したたかに生きていくうえでの滑稽さ、醜さを描いて
そのことがいつしか
人間(現代人)への畏怖と信頼にまで高められていく。

「デストロイ」「イエローランプ」の2章が
「グロテスク」における「和恵の手記」に相当するのだが
みなさんが絶賛するように、鬼気迫るほど、圧巻です。
桐野節炸裂です。

私は沖縄人なので、登場する沖縄の地名、地域は
日常的によく知っているのですが、
沖縄の土地勘と描写が驚くほど正確で驚きました。
著者はかなり長く滞在して取材したと思われました。
(事実はどうか知りませんが)

それにしても、桐野夏生にとって中国人とは何なのだろう?
私にとって1つの謎である。ぜひ本人に聞いてみたい。
メタボラ (文春文庫 き 19-23) Amazon書評・レビュー: メタボラ (文春文庫 き 19-23)より
4167920115
No.61
(5pt)

したたかに生きること


桐野夏生の作品は
本作と「グロテスク」「東京島」しか読んでいないので
確かなことは言えないのですが、
この人のテーマは、一貫して
「したたかに生きること」なのかと思う。サバイバル。

したたかに生きていくうえでの滑稽さ、醜さを描いて
そのことがいつのまにか
人間(現代人)への畏怖と信頼にまで高められていく。

「デストロイ」「イエローランプ」の2章が
「グロテスク」における「和恵の手記」に相当するのだが
みなさんが絶賛するように、鬼気迫るほど圧巻です。
桐野節炸裂です。

私は沖縄人なので、登場する沖縄の地名、地域は
日常的によく知っているのですが、
沖縄の土地勘と描写が驚くほど正確で驚きました。
著者はかなり長く滞在して取材したと思われました。
(事実はどうか知りませんが)

cf.それにしても、桐野夏生にとって中国人とは何なのだろう?
私にとって1つの謎である。本人に聞いてみたい。

メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.60
(5pt)

青春小説として読もう -ギンジとジェイク-

桐野夏生、
力強い物語を書かれています。
本書「メタボラ」は、
沖縄を舞台に、
記憶喪失の青年ギンジを主人公に、
最愛の友人ジェイク、「安楽ハウス」の人々等、
癖の強いそして我々の身の回りにいそうな登場人物が、
日常に絡めとられていく姿を描いていく。

ギンジの記憶が戻る辺りから、
一気に物語が動き出し、
ページをめくる手がとまりません。
ギンジの過去に対峙する恐れや苦悩がリアルに迫ります。
それは微かに再生の色を帯びており、
ポジティブに読めます。

ジェイクのどこかユーモラスな生き様は、
単純に気のいい悪党ということではなく、
若さの儚さも感じさせます。
爽やかです。

最後のギンジの選択が心に余韻を残す、
唐突と言っていい終わり方は、
心に悲しく迫ってきます。

現代社会の若者の疎外を描いた等、
解釈、深読みは色々可能です。
とは言え、
本書は青春小説として読むのが一番正しいはず。
ホントに面白い小説です。
メタボラ (文春文庫 き 19-23) Amazon書評・レビュー: メタボラ (文春文庫 き 19-23)より
4167920115
No.59
(5pt)

青春小説として読もう -ギンジとジェイク-

桐野夏生、
力強い物語を書かれています。
本書「メタボラ」は、
沖縄を舞台に、
記憶喪失の青年ギンジを主人公に、
最愛の友人ジェイク、「安楽ハウス」の人々等、
癖の強いそして我々の身の回りにいそうな登場人物が、
日常に絡めとられていく姿を描いていく。

ギンジの記憶が戻る辺りから、
一気に物語が動き出し、
ページをめくる手がとまりません。
ギンジの過去に対峙する恐れや苦悩がリアルに迫ります。
それは微かに再生の色を帯びており、
ポジティブに読めます。

ジェイクのどこかユーモラスな生き様は、
単純に気のいい悪党ということではなく、
若さの儚さも感じさせます。
爽やかです。

最後のギンジの選択が心に余韻を残す、
唐突と言っていい終わり方は、
心に悲しく迫ってきます。

現代社会の若者の疎外を描いた等、
解釈、深読みは色々可能です。
とは言え、
本書は青春小説として読むのが一番正しいはず。
ホントに面白い小説です。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.58
(3pt)

ちょっと・・

色々な、社会を織り込もうとしすぎていませんか?
ちょっと、人物に無理があるように思います。
沖縄だから・・という意識が強すぎるのでしょうか?
メタボラ (文春文庫 き 19-23) Amazon書評・レビュー: メタボラ (文春文庫 き 19-23)より
4167920115
No.57
(3pt)

ちょっと・・

色々な、社会を織り込もうとしすぎていませんか?
ちょっと、人物に無理があるように思います。
沖縄だから・・という意識が強すぎるのでしょうか?
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.56
(5pt)

生きづらすぎる国

桐野夏生の何がいいって、
この歳になっても若者の立場に立ってものを書いてくれるところです。

ふつう50を過ぎて、しかも社会的成功者ともなれば、大人・権力者側に立った発言が多くなるもの。
なのに若者の苦しい胸の内を、ここまで的確に代弁してくれるなんて…。

いや、訂正。
若者側に立ってというより、弱者側に立って、ということかも。

桐野さんが成功者になってもこれを続けていられるのは、桐野さんが女性だから、というのがあると思う。
主婦作家とか、女のくせに、みたいなことを昔さんざん言われてきて、辛酸をなめてきて。

女性は人口の半分もいるのに、この国ではマイノリティ、被差別者です(それは労働待遇を見れば明らかなこと)。
でもだからこそ、こういうものが書けるんだと思う。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.55
(5pt)

まさしく新陳代謝の傑作小説

冒頭いきなり記憶喪失になった主人公が現れる。彼は出会った男に名前をつけられる。彼の過去には何があったのか。解説の評論家の方が書かれてあることがたぶん正論でしょうけど、もう少し一点だけ。

 この『メタボラ』という小説は、確かに男性性社会が崩壊していく過程で、アイデンティティーにもがく男性的なポジションと、そのような社会的自我の確立を放棄したところで生きている女性的な人間との邂逅がドラマになったものといえると思います。ただ解体の側面だけじゃなく、桐野さんはこの作品でもうひとつの軸をはっきり描いていると思います。

 この小説には主人公がふたり出てきます。記憶喪失になった最初の彼に、新しい「ギンジ」という名前をつけてくれるのは、もう片方の昭光という、一見チャランポランな男です。昭光は異性を喜ばせるという女性的な仕事―ホストクラブ―に従事するのですが、記憶を失い尊厳を失った「つまり父性を喪失した」この小説の中におけるギンジは、美しい沖縄の自然の土地で、まるで母親に名前をつけられた赤ん坊のように、行き着くというより、その女性的なるものに還って行くように見えます。
 彼は新しい仲間たちとも出会います。この小説で大きく意味があるのは、男性性の女性化=大きな主体性の崩壊、と同時に、ローカルな意味合いで新たな主体性のリアリティーがまさしく描かれてあることだと僕には思えます。
 失墜していく男性性を優しく受容する場所が沖縄であり、そこは行き場をなくした孤児たちが溢れていますが、それを一種のモラトリアムととるか、再生の場所ととるかは、読み方それぞれです。この作品がユニークなのは、女性性の現実側から社会を描くだけじゃなく、沖縄を帰還としての女性的リアリティー=歴史として捕らえたことでしょう。単に取材しただけで、こういう作品を描くことはできないはずで、読み終えたあとは震えがとにかく止まりませんでした。

 この小説はかなり構造的に書かれてあるので、中盤辺りだれるかもしれませんが、最後まで読むと感動が得られるようになっています。小説は行き着くところまで崩壊の過程を描いていきます。そこは唯一本土決戦をした、基地がある楽園、沖縄です。
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.54
(5pt)

人格崩壊の果ての再生!桐野作品に脱帽!

桐野夏生さんの「メタボラ」を読んだ。

初めから、異様な情景が展開され、何故自分がジャングルの中を逃げ回っているのかも分からない主人公が現れる。

自分が誰なのかも分からない主人公はこの先どうなってしまうのだろうかという不安に苛まれるが、やがて懐中電灯を持った男と出遭う。

その男もある所から逃げて来ていた。

やがて、二人は助け合いながら逃げて行くことになる。

二人の奇妙な逃走劇も面白い。

そして、二人は別々の道に分かれて逃走することになる。

主人公は記憶を思い出したいとも思うのだが、その記憶がとんでもないものだったらと思うと思い出したくない気もする。

やがて、記憶が少しずつ蘇り、自分が自殺未遂をしていたことを思い出す。

何故、25歳という若さで自殺しようと思うようになったのか、その事実が語られる時、それなら自殺しようと思うのも当たり前だと納得する。

そんな酷いことがあったら、誰でも平常心ではいられない。

両親が壊れ、家族が壊れ、自分が壊れていた。

桐野夏生さん得意の人格崩壊が語られていく。

あまりの酷さに、自分も気が滅入ってしまう展開だ。

しかし、主人公は記憶喪失によって得られた新しい人格のお蔭で、元の人格にも打ち勝つ全能感を持ち生きて行く。

結末は、また急展開して、気を揉まされた。

今回の小説も、期待通り大きな人格崩壊が起こったが、あまりの切なさに意気消沈してしまった。

やはり、人格崩壊した結果、新しい世界が開かれて、力強く生きて行くというプラスの展開が僕は好きだ。

この話は、あまりに悲しかった。

しかし、夢中になって一気に読了した。

やはり、桐野夏生さんは凄い。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.53
(5pt)

格差社会の厳しい現実

二人のニートの若者の物語です。
二人の視点で交互に描かれており、その楽観と絶望が交差するロード小説です。

この本で作者が書きたかったことの多くは、ギンジが記憶を取り戻した追想の部分でしょう。
そこのは、凄惨な家族崩壊と格差社会の厳しい現実が描かれており、読む者に激しい痛さを与えます。
その後の選挙の部分は、ややダレた感じがあるものの、それが逆に、ほっとするものを与えてくれます。
本の帯に「未来を奪われたすべての若者たちに捧げる」と言う言葉が書かれていますが、確かに、そうしたしすてむを作り上げてしまった社会の大きな批判なっています。

エンターテイメントとして、一気に読むことも可能ですが、それ以上にメッセージ性の強い力作です。
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.52
(5pt)

ワーキングプア問題を的確に描く

『メタボラ』という表題についての説明は小説の中ではないのだが、代わりは掃いて捨てるほどいるとばかりに使い捨てにされる若者を「代謝」という言葉で表しているのだろう。

ワーキングプアの問題をこれほど生々しくえぐった文学作品はないという意味で、優れた社会派小説である。

家庭の事情で大学を中退せざるを得なかった若者が、派遣社員として企業に搾取されぬき生きる希望すら失い(この辺の描写が具体的かつリアリティにあふれている)、ネットの集団自殺を図った沖縄で記憶喪失になり、そこでフリーターの男と出会い、新たな希望と絶望を体験する。
ユートピアとして内地からの移住者も多い沖縄のきれいごとではすまない現状も冷徹な視線で描かれている。

ワーキングプアの問題は、企業に都合よく利用されていることが大きく、本人のせいばかりではないのだということがよくわかった。


メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.51
(5pt)

人生に疲れた人は是非読むべき

ジェイク視点とギンジ視点と切り替わるのだが、ジェイクが宮古弁を話す分、わかりやすくて、わかりにくい。この視点切り替えが秀逸なのはリアルワールド。桐野さん得意の登場人物別感情。選挙のところで少しダレるけど、最後にきれいにまとまる。さすが、と思わせられるのは、ギンジが記憶を取り戻し、平凡な家庭から、家庭崩壊、集団自殺未遂まで転落していくところ。まるで、桐野さんにギンジが憑依してきたかのごとく、書き進められている。ここがすごかった。この本を読んでだらけた、自分の日々生活に活をいれられた。桐野作品の中でも秀逸ではないだろうか。
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.50
(5pt)

人生に疲れた人は是非読むべき

ジェイク視点とギンジ視点と切り替わるのだが、
ジェイクが宮古弁を話す分、わかりやすくて、わかりにくい。
この視点切り替えが秀逸なのはリアルワールド。
桐野さん得意の登場人物別感情。

選挙のところで少しダレるけど、最後にきれいにまとまる。

さすが、と思わせられるのは、ギンジが記憶を取り戻し、
平凡な家庭から、家庭崩壊、集団自殺未遂まで転落していくところ。
まるで、桐野さんにギンジが憑依してきたかのごとく、
書き進められている。
ここがすごかった。

この本を読んでだらけた、自分の日々生活に活をいれられた。

桐野作品の中でも秀逸ではないだろうか。
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.49
(5pt)

生粋のエンタテイメント

家族離散、雇用難民、偽装請負などの難しい言葉が書評に並びますが、何のことはない、生粋のエンタテイメントでした。
上巻初めは、何の話かよくわからず、ページが進みませんでしたが、中盤から主人公と対役の人間味あふれる描写にどんどん引き込まれていきました。特に対役の宮古出身ジェイクが魅力的で、もし映画化したら、誰がどの役にぴったりかと考えるだけでも楽しくなりました。「東京島」と並ぶほど好きです。
メタボラ(下) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(下) (朝日文庫)より
4022645555
No.48
(5pt)

戦記

ネグレクト、DV、派遣労働、沖縄、記憶喪失、性、自殺。盛りだくさんの内容なのでいろんな切り取り方ができる作品だと思う。わたしは沖縄の戦争を生きた老人の言葉から、「今日本で起きている戦争」を描いていると思った。毎年小さな町1つ分にあたる3万人という人が自殺していくこの国で起きていること。それはまぎれもなく、戦争と同じだ。戦場で敗れていく若者たちを描いた戦記だ、という感じがぴったりくるような気がしました。
メタボラ Amazon書評・レビュー: メタボラより
4022502797
No.47
(4pt)

ステレオタイプな不幸

ゲストハウスに転がり込んだギンジとホストになったジェイク.
それぞれが虚構の人生を軌道に乗せたかに見えるところから下巻はスタートする.

2人の新生活が次第に綻びを見せ始めるプロセスはなかなかに面白い.
とくにギンジのパートはそれぞれの登場人物の思惑や,微妙なムードが丁寧に描写されていて,
積み上げられたものが崩れるときの落ち着かない雰囲気がよく伝わってくる.

中盤からは,記憶を取り戻したギンジの過去が語られる.
これはこれで,リアリティもあるし,時代感も取り入れた内容ではあるが,
今風な家庭の不幸を盛り込んだだけのややステレオタイプな印象を受ける.
この内容なら,ゲストハウスの崩壊にもっとページを割いてもよかったのではないか?

記憶を取り戻した後のギンジが新たな自分を獲得していく姿が印象的なだけに
過去よりも,現在から将来につながる部分をもっと読みたい気持ちにさせられる読後感.
メタボラ(下) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(下) (朝日文庫)より
4022645555
No.46
(4pt)

2人の虚構の人生

記憶喪失の男と,更生施設から逃げ出してきた男.ギンジは名前を与えられ,ジェイクはウソをついて,それぞれが偽りの人生を始めようとする.同じスタートラインから始まり.やがて離れたり,近づいたりしながら,虚構の人生が交錯する.ギンジの正体と,ジェイクの嘘人生の顛末という2つのテーマを軸にしたストーリーである.ギンジは,記憶がないながらも,知性があり,思慮深く,礼儀正しい青年.一方のジェイクはあっけらかんとして,底の浅いウソを平然と吐きながらどこか憎めないキャラクター.これだけ対照的な2人の一人称視点を使い分ける筆力がすごい.表面的な言葉遣いの違いだけでなく,思考のプロセス,視野の広さといった本質的な違いをきちんと描き分けている.この表現力はさすがである.ただ,全体的にテンポが少々遅い印象を受けた.新聞での連載小説だったようだが,それも影響しているのだろうか.
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.45
(4pt)

2人の虚構の人生

記憶喪失の男と,更生施設から逃げ出してきた男.
ギンジは名前を与えられ,ジェイクはウソをついて,それぞれが偽りの人生を始めようとする.
同じスタートラインから始まり.やがて離れたり,近づいたりしながら,虚構の人生が交錯する.
ギンジの正体と,ジェイクの嘘人生の顛末という2つのテーマを軸にしたストーリーである.
ギンジは,記憶がないながらも,知性があり,思慮深く,礼儀正しい青年.
一方のジェイクはあっけらかんとして,底の浅いウソを平然と吐きながらどこか憎めないキャラクター.
これだけ対照的な2人の一人称視点を使い分ける筆力がすごい.
表面的な言葉遣いの違いだけでなく,
思考のプロセス,視野の広さといった本質的な違いをきちんと描き分けている.
この表現力はさすがである.
ただ,全体的にテンポが少々遅い印象を受けた.
新聞での連載小説だったようだが,それも影響しているのだろうか.
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.44
(3pt)

主人公の変化に注目!

物語は、記憶を失った主人公がなぜか何の荷物も持たないまま、沖縄の密林で職業訓練所から脱走してきた昭光という男と出会うところから始まります。
主人公に記憶がなく、また何も荷物もない(お金も身分証明も何もない)状態から得体の知れない男とともに新しい生活をスタートするので、先の展開は全く読めず、そういう意味では新鮮に読むことができます。
ただ、全体を通してドキドキハラハラするような展開があるわけではなく、予想外のどんでん返しがあるわけでもありません。
主人公の記憶について多少気になるものの、ついつい読みふけってしまうような話ではなかったため、評価は3にしました。
舞台が沖縄で、昭光が宮古島出身であることから、会話はほとんど沖縄ことばと宮古ことばで書かれており、そのせいで言わんとしていることが若干理解できないことが多々ありました。

「社会から零れ落ちていく若者のリアルと後戻りできない現代の貧困を暴き出す」とあらすじにありますが、それよりも、主人公の成長というか、変化というか、様々な経験を通して変わってゆく主人公の心情が見所だと思います。
同じ主人公なのに、物語と最初と最後では、感じ方・考え方がまるで別人のように違っています。主人公に対する印象も変わります。でもそれがごくごく自然に描かれているところがすごいなと思います。「あ、この出来事で成長したんだな」とかそういう感じではなく、良くも悪くもいつのまにか冷静に、したたかに、逞しく、素直になってゆく様は見事だと思います。
そんな主人公とは対比的な昭光も印象的でした。
メタボラ(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(上) (朝日文庫)より
4022645547
No.43
(4pt)

イタ気持ち良さ

社会派小説を読む原動力ってけっこう新聞の三面記事を読むような好奇心だったりする。だから陰惨で救いがないものほど興味惹かれるところもある。でもやはりエンターテイメント的な部分もなければ読者を引き込む事は難しい。この小説はそのバランスが優れている。架空のドラマの甘い口当たりを期待する読者にガツンと
投げかけられる現実の重み。個々が整理されたり完成したりしないで常に混沌としていること、またそれがぶつかり合う様などはいつもリアルで息苦しいくらいです。読者の野次馬的好奇心とリアリティのイタ気持ちよさを上手く織り交ぜて物語に引きこむ手管は見事です。
メタボラ(下) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: メタボラ(下) (朝日文庫)より
4022645555