盤上の敵

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評判

盤上の敵の評価:

3.76/5点 レビュー 41件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.76pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全105件 61〜80 4/6ページ
No.45
(5pt)

北村氏としては異色作にして傑作

北村作品としては異色作かもしれない
しかし、代表作たりえる、力の入った作品だ!
終盤のドンデン返しには、たしかに驚かされた
しかし、正直そんなことはどうでもよい
ミステリとしての凄さよりも、各エピソードの素晴らしさを評価したい
クッキー、桂、レジのやり取り、ピッコロ達のフルネーム等等
暖かな血の通ったエピソード
また、逆にいじめ等のエピソードは読み進めるのがつらかった
ラストは楽しそうで、美しい夢で締めくくられる
しかし、夢はあくまでも夢
夢が実現される保障は全く無い
宮部みゆき著「スナーク狩り」も同様のテーマを扱っており、そちらも同様におもしろかった
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.44
(3pt)

白のクイーンの勝利

日本の警察力を過信してるかもしれないが。妻を救うために末永の取った行動は突飛なものだ。都合がよすぎるのかも知れない。
しかしこの小説で光るのは「白のクイーン」妻の由紀子の「語り」である。北村さんは心の美しい女性を書くことにどうしてこんなに長けているのやら。
清潔で静かで、そんな彼女の心が「黒のクイーン」の悪意によって破壊された。読んでいて衝撃のあまりめまいがする思いでした。この小説は「事件」より「語り」によって支えられてる。
ところでタイトルも「白、黒のキング、クイーン」といった比喩はチェスを意識してるけど。別にチェスのルールを知らなくても読めます。むしろ関係なくってもいいくらい。一時的にはまったことのある私が言うんだから本当。
盤上の敵 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社ノベルス)より
4061822152
No.43
(3pt)

白のクイーンの勝利

日本の警察力を過信してるかもしれないが。妻を救うために末永の取った行動は突飛なものだ。都合がよすぎるのかも知れない。
しかしこの小説で光るのは「白のクイーン」妻の由紀子の「語り」である。北村さんは心の美しい女性を書くことにどうしてこんなに長けているのやら。
清潔で静かで、そんな彼女の心が「黒のクイーン」の悪意によって破壊された。読んでいて衝撃のあまりめまいがする思いでした。この小説は「事件」より「語り」によって支えられてる。
ところでタイトルも「白、黒のキング、クイーン」といった比喩はチェスを意識してるけど。別にチェスのルールを知らなくても読めます。むしろ関係なくってもいいくらい。一時的にはまったことのある私が言うんだから本当。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.42
(3pt)

白のクイーンの勝利

日本の警察力を過信してるかもしれないが。妻を救うために末永の取った行動は突飛なものだ。都合がよすぎるのかも知れない。
しかしこの小説で光るのは「白のクイーン」妻の由紀子の「語り」である。北村さんは心の美しい女性を書くことにどうしてこんなに長けているのやら。
清潔で静かで、そんな彼女の心が「黒のクイーン」の悪意によって破壊された。読んでいて衝撃のあまりめまいがする思いでした。この小説は「事件」より「語り」によって支えられてる。
ところでタイトルも「白、黒のキング、クイーン」といった比喩はチェスを意識してるけど。別にチェスのルールを知らなくても読めます。むしろ関係なくってもいいくらい。一時的にはまったことのある私が言うんだから本当。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.41
(5pt)

理不尽な暴力を出し抜く、冷徹な論理

猟銃を持って家を占拠した凶悪犯から、妻を
救い出す夫の物語、と表向きは要約できる
本作。
本作にはその凶悪犯の他にも、妻の回想パートにおいて中高生時代の彼女を無惨
に蹂躙し、回復不能なトラウマを刻みつける、兵頭三季という絶対悪が登場します。
「善人」たる夫は、そうした理不尽な暴力から最愛の妻を守る
ため、あくまで理にもとづいた冷徹な計略を仕掛けていきます。
本作は、あらゆる約束事を侮蔑し、踏みつけにする「悪」に対し、逆にその約束事が
持つ強みを最大限に利用することで欺瞞を謀り、「悪」を盤上から排除しようとする、
「善人」の物語なのです(白と黒の二種類の駒があるチェスに見立てられていること
自体が、作者の巧妙なミスリードといえましょう)。
夫は、自ら立てた作戦をやりぬき、戦いに勝利を収めますが、そのこと
によって、彼ら夫婦の未来の幸福が、保証されるわけではありません。
なぜなら、妻だけでなく夫も、勝利の代償に、
重い十字架を背負うことになったのですから。
その十字架と彼らが今後どのように向き合っていくかによって、
結末の美しい情景の意味がさまざまに変化していくと思います。
盤上の敵 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社ノベルス)より
4061822152
No.40
(5pt)

絶対悪に対峙する「善人」の物語

猟銃を持って家を占拠した凶悪犯から、妻を
救い出す夫の物語、と表向きは要約できる
本作。
本作にはその凶悪犯の他にも、妻の回想パートにおいて中高生時代の彼女を無惨
に蹂躙し、回復不能なトラウマを刻みつける、兵頭三季という絶対悪が登場します。
「善人」たる夫は、そうした理不尽な暴力から最愛の妻を守る
ため、あくまで理にもとづいた冷徹な計略を仕掛けていきます。
本作は、あらゆる約束事を侮蔑し、踏みつけにする「悪」に対し、逆にその約束事が
持つ強みを最大限に利用することで欺瞞を謀り、「悪」を盤上から排除しようとする、
「善人」の物語なのです(白と黒の二種類の駒があるチェスに見立てられていること
自体が、作者の巧妙なミスリードといえましょう)。
夫は、自ら立てた作戦をやりぬき、戦いに勝利を収めますが、そのこと
によって、彼ら夫婦の未来の幸福が、保証されるわけではありません。
なぜなら、妻だけでなく夫も、勝利の代償に、
重い十字架を背負うことになったのですから。
その十字架と彼らが今後どのように向き合っていくかによって、
結末の美しい情景の意味がさまざまに変化していくと思います。
盤上の敵 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社ノベルス)より
4061822152
No.39
(5pt)

理不尽な暴力を出し抜く、冷徹な論理

猟銃を持って家を占拠した凶悪犯から、妻を
救い出す夫の物語、と表向きは要約できる
本作。
本作にはその凶悪犯の他にも、妻の回想パートにおいて中高生時代の彼女を無惨
に蹂躙し、回復不能なトラウマを刻みつける、兵頭三季という絶対悪が登場します。
「善人」たる夫は、そうした理不尽な暴力から最愛の妻を守る
ため、あくまで理にもとづいた冷徹な計略を仕掛けていきます。
本作は、あらゆる約束事を侮蔑し、踏みつけにする「悪」に対し、逆にその約束事が
持つ強みを最大限に利用することで欺瞞を謀り、「悪」を盤上から排除しようとする、
「善人」の物語なのです(白と黒の二種類の駒があるチェスに見立てられていること
自体が、作者の巧妙なミスリードといえましょう)。
夫は、自ら立てた作戦をやりぬき、戦いに勝利を収めますが、そのこと
によって、彼ら夫婦の未来の幸福が、保証されるわけではありません。
なぜなら、妻だけでなく夫も、勝利の代償に、
重い十字架を背負うことになったのですから。
その十字架と彼らが今後どのように向き合っていくかによって、
結末の美しい情景の意味がさまざまに変化していくと思います。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.38
(5pt)

理不尽な暴力を出し抜く、冷徹な論理

猟銃を持って家を占拠した凶悪犯から、妻を
救い出す夫の物語、と表向きは要約できる
本作。
本作にはその凶悪犯の他にも、妻の回想パートにおいて中高生時代の彼女を無惨
に蹂躙し、回復不能なトラウマを刻みつける、兵頭三季という絶対悪が登場します。
「善人」たる夫は、そうした理不尽な暴力から最愛の妻を守る
ため、あくまで理にもとづいた冷徹な計略を仕掛けていきます。
本作は、あらゆる約束事を侮蔑し、踏みつけにする「悪」に対し、逆にその約束事が
持つ強みを最大限に利用することで欺瞞を謀り、「悪」を盤上から排除しようとする、
「善人」の物語なのです(白と黒の二種類の駒があるチェスに見立てられていること
自体が、作者の巧妙なミスリードといえましょう)。
夫は、自ら立てた作戦をやりぬき、戦いに勝利を収めますが、そのこと
によって、彼ら夫婦の未来の幸福が、保証されるわけではありません。
なぜなら、妻だけでなく夫も、勝利の代償に、
重い十字架を背負うことになったのですから。
その十字架と彼らが今後どのように向き合っていくかによって、
結末の美しい情景の意味がさまざまに変化していくと思います。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.37
(3pt)

対局形式の小説

この小説は何の罪も無い中年男性がいきなり、山の中で襲われるところから始まる。
その男がどうなったかわからないまま、いきなり、脈絡も無く、古い中国のおとぎばなしが女性によって語られる。
章毎に話しが飛ぶのだが、それが主人公の妻の告白である事が読みすすめていくうちに分ってきて、彼女がかかえたすざましい過去が明らかにされる。
話しとしては面白いし、最後のどんでん返しも良く考えられている。
語り口も工夫はされていて斬新ではある。
「盤上」に例え、チェスの対戦を模して、交互に話しがすすんでいくのだが、すっきりとは書ききれていなくて、あまり没頭できる小説ではなかった。交互に書き進めている間にストーリーが散漫になってしまったのかもしれない。
そして、何よりも解決していない逸話を多数残してしまったり、妙にありえない展開となってしまっている。
作者が手法に頼りすぎた感なきにしもあらず。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.36
(3pt)

対局形式の小説

この小説は何の罪も無い中年男性がいきなり、山の中で襲われるところから始まる。
その男がどうなったかわからないまま、いきなり、脈絡も無く、古い中国のおとぎばなしが女性によって語られる。
章毎に話しが飛ぶのだが、それが主人公の妻の告白である事が読みすすめていくうちに分ってきて、彼女がかかえたすざましい過去が明らかにされる。
話しとしては面白いし、最後のどんでん返しも良く考えられている。
語り口も工夫はされていて斬新ではある。
「盤上」に例え、チェスの対戦を模して、交互に話しがすすんでいくのだが、すっきりとは書ききれていなくて、あまり没頭できる小説ではなかった。交互に書き進めている間にストーリーが散漫になってしまったのかもしれない。
そして、何よりも解決していない逸話を多数残してしまったり、妙にありえない展開となってしまっている。
作者が手法に頼りすぎた感なきにしもあらず。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.35
(3pt)

物語の上手さと謎の結末

緊迫感漂う展開に一気に読みきってしまう。
愛する妻を見えざる敵から救うために夫が取った行動とは?をメインテーマに物語が進んでいくが、最後には思わぬ展開に驚かされる。
ただ、悪意の真相、そしてそれに対する行動の善悪が読者に投げかけられたままのエンディングに少々肩透かしな感じも受ける。
もし自分が主人公だったら・・・やっぱりこういう行動は取らないよなぁ、といま一つ感情移入出来なかったせいだろうか。
作中の語り口や伏線は流石に上手いな、と思わされる。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.34
(3pt)

物語の上手さと謎の結末

緊迫感漂う展開に一気に読みきってしまう。
愛する妻を見えざる敵から救うために夫が取った行動とは?をメインテーマに物語が進んでいくが、最後には思わぬ展開に驚かされる。
ただ、悪意の真相、そしてそれに対する行動の善悪が読者に投げかけられたままのエンディングに少々肩透かしな感じも受ける。
もし自分が主人公だったら・・・やっぱりこういう行動は取らないよなぁ、といま一つ感情移入出来なかったせいだろうか。
作中の語り口や伏線は流石に上手いな、と思わされる。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.33
(3pt)

面白く読めましたが・・・・

最初はバラバラに見えた各エピソードが、話の進行とともに徐々に凝縮され焦点を結んで行く過程は見事であり、バリンジャー型の話として出色のものでさすがに北村薫だと思わせる。人に対する「悪意」というテーマの怖さも心に沁みる。
但し、推理小説としてみた場合の筋書はやや安易ではないか。結末まで読み終えて冷静に考えてみると、どう考えても完全犯罪になるとは思えず、いずれ警察の捜査で簡単に発覚しそうである。好みとしては、起こったことを利用して完全犯罪にするという筋書を期待したが、そのような結びつきはない。かえってそういう脆弱さが、物語の余韻を残すという面もあり、それが狙いなのかもしれないが、如何であろうか。
当方には、同じ作者の他の作と比べると、叙述のテクニックの巧さが、やや目だちすぎた印象の作品に感じられた。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.32
(3pt)

面白く読めましたが・・・・

最初はバラバラに見えた各エピソードが、話の進行とともに徐々に凝縮され焦点を結んで行く過程は見事であり、バリンジャー型の話として出色のものでさすがに北村薫だと思わせる。人に対する「悪意」というテーマの怖さも心に沁みる。
但し、推理小説としてみた場合の筋書はやや安易ではないか。結末まで読み終えて冷静に考えてみると、どう考えても完全犯罪になるとは思えず、いずれ警察の捜査で簡単に発覚しそうである。好みとしては、起こったことを利用して完全犯罪にするという筋書を期待したが、そのような結びつきはない。かえってそういう脆弱さが、物語の余韻を残すという面もあり、それが狙いなのかもしれないが、如何であろうか。
当方には、同じ作者の他の作と比べると、叙述のテクニックの巧さが、やや目だちすぎた印象の作品に感じられた。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.31
(5pt)

なんという計算力

完璧なプロット。寒くなるような事情と、トリックのすばらしさ。吸引力が並じゃない。すごい小説です。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.30
(5pt)

なんという計算力

完璧なプロット。寒くなるような事情と、トリックのすばらしさ。吸引力が並じゃない。すごい小説です。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.29
(4pt)

傑作になり損ねた本

 一言で言えば、傑作になり損ねた本。北村薫特有のご都合主義には目をつぶるとして、あっと驚くようなトリック、緊迫した展開、人間の悪意への関心。どれをとっても一級品だと思う。 惜しむらくは悪が書き切れていないこと。登場する二人の悪意ある人物。しかし、その悪意の正体は結局のところ不明のままで終わってしまう。あえて人物の内面に踏み込まないことで抽象的・純粋な悪を描こうとしたのかも知れないが、失敗している。 トリック重視なのか、悪を描くこと重視なのか。北村薫は(彼の特質からして当然のことながら)トリックを選んだ。それが残念である。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.28
(4pt)

傑作になり損ねた本

 一言で言えば、傑作になり損ねた本。北村薫特有のご都合主義には目をつぶるとして、あっと驚くようなトリック、緊迫した展開、人間の悪意への関心。どれをとっても一級品だと思う。 惜しむらくは悪が書き切れていないこと。登場する二人の悪意ある人物。しかし、その悪意の正体は結局のところ不明のままで終わってしまう。あえて人物の内面に踏み込まないことで抽象的・純粋な悪を描こうとしたのかも知れないが、失敗している。 トリック重視なのか、悪を描くこと重視なのか。北村薫は(彼の特質からして当然のことながら)トリックを選んだ。それが残念である。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636
No.27
(4pt)

それでも人間に対する信頼を捨てない

 TVディレクターの末永の家に男が立てこもる。人質になった妻の友貴子を救うために彼は一計を案じ、警察にも内密に男と取引を始める。果たして彼は妻を無事救出できるのか…。 人気の「円紫さんと私」シリーズでは、人々が日々抱える、犯罪とも呼べないほど些細な秘めごとを掬い上げてきた北村薫。しかし本作では胸に鋭く差し込むほど痛ましい、れっきとした犯罪を描いています。前書きには「この物語は、心を休めたいという方には、不向きなもの」とあり、普段の北村ワールドを期待して手にした読者は頁を繰るのも苦しく、心に大きなヤケドを負うことになるかもしれません。 副主人公が抱える心の闇の深さを目の当たりにして、読者は口に砂をすり込まれるかのような思いを味わうはずです。その闇には理屈らしい理屈が見当たりません。 この相手を諭すことはかなわず、末永に残された選択は、まさにチェスのごとく相手を徹底的に打ち伏す以外にありません。相手を完膚なきまでに叩きのめすことこそが唯一の目的であるゲーム。そこには容赦のかけらもありません。 これほどの苛烈さを見せる本作は北村薫のこれまでの物語世界とは全く異なるものなのではないか。心をヒリつかせながら読み進める私は、物語が緒についたばかりのところで友紀子が口にする次の言葉を常に思い出していました。 「心があるっていうのは、自分のだけじゃなくて、外の人の気持ちも、想像するためだと思うんです。その筈じゃないか。相手が何されたら嫌かな、とか、そういうことが分かるためじゃないか。それが分かれば、そんなことは出来なくなる。」 想像を絶するほど無残な出来事が引きも切らず人々を襲う時代。そんな時代にあってこの物語は、人類へのかすかな願いを綴っています。 これこそ北村薫が紡いできた物語です。 人間への信頼を捨てない、北村薫らしい物語として、私は本書を読みました。
盤上の敵 Amazon書評・レビュー: 盤上の敵より
4062098768
No.26
(4pt)

それでも人間に対する信頼を捨てない

 TVディレクターの末永の家に男が立てこもる。人質になった妻の友貴子を救うために彼は一計を案じ、警察にも内密に男と取引を始める。果たして彼は妻を無事救出できるのか…。 人気の「円紫さんと私」シリーズでは、人々が日々抱える、犯罪とも呼べないほど些細な秘めごとを掬い上げてきた北村薫。しかし本作では胸に鋭く差し込むほど痛ましい、れっきとした犯罪を描いています。前書きには「この物語は、心を休めたいという方には、不向きなもの」とあり、普段の北村ワールドを期待して手にした読者は頁を繰るのも苦しく、心に大きなヤケドを負うことになるかもしれません。 副主人公が抱える心の闇の深さを目の当たりにして、読者は口に砂をすり込まれるかのような思いを味わうはずです。その闇には理屈らしい理屈が見当たりません。 この相手を諭すことはかなわず、末永に残された選択は、まさにチェスのごとく相手を徹底的に打ち伏す以外にありません。相手を完膚なきまでに叩きのめすことこそが唯一の目的であるゲーム。そこには容赦のかけらもありません。 これほどの苛烈さを見せる本作は北村薫のこれまでの物語世界とは全く異なるものなのではないか。心をヒリつかせながら読み進める私は、物語が緒についたばかりのところで友紀子が口にする次の言葉を常に思い出していました。 「心があるっていうのは、自分のだけじゃなくて、外の人の気持ちも、想像するためだと思うんです。その筈じゃないか。相手が何されたら嫌かな、とか、そういうことが分かるためじゃないか。それが分かれば、そんなことは出来なくなる。」 想像を絶するほど無残な出来事が引きも切らず人々を襲う時代。そんな時代にあってこの物語は、人類へのかすかな願いを綴っています。 これこそ北村薫が紡いできた物語です。 人間への信頼を捨てない、北村薫らしい物語として、私は本書を読みました。
盤上の敵 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 盤上の敵 (講談社文庫)より
4062735636