グラーグ57

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評判

グラーグ57の評価:

3.97/5点 レビュー 38件。 B ランク

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平均点3.97pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全45件 21〜40 2/3ページ
No.25
(4pt)

前作とやや趣が異なる

「チャイルド44」に続き、こちらもラストまで一気に読ませます。人物の背景や人間関係については前作が前提なので、読んでいない方はまずそちらから読むべきです。本作は前作に比べ「謎」を多くの伏線から解き明かす、ということよりも、一本の道順に従って物語が進んでいく、という印象です。その意味では謎解き的なものをミステリーに求める向きには今ひとつかもしれません。もっとも物語は前作に続きとても面白く、その点では期待は裏切らないでしょう。ただ他の方が書かれているとおり、アクションシーンが非常に多く、ちょっとやりすぎかなと思います。映像化に向いていそうです。-以下ややネタバレです-個人的にはアクションシーンにページを割くのであれば、もう少しスターリン体制からフルシチョフ体制下での社会の変化、人々の実生活の変化について掘り下げて欲しいところでした。視点人物がソ連の人なので仕方ないですが、ハンガリー動乱の下りについても、民衆や社会のリアルな機運が描けているとよりよいものになったのではないかと思います。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.24
(4pt)

前作とやや趣が異なる

「チャイルド44」に続き、こちらもラストまで一気に読ませます。
人物の背景や人間関係については前作が前提なので、
読んでいない方はまずそちらから読むべきです。

本作は前作に比べ「謎」を多くの伏線から解き明かす、ということよりも、
一本の道順に従って物語が進んでいく、という印象です。
その意味では謎解き的なものをミステリーに求める向きには今ひとつかもしれません。
もっとも物語は前作に続きとても面白く、その点では期待は裏切らないでしょう。

ただ他の方が書かれているとおり、アクションシーンが非常に多く、
ちょっとやりすぎかなと思います。映像化に向いていそうです。

-以下ややネタバレです-

個人的にはアクションシーンにページを割くのであれば、
もう少しスターリン体制からフルシチョフ体制下での社会の変化、人々の実生活の変化
について掘り下げて欲しいところでした。
視点人物がソ連の人なので仕方ないですが、
ハンガリー動乱の下りについても、民衆や社会のリアルな機運が描けていると
よりよいものになったのではないかと思います。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.23
(4pt)

展開の速さはさすが

展開の速さはさすが、の『チャイルド44』続編。
前作に対してミステリーとしては敵わず。でもこの時代の旧ソ連への興味をかきたてるという点においては
前作と引き続き、eye opener的な作品群になっていると思う。
レオが主人公としたシリーズは、もう1冊出る予定らしい。
ネステロフがいなくなることは受け入れ難かったので、復活してくれると嬉しい。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.22
(4pt)

好漢ティムール・ネステロフは矢張り還らず

第57強制労働収容所からの脱出とモスクワへの帰還、フラエラ率いるヴォリとの暗闘、フロル・パニンの謀計とハンガリー動乱など舞台が目まぐるしく変わる中、翻弄されるレオの家族愛の物語。人物造型的には、「自分の逮捕に関わったすべての者たちに復讐する自由」(181頁)と「人生を台無しにした国家そのものに仕返しをする機会」(269頁)を得て、ある意味燃え尽きたフラエラの存在が圧巻。今後発刊されるというレオ・シリーズの最終第3部が、何はともあれ待ち遠しい。
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)より
4102169342
No.21
(5pt)

好漢 ティムール・ネステロフは本当に死んでしまったのか。

1956年の共産党党大会におけるフルシチョフのいわゆる「秘密報告」(the Secret Speech)という大舞台設定の下、国家保安省捜査官時代の業と家族の分裂に翻弄される凄絶なレオの姿が痛ましい一作。
スリルとサスペンスの濃度では前作『チャイルド44』の方が上であったが、小説としての重厚さという点ではこちらの方が上であるように感じる。冒険小説としても、例えば下水道での逃走劇や囚人輸送船内での争闘場面など、手に汗握る場面も多かった。
それにしても、ネステロフは本当に死んでしまったのか。後でひょっこり復活してくるのであろうか。下巻を読むのが楽しみである。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.20
(5pt)

この作家、恐るべし。。。

前作チャイルド44がデビュー作ながら各誌絶賛の嵐で、ミステリー誌ランクでも1位を独占した傑作でした。スパイ小説でありながら、冒険活劇小説として比較すべき作品がないと思うほど完成度が非常に高い作品で、続編があるということで楽しみにしていた私ですが、何と一年もしないうちに続編が到着。でも前作ほどの評判にあたらないといった感じで、あまりに良く出来た作品の後で、肩透かしを食らった?そんな本作かと、おそるおそる購入し読んでみました。良い意味で予想に反し、またも素晴らしい出来。前作の旧社会主義国の暗躍とした社会を舞台ですが、主人公が1作目で構築した部分が崩壊し、前作同様スパイ、冒険小説の手に汗握る醍醐味に、復讐劇も加わり、物語の展開は急展開をつげます。アクション小説のスパイスもちりばめ、背景には究極の家族愛、家族小説としての深部がストーリーの底辺を形成づくっています。
良い意味で前作に負けない、充実作であることは間違いないでしょう。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.19
(5pt)

「無私の愛は強い憎しみに勝てるのか」を問う最終行が熱い感動を呼ぶ大河小説第2部。

衝撃の処女作「チャイルド44」が大成功を収めたイギリス冒険ミステリー界の若き旗手スミスの大河警察小説・捜査官レオ・デミドフ・シリーズ3部作注目の第2部です。本書もまた前作と似た構成で、捜査官レオの国家保安省時代の暗い過去に遡って物語を始め七年後に彼が国家の命により為した悪行の影響が現われるという形が取られています。
七年前レオが潜入捜査官として逮捕した元司祭ラーザリの件に係わった者たちが次々に殺される。今やモスクワ殺人課の責任者となったレオが事件を追う内に、嘗て収容所送りとなったラーザリの妻アニーシャが容疑者として浮上する。彼女はフラエラと名を変えモスクワに暗躍する犯罪者集団ヴォリのリーダーとなっており、レオの養女ゾーヤを誘拐して元夫ラーザリの釈放という困難な要求を突きつける。レオは部下のネストロフを伴い極寒の強制収容所グラーグ57からラーザリを脱獄させる極秘裏の作戦に挑むのだった。
本書は前作と違って警察の同胞から追われる展開ではありませんが、囚人護送船での事故による争いや強制収容所での手違いによる拷問等、周到に練られた計画が齟齬を来たす予期せぬ事態に対処するサスペンスが味わえます。全編に渡りフラエラに踊らされ下水道から収容所を経てハンガリーまで慌しく追跡する長大な冒険物語ですが、本書を流れる最も重要なテーマは「無私の愛は強い憎しみに勝てるのか」でしょう。レオの部下に両親を殺された幼い姉妹の姉ゾーヤが、レオに養子にもらわれながら心許さず親の仇と同列に考えて頑固に憎み続ける心を変える事が出来るのか、夫を逮捕された怨みから心が歪み悪党に変貌したフラエラが復讐する怨念の戦いに終止符が打てるのか。著者は今回トリックや意外性を捨てて真っ向勝負のストレートで大長編を書き上げました。「ゾーヤがレオの手を握った」という唯一事でレオの全ての苦労が報われると思える感動のラストを私は讃えたいです。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.18
(5pt)

息つく間もない展開

「グラーグ57」と言うのは、極寒の強制労働収容所です。
映像で見たら、きっとすごく迫力のある映像になるだろうなと思えるアクション・シーンの連続です。
下水道での追跡劇から強制労働収容所、そしてハンガリー動乱へと、息つく間もないような畳みかけるような展開です。

バックとしては、「スターリン体制」崩壊後、改革派と保守派の主導権争いから、国内だけに留まらず東欧の衛星国にまで動乱の広がった時代です。
そうした状況下で、考えられないような勢力同士の提携があり、それに翻弄される人たちがいます。

主人公のレオがやっと築いた「家族」も、養女ゾーヤの心をほぐすことが出来ず、そこを彼を怨むフラエラ(アニーシャ)に付け込まれ窮地に立ちます。
それもこれも彼のキャリアにおける旧悪に発端があります。
その旧悪を償うことが出来るのか?と言うのが、このシリーズを通しての大きなテーマでしょう。

ミステリー性は前作よりも劣るものの、そのアクション・人物造型など、文句なしに楽しめる作品です。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.17
(5pt)

今はただこの作家の書いた話がもっと読みたい

 前作ほど評判が芳しくないこともあり読む前はさほど期待しておりませんでした。
…読み終えた今は、小躍りしています。この作家はこの先どれほど面白い小説を世界に提供してくれるのか、大いなる予感に顔もニヤけます。
 時代情勢が前作で描かれた史上最悪の強権体制からすこし緩和したため、絶望的にラストまで疾走した前作ほどの緊迫感はありません。しかし、スタート時での登場人物の好感度が前作とは桁違いのため、続きが気になる、ページをめくる手が止まらないという中毒性は本書の方が上かもしれません。
 前作同様、旧ソ連の行政・司法実務、国民生活のリアリティ溢れる描写は豊かな取材力、考察力を感じさせてくれます。また、一流の心理小説と比べても遜色ないような理知的な人間分析、それを驚異的にスペクタルな本筋展開の片手間にやってのけていることがすごい。そして単なる才能のひけらかしに終始せず、読者を満足させるための工夫にまで心を砕く誠実な姿勢を感じます。
 
 その結果、本書は、きわめて純度の高い興奮、悲哀、感動、等々夥しい数の情念が痛烈に殺到するめくるめく小説に仕上がっています。前作とともに強くお薦めします。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.16
(3pt)

語りにくい作品ですね(^_^;)

前作もそうでしたが、正直、ミステリとしての出来はいまひとつ。
ただ、読ませる力は凄い。
途中でやめることは出来ないだろう。
そのことは認めましょう。
前作にはあったような明白な欠点もないようだし。
ミステリから冒険ものまで、ジャンルを横断しながら展開するのは圧巻。
でも、そのために、ひとつひとつのエピソードが「軽く」見えてしまう。
収容所での物語、ハンガリーでの物語。
それぞれだけでも、このくらいの本は出来てしまうだろう。
そのことの是非を問われたとすれば
私の答えは「非」ということですね。
ほんとにもったいないエピソードが埋まってしまっていますよ、この本には。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.15
(4pt)

レオはジャック・バウアーのようになる・・・下巻へ

強烈な面白さの「チャイルド44」に続く続編です。もし前作を読んでいない人は必ず前作を読んでからこちらを読むことをお勧めします。
前作がスターリンの死ぬ直前から死後(序章は1920年代のロシア飢饉)
今作は序章を抜かすと、フルシチョフの1956年の第20回党大会の「スターリン批判」から始まり、同年10/11月のハンガリー動乱までが舞台の背景です。
読む前、読み終わった後、どちらでも構いませんが、一度それらの時代背景の内容をウィキなどでさらっとでも読んで置くことをお勧めします。
当時のとんでもない政治に翻弄される一般市民や政府側の人間、これらが実際に起きたわけですから、本当に怖いです。
さて前作と変わらずジェットコースターのような話の流れです。(実際にソビエトの歴史がそのようにジョットコースターにしてしまったのですが)
だんだん読んでいると、何か、どこかで同じ感じが・・・拷問、脱出、救出、身内との苦悩、死、しかし主人公はどんな拷問でも死なない・・・そ!そうだ!これは「24」と同じだ。
時代背景、国の違いはあるものの、レオ=ジャック・バウアーです。(見ていない方は申し訳ございません)
そのレオ君は昔犯した過ちと家族に翻弄されながら、進みます。この小説の悲しくも悩ましいのは、レオは過去は明らかに間違っていた行為を行ってきているので、敵と思われる相手も実は良い人だったりするので、非常に悩ましいです。政治に翻弄されほとんどの登場人物が実は被害者だったりします。
話がどんどん進む後編です。
主人公はついにロシアを飛び出していきます。あああ・・・まるで米国から飛び出してメキシコとかまで行っちゃったジャック・バウアーみたいです。
ただ当時のハンガリーはソビエトの下についていた国ですので、この辺の流れ(政治情勢、歴史上の事実)を巧みに作者は使っています。
ここまで壊れたゾーヤとの関係をどうやって修復するんだ?最後はどう締めくくるんだ?まさにノンストップの展開で進みます。最後もほろっとするのがこの小説の良いところ・・・。
三部作最後の作品も首を長くして待っています!(次回はどの背景なのでしょうか?1964年のフルシチョフ失脚か?それともプラハの春まで飛ぶのか?いずれにしろレオとその家族の戦いがもう1回続き、わくわくします)
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)より
4102169342
No.14
(4pt)

レオはジャック・バウアーのようになる

強烈な面白さの「チャイルド44」に続く続編です。もし前作を読んでいない人は必ず前作を読んでからこちらを読むことをお勧めします。
前作がスターリンの死ぬ直前から死後(序章は1920年代のロシア飢饉)
今作は序章を抜かすと、フルシチョフの1956年の第20回党大会の「スターリン批判」から始まり、同年10/11月のハンガリー動乱までが舞台の背景です。
読む前、読み終わった後、どちらでも構いませんが、一度それらの時代背景の内容をウィキなどでさらっとでも読んで置くことをお勧めします。
当時のとんでもない政治に翻弄される一般市民や政府側の人間、これらが実際に起きたわけですから、本当に怖いです。
さて前作と変わらずジェットコースターのような話の流れです。(実際にソビエトの歴史がそのようにジョットコースターにしてしまったのですが)
だんだん読んでいると、何か、どこかで同じ感じが・・・拷問、脱出、救出、身内との苦悩、死、しかし主人公はどんな拷問でも死なない・・・そ!そうだ!これは「24」と同じだ。
時代背景、国の違いはあるものの、レオ=ジャック・バウアーです。(見ていない方は申し訳ございません)
そのレオ君は昔犯した過ちと家族に翻弄されながら、進みます。この小説の悲しくも悩ましいのは、レオは過去は明らかに間違っていた行為を行ってきているので、敵と思われる相手も実は良い人だったりするので、非常に悩ましいです。政治に翻弄されほとんどの登場人物が実は被害者だったりします。
上巻は忍び寄る恐怖、絶体絶命の状況、テンポよく話は進みます。ただ前回に比べてアクション食が強くなった分、精神的な圧迫が少なくなってきています。
(前作はジャック・バウアーを思い起こさなかったものの、このアクションの豊かさが、今作はそう思わされるのでしょう)
ちょっとアクションに偏った点が少し残念でした。内容は他の方や帯などで分かると思いますので、割愛しますが、よくもまあここまで巻き込まれちゃうのでってくらい大変です。ただ無理やりな設定ではなく、非常に説得力があるのが素晴らしいです。
アクションに偏りすぎたので、前作より評価を1つだけ下げましたが、それでも素晴らしい作品ということは間違いはありません。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.13
(4pt)

家族を思うレオの、命をかけた波乱万丈の物語

’08年、「このミステリーがすごい!」海外編第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位に輝いた『チャイルド44』の続編。三部作になるということなので、本書は<レオ・デミドフ>シリーズのちょうど中間点に位置するのだろう。

前作から3年後という設定で、スターリン亡き後実権を握ったフルシチョフのスターリン批判で幕を開ける。スターリン時代に横暴を極めた秘密警察が今度は復讐の標的となるのだった。念願の殺人課を開設したレオとても例外ではなかった。しかも彼は前作で養女としたゾーヤが一向に家族に心を開こうとしないことに悩んでいた。

ストーリーは、このゾーヤがからみ、不当な扱いを受けてきた者たちの復讐の標的となったレオの苦難がこれでもかと描かれてゆく。
モスクワの下水道の追跡シーン、オホーツク海の囚人護送船上の死闘、強制労働収容所での熾烈な拷問、そしてラストのハンガリー動乱まで、愛する家族であるゾーヤを救うために波乱万丈のレオの冒険がハード・ボイルドタッチで展開してゆくのだ。

本書では、一気読み必至の面白さを秘めた、派手なアクションシーンが目立つが、根底にあるのはレオの家族愛である。きのうまでの常識がきょうは非常識になるという苛酷な運命に翻弄されながら闘うレオの姿には心打たれるものがある。

ヴォリ(強制労働収容所で兄弟の絆を深めた犯罪者集団)の女性リーダー・フラエラの存在感も強烈に胸に響いた。
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)より
4102169342
No.12
(4pt)

家族を思うレオの、命をかけた波乱万丈の物語

’08年、「このミステリーがすごい!」海外編第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位に輝いた『チャイルド44』の続編。三部作になるということなので、本書は<レオ・デミドフ>シリーズのちょうど中間点に位置するのだろう。
前作から3年後という設定で、スターリン亡き後実権を握ったフルシチョフのスターリン批判で幕を開ける。スターリン時代に横暴を極めた秘密警察が今度は復讐の標的となるのだった。念願の殺人課を開設したレオとても例外ではなかった。しかも彼は前作で養女としたゾーヤが一向に家族に心を開こうとしないことに悩んでいた。
ストーリーは、このゾーヤがからみ、不当な扱いを受けてきた者たちの復讐の標的となったレオの苦難がこれでもかと描かれてゆく。
モスクワの下水道の追跡シーン、オホーツク海の囚人護送船上の死闘、強制労働収容所での熾烈な拷問、そしてラストのハンガリー動乱まで、愛する家族であるゾーヤを救うために波乱万丈のレオの冒険がハード・ボイルドタッチで展開してゆくのだ。
本書では、一気読み必至の面白さを秘めた、派手なアクションシーンが目立つが、根底にあるのはレオの家族愛である。きのうまでの常識がきょうは非常識になるという苛酷な運命に翻弄されながら闘うレオの姿には心打たれるものがある。
ヴォリ(強制労働収容所で兄弟の絆を深めた犯罪者集団)の女性リーダー・フラエラの存在感も強烈に胸に響いた。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.11
(4pt)

暗い、重い、孤独にもがく家族がテーマ

家族愛がテーマだったと思うが、
失敗していると思う。
親子の愛を描くには、ハードすぎるキャラクターばかり登場する。
この「人は結局独り」的な手触りが好きな人には堪らないだろうが、
例えばトムクランシーのジャックライアン的な家族愛&バイオレンスの世界が好きな人には、
辛口過ぎる作品だと思う。
ストーリーは中々面白いし、
ラストの盛り上がりもまずまずだが、
暗い話なので、
感情移入すると落ち込みます。
作者の意図がその辺にあるなら、
ある程度せいこうしているのかもしれない。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.10
(4pt)

ミステリーというよりは人間にとって想像することの大切さを知る小説として読む

 上下巻で700頁を超える長編小説『グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)』の後編。
 主人公レオは極東の強制労働収容所に潜入するも、脱出計画に思わぬ支障が生じる。元チェキスト(秘密警察勤務者)として彼は収容者たちによって拷問にかけられる。そして物語はハンガリー動乱の地、ブダペストへと展開していく…。
 共産主義体制下でレオをはじめチェキストたちが多くの人々を死に追いやった論理を、いみじくもこの小説は一言こう表現しています。(35頁)
 「しかたのないことだった」。
 ですがこれは、ひとり共産主義の世界でのみ使われたわけではなく、時を選ばず、場所を選ばず、人類の世界で幾度となく都合よくつかわれてきた屁理屈です。
 レオは全きヒーローではなく、かといってこの「しかたのないことだった」という屁理屈によって自らをいたずらに正当化しようとする男としてでもなく、過去に犯した過ちをなんとか正そうとあがく市民として物語の中を生きていきます。
 その自らを矯正する行いの礎になるのは家族です。
 レオ自身は養女ゾーヤを救わんがために命を賭した決死行を敢行します。
 犯罪者集団ヴォリの若者マリシュはゾーヤと出会うことで、経験したことのない家族の安らぎを感じ始めます。
 レオのブダペスト行きに同行したハンガリー人カーロイは息子の危機に接して、自らの危険も顧みない行動に出ます。
 ことほどさように、人は自分の家族に対しては無償の慈しみを感じることが出来るのです。
 そして今私たちが学ぶべきは、自分が感じる家族への愛情が、他者の心の中にもあるという至極当たり前のことを想像できるようになること。その健全な想像力があるところに、「しかたのないことだった」という屁理屈が巣食う余地は現れないはずだから。
 主人公レオが新しい家族を創造すると共に、あるべき豊かな想像力を育む姿を感じる。
 これはそんな小説です。
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)より
4102169342
No.9
(5pt)

指弾されるべき過去をかかえたヒーローと共にスターリン批判期のソビエトを疾走する

 1956年、フルシチョフが突如スターリン批判を展開してソビエト社会が騒然となる中、犯罪者集団ヴォリがかつて自分たちの人生を大きく狂わせた国家保安省の元役人たちを殺害し始める。ヴォリの頭目は7年前に保安省が告発した司祭ラーザリの妻アニーシャ。元保安省職員レオ・デミトフも彼女たちの標的となり、養女に迎えたゾーヤを誘拐されてしまう。アニーシャがゾーヤの無事と引き換えにレオに要求したのは…。
 「チャイルド44 下巻 (新潮文庫)」から数年後を描いた続編です。
 上巻はモスクワでの謎めいた追跡劇から、極寒の極東グラーグ(強制労働収容所)へと物語が動きます。そのスケールは前作「チャイルド44」を遥かにしのぎ、手に汗握る展開を見せてくれます。
 スターリニズムが大きく転換期を迎える中で大変厳しい状況に置かれる我らが主人公レオ。彼は粛清する側に身を置いていた人物であり、今日的視点からいえばソビエト社会主義の手先として糾弾されるべき立場にあります。
 しかしこの物語でのレオは良き夫、そして良き父であろうと不器用ながらも懸命に努力する一市民として描かれ、私たちはこの体制側の男に同化しながらスターリニズム末期のソビエト社会の混乱の中に放り出されることになるのです。全きヒーローとしてではなく、指弾される過去を抱えた主人公として描かれるレオという人物設定が見事です。
 さらに養女ゾーヤは前作での経緯を受けて激しく養父レオを憎み、妻ライーサも “努めて”夫を愛する日々を送る。
 これは、社会主義ソビエトに生きた人々の一筋縄ではいかない人生に自らを重ねながら読み進むという、大変複雑で奥深い体験を読者に味わわせてくれる小説です。
 さて、上巻では物語はまだ折り返し点を通過したばかり。レオは果たしてゾーヤを救うことができるのか。そして物理的に救うだけではなく、その魂の救済は果たされることがあるのでしょうか。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334
No.8
(3pt)

訳者はもう少し考えてほしい。

前作でもそうでしたが、この翻訳者は、レオとライーサの夫婦間の会話でも、男女の言葉の違いというものをまったく考慮していません。だから女性の造形に深みがでない。
他には、smooth を「すべらかな」。これは文語ですね。凍った川のすべらかな表面。
間違いじゃないけど、普通はこんな風には言いませんよね。
crowded を「ぎゅう詰め」。間違いじゃないけど、普通は「ぎゅうぎゅう詰め」ですよね。
下巻201ページの「技術大学に大勢が集まった」
原書では、the Technological University と、わざわざ大文字で書いています。
これはブダペスト工科大学のことでしょう。
202ページの「ジョルトは技術系の学生だった」
engineering student は、普通は「工学部の学生」と訳すんじゃないでしょうか。
内容は、前作よりも編集者の影響というものを感じました。
余程優秀な編集者が担当しているのでしょう。
ただ、前作よりはすこし落ちます。それに、翻訳で減点1になるから、星3つとしました。
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)より
4102169342
No.7
(5pt)

この著者、やっぱりただ者じゃない!

前作でレオが築きあげたものが、続編では次々と壊されていきます。想像をはるかに上まわる容赦のない展開には、ただただ脱帽。前作での“まとめ方”も見事だったのですが、本作の中盤へ向かっての“壊し方”もすごい。著者の実力を見せつけられたような気がします。
とにかく登場人物ひとりひとりの描き方がすばらしくて、どんな脇役も手を抜くことなく丁寧に描かれている。みんな時代の流れに翻弄されながら自分なりに生きる道をみつけて必死に生きていて、そんな人々の生きざまと死にざまに胸を打たれました。ひょっとしたら何よりもまず、時代の犠牲者たちの姿を描きたかったのかもしれない。そう思わせるほど、登場人物たちの姿をとおして著者の熱い思いが伝わってきました。
そしてなんと言っても、読者を楽しませることには決して手を抜いていない。前作ほど圧倒的ではないにしろ、読者をぐいぐい引っ張っていく牽引力は健在。最後まで一気に読ませます。で、読んだあとには怒濤の時代を登場人物たちと一緒に駆け抜けた確かな余韻が残ります。この余韻は前作以上かも。お勧めです。
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)より
4102169342
No.6
(5pt)

この著者、やっぱりただ者じゃない!

前作でレオが築きあげたものが、続編では次々と壊されていきます。想像をはるかに上まわる容赦のない展開には、ただただ脱帽。前作での“まとめ方”も見事だったのですが、本作の中盤へ向かっての“壊し方”もすごい。著者の実力を見せつけられたような気がします。
とにかく登場人物ひとりひとりの描き方がすばらしくて、どんな脇役も手を抜くことなく丁寧に描かれている。みんな時代の流れに翻弄されながら自分なりに生きる道をみつけて必死に生きていて、そんな人々の生きざまと死にざまに胸を打たれました。ひょっとしたら何よりもまず、時代の犠牲者たちの姿を描きたかったのかもしれない。そう思わせるほど、登場人物たちの姿をとおして著者の熱い思いが伝わってきました。
そしてなんと言っても、読者を楽しませることには決して手を抜いていない。前作ほど圧倒的ではないにしろ、読者をぐいぐい引っ張っていく牽引力は健在。最後まで一気に読ませます。で、読んだあとには怒濤の時代を登場人物たちと一緒に駆け抜けた確かな余韻が残ります。この余韻は前作以上かも。お勧めです。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)より
4102169334