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1Q84
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1Q84の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.66pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全622件 461~480 24/32ページ
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村上春樹作品に初めて会ったのは 高一の模擬試験だった。現代国語の試験問題で 「1973年のピンボール」の一部だけ出ていた。 なんだか気になって、書店で本を購入した。 その頃すっごい好きな同級生の男の子がいて、 この小説を読んで少し思い出してしまった。 ピンボールと同じ年に生まれたものでもう結婚して 子供もいるんだけど、その頃、まだ小学生だった頃 のことも蘇ってきて切ない気持ちにさせられた。 ひとはいつかしんでしまう。 そんなどうしようもできない事実を 改めて認識させらせる作品だった。 その事実にどうしようもない悲しみが 襲ってきて、全身が震える恐怖を味わった。 家族ができ、守りたい人が増えて、 一日を大切に生きなければと強く思わされた。 何十年も何十年も後にこの作品を読んでいる人が このネットで書き込んでいるひとが皆 いなくなっている世界がくるのだから、、、。 | ||||
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大変面白く読めた!! プロローグのタクシー運転手の啓示の言葉・・・ 首都高速の非常階段・・・ ヤナーチェクのシンフォニエッタ・・・・・・・ いつもの村上調だ!! 青豆と天吾を交互に語るのも世界の終わりとハードボイルド ワンダーランドみたいだ!!(続編がありそうだとおもわせる ところも似ている!!) リトルピープル=羊男も作者が永遠に追い求めるテーマなのだろう。 それにエンターテイメントの要素ももりだくさんだ。 青豆=必殺仕事人、ふかえり=深田恭子?? それに過激な??セックスシーン・・・読者サービスがよすぎる。 青豆が頭がはげてる中年男がすきなのは作者のマスターベーションかな?? 村上の小説がワンパターンだと批判する人にも作者は答えを回答しているし・・・ 続編がありそうだと思わせる期待感、この先ドーなるの??みたいな読者にも よく読めばちゃーんと結末は書いている・・・・ふかえりの予言として・・・・・ 読むのに11日を要したが毎日ヤナーチェクのシンフォニエッタを聞いてから読んだので 楽しかった!!これは星5つの村上春樹のいつものエンターテイメント小説だ!! むずかしいことはいらない、次のページをめくるわくわく感があれば!! | ||||
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久しぶりに小説を読みました.その理由は簡単,世間でもっとも注目されている1冊,ノーベル文学賞の候補に毎年噂される村上春樹氏の最新作だったからです.最近(7月に入ってから?)ではどこの書店にも置かれていますが,つい2ヶ月弱(6月頃)ほど前には品切れでどこに行っても手に入らず,予約を入れて,手に入れるまで2週間程度かかりました.まずは話題の図書を手に入れたことで満足しましたが,読んでみて更に満足しています. 小生,小説はあまり読まないので(若かりし頃は小説もよく読んでいたのですが,最近はビジネス書が圧倒的に増えてしまいました),1000ページを超える長編小説など手に取ることなどあり得なかったし,読み出したとしてもおおむね途中で挫折するかと思っていました.ところが,毎週末100ページづつ読み進んでいる内に BOOK_1 を読み終え,村上春樹の世界に引き込まれるような印象を持ちました.小説の内容は他のガイドブックに譲るとして,その内容に引き込まれるのが読み進めるに従い強くなる,最初はかったるい感じなんですが,これが村上春樹流の読者引き付け術なんでしょうね? まだ,BOOK_2 は読んでいませんが(これからです),小説は「青豆」の章と,「天吾」の章が交互に別々の内容から組み立てられ,これが後半に進むに従い関連性が明らかにされていく,実に見事なストーリー展開だと感じました.読み進むうちにどんどん引き込まれる小説というのは,こんな感じなんでしょうか? | ||||
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先ほど読み終わりましたが,夢中になって読んだ分,後半にもっと完結性が欲しかったと思いました。登場人物の行方なども途中投げ出しが多く,最後に結末を期待していたまま終わったので,読み終えたあとに中途半端な感じが残りました。ですが,あれだけ夢中になって本を読んだのは久しぶりだったので,さすがだなと思いました。 | ||||
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突然の、物語の出だしがよかった。1984年版の当時の時代背景が鋭く、中々ミステリーな部分が現実みあってよかった。途中、わくわくしてくる感じがたまらなくよかった。 | ||||
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最近は「オウム真理教」や「神戸の震災」をモチーフとした暗い作品が多かった。曰く現実との「コミットメント」が、小説を生む力だったのだそうだが、読むのがしんどかった.今回の作品にも「オウム」も陰は見え隠れするが、基本は「1Q84」という、異世界に迷い込んだ二人の男女の愛のあり方を描いたラブストーリーだ。文体は平易で、「猫の町」や「空気さなぎ」は童話っぽく読みやすい。いきなりヤナーチェックのマイナー作品を提示したり、1Q84のQが「ウルトラQ」を暗示させたり、未来小説であるJ.オーウエルの「1984」を、過去をフィクションで描く道具にしたりとかなり計算されており、村上春樹らしい作品で且つベストセラーになるよう意図されたにものだろう。さすが商業作家ある。 | ||||
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ことは難しいのですが、本を読むときには、なるべくそうしようと努めています。本の世界に入り込んで楽しむことと、その本について評価や推測することは、自分には同時にできないからです。今、読後数日してからこのレビューを書いています。ただ文を目で追うことが、こんなにも楽しかったのは久しぶりでした。私個人としてですが、素晴らしい時間でした。内容についてなのですが、登場する固有名詞については述べません。長くなるし、することに意味がないように思えるので。なので、いくつか、自分の印象に残っていることを書きます。・文中に小説を登場させ、その小説へのさまざまな形の評価を見せたこと。 この部分を読んでいるときは、まるで自分の後頭部を見ているような居心地の悪さを感じました。好き勝手に的外れなことを書く自分です。・クールでタフな青豆さん 可愛い過ぎます。・ラスト、あるいは続編について正直、ここに書かれている他の方のレビューを見るまで、続編という発想はありませんでした。確かに、あの開かれた終わり(というか続き)は、たくさんの空白を物語に残します。しかし、風景や人物その他の描写の丁寧さと、わたしたち読者を引き込む緻密な構成は、この空白が著者の怠慢や技術、気力の不足ではないことを示していると思えます。 むしろ慎重にスペースを切り詰めて、わたしたちの入る場所を空けてくれている……というのは、さすがに走りすぎですね。 とりあえず、あのラストは、自分には説得力あるものでした。 あ、続きがあるならもちろん読みたいですよ。 | ||||
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村上春樹の作品は全部ではないですが、長編は大体読んでいます。 今回の1Q84を読み終えて、彼の最高傑作かと自問すれば否です。個人的には海辺のカフカがベストだと思っています。 村上作品を初めて読む方がこの1Q84を読み終えて思う感想は???ではないでしょうか。物語で出現する謎は半分以上回収されないまま終焉を迎えます。特に推理小説のような、パズルのピースが最後にきっちり合う感覚が好きな読者は、消化不良に思えるかもしれません。 しかし、決しておもしろくないわけではなく、1000頁以上あるにも関わらず読者を惹き付ける魅力は、さすが村上春樹といったところです。 | ||||
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村上春樹は初めて読みました。 「1Q84」は面白いですね。 エンターテイメント性もあり読みやすい文章で好きです。 個人や宗教、社会といった同じ世界に存在するもののそれぞれが異なる性質や大きさのコミュニティーを複数登場させ物語の進行に伴って変化したり明らかなっていく登場人物達の関わりのありようを小出しに書き出していって、あるところで非日常の要素を加える、その要素が胡散臭くならないうちに一気に最後まで読ませてしまうタイミングのとりかたがとても上手ですね。 難しいテーマでも簡単に表現してさらっと織りこみながらリズムにのって美しく構築的に話が進んでいる。 また登場人物たちの内向的で慎ましやかな愛に対しての距離感が物語に品性と普遍性、深いタメをつくり余韻が残りました。 特に人生で一度あるかないかの恋をしている方ならばより心に残る作品ではないかと思います。 僕の場合は今、正に〈愛〉という名前のものが腕から零れ落ちそうなところです(泣) 「1Q84」においての愛は自己愛を根拠とする苦しむ愛ではなく報いを求めない無条件の愛である信頼とか慈愛的な観点を感じるのでちょっと救われました。 | ||||
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年齢がばれますが、風の歌を聴けが出たときから読んでいます。その頃は文学の大作家様ではなく、ポップカルチャーと言うか、ジャズ喫茶のオヤジが書いた、ちょっと楽しい小説だったはずなのに、いつの間にかノーベル賞。。。その頃、大学のある女の子は羊をめぐるを一気に一晩かけて読んでしまい、2度目はじっくりと文章を味わうと言っていた。実は私も同じです。ただ今回は一気に読んだあと2度目はまだ読んでいません。もう少し熟成してからか。。 1人称でないのがしっくりこないからか。難しい言葉は嫌だけれど、デタッチメントではなくコミットメントになっているからか。または心の中で似たような焦燥感を癒してはくれないからか? 村上春樹の小説は当然のことながらすべて読んでいて待ちくたびれて、忘れた頃、テキサスのメキシコ国境沿い街の本屋さんで村上春樹の英文版に出会い、へーこんな所でも彼の作品が読まれているんだろうか、とか思いながら1冊づつ出張のついでに飛行機の中で読みました。英文のほうから書いたんじゃないかと思うくらい、日本語よりも良かった気がします。ただ翻訳する人が数名いるようなのでニュアンスが若干小説によって違うけれど。 すべて読み終わってもまだでない。。そしてとうとう今回の1Q84。でもこれでいつものように。。。謎のままオシマイはやめてほしい。3.4ぐらいは出してください。 文学とは全然違うのだけれど、ハルヒの憂鬱に出てくる統合思念体の長門有希の台詞そっくりだと思いながら ふかえりの言葉を感じていました。 羊をめぐる冒険やハードボイルド ワンダーランドの1人称がどちらかと言えば好きだけれど、新しいのを出してくれるだけでいいです。1冊出すのに何年もかけていると後何冊死ぬまでに新作を出してくれるのだろうと切ない気持ちになります。 軽い気持ちで、僕が出てくる1人称早く出してください。文学なんてどうだってイイから。 また、やれやれ。。。。という心の声が聴きたいです。 | ||||
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名前は知ってたけど、村上春樹先生の作品を読むのは1Q84が初めてです。TVの情報番組で話題になってるのをみて、読んでみようと思いました。はっきり言えば今旬の話題に便乗した形です。 BOOK1を読んだ感想は、早く2を読みたい、でした。青豆と天吾という2人の主人公は、東京でまったく異なる生活を送り、異なる生き方を送っていたが、それぞれが別の事情で関わった事が、1つの事件に繋がっていく。こういう話は好きです。時々、かなり非現実的なシーン(ファンタジーなら現実的と取れる)に、えっ?っと思う事もありましたが、そういう話だと思って読めば楽しめます。 読み始めると続きが気になって、夜遅くまで読んでしまいます。青豆と天吾の話が交互に描かれている事が、余計にその展開が気になって止められません。BOOK2を読み始める所ですが、今後の展開に目が離せません。 | ||||
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文章はいつもながらスタイリッシュで、楽しみ味わいながら読むことができました。2巻を読み終わって、作中の書評にあるように「途方にくれて」「置き去りにされたような気分」になりました。それもまた、文中で述べられているように「作者の意図したこと」なのかもしれません。多くの人が指摘しているように、BOOK3を期待してしましますね。 ところで、天吾って、男性にとっては理想的なポジションにいますよね。仕事においては自分の得意な技能(数学)を生かして、ほどほどの収入を得ており、しかも責任とかストレスとは無縁で、自分の好きな小説を書いていて、それも才能があって近い将来の成功が約束されたような形で不安はない。自分にセックス以外の何も要求しない年上のセックスフレンドがいて週に一回の向こうから出向いてきて性欲処理をしてくれる。非常な美少女と仲良くなって、よくわからないうちにその美少女が自分の上で腰を振って射精をさせられ、おまけに妊娠しないから心配しなくていいと言う。小学校のときに1回だけ親切にした少女は30才になるまで天吾のことだけを想い続けている。なんだか、登場人物が皆さえない主人公に惚れてしまうという少年少女漫画みたいですね。それに引き比べて、天吾自体が何を行ったかというと、「空気さなぎ」のリライトのみです。徹底的に引きこもりタイプで人とかかわろうとしていません。年上のセックスフレンドが「失われてしまった」ら、さっさとあきらめてしまいます。 話自体は面白いし、青豆に関わる人達の描写なんかは好きなのですが、イマイチ「良かった」と言い切れないのは、こんな理由です。青豆の存在自体が妄想なんじゃないだろうか、と思ってしまいます。 おまけ。この本を読んで、「起こらなかった過去」による別の現実、というものを非常にインパクトを持って語ったマンガを思い出しました。清水玲子の「月の子」です。私達が生きているのが、間違った世界なのかも、という気分にさせられます。 | ||||
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うん、やっぱり村上春樹はいいですね。 読んでいると、無意識の領域がゆっくりとかき混ぜられ、、脳髄の奥のほうがトローンとしてくるような感覚があります。 どうやったらこんな文章が書けるようになるんだろう? BOOK1・BOOK2あわせて1000ページを超える大作ですが、一気に読んでしまいました。 (この3日間、仕事しているときと寝ているとき以外はコレを読んでました。) | ||||
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BOOK2のレビューにも同様の主旨で書き、一度投稿した文章に書き足しております。この作品はこれで終わりではないと思います。 根拠1:インタビューで村上氏は「いま、とても長い小説を7年ぐらい書いています」ということを言っておられたが、この本は『ねじまき鳥クロニクル』より短い。 「毎日、午前中に集中して小説を書く」という勤勉な村上氏が、過去にいくつも例のある上下2巻本を「とても長い小説」なんて言うだろうか? 根拠2:その『ねじまき鳥』の時も、2冊が先に出て、批評家もみなこれで完結だと思って勝手なことを言っていた。その後三巻が出て、批評家の面目丸潰れ。 根拠3:BOOK2の最後で天吾は「青豆をみつけよう、(中略)何があろうと、そこがどのような世界であろうと、彼女がたとえ誰であろうと。」と決心するのですよね。天吾が青豆に再会するエピソードがあるはずです、青豆が生者であるか死者であるかはわかりませんが。 以上ですが、今週放送されたNHKクローズアップ現代『村上春樹・物語の力』では「数々の謎に明確な解答を出さず、物語は終わります」と言っていましたが、たとえ推理小説のように明確なものではなくても、「空気さなぎ」や「リトル・ピープル」については何らかの更なる言及があると思います。また「ふかえり」の保護者の戎野先生も、あれっきり出てこないとは考えられません。 というわけで、全4巻ぐらいありそうだと思っていますが、少なくとも『BOOK3<10月〜12月>』は確実にあるでしょう。ただ、そうだとするとBOOK4は<1月〜3月>となり、「1Q85」年に入ってしまうので、断言はできません。 | ||||
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私は大好きです。 村上春樹では「羊をめぐる冒険」が一番好きで、この10年で、気がつくと何回も読み返していました。 こんな事は他の小説ではあまりありません。「1Q81」は、「羊・・・」の次に好きな作品になりました。 またきっと読み返すでしょう。 とにかく面白い。ぐいぐい読んで、最後は美しく、ジーンとする感じ。映像的。 レビューを見ると、“いつもの村上春樹”、とか、真逆に“好きな暗喩や独特の言い回しが少なく物足りない”など意見が別れるようですね。 私は新鮮に感じました。 手法とか、理屈はよく分かりませんが、ただ好きだと感じました。 | ||||
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青豆が高速道路から降りていく上巻の導入から、謎めいていてワクワクするような話が続く。天吾の話と互い違いになっているのがもどかしく、どちらかの話に引き込まれたら、またもう一方の話を読まなくてはならず、という構成にちょっといらいらさせられたが、それでも全体に、つぎはどうなるのだろうという興味に引っぱられるようにして最後まで読んだ。 ただ、こちらが勝手に期待してしまっているだけなのだが、何か物足りなく思った。ひっかかりがないというか……。 なので、筋は面白いにもかかわらず、最後までそれほど世界観に入り込めず、青豆や天吾にもそれほど共感はいだけず、ふかえりについても魅力的なキャラクターなのだが、なんとなく最後まではっきりとした像を結ばず……という感じで、途中しばしば「冗漫だなあ……」という感想を持った。作品に、「ねじまき鳥」あたりの異様なパワーみたいなものもなく、読後感としては、読んでも読まなくてもどっちでもよかったな……という気になってしまった。 とはいえ、最後まで面白く読ませる作品ではあったし、期待が大きすぎて文句が多くなってしまっているという感じなので、星4つ。 | ||||
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以前から村上春樹氏の作品は好きでしたが、今回の物語はある意味でわかりやすすぎる感があり(メタファーがすくない、ダイレクトな表現が多い、ストーリーの謎(の一部分)が説明されている)あれっと思いましたが、Book 1,Book2を通して読んだ感想としては、う〜ん深い・・・と思いました。 当然のことながら、人それぞれ感想や思うところはあるかと思いますが、僕はこの本のテーマ(であろうと思われる)の1つにものすごく共感しました。極めて私見と偏見に満ちていますが、恐らくテーマの1つとしてあげられるのは、我々の現実というものに対するリアリティの稀薄性、そしてそれが生み出す空白、虚無、そして無力感に対するSalvation(救済)ではないかと思います。Book2である主人公は自分がフィクションの世界にいるのか、現実の世界にいるのか、仮説と現実の境界線が希薄になっていきますが、これは恐らく僕達全員に投げかけられている問いであり、ルネ・デカルトの方法的懐疑論やエマニュエル・カントの認識論などをも想起させるような、極めて哲学的(といえなくもない)ストーリー展開となっています。物語後半、男性の主人公が空を見つめてある”異変”を発見するとき、読者は我々の見ている世界がどこまで現実でどこまでがフィクションなのか、どこまでが自分の意識でどこまでが作られた意識なのかなど考えさせられるのではないかと思います。世界はもしかしたら「見世物の世界」であり誰かによって作られた世界であり、「何からなにまで作り物」かも知れないと切実に感じる時、(物語の主人公をふくめ)我々はどこまでも孤独であり、救いがないように思われる。自分という個体が本当に自分であることを証明する術が一切ないように思われる。しかしもう一人の女性の主人公は見世物の世界の中にたったひとつの救済を見つける・・・この女性主人公は、唯一自分の存在を経験的に証明し、彼女自身を救済するために必要なものは宗教ではなく、現金の束ではなく、社会的な成功ではなく、善悪といった2次的な観念ではなく、彼女自身(あるいは我々自身)に内在するある一つの「もの」であるといっているような気がします。他の方も書いていたとおもいますが、Book2の第13章が、少なくともこのテーマに対する答えをだしているのかなと思いました。 昨今の物質主義にどっぷりとつかってしまった日本社会では、金や社会的成功がとても重視されがちですが、僕はBook2第13章で主人公が見つけた大事な「もの」にとても深く共感しました。 | ||||
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ストーリー展開に読者が感じるカタルシスや緊張感という点では、ねじまき鳥やハードボイルドの方が上です。ですので筆者の小説にその点を期待しているのならば、文庫を待ってもよいかもしれません。それでも私は最後までぐいぐい読まされました。 これまでの作品に比べ、描いているテーマの数が多く、よく言えば重層的ですが、とっちらかってぼやけていると捉える人もいると思います。 良くも悪くも、ディテールを描き込んであります。私は、物語は一人称で語られるより、ささいな、細かいことを通して語られた方がリアルに感じる質なので、世の中とか、人の心の複雑さが沁みてきました。 作品としての深みは5つ星ですが、エンターテインメント性がやや後退しているので★を一つ減らしました。 | ||||
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BOOK2まで読みました。最高におもしろかったです。 キャラの過去にあからさまに共通要素があるし、「空気さなぎ」がマユではなく敢えてサナギだし、テーマがこれまでの作品よりはっきりしていてとてもわかりやすかったです。 私は海辺のカフカから顕著になった〈心の内と外をシームレスに描く作風〉にもまったく抵抗がないので(むしろそこが好きなので)、おもしろく読めたし、二つの月やリトルピープルその他、青豆と天悟のラストにも納得でした。もちろんそれらは自分なりの解釈だし、隅から隅まで全部ではありませんけど。 今作で村上春樹さんは、「世界の終わり」や「海辺のカフカ」とは違う〈対比〉を用いて『問い』を発しているのだと思います。『問い』を発する重みは文体からも感じられましたし、読み終えてから帯の言葉を見て「なるほど」と唸ってしまいました。 二冊でもうすでに完成度の高い素晴らしい作品だと思うので、ちまたで騒がれているBOOK3はありえないと自分は思います。あってほしい、とは思っていますけど。 ちなみに村上春樹ファン歴5年です。『風の歌を聴け』から『海辺のカフカ』まで大概好きです。なんか村上さんのレビューはそういうのを書く人が多いので念のため…。 | ||||
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花びらを一枚一枚千切る恋占いのように、青豆と大吾のストーリーが交互に展開されていく。 10歳の純愛は時間が経つに連れ、宗教、性、DV、と悪の部分と否応なくリンクしていく。 その悪を作り出すものは何なのか、それにどう立ち向かっていけばいいのか、あるいはどう向き合っていくのか。。世界のあらゆるものが詰まったノアの箱舟のようなこの本にあなたも乗ってみませんか? | ||||
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