■スポンサードリンク


新横浜発12時9分の死者



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
新横浜発12時9分の死者 (光文社文庫)

新横浜発12時9分の死者の評価: 1.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点1.00pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

これは良くないですね

津村秀介の推理小説の魅力は、何と言っても巧妙に仕組んだアリバイを少しずつ解きほぐしていく過程の醍醐味を味わえる点でしょう。時刻表を駆使して作られた堅牢なトリックを崩していく過程は、読者にとってもパズルを解く快感につながっています。
読者もそれを期待するからリピーターが生まれるわけで、それを裏切らない展開が続くことによって根強いファンが作られていくわけです。

ただ、本作品に関してはそもそもアリバイの前提となる動線自体に問題があると思います。というか、このような行動は有り得ないでしょう。

ネタばれにならないように注意して書きます。そもそも書名で書かれている「新横浜発12時9分」に乗らなければいけない必然性がないのです。推理小説ですので、これ以上は突っ込めないのがもどかしいですが、読者を満足させる「行動」ではありません。

昭和62年当時の時刻表を見ていませんので、確かにこれしかないのかという確認ができません。アリバイを成立させる前提となる時刻表が未掲載です。もっと言えば空路のダイヤを提示していません。お昼頃と言えば、羽田空港から掲載されている空港だけでなく、隣接の空港へも行ける可能性がある時間帯です。読者はただただ作者の推論をのまされるだけでした。

本書もそうですが、津村秀介の推理小説のパターンですが、関係者との人間関係を見ていくと自ずと犯人像は絞られてきます。それゆえ、作風の醍醐味はアリバイ崩しとなり、そこに焦点があたります。なにしろトリックや堅牢なアリバイを崩さないと犯人にたどり着きません。

殺人時の加害者と被害者が殺人に至るまでどのように時間を過ごしたのかが最後まで描かれていません。動機も殺人に至る必然性は描かれていませんので不自然ですし、死体の発見に関しても遅すぎます。せめて最後の段階でもそのあたりを再現した描写がないとアプローチに不自然さが残るのではないかと危惧しました。

作者が鬼籍に入られていることもあり、そのあたりは適いませんが、なんとなくいつものパターンで小説を作れば読者は付いてくるということもあるのでしょう。なにしろ当方も20作以上読んでいるわけですから。道中のやり取りや描写が丁寧すぎるのと反対に肝心のところを省略するのは少しいただけません。
新横浜発12時9分の死者 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:新横浜発12時9分の死者 (光文社文庫)より
4334734812

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!