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出口のない海
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出口のない海の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全95件 61~80 4/5ページ
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決して明かされることのなかった悲劇・・。 人間魚雷。こんなことがこの100年のうちにあったなんて、今の日本では信じられない。 教科書での歴史認識の甘さを痛感する一冊。 小説らしく、主人公の生き様、恋愛模様も含めて描いているところが、読者を暗い気持ちにさせない横山さんらしさ。 重たくならずに、衝撃の歴史認識を与えてくれます。 日本人だけでなく、同じ世界の若い人にこそ読んで欲しい1冊。 | ||||
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第2次大戦中の人間魚雷兵器「回天」にまつわるフィクション・ノベルです。 淡々と物語りは綴られ、 特に「大泣き」したり、ドラマティックな展開があったり、 つくづく考えさせられたり、絶望的な気分になったりしません。 文字数も少なめで、1日で読みきる事も可能です。 とっつき易い、戦争小説モノ、と言えます。 でも、なぜか「心に響く」のです・・・ 読み終わると、なぜか忘れられない「力がある」のです・・・ 横山さんの筆力なのでしょう。 優れた短編を多く書き、根はジャーナリストだった著者の小説家としての能力が、 この作品を凡庸なモノではなく、 なぜか「心を打つ」作品に昇華させてしまうのだと思います。 まるで「シナリオ」の様な文体なのですが、 実際に映像化して、この内容を伝えるのは至難のワザであると思います。 映画をご覧になられて、本書に興味を持たれた方がいらっしゃったら、 是非、ご一読ください。 「一生心に残る」作品として、刻まれると思います。 | ||||
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最初、映画化してるけどどんな話なのかなーっと思い、買ったのですが・・・・ものすごく泣けます!!。この人達のおかげで、今のような暮らし等ができていると思うと感謝なのですがこの様な人達に生きていてほしいと思わせられます。すごく感動的で良い本なので読んで頂きたいです。 | ||||
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一連の警察小説で著者のファンになり、ミステリーでないと知りつつ手にとってみました。 私も「回天」の存在を知らなかったので興味深く一気に読めました。後半の死を前にした登場人物達の心理描写に圧倒されました。 が、「陰の季節」等のミステリーの短編が著者の持ち味だと思うので星4つとしました。 | ||||
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甲子園の優勝投手の並木は、肘の故障で大学野球ではほとんど投げていない。だが、諦めずにリハビリをし、魔球を投げると宣言する。並木が求めた魔球とは、いままでにない変化を見せる新しい変化球のことだ。 折しも、日本は真珠湾を攻撃し、大平洋戦争へと突入。やがて大学野球は閉鎖、大学生も召集され、並木は海軍に志願する。劣勢の巻き返しを図る海軍は神潮特攻隊の人間魚雷「回天」を考案。回天の搭乗員に野球部マネージャーの小畑が志願したと思い込んでしまった並木は、自分も志願することしたのだが…。 果たして魔球は完成するのか? 並木が辿った末路とは!? 出撃日が決定し、死が決められた上での数日間、前夜の送別会、出陣での心理状態とはどういったものなのか。死を突き付けられ狂態していく様、生と死を行き来する心理状態は壮絶なもので、攻撃海域に向う潜水艦の場面を読んでいるときには呼吸をするのを忘れるほどだった。 | ||||
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戦争映画や、特に特攻隊の本などを読むたびに思います。 近いうちに必ず死ぬと分かって生きるって どんな気持ちなんだろう。 毎日死ぬ為の訓練をして、 自分の夢も好きな人との未来も全て諦めなければならないって。 主人公は、死ぬ理由を探します。 お国の為、好きな人を守る為、友の敵をとるため・・・。 建前の理由はたくさん見つかるけど、 主人公が見つけた自分なりの理由を知った時、 胸がつまりました。 感動とか辛いとかじゃなくて、 しばらくは何も考えられないくらい心が痛みました。 忘れてはいけない事実だと思いました。 | ||||
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第二次大戦中,つまり戦争を扱った作品なのですが, 派手や,血なまぐさい戦闘の場面などはいっさいなく, 『死』へ向かう特攻隊員の心理や成長が描かれています. しかしそれが,明日にも出撃しなければならない恐怖感や, 暗くて深い海から出撃する,圧迫感や緊張感を強くさせます. そんな中,狭い艦内で『そのとき』を待つ心境は想像もできず, 『出口のない海』へ深い想いを落とす主人公には胸が詰まります. また,ちょっと予想外のラストもとても不運でつらく, それでも絶望と恐怖の中,残された人たちを想う姿に…. | ||||
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戦争は同じ戦争の時代に生きても、実際に敵と戦ったり、防空壕で過ごしたり、様々であるから、共通した戦争観を持つことはきわめて困難である。 本書は回天の特攻隊員の主人公を中心に、物語が展開する。主人公は大学の野球部に所属していて、その日々の平穏な大学生活と激しい戦争が対照的で戦争が際立って感じた。回天についても良くわかるように書かれている。 私が、一番印象に残った箇所は「国や両親のために、敵艦に突っ込むのではなく、「回天」を後世に伝えていくため」というところである。 | ||||
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甲子園優勝投手であるにもかかわらず、その後訓練中の怪我もあり投げられなくなる、ちょっとした誤解がもとで特攻を志願せざるを得ない状況に追い込まれる、敵陣に攻めるはずがそれができなくなる、なんと不運な人生であったろうか。いたたまれない思いを起こさせるに十二分だ。 | ||||
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ひたすら戦争批判を終始わめき散らすようなことはせず、 タイムスリップなど奇抜な設定の人物を登場させるようなこともせず。 この作品の中で著者は、 “戦争”と“平和” “夢”と“現実”を、その狭間で悩み苦しむ主人公達を通して 丁寧に且つ冷静に描いている。 しかし、冷静だといってもストーリー性に欠けることなく、そこに著者の力量が窺える。 私は、特攻兵やその周りの人たちの気持ちや年齢を考えると そのあまりにも若すぎる登場人物達の苦しみに涙が止まらなかった。 是非、手にとって時間のあるときにじっくりと一気に読んでほしい。 著者の、若者達を包み込むような“想い”を感じられると思います。 | ||||
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人間魚雷で特攻という、堪え難い運命に翻弄されながらも、いつも潔く、力強く生きた主人公とまわりの青年たちに、戦争ものでありながらも爽やかさをかんじた一冊でした。 | ||||
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特攻といえばゼロ戦による体当たりと思いがちだが 「剣」「橘花」「桜花」「震洋」「伏龍」そして「回天」と よくもこれだけ考え出したなと驚くような特攻兵器があった。 魚雷に操縦席を取り付けただけの”人間魚雷”回天と 青春を散らしていった若者達を描くドラマだが、 さすが横山秀夫、最後まで飽きずに読ませてくれる。 どうしてもこの手の物語は 気持ちが暗くなって読み進めるのが辛くなってくるものだが 一流の作家にかかるとこうなるのか、と感心。 主人公が「回天を後世に伝えたい」というセリフがあるが 著者はそれを見事に果たしたといえるだろう。 | ||||
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映画化にあわせて文庫化され、大ヒットしている作品。読み始めた当初、すこし言葉使いや感覚が、その時代の雰囲気よりも軽め明るめで、そぐわないかな、と思ったが、段々その違和感が消えていった。 よく調べ、戦争の哀しさを伝えている。その時代に生きた若者達の、痛切な青春が感じられた。私は作品の中盤くらい、戦局が悪化し、徴兵猶予が撤回され、学徒動員に並木などのナインが掛かり、郷里のみんなに励まされ押し出されて、入営したあたりで、ボロボロ、ボロボロ、泣いてしまった。誰がなんと言っても、私はこの中盤あたりが好きだ! この作品の主人公は、「敵艦に勇猛果敢に突っ込んでいって、敢然悲壮なる最期を遂げる」のではない。読まれる方の楽しみを奪えないので、これ以上は書けないが、戦争賛美でもない、かといって頭からの反戦・戦前日本批判でもない、当代最高作家である横山秀夫ならではの、鋭い筆によって、物語は終わっている。この物語の終結は、この物語を描く以上、これ以上はない最上のものではないか。流石の一言に尽きる。 時代の悲しみを、突き放して批判するのではなく、主人公に対する大きな暖かな優しい目を失わないまま、毅然として「戦争批判」は、誰よりもしている素晴らしい傑作だ。 | ||||
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時速30ノット(50Km程度)走行中の艦船に数秒の目視で、 将来の位置を推測して、そこにぶつかって行く。 たった一人で、尚且つ、失敗時には自爆しかない・・・。 そんな兵器といえない兵器が現実に使われたとは、怒りを感じました。 こんなに怒りが湧いたのは何故なんだろう。 それは、職業軍人でない、野球に夢を持った主人公が夢を取り上げられ、 それでも、夢に向けて努力した主人公に感動したからかも、 反戦というより、「夢」を持つことの大切さを教えてくれている小説です。 こんど、映画が公開されますが、観て見たい映画になりました。 監督も「山田洋次監督」だし、どの様に映像化されるか楽しみです。 それと、回天は靖国神社の遊就館の1Fに展示されています。 興味をもたれた方は観に行ってください。 より、小説のリアリティが増します。 | ||||
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序盤は退屈だ−野球部というよくあるグループ付け、高校野球で大きな注目を浴びた天才ピッチャー並木とその挫折というよくあるエピソード、並木に絡んでくる幼馴染の女性というよくある恋愛談。それに対して妙に詳しくてそこだけ浮いている兵器の描写。 ところが後半、話は俄かに重たいリアリティを持って迫ってくる。並木は回天隊に入隊し、戦局は悪化し、いつ出撃するとも知れない状況になる。その事実を結婚を約束した幼馴染に伝えるべきなのか。機体故障で出撃できなかったことを逃げたと詰られる理不尽な状況。そしてこんなことでは愛する人を守れないと判っていながらも回天隊という場所から離れることなど出来ない状況。一億総玉砕に対して、「それでは身を呈する意味がないではないか」と考える並木。回天に乗り込み自分の命を差し出すのは、愛する人を守りたいからなのに、回天で敵艦に多少のダメージを与えたところで戦局はもはや変わるはずもなく、ましてや一億総玉砕なら愛する人も死ぬことを意味する。なら何のために自分は命を差し出すー?並木はひたすらに考え抜き、ひとつの結論を出す。そしてその結論を実行に移すのだ。 何となれば柵やらルールやらで「どうしようもない」「しようがない」という言葉が蔓延する世の中だけど、そうそう簡単に諦めてはいけないとこの本を読んでほんとうに感じた。どうしようもなくてもしようがなくても何かやれることは絶対にあるはずなのだ。そしてそんな簡単なだけど大切なことを、ほんとうに平易な言葉だけで語った物語で読者に強く迫ってくる。 | ||||
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死と青春、海(海底)と青空、潜水艦とグラウンド、回転と野球(魔球)などなど暗と明がうまく対比されていて暗いだけの戦争小説ではなく爽やかさも感じられた。 前半部分のマスターの子ども時代の父との別れのシーンで早くもウルウルしてしまった。後半にも胸にウッとくる場面が多く、早くページをめくりたいという気持ちと読むのがほんとちょっとつらいという気持ち両方の感情があった。 | ||||
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あの時代の日本。世界に楯突いてどうにも引き下がれなくなってしまった日本。愛国の名のもとに神を信じ無敵を信じ戦場に散っていった多くの命。 戦争が人類最大の愚劣きわまりない行為だとしたら、そこで亡くなっていった尊い命はいったいなんだったのか。 人間魚雷「回天」は、戦況悪化を打破するため海軍が極秘で開発した特攻兵器である。しかし、この搭乗者もろとも吹っ飛んでしまう人間魚雷は開発から実用までの期間もないため、訓練事故で命を落としたり発射間際になって不具合がでたりと問題も多かった。 そうまでして勝たなくてはいけない戦争とは、いったいなんなのか。 特攻というあまりにも無残で無謀な作戦に参加しなくてはいけなかった人たちは、ほんとうに喜んでお国のために散っていったのだろうか。 野球を愛する仲間たち、郷里にいる家族と恋人、馴染みの喫茶店のマスター、海軍でできた仲間。彼らの並木に対する思いが残酷な死の決意の前にあざやかに照らしだされる。しかし、理不尽な戦争の犠牲を描いているにも関わらず本書の読後感は重くない。むしろ、大泣きしたあとのように清々しい気分にさえなる。暗澹たる史実と青春のさわやかさを対比させ、苦悩しながらも逃げることなく正々堂々と立向っていった一人の男を描くことによって、成しえる読後感だと思う。読んでよかった。 | ||||
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9月に映画が公開されるので、その前に読んでみました。 警察モノとは全く違う横山秀夫作品なのですが、細かな心理描写は筆者らしいと感じられ、お盆休みの間にノンストップで読み終えました。 あらすじは、甲子園の優勝投手であった主人公が大学で肩を壊し、それでも投げることをあきらめずトレーニングを続け希望の火が見えてきたときに、戦局の悪化によって野球が禁止になり、学徒動員され回天の特攻隊員に志願し、敗戦を予測しながらも死に自分の使命を見つけて散っていく、というものです。 人間であれば誰でも死にたくはない、しかし死ぬことが使命の特攻隊員としての心の葛藤が見事に描かれていると思います。 映画でそれがどの程度伝わるか楽しみです。 | ||||
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今度公開される映画「出口のない海」の脚本を担当した山田洋次監督が、解説の中で書いているように人間魚雷「回天」という言葉は知っていても、その構造を含めて知らないことばかりでした。そのあたりが、この本で氷解した感があります。 物語は、戦争を扱ったものですが、むしろ「青春小説」の趣がかなり強くあります。甲子園の優勝投手が肘を痛めて投げられず、それでも「夢」を捨てず、「魔球」の考案にかけています。それを陰日なたに支えるチーム・メートたちがいます。それに、オリンピックを目指すマラソン選手が登場し、ここと言う所で的確な助言を与えます。それに、幼馴染の女性も登場し、「青春小説」の道具立ては全部揃っています。 そうした青年の「夢」を襲う残酷な「戦争」という局面、それも極限の人間魚雷の搭乗者ということで、ぎりぎりまで突き詰めた状況での小説になっていて非常に良かったと思います。それと、もう一つは、青空のイメージのある甲子園の高校野球と出口のない「回天」の対照もなかなか効果的だったと思います。 何よりも、「戦争」を扱った小説というと暗くなり勝ちなのですが、それを「青春小説」として扱い良かったと思います。 | ||||
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警察、新聞社と男中心社会の人間ドラマを好んで書いてきた横山秀夫氏が、本書で選んだの舞台は「海軍」。第2次大戦末期、人間魚雷「回天」乗員として志願した特攻隊員たちの物語です。氏のテイストがはたして軍物にマッチするのかなぁと思いつつ読み始めたのですが、心配無用。横山氏お得意の短編集ではない長編物ですが、最後まで一気に読ませる文章の切れ味は健在でした。 魔球への夢を断ち切れない肘を壊した元甲子園優勝投手・並木をはじめとする登場人物は皆、戦争という波に乗り遅れまいとひたすら死に急ぐ。性能にもともと問題のある「回天」が次々と故障し特攻の順番が繰り上がっていく場面は、ディアハンターのロシアンルーレットのシーンを連想させるほど迫力満点でした。 読者をあっと言わせるどんでん返しは無いものの、そろそろ直木賞をねらってもいい著者が取り組んだ新境地の作品として、十分に評価できる仕上りになっていると思います。映画化決定ということですが、同じテーマを扱った「ローレライ」以上の出来を是非期待しています。 | ||||
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