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邪魔
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邪魔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全95件 81~95 5/5ページ
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この物語、小さい子供を持つ親の立場としてはせつなさが沁みます。プロットは九野薫と及川恭子、渡辺裕輔の3人を中心に進みますが、特にその中でも及川恭子が心理的に追いつめられていくさまは圧巻です。家族(=子供二人)を守るために恭子は様々な葛藤を繰り返し、ついには実力行動に出ますが結局最後は自分の為、という事が解ってしまいます。読み進めるにつれ非常に切ない気持ちになってくる物語でした。この恭子役を女優ではめ込むとしたら最近主婦・母親役がはまっている戸田菜穂というのはどうでしょうか?この本は2002年版『このミステリーがすごい!』の国内部門2位の作品です。今年直木賞を受賞した『空中ブランコ』とは全く異なる性格とシチュエーション内容ですが、心理的なものを描くその中身はどちらも引き込まれる意味で最高です。 | ||||
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『最悪』に続きとことん不幸に見舞われる3人が主人公の物語。不良高校生、奥さんを数年前に事故で亡くした刑事、そして、夫が放火事件の容疑者にされていることにおびえる主婦。お話はこの3人の視点で入れ替わり展開していきます(この点、『最悪』と同じ手法です)。また、最初は全く関係のない3人の運命が途中から1つの事件を中心に一つになっていく点も同じ展開です。ただ、『最悪』とちょっと違うのは、前作では3人の主人公が最初からちょっと不幸だったのに、『邪魔』では(特に主婦の場合は)スタート時点は平凡な生活ながらそれなりに幸せである点。そこから夫の事件を機に、不幸の底にたたき落とされ、そこでやっと希望ややる気を見いだしたかと思うと、更なる裏切りに遭い、またどん底にたたき落とされる。まさに、ジェットコースターのような展開。幸と不幸の落差が今回はより激しくなっており、かなりの衝撃です。ちょっと残念なのは、『最悪』ほど、うまく3人のお話がかみ合っていないこと、刑事の義母の話など、いくつかのテーマが未消化であることです。(とりあえず、ネタだけいろいろ仕込んでおきながら、後であまり使えないので「ま、いいか」と思ったのでしょうか?)そうはいいつつ、胃に悪いとまで言える不幸のどん底感は今回も健在。社会の厳しさとどん底に堕ちた人間の強さを存分に味わえました。途中7割までは星5つでしたが、ラストがとってつけたようなものなので興ざめ。星4つです。『最悪』が楽しめた人にはおすすめ。 | ||||
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平凡な日常を壊され、怯えた小動物さながらの小市民を描かせたら、この人の右に出る者はいないだろう。ちょっとしたきっかけで人生を踏み外していく過程が、あまりにもリアルである。思い込み、行き違い、先走り、嘘の塗りかため、ごまかし・・・・誰の人生にもあるこれらのささやかな間違いがどんどん成長し、人生を食いつぶし、奈落の底へと突き落とす。それが、誰にでも起こりうるリアルさなので、読んでいても他人事ではない不安感や、焦燥感にとらわれてしまう。特に、及川恭子の境遇が痛ましい。平凡な主婦が夫の起こした事件によって、次第に壊れていく様は息苦しさをおぼえるほどである。もう一人の主人公の九野刑事も、妻の死というトラウマを抱え、最後のよりどころともいえる義母に愛情をそそいでいるのだが、それが思わぬ展開をみせ、こちらを驚かせる。いかんせん、ラストが少し尻すぼみの感があるが、でも、それを補ってあまりある魅力のある本だった。 | ||||
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こんなにも日常の中に崩壊に繋がる扉があるものなのか。そして,それは最も日常という城の中で生きている普通の主婦が開けてしまうものなのか。2人の子どもたちを守るため,自分のマイホームを守るため,そしてそれは,花壇を作るという形にしたかった主婦,及川恭子。そんなどこにでもいる主婦の周りで起きた小さな事件が,やがて恭子の家庭を子どもたちを守るため,恭子自身が大きな過ちを犯していく。その恭子の心の動きは実にリアリティーにあふれ,哀れとしかいいようがない。恭子に刺された刑事九野が,逃亡する恭子に「死ぬなよー。」と叫ぶところは,妻に先立たれ,生きてることの大切さを痛感している九野だからこそ言える言葉。犯罪を犯すべく犯してしまった恭子が切ない。 | ||||
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とにかく面白かった!一息に読了です! 新興住宅地に念願のマイホームを購入し、平凡ながらも幸せを噛み締めつつ生活している主婦恭子。恭子の夫は会社の宿直をしていた夜、放火騒ぎが起こり、火傷を追う。当初は以前会社が因縁をつけられていた暴力団の仕業とみられていたが、久野たち刑事たちの調べにより犯行は恭子の夫が会社からの横領を隠すための狂言であることがわかってくる。夫を信じていた恭子は過去に生じた金銭トラブルなども脳裏によぎり、次第に夫への疑念を膨らませる。なおかつパート先での人間関係、マスコミや警察がうろつく恭子宅を見る近所の目などから徐々に精神的に追い詰められてゆく。どんなことがあっても今の幸せを失いたくない、せめて子供には惨めな思いをさせたくない、と必死になるほど逃げ場のないところへと追い詰められてゆく恭子。そしてついに恭子は自ら一線を越してしまう。 作者は小説を描く上でディテイルが重要、と考えていると解説で触れられている。その言葉どおり、主婦恭子の日常が細やかに描かれておりリアリティにあふれている。パート先での主婦どうしの軋轢、市民運動家たちのエゴなどに翻弄されるあたりの恭子の心情も実に細やかに描かれ共感できる。こういった細やかな情景描写や心理描写がスリリングな展開を一層盛り上げている。 個人的に今年読んだ中でいまのところナンバー1!! | ||||
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徹夜度 ★★★★★ 話題性 ★★★☆☆着想 ★★★★☆ 作品の重さ ★☆☆☆テンポ ★★★★★ 読みやすさ ★★★★★謎解き ★★★★☆ 感動 ★☆☆☆☆読後感 すごいおすすめ度 ★★★★★「最悪」と並ぶ、作者の代表作。2002年度版 このミスで模倣犯に続く2位。文春 2001 傑作ミステリーベスト10で6位。本作品には三人の主要人物が登場する。妻を交通事故でなくしたトラウマから立ち直れないでいる警部補 九野家族4人で平凡に暮らす主婦 恭子将来に目標もなく、ワルにもなりきれない高校生 祐輔一見関係ない彼らの人生が、小都市で起こった放火事件をきっかけに、交錯していくという、クライムノベル。些細な事件を、一級のサスペンスに仕上げ、一気に読ませる筆力はすばらしいの一語に尽きる。是非おすすめの一冊である。余談であるが、この作品以降、作者の作品がミステリーファンにとっては物足りないものとなっている。もう一度、この作品で得た驚きを味わいたい。 | ||||
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徹夜度 ★★★★★ 話題性 ★★★☆☆ 着想 ★★★★☆ 作品の重さ ★☆☆☆ テンポ ★★★★★ 読みやすさ ★★★★★ 謎解き ★★★★☆ 感動 ★☆☆☆☆ 読後感 すごい おすすめ度 ★★★★★ 「最悪」と並ぶ、作者の代表作。 2002年度版 このミスで模倣犯に続く2位。 文春 2001 傑作ミステリーベスト10で6位。 本作品には三人の主要人物が登場する。 妻を交通事故でなくしたトラウマから立ち直れないでいる警部補 九野 家族4人で平凡に暮らす主婦 恭子 将来に目標もなく、ワルにもなりきれない高校生 祐輔 一見関係ない彼らの人生が、小都市で起こった放火事件をきっかけに、交錯していくという、クライムノベル。 些細な事件を、一級のサスペンスに仕上げ、一気に読ませる筆力はすばらしいの一語に尽きる。 是非おすすめの一冊である。 余談であるが、この作品以降、作者の作品がミステリーファンにとっては物足りないものとなっている。もう一度、この作品で得た驚きを味わいたい。 | ||||
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私が評価を☆5つとしたこの著者の作品『最悪』と同じく、本書も主な登場人物の日常の描写から始まる。そして、その登場人物たちの日常に起こった小さな出来事が、やがてある大きな事件に絡んでいく。日常との連続性に説得力がある、この過程の描写が非常に見事で、作品中の出来事が日常と乖離した非現実的なものとしては描かれておらず現実感が増す。また、日常の些細な出来事を通して、登場人物のキャラクターも見事に描き出されているので、作品の中にぐいぐいと引き込まれていく。「ミステリー」として分類される作品でもあるが、謎解きを楽しむ性格のものではない。人間描写とストーリー展開がすばらしい、極上のエンタテインメントである。 (下巻のレビューに続く) | ||||
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久しぶりにミステリーを読んでみましたが、非常に読みやすくて面白かったです。平凡な人たちが破滅に向かっていく様は痛々しい気もしましたが、不思議と読後はスッキリと爽快感がありました。非日常への憧れと、日常の平凡な毎日が幸せだと感じられるようになった気がします。 | ||||
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地味な事件の発端から、少しづつ歯車が狂い会社員・主婦・警察・高校生などまったく環境の違う人達が複雑にからまってゆく事件が日常に起こりうる小さなことが、雪達磨式に大きくなってゆく私達は何かに属していないと不安だが属していると抜け出しにくくなる「人間、将来があるうちは無条件にしあわせなんだよ。 そこから先は全部条件付きだ。 住む家があるとか、仕事があるとか、金があるとか、 そういうものを土台にして乗っかってるだけのことだ。」条件がわかるというとき、人はもう子供じゃないのかも・・・・ | ||||
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奥田英朗という作家は知らなかったが2002年版このス2位、大藪賞作品ということもあり読んでみた。パート主婦及川恭子。家計を助ける為にスーパーでレジを打つ日々。それ以外では何も楽しみというものを見いだせないでいた。その矢先、恭子の夫茂則の会社が放火された。警部補、久野薫は素行不良の警官花村を尾行している途中に高校生の渡辺祐輔らに絡まれ、手を出されたことで反撃しケガを負わせてしまう。同時に花村に備考がばれ、花村に恨みを買ってしまったあげく今後嫌な方向に向かっていくことに。久野は及川茂則の勤める会社の放火事件について服部と捜査を始める。最初は地域の暴力団かと思われたがその後似たような手口の放火事件が相次ぐことで、及川茂則本人を疑い始める。疑われることになった茂則。その妻である恭子の落ちぶれていく様が妙に面白い。一言で言ってしまうものではないだろうが。ただ、茂則を信じてやまないところの夫婦愛というのはいい。まあ、この時点ではなのだが。久野は花村の恨みを買ってしまったことで窮地に追いつめられる。その花村の反撃が「邪魔」なのだ。ケガを負った祐輔を利用して久野に歩み寄ろうとする花村の嫌な意図がそこにはある。久野と恭子の2人のシナリオが進行していく中、見えてくる物は人間関係の嫌なところ。久野は縦社会。恭子もパートというグループの中で。恭子は孤独を求めるのだがそれも何かと淋しい。若くして妻を失った久野の心情も常に孤独である。上巻の終わりは面白い。下巻の展開はどうなるのだろうか。 | ||||
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本作は終盤からラストに向けての物語の決着のつけ方が粗く、あわてて風呂敷を畳んだような感想を持った。あの登場人物のドツボぶりだけが甘いのもマイナス。普通の人間がだんだんと落ちていく、ドツボ型クライムストリー。「最悪」もそうだったが、身につまされる読後感。次の作品も読みたくなるのが魅力です。 | ||||
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前作もそうでしたが、読み進むうちに身につまされる感じがしてきます。あまりにも身近な仮想で、ほんとのことのようです。そのせいか、ラストに一番激しい行動を起こした恭子の子供たちは次の朝目覚めてどうしたのだろうと、気になってしかたがありません。 | ||||
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どうしてこんなに主婦の日常がリアルに描けるのだろう。 どうしてこんなに警察の内部がリアルに描けるのだろう。 なんでもないような、ありふれた日常。しかし、底に潜む 落とし穴。 淡々と流れていく毎日の中に思いもかけない 出来事が起こる。 決して唐突ではなく、これは明日の自 分にも起こりうる世界の話なんだ。展開も驚きの連続。 | ||||
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九野薫、刑事。妻と子供を交通事故で亡くす。不眠症、常に薬を携帯。同僚刑事の風紀違反を立件するため尾行中。及川恭子、主婦。郊外に住宅を購入。ローン返済のため近くのスーパーでパートして働く。子供二人。夫は住宅がある郊外の支店勤務、経理課長。渡辺祐輔、高校生。ダチ二人は退学。四流大学に滑り込む予定。おやじ狩り、カツ上げは当たり前。恭子の夫、茂則が第一発見者となった放火事件を中心に三者三様、茂則を含めれば四者四様の「一体全体何なんだ!」の犯罪が始める。 日常生活の犯罪とは言えない!?ささいなことが事件の発端となる。そのささいなことが増殖を続け、最後にはどいしようもないアリ地獄に陥っている自分に気づく。前作「最悪」同様、小市民がどつぼにはまっていくのを見ると、小説とはいえ読むのがつらくなる、ストレスのたまる作品だ。奥田英朗の罠に見事にはまったということだろう・・・ | ||||
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