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邪魔
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邪魔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全95件 41~60 3/5ページ
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放火事件をきっかけに様々な影響が広がっていく。 前半は犯人を追う久野という刑事を軸に事件の真相に迫っていくが、 事件にからむ人物達にさまざまな影響が及び、久野刑事の不眠症の原因が 明らかにされるところから、この物語の主役が一変する。 読みすすめると男は結局、女性の支えがあっての生き物であって 女性の存在によって男達の生き様が変わってくるんだろうなと思えてくる。 久野という刑事も心の支えは妻や義母の幻影だ。 いろんな男達がでてくるが、一番たくましいのは及川恭子という主婦だ。 同じく群像劇の「無理」よりは希望がある作品だと思う。 | ||||
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筆者が得意とするリアルな心理描写で描かれたミステリー。 ミステリーといっても大きな謎があるわけではない。 平凡な主婦、不良の若者、トラウマをかかえた刑事の 三人を主人公を軸に警察組織の汚染や共産主義の活動グループや ヤクザなどを絡め最後まで一気に読ませる。 しかし、主人公達は結局救われるわけではない。 正直後味の悪さが残った。 読者自身の精神状態が上向きの時はいいかもしれないが、 やや落ち込んでいるときの気分転換の読書には全く不向きだ。 それにしても奥田氏はこのようなダークな小説から コメディ、微笑ましい短編など本当に作風に幅の広い小説家だ。 | ||||
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奥田英郎得意のジェットコースター小説。主人公は、小学生の娘と息子を持つ主婦と、 交通事故で奥さんを無くした刑事。東京のベットタウン・本城市での普通の日常があ る夜の放火事件から急激に動き始めます。 物語は最初からクライマックスに向かって徐々に、そして、途中から急激に盛り上がっ ていきます。そして、一番面白くなるのは後半3/4辺り。相変わらず、物語が一点に集 中していく感じは著者の真骨頂でしょう。ただ、終わり方が気持良くないのはちょっと 残念なところ。 日常がちょっとしたきっかけで急転する様子がちょっと怖くなる物語です。 | ||||
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伊良部医師が活躍する空中ブランコやインザプールを読んだ後だったからかもしれませんが、小悪党がいっぱい出てくるこの小説を読んでいても、終始ダークな犯罪小説の匂いはまるで感じませんでした。むしろ、久野刑事がいわゆる刑事小説の主人公のステレオタイプから離れていて、そこがとても興味深かった。奥田英朗さんはキャラクター造形が独特というか、とても持ち味がありますね。及川恭子の思考回路も最後の行動力はどうかとも思うけど、概ねリアリティを感じました。他人を「邪魔」だと思う自分勝手。「自分勝手」程度に悪い人たちを描いた犯罪小説。面白かったです。 | ||||
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誰もが保身のために動き、それが誰かの邪魔をする。 それを解決しようと動くと、それがまた誰かの邪魔になる。 誰もが誰かの邪魔をして、誰もが誰かに邪魔されている。 この連鎖がたまらなく面白い。 一つの作品の中で、いくつもの物語が動いている。 登場人物も動く、動く。 物語の勢いがすごい。 その勢いの中に張られている伏線。 うすうす感じてはいましたが、お義母さんの件には驚きました。 結末はなんだかあっさりというか、締りがない気がしました。 そこだけ少し残念でした。 しかし、しっかり楽しませてもらいました。 | ||||
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ハリウッドの映画かと思われるくらいの派手な舞台や演出が施されている海外の小説ばかり読み漁っていた私にとって、奥田さんの作品はあまりにも日常で身近で、ドキッとさせられる。 寝る間も惜しんで読んでしまうくらいだから、心の底では面白いと感じているのだけれども、何かが・・・正体のわからない黒いものが頭の中に居座っていてスッキリとしない、上巻を読み進めている間はずっとそんな気持ちを抱いていた。 下巻に進みページを捲っていくうちに、「違和感」の正体が姿を現す。 頭の中に映し出されたのは数本の糸。 それぞれが絡まったり枝毛のように分かれたりしながら大きな塊になっていく。 どこから解いていいのかわからないほどに、こんがらがってしまった巨大な糸の塊。 そう、この糸の塊こそがこの物語での人間関係を表している。 解こうともがくほどに絡まり、意図しない方向へ進んでしまう。 そして、糸を切ることを決断した者だけが、絡まった糸から逃れることができる・・・ 糸を切るにはもちろん痛みが伴うけれども、悪い人間関係を断ち切るというのはとてもすがすがしいものだ。 ただ・・・ほとんどの糸、人間はなかなか糸を切ることができない。 そうして大きな塊となって自分ではどうしようもなくなってしまう・・・ 絡まって、大きな塊となり、誰も止められなくなった糸。 坂道を転がり始めた時にどうなってしまうのだろう・・・ 読み終えて3日たった今も、私はそんなことを考えている。 | ||||
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奥田英朗=伊良部先生のイメージが強烈なのだが、 「最悪」「邪魔」のミステリー2作も実はとても面白い。 平凡な主婦が第三者に人生を狂わされる話なのだが、 読みながら桐野夏生さんの「OUT」(文庫上下巻)を思い出した。 ただ、あれほどまでに底辺の底辺まで落ちてしまった女性達の話ではなく、 この作品はあくまで「夫の犯罪によって苦しむ主婦の話」。 彼女の気持ちが疑惑から確信へ、そして絶望、開き直り、と変化してゆく様が ものすごくリアリティーがあってぐいぐい引き込まれた。 「ガール」や「マドンナ」でも実感したが、 奥田さんは生身の人間の感情を描くのが本当に上手い。 小説の中の出来事がなんだか他人事ではないような気持ちになる。 この主婦はもしかしたら隣人や友人の姿かもしれないし、または自分の姿かもしれない。 身内が犯罪を犯すことは容易には想像はつかないが、 家族という”運命共同体”の中でたった一人の過ちがその全員の人生を狂わせることの恐怖、 そして自分達に降りかかる災難、転落の様を考えると心からゾっとする。 ただ、堪忍袋の緒が切れてしまった人間が突然プツっと自棄を起こす姿が、 ちょっとパターン化してるかな・・・という感じもした。 まぁ、殆どの奥田作品を読んでいるからこその感想なのだが、正直「ああ、またそれか」と思わないでもない。 しかし、最後まで飽きずに一気に読まされた筆力には感服。 個人的には「最悪」よりも好きな作品で、自身を持ってお勧め出来る。 | ||||
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奥田作品の中でもベストの一つだと思います。偶然手にとって読んでみたら 止まらない!エンディングも良い意味の意外性があり、読み終わったらまた すぐ読み直したくなる本。長編を感じさせない、スリリング+複線の重厚さには あっぱれ!の一言。楽しみました! | ||||
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「サウスバウンド」読んで奥田作品好きになり読みました。 前半はやや単調、下巻に入って、いろいろと物語が展開してくる感じで、 後半部分は一挙に読めました。 ミステリーと人間ドラマを織り交ぜた、 そつないおもしろ作品に仕上がっています。 ただややインパクトに欠けるかなと思い、 星4つにしました。 | ||||
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上下巻合わせておよそ800ページありますが、早くページを進めたいという気持ちになります。 140ページあたりに記載されているあるハイデックスの火災事故が起きてから、少年の渡辺裕輔、警官の久野薫、火災事故の第一発見者及川茂則の妻でパート勤めをしている恭子それぞれの喜怒哀楽の人間劇場が始まるといったところだろう。犯人捜しよりも、それぞれの登場人物の人間ドキュメントを味わってほしい。特に、及川恭子の追い詰められ、転落していく様は本書の見ものである。 上巻でいえば、久野が渡辺裕輔らを骨折に見舞ったことや花村を尾行していたのがばれたことが下巻までつきまわることになる。 | ||||
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ありふれた日常が足元から崩れ、あれよと言う間にドン底まで転落して行く女と、全てを失った状態から緩やかに復活する刑事の物語です。 面白いと思ったのは本作のタイトルが指し示す通り、登場人物たちが悉く邪魔しあい、ともするとありがちで単調になりそうなストーリー展開に鮮やかな彩を加えている点でした。おそらく登場人物の誰かが──たとえばそれは本庁から出向いてきて面倒くさい要求をするキャリア組の刑事でも、スーパーの休憩室で怪しい水やら野菜を同僚に売って回る妙なおばさんでも、または優しさや安らぎの象徴のような、あの素晴らしい義母にしても、一人が欠けただけでこの物語は、味わい深いあのラストシーンに辿りつけなかったように思います。 改めて、物語の本質は「関係」にこそあるのだな、と実感しました。 良書です。お勧めです。 | ||||
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平凡な主婦が夫の放火が原因でそれまでの不自由ない生活が一転し、階段を転げ落ちるように不幸になっていきます。 自分の今の生活を守ろうとすればするほど、不幸になってしまいなんだか切なくなってしまった。 刑事・九野の義母の存在が良く分からなかったんですけど、どういうことですか? 交通事故の2日後に死んだということですが・・・。 でも、作中に普通に登場しますよねぇ・・・? | ||||
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主婦の恭子の錯乱ぶりが見事に描かれていて人間の心理を考える物語だった。余計なことに巻き込まれたくないと思っていた恭子が、パートの権利を主張する運動の矢面にたたされ、それがきっかけで私生活でも自分の言いたいことを主張し、最後には子供たちのことを考え犯罪者になっていく豹変振りは驚きだった。それにしてもラブホテルでの社長との会話はちょっとやりすぎかなと思ってしまった。刑事の九野は刑事としては優秀なのだが、亡くなった義母のことが忘れられず、今でも無人となった義母の家に一人で通いつめる。現実を受け入れられない男が死を目の前にしてようやく現実に目をむけるようになっていく様子にも目が離せない展開だった。それ以外にも少年犯罪の話、警察内部の揉め事、やくざとの絡みなど、読み応えがあった。 | ||||
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とにかくリアルすぎて怖いくらいです。(作者の文章力がすごすぎ) かんたんに引き込まれました。(幸せ?にひたれます) 義母の件は ? ですが。 一読おすすめします。「最悪」注文しました。たのしみです。 | ||||
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まず映画を見ているかのように展開がスピーディだ。さらに別に大きな展開や凝った状況を用意することなく日常の中での不安や、ちょっとした偶然で大きく生活が変わっていく様子をダイナミックに描き出す。今回の主人公は二人、若くして妻を亡くした刑事、九野薫、そして普通の主婦でありながら夫の小さな犯罪で生活を大きく狂わせる及川恭子。及川恭子が自分の生活を守るべく非常に強くなっていく様を描く作者の筆力は流石だ。だが、僕は九野薫と義母との心温まる触れ合いが好きだ。義母でありながら、心底彼女を愛し慕う九野。しかし、この義母は本当に存在しているのか、心を病んだ九野の想像の中の人物なのか。この作品はこれをはっきりさせることなく終わる。ある意味痛快なまでに自分を壊していく恭子と、うじうじと過去を引きずりながらやはり自分を壊していく九野。対照的でありながら、似ている二人。奥田のような若い作家がどんどん常識を壊して新境地の作品を作り出していく様はまさに痛快だ。 | ||||
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奥田さんの人間描写は実にすばらしい!! 多くの人達は、一生犯罪に手を染めることなどないだろうと思って生きていると思う。 けれど、この本に登場するごく平凡な主婦が、ささいな幸せ、普通の家族を守るために 自分を見失い、転落していく様子は実にリアルです。 この本を買う方は、上下巻セットで買っておかないと後悔しますよ〜 | ||||
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物語の展開やスピード感、そして登場人物たちの心理状態の変化の描写の仕方など、どれをとってもすばらしいです。また、この本には色々なコントラストがあって面白いと思います。 例えば、 逆境に対する男の弱さと女の強さ 警察と暴力団とどちらが怖いのか? 右翼と市民団体との行動の違い? そういった目線で読むと、より一層面白いのではないでしょうか? ただ、納得いかないのは最後の終わり方です。どうしても尻切れトンボの感が拭えません。 一生懸命守ろうとした子供達はどうするのか? せっかくの作品が最後の最後に駄作になってしまった気がします。 その分星は4つとしました。 | ||||
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身内や親しい人が罪を犯すのは、本当に哀しくて、本当に迷惑…。 3人の男女がキーパーソンになっているけれど、疑いたくないのに夫を疑ってしまう主婦に一番感情移入しながら読みました。 彼女がどんどん壊れていく様は必見です。 読み終わっても胸が痛い、自分だったら…と考えてしまう、そんな本でした。 | ||||
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放火を主とした地味でありながら、人間味あふれる 良作!!上下あわせたら約800ページですがスラスラ と読めてしまい良作!!物語は刑事のおじさんと パート暦1年のおばさんの2人称で結成されています。 こっれて物語と関係あるの?こいつタマにでてくるけど 誰だよ?みたいなのあるけど、じっくりページめくれば 次々と笑顔。奥田氏の作品はヤクザが出てくることが 多くて良作!! | ||||
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この本では放火になっていますが、実はモデルになった事件が存在します。それは1998年の「ザイエンス新潟支店毒物混入事件」。 動機もまるっきりこの本と同じですので、作者はこの事件にインスパイアされてこの作品をものにしたと思われます。 しかし、犯人の妻の疑心暗鬼と直感から追い詰めていく刑事の心の動きを柱に据えたため物語に一気に厚みと深みが生まれました。 現実の事件では半年後に逮捕されましたが、実際逮捕されるまで家庭内でこんな暗闘があったんじゃないかな、などと思わずゲスな想像をしてしまいました。 | ||||
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