凶笑面
評判
凶笑面の評価:
3.70/5点 レビュー 37件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 1〜20 1/3ページ
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凶笑面の評価:
3.70/5点 レビュー 37件。 B ランク
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まずこの題材と連作短編の形式が合ってない。一作目「鬼封会」ではある学生の手紙がきっかけで那智とミクニが事件に巻き込まれるのだが、その学生が「エキセントリック」「性格悪い」と強調される割に内実が伝わってこない。なんなら登場しない。
提示されるのはテストの回答だけで、人物描写皆無のまま終わってしまった。
テストの回答がひねくれてるというだけで「性格悪い」「エキセントリックすぎる」と決め付けるのは一方的だし、被害者の人格の偏りが伝わってこないせいで、それ以降の展開がどうにもアンフェアに感じられる。
この種の描写のアンバランスから来る違和感は他にもたくさんあった。前提として那智の関心は民俗学に向いており、推理で犯人に辿り着いても裁かず罰しないスタンス。基本無関心に放置放任する。犯人に自首を促すっぽい雰囲気匂わせたり猶予期間を与えたりしてるものの、主となるのはあくまで民俗学上の興味で、余禄の事件そのものにはあまり突っ込まない。
那智は学者であり探偵ですらないのだから、自分の関心さえ満たせりゃ後は知ったこっちゃない態度はある意味正しいのだが、モラルにこだわるとモヤモヤする。
民俗学+ミステリーとしては読みごたえあるし、隠れ切支丹や製鉄に切り込む大胆な着眼点は面白かったのだが、ゲストキャラの人物描写が薄っぺらく感情移入できないのがもったいない。「邪宗仏」の被害者が個人研究に傾倒して、妻が過労で死んだって何かの伏線だと思ったら回収されないんかい!てっきり研究者の業の深さや被害者の本心が明かされると思ったら……。
文章は上手いしこなれてると思うのだが、那智の魅力がいまいち伝わってこないって意見もわかる。しかしまあアレは「建築探偵」シリーズの桜井京介のようなものなので、ぶっちゃけ好みに尽きる。
長編を読めばまた違った感想を持ったかもしれないが、連作短編だと那智の魅力や民俗学の面白さが伝わりきらなかったのが惜しまれる。