■スポンサードリンク
花籠の櫛
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
花籠の櫛の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者のシリーズものはどうも順番が明記されていないものが多々見受けられます。このシリーズもそうです。どこから読んでもいいということの意思表示なのでしょう。時代劇というのは時代を借りた現代劇である場合が多く、問題関心の設定は現代の執筆時の出来事に少なからぬ影響を受けていることが多いようです。となるとやはり初稿の発表時の時代性はどうも気になります。本書も、この「京都市井図絵」シリーズも実は第二作のようです。巻数の明記がないので3番目に読むことと相成りました。 本書はある理不尽な話と偶然が織り成す悲劇から話からスタートします。悲しいけれどもどうしようもない話の展開というわけで、それなりのエンディングが用意されて一章は締めくくられます。似たような話がその後も続く連作集だと思い読み続けると話は意外な展開を示し始めます。当初の話とは直接は関係のない人物がその後矢継ぎ早に表れますが、それぞれの人生を背負った人物が交錯しあい、この第二巻は決して連作集ではないことが明らかにされていきます。そして最後にはもう一度今回の事件の発端となったある平凡(?)な出来事に戻っていくのです。連鎖を引き起こしていくこのcircularの仕組みはみごとです。おそらくここに「輪廻」の発想があるのかもしれません。この一見無関係なパーツの関わり合いと融合そして原初への先祖がえりというしめくくりの仕組みは、どうしてもマンネリ化してしまうシリーズものとは異なり、ストーリーの構築としてはみごとなものです。本書ではまた滋賀の大津が舞台としても一定の役割を果たしています。そう京都の歴史は近江とは切っても切れないのです。そして類書ではあまり触れられない江戸時代の侍の「リストラ」も少なからぬ鍵となっています。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!