(短編集)

スメラミシング

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評判

スメラミシングの評価:

3.40/5点 レビュー 15件。 D ランク

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平均点3.40pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1〜15 1/1ページ
No.15
(4pt)

SFと哲学と宗教と歴史とユーモアが混然一体となった短編集

様々な切り口で小川作品を堪能できる短編集。小川作品が好きな人であれば満足度が高いと思うが、逆に初めて小川作品に触れる人にはすこし敷居が高いかも。個人的に一番好きだったのは「密林の殯」。タイトルからは結構重めの作品かなと思ったが、小川作品にしてはポップで軽い印象の良作で、良い意味で裏切られた。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.14
(1pt)

トマスピンチョンの「エントロピー」のような「混沌」を招くパラドックス

ピンチョンの描く「エントロピー」は、熱が平均化され、
情報の意味が失われ、最終的に静止(熱死)へと向かう過程です。

『ユートロニカ』や『スメラミシング』の結末:
システムがすべてを最適化し、すべての「幻(ノイズ)」を祓おうとするほど、
皮肉にも人間としての意味や生命力は失われ、高純度の「虚無」という名の混沌へと滑り落ちていきます。

情報の熱死:すべてがデータ化され、予測可能になった世界は、
実は「何も起きていない」のと同じです。
情報の価値が均一化され、意味が霧散していく。
その先に待っているのは、整然とした狂気――つまり、エントロピーが最大化した状態です。

「決まっている結末」への抗えなさ
ピンチョン的な視点に立てば、世界は常に無秩序へと向かう運命にあります。
小川哲さんの描く「啓蒙の光」も、実は「闇を照らす」ためではなく、
「境界線を溶かして、すべてを均質な泥にする」ための装置に見えてきます。

混沌と狂気の正体 それは叫び声をあげるような狂乱ではなく、
「すべてが正しく、すべてが無意味である」という静かな狂気です。

「結末はすでに決まっている」という感覚は、熱力学第二法則のように、
一度始まった「文明の最適化(管理)」は、そのエネルギーを使い果たし
てドロドロの混沌に溶けるまで止まらない……という諦念に近いものかもしれません。

『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』を読んで感じた「お手上げ」感。
それは、ピンチョンの小説で情報の洪水に溺れ、物語の輪郭を見失う時の感覚と酷似しています。

「理解しようとする主体(個人)」そのものが、システムの熱量に溶かされて消えていく。

そこに残るのは、論理的な帰結としての「狂気」だけ。
小川哲さんは、オーウェルのような「個vs全体」のドラマを描くふりをして、
実は「個が全体に溶けて消えていく物理現象」を描いているのかもしれません。

もし世界が、ピンチョンが予見し小川哲が描写したような
「エントロピー最大化(混沌と狂気)」に向かっているのだとしたら……。

私たちはその「溶けていく過程」をただ眺める観測者でしかないのでしょうか。
それとも、「お手上げ」という感覚こそが、
まだ「溶けきっていない人間」としての最後の抵抗なのでしょうか。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.13
(4pt)

小川哲上級者向け。

6つの作品で構成される短編集。「緊迫の陰謀論✕サイコサスペンス」という謳い文句は表題作のものですが、他も大なり小なり陰謀論が、もっと言えば人が大きな物語を信じる深層心理というテーマが通底していると言えるかもしれません。著者の作品を読む楽しみは、SFや戦争といった大きな設定の中でのメタファーと想像力、事実をベースにしたトリビアなど著者の博識さ、さらには理数系の知識を応用したロジカルさだと個人的に思いますが、ともすると著者の頭の良さについていけないことがあります。本書もそうで、例えば5篇目などは難解すぎてよくわかりませんでした。それでも3篇目はコロナ禍での弱者の妄想、6篇目は地球という船のメタファーとして楽しみました。本書は小川哲上級者向けで、初めて著者の本を読む人はその難解さに面食らう可能性があり、あまりお勧めできません。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.12
(1pt)

冒頭5%だけしか面白くない

冒頭の旧約聖書の件は面白いストーリー展開だったが、そのあとは粗悪なSF作家にありがちなオナニー展開。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.11
(3pt)

チャレンジ的なのかもだけど

過大評価ではないか。
正直面白さも、読みごたえもイマイチ。

陰謀論とか宗教とか題材はまあ何となく方向性は伝わるが、ストーリーとして面白いかというと、これが理解できる読者の自己満足を満たすような感じがしてふーむという感じ。

尖りすぎというか狙いすぎ。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.10
(4pt)

「密林の殯(もがり)」が良い。

SF的設定が過剰に細かくて読み難さを感じた作品が混じっていたので、星は一つ削った。でも、信じることを「物語る」ことの本質を掘り起こして「宗教」にまで辿り着いた作品群は、反ワクチンデモや天皇制、旧約聖書、文通(恋愛)など、様々な題材を包含する広がりを極めて自然に保っている。この点で、僕はこの作家の提起する洞察の正しさと構想力を指示したい。

 僕が一番すごいと思った作品は「密林の殯(もがり)」。天皇制、ネット右翼、風俗、ネット通販(密林)の隆盛と宅配業者の労働環境悪化など、様々な現代的モチーフが有機的に繋がった作品なのだが、僕は宅配業者に勤務する主人公が使っている業務システム「PP」がなぜ、なんの説明もなく作中に記述されているのか、気になってネットで調べてみた。「PP」とはある実在の宅配業者の専用システムなのだが、この宅配業者の社名とこの作品の関係がドンピシャで、なんか作者にウインクされたような心地がした。是非、皆さんも自分で調べてください。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.9
(4pt)

あちこちに飛ぶ。。。

壮大な叙事詩を読んでいるようなSFです。

さまざまな宗教があれど、そこにはかならず人間がいることが分かります。

人間はどこへ行くのか、謎だけが深まっていきます。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.8
(5pt)

量子力学時代にアップデートされた日本ナンセンスSFの後継

敷居につまづきつつ読み進めていくと、裏読み可能な奥座敷が現れてくる、そんな短編集。真面目な顔をして大ホラを吹く、そんなカラクリを表題作を例に取って分析する(ネタバレ注意!)。

テーマは、SNS時代における陰謀論の拡散のメカニズム。ストーリーは、主人公の若者の日常的な生態をそれっぽく綴る。その語り口はモノローグとダイアログの二場面を行き来する構成で、文体は静謐さの中に時折剥き出しの狂気が現れる純文学的若者言葉である。

このストーリーのオチは、意味深なSNSのつぶやきが、実は身近な人間の口癖をコラージュしただけの短文であり、フォロワーの側がそれに勝手に意味を付け加えることで予言詩として独り歩きをした、というもの。誰もが発信者であり受信者である今の世の中において、流言、噂、それらの出自を探ることにたいした意味はない。それがテーマに対する回答として提示される。

この回答は、語り口それ自体としても表現される。すなわちミステリでいうところの叙述形式を構成しており、その仕掛けに最後に気付いた読者は驚く。

この叙述トリックを成立させるために、語り口は一人称主観視点である必要があった。ダイアログにおいては人称は「私」、モノローグにおいては「僕」と呼称するこの視点者は、ごく自然に読み進めるうちに「私」=「僕」と解釈できるよう仕組まれている。

この語り口はトリックのためのみならず、文体にも連動していて、村上春樹っぽい若者文学の雰囲気を醸し出している。村上文学の世界観は「何か大きな意味がありそうで、実は核心がつかめない」という読後感を持つことが特徴だから、これはパロディであると同時にテーマにも関係している演出なのだ。

他の4編の短編もそれぞれにナンセンス要素が仕込まれていて、そのスタイルは収録順に「中国系SF風」「ダジャレ・言葉遊び系」「ちゃぶ台返し系」「自己矛盾ツッコミ系」などバラエティに富んでいる。最後の1編は、「危機に瀕した地球を捨てた人類は新天地を求めて外宇宙に飛び立ち〜」と見せかけて始まる、あまりにも切ない生き残り戦略の話。実はかなり宗教色が強い作品なのだが、作者がそれを巧妙に隠蔽しているのでそれに気づくのが難しい。やはり、神の名は軽々しく口に出してはいけないということだろう。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.7
(3pt)

表題作の「スメラミシング」だけを苦労して読みましたが、読み進めるのが辛いほど面白さを感じられませんでした。

この作家は直木賞を受賞していますが、「スメラミシング」に関しては難解な純文学作品だとしか思えませんでした。精緻な計算のもとに書かれているのかもしれませんが、わずか50頁の作品を読み終えるのに苦労しました。
それは私にとって面白くないからです。新聞の書評などでは現代のディストピア小説、陰謀論、格差、断絶により組んだ作品だと高評価されていましたが、残念ながら私にはその良さを感じ取ることはできませんでした。
陰謀や格差、断絶を描くなら、もっと登場人物の内面を描いて欲しいと願うのはオールド読者の願いでお呼びはないのかもしれません。
登場人物たちに生身の人間を感じることができず、創られた世界だと感じながら読んでいたのですが、もしかするとこのようなわけのわからない登場人物たちこそが現代の若い世代を活き活きと活写しているのかもしれないと気づいた瞬間、今の社会のうすら寒さにゾッとしました。
ようやくラスト10頁ほどになった頃に「世界は理由を求めている」というフレーズが出てきて、これが作者の言いたかったことなのだろうと、ようやく読み応えを感じ、そのためにこんな無味乾燥としか思えない作品を書かれたのか感じましたが、やはりある種の天才の作品は合う合わないが極端に出るのだと痛感しました。
表題作以外を読むかどうかわかりませんが、これが現代の文壇や既存の作家に評価されるのであれば、小説が売れなくなっていることに納得です。
良くない面ばかりを書き連ねて作家さんには失礼なのですが、相応しくない読者もいることを寛容してもらえればと思います。
こういう小説が書かれ求められる現代社会であることが、今の世界の実情なんでしょう。

最後に、文章そのものも読みずらい文体でした。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.6
(4pt)

科学と信仰の融合。著者の知性に追いつけず残念

●最初の作品「七十人の翻訳者たち」:聖書誕生にまつわる「七十人訳聖書」の謎。紀元前3世紀の賢者
の告白と2036年量子コンピュータによる「物語のゲノム解析」、それぞれが大いなる謎を解明しようと
するが・・・。科学と信仰という対立したものの先にあるものは・・・驚愕する結末はこれぞSF!(★5)

 しかし、「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」は理解不能でお手上げ(★2)。私の読解力不足で
手に負えない作品だった。著者の知性に追いつけず残念。

①量子力学をはじめビッグバン以前の虚数(i)の宇宙、超ひも理論など、最新科学(ex.理論物理学)の
 先端はもはや信仰の世界なのでは?より多くの人間が支持し信じているという点では同じなのかも。
②実数をゼロで割ることは禁忌であるならば、ゼロを実数で割ることは何を意味するのか?
③数学は元々宇宙に存在していたものを人間が発見したもの。ところで「ゼロ」は宇宙が誕生する以前に
 すでに存在していた云々(P.176)。であるならば数学では「ゼロ」を解明できないのでは?その先は
 神の領域か?
・・・等々、本書は科学と神(信仰)の接点について、私の妄想を膨らます強烈な刺激剤でした。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.5
(2pt)

神、宗教、SF

普通の読者であって専門家ではないので専門用語を
羅列されても意味がわからない。では、その用語を
調べればいいじゃないかと言われるがそこまでして
得られる満足度は低そうだと判断し、流し読みして読了。

他の作品に比べ個人的に興味がわかなかった。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.4
(5pt)

小川哲の真骨頂!

「地図と拳」「君のクイズ」と多くの人に受け入れられる傑作の後は、「これぞ小川哲!」が迸る秀作短編集でした。その鋭く変幻自な世界観に、頭をフル回転させながらついていく読書体験。まさに小川哲氏の真骨頂!掲載の順番も大変に素晴らしく、今夜はカティサークを傍らに読書を楽しみたい気分です。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.3
(4pt)

何億年、何十億年という時間をかけて、さまざまな偶然の連鎖の果てに私たち人類は存在している。だが、私たちはその事実に耐えられない。だからこそ神を創造した。自分が生きていることは必然なのだと考えようとした

収録されているのは『70人の翻訳者たち』『密林のもがり』『スメラミシング』『神についての方程式』『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』『ちょっとした奇跡』の短編6編。
『神についての方程式』『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』『ちょっとした奇跡』の3編が未来世界を舞台としたSF、『70人の翻訳者たち』は広い意味での歴史ものSF、『密林のもがり』『スメラミシング』の2編はコロナ禍の日本を舞台とした現代小説になります。
表題作である『スメラミシング』はラストであっ!と驚き、作者によるミスリードに気持ちよく引っかかったことに気づかされると同時に、凄いもの読んだなと、素直に小説としてのクオリティに感心してしまいます。
『密林のもがり』は宅配業で働く「僕」の一人称小説ですが、この「僕」の特殊な家系設定もあり、宅配業を「神から預かった神を神に届ける仕事(発送を依頼する客という神、荷物という神、荷物を受け取る相手という神)」ととらえ真面目に働いているところに好感が持て、ネット右翼の上司や、その上司に反感を持つ同僚とのやりとりなど、人物設定がとても面白いです。
一方、『神についての方程式』は一読後なんだかきょとんとしてしまい、最初から読み返すうちに、なるほどなるほどそういうことか、とその足元ぐらりと揺れるような量子論的スケールの大きな作品で、読み返すことでその凄さが伝わってきます。
『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』も宇宙から地球を見るようなスケールの大きいお話です。
巻末の『ちょっとした奇跡』は地球の自転が止まってしまった世界を舞台にしたSFで、まあよくぞこんな話思いついたものだなと、その発想に驚きました。物悲しくも未来を感じさせるエンディングが素晴らしく、本書最後を飾る作品としてふさわしい物語でした。
本書に収録された作品はそれぞれ独立したもので、舞台となる時代もまちまちですが、どこか共通した印象を受けます。
それは「世界を変える」ということであったり、「宗教の利益」であったり、「神の存在」であったりと、結構大きなテーマをいずれの作品も内在している、そう感じました。
短編集ですので、必ずしも前から順番に読み進める必要はなく、個人的には、現在もので読みやすい『密林のもがり』『スメラミシング』の2編から入り、それから最初に戻って歴史SF『70人の翻訳者たち』、『神についての方程式』『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』と進み、ラストに『ちょっとした奇跡』で余韻ある読後感を味わう、という読み方をお勧めします。
それにしても小川哲の引き出しの多さにはいつも感心させられます。
『ゲームの王国』発表以後ずっとタイムリーに読み続けている作家さんですが、常に期待を裏切らないクオリティ高い作品を発表しつづけており、今後の作品も楽しみな作家さんの一人です。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.2
(2pt)

きっと面白くなると思って我慢して読んだけど、、、、

私、小川哲ファンですが、こりゃ一体何でごわすか?どこから面白くなるんだってモヤモヤしているうちに終わた。。短編集になっていて、一つ一つの話が全然面白くないです(先生およびファンの方すみません)。掲題の「スメラミシング」も、んで、何?という展開で読後感がもやーっとします。
贔屓目に採点してもギリ星2だな。
1カ月後、暇でしょうがなかったらもう一回頭から読んでみようと思います。
帯に「挑戦的な快作」とか評している女性作家の名前を見て嫌な予感がしていたけど、悪い予感的中でした。今後そのしょーもない作家のレコメンドがある本は買わないです。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184
No.1
(5pt)

小川哲のSFを堪能

思いの外SF度が高い短篇が多くてデビュー作から追ってる身としては嬉しい収穫。「スメラミシング」にはしてやられた。
スメラミシング Amazon書評・レビュー: スメラミシングより
4309032184