バベル オックスフォード翻訳家革命秘史
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| 設定は非常に面白い。ただそれを生かしきれていない物語と展開が残念。 | ||||
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| 私には、合いませんでした。 | ||||
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| ・19世紀の英国を舞台に、翻訳と銀で魔法を使い、言語学を通じて帝国主義の構造を暴くという着想は、とても斬新で独創的だ。史実(アヘン戦争やヴィクトリア朝の階級社会)にファンタジーの設定を重ねることで、現実の歴史書以上に歴史の本質を浮き彫りにしていると思う。しかも、ファンタジーの魅力は往々にして現実逃避にあると言われるが、この物語には逃避の余地がない。むしろ、ファンタジーの要素を加えることで、現実の歴史を和らげるどころか、一層鋭く帝国主義の権力構造の真実を抉り出している。 ただ、この美点は、同時にこの物語の弱点にも繋がっているのではないか。つまり、作品のメインテーマである帝国主義批判のメッセージが、あまりにも直接的すぎるのだ。物語の芸術性よりもプロパガンダ性が勝っている。だから、小説というより著者の論文を読まされているような気分になってくる。もし、メッセージを、もっと物語の寓意性による展開に委ねていたら、作品世界に、さらに深みが加わったのではないだろうか。 ・キャラクターの造形では、4人の若い主人公たちの友情と成長、苦悩の物語がすこぶる魅力的だ。4人の心の動きも生き生きと描かれていて、深く感情移入しながら読んでいた。 帝国主義の不平等に基づくシステムの中で、4人はマイノリティ(人種的マイノリティや女性)であり、圧倒的な現実の力と、それに抗うか体制に順応するかという個人の葛藤が丁寧に描かれる。彼らとは対照的に、支配階級の白人男性は、ひとり残らず極端に醜悪な存在として描かれていて、善悪の対比がやや平板な気もするが、これはおそらく作者の演出意図によるものなのだろう。 ・この作品のもうひとつの魅力は、作品全編から立ち上る言語と知性への深い愛情だろう。膨大な脚注や複数言語の引用、語源学や翻訳論の蘊蓄が散りばめられた学術的なディテールに知的好奇心が刺激される。しかし、だからと言って、決して難解な物語ではなく、一気読みしてしまうほどのエンターテインメントに仕上げた作者の力量には驚かされる。 ・終盤から結末への展開は、邦題で省略された「暴力の必要性(Necessity of Violence)」という副題を、読者がどのように判断するかで評価が分かれるのかもしれない。著者は、革命に暴力は必然だと考えているようだが、私は、基本的には、非暴力的な手段による変革を支持する。しかし、ある体制そのものが、人々にとって恒常的な苦しみや抑圧を与えている場合、そうした「構造的暴力」に抗するために、物理的な暴力が使われることもやむを得ないとも思う。 ・この作品は、19世紀の産業革命の時代を舞台にしているが、現代も、AIによる産業革命への移行期と言えるだろう。これから、AIに職を奪われる人々がたくさん出てくるだろうし、資本主義は行き詰まり、未来は全く見通せない時代だ。その意味で、この作品は、決して過去を舞台にした架空の物語ではなく、まさしく今を描いた物語だと言えると思う。 ・一言で評価するなら、『バベル』は、21世紀のポストコロニアル・ファンタジーの傑作だと感じた。 (以上) | ||||
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| 面白い。 | ||||
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| 翻訳小説を楽しむ人は読み通して欲しい。是非に。 下巻でしか見れない景色に遭遇して欲しい。もっと細部が欲しかった。 タイトルが全て。バベル。これはすごい。 | ||||
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