クライムキャスト Vol.1 届かなかった叫び

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長編
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あらすじ

2026年05月01日 クライムキャスト: Vol.1 届かなかった叫び (小学館文庫)

ポッドキャスターと服役囚、異例の父子捜査「ようこそ〈クライムキャスト〉へ。お相手はわたくし、マルクス・ヘーゲル」キャンピングカーを拠点に未解決事件を追うポッドキャスターのマルクスは、ある日、地元紙記者から配信シリーズ〈届かなかった叫び〉について問い合わせを受ける。十五年前、小さな町で七歳の少女が失踪。悪名高かった彼女の父親が逮捕されるも、刑務所で命を絶ったという事件を扱ったもので、ある事情により更新を打ち切っていた。だが、その後しばらくして新たな事件が発生し、関連を疑ったマルクスは調査を再開。情報を得るため、収監中の父フランクに連絡を取る──。異色の父子調査が光る、ノンストップ・ミステリ。『猟犬』で「ガラスの鍵」賞など三冠を達成したヨルン・リーエン・ホルスト氏、「アントン・ブレッケ」シリーズでノルウェー書店大賞を最年少で受賞したヤン=エーリク・フィエル氏、ノルウェーを代表するライバル作家たちが手を組んだ衝撃の共同執筆作品。解説:杉江松恋(「BOOK」データベースより)

評判

クライムキャスト Vol.1 届かなかった叫びの評価:

8.00/10点 レビュー 1件。 B ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

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クライムキャスト Vol.1 届かなかった叫びの総合評価:

8.67/10点 レビュー 3件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(8pt)

期待が高まる新シリーズが始まった

日本では「警部ヴィスティング」シリーズで知られるノルウェーの人気作家ホルストが新たに若い作家と組んで発表した新シリーズの幕開け作。犯罪関連のポッドキャスターが15年前の少女失踪の謎を解くP.I.ミステリーである。
ノルウェーの田舎町でポッドキャスト番組「クライムキャスト」を聞いていた地元紙の臨時記者・マチルデは、15年前に7歳の少女が行方不明になった事件に興味を引かれた。少女の死体は発見されなかったのだが、父親が逮捕され、服役中に自殺したという。番組は「次回の予告」を最後に更新されておらず、気になったマチルデは番組ホストのマルクスに問い合わせたのだが相手にされなかった。めげないマチルデは独自に調査を始め、判明したことをしつこくマルクスに報告して来た。煩わしく感じていたマルクスだったが、マチルデ山で遭難死したのをきっかけに自分でも調査を再開する。そこで情報を頼ったのが、3人を殺害した罪で服役中の実父・フランクだった…。
警察ではない、ただのポッドキャスターが粘り強く関係者に聞き込みを続け真相に辿り着くまでがリアルで熱い。さらに父親の食ないキャラクターが、単なる探偵ものではない彩りを添えて味わい深い。謎解きの展開は論理的で分かりやすく、スイスイ読み進められる。事件は解決するのだが、主人公のマルクス、父親のフランクにまつわる謎は残されたままで、次回をお楽しみに。
未解決事件に挑戦するのは「警部ヴィスティング」シリーズ同様だが、またひと味違うテイストで楽しめる。ヴィスティングのファンをはじめ、北欧ミステリーのファンにオススメする。

iisan
927253Y1

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.2
(4pt)

ポッドキャスターはYouTuberに進化するのか?

北欧といってもスウェーデンではなくノルウェー・ミステリー。現場の寂寥感、主人公が抱えるトラウマなどは共通ですが、彼はノルウェー軍でアフガニスタンに派遣された後、警察大学を中退してキャンピングカーの中から「ポッドキャスト」という音声のみで犯罪の取材を続けています。今なら「暴露系YouTuber」といったところでしょうか。

幼い実娘を殺した父親は冤罪なのか?そしてどうして刑期満了寸前に自殺してしまったのか?閉鎖的な人間関係のなかでいったい何が起こっているのか?さらに謎を追った女性記者までが亡くなって・・・。という複合的な要素がからみあい、主人公も服役中の父親との関係に悩みながらも、刑務所内での「取材」を任せて真相に迫ります。

もちろん完成度の高い北欧ミステリですので一筋縄ではいきません。じっくりお楽しみください。
クライムキャスト: Vol.1 届かなかった叫び (小学館文庫) Amazon書評・レビュー: クライムキャスト: Vol.1 届かなかった叫び (小学館文庫)より
4094074384
No.1
(5pt)

ポッドキャストによる「誰かに見られている」ような強い効果

「猟犬」或いは<ヴィリアム・ヴィスティング警部シリーズ>で名高いヨルン・リーエル・ホルストがヤン=エーリク・フィエルと共作した本書を読み終えました。因みに最後に読んだ<ヴィスティング警部シリーズ>は「疑念」(2023/3月)。
 舞台は、ノルウェー。<クライムキャスト>という名のポッドキャスト。主宰は、主人公、マルクス・ヘーゲル。
 <クライムキャスト>は、独自に犯罪調査を行う番組ですが、或る地方紙の臨時記者として働くマチルデ・ヴォルは、レア・フォシュバルグという少女失踪事件に関する<届かなかった叫び>の第一回目の番組を聞き、その事件に興味を持ちます。その事件はかつて母親と別居中だったレアの父親、トビアスが逮捕され有罪判決を受けていました。レアの遺体が見つからないまま、そのアリバイ証言を覆され、控訴審でも敗北したトビアスは服役中に自殺してしまいます。そして、マチルデが興味を持ち、独自調査を開始するに至り、或ることをきっかけにマルクスもまた一旦中断したはずの調査を再開することになります。事件の真相は?本当にトビアスが犯人なのか?
 スリラーの根幹には<Who-Done-It>が横たわっていますが、デリケートなストーリー・テリングとポッドキャストを駆使しての調査という「新味」によって読者は強烈なサスペンスと<届かなかった叫び>による悲しみの最中に放り込まれることになります。ポッドキャストの語りによって、二人の作者に加えてまるでもう一人の<視点>が加わっているような、そのプロセスを「誰かに見られている」ような不安を醸し出す強い効果が与えられているような気がします。
 勿論、そのプロットの詳細をここで明かすわけにはいきません。<ヴィスティング警部シリーズ>以上のサスペンスが最初から最後まで継続します。そして、いつものようにノルウェーという国土がもたらす寂寥感もまた<届かなかった叫び>に呼応しているように思えます。
 特筆すべきはマルクス・ヘーゲルのキャラクターを背後から支える、収監されているマルクスの父親、フランク・ドラーゲとマルクスの臨床心理士、リヴ・ウーツセットの存在にあります。マルクスはフランクによって法の外側から<神>の力を得ながら、<心>の均衡をリヴから与えられています。よって、彼は正真正銘のユニークなアンチ・ヒーローになり得ているのでしょう。その点、この二人がVol.2以降のシリーズを支え続けるのかもしれません。
 早くそのVol.2以降が訳出されますよう祈ってやみません。
 ◻︎「クライムキャスト ~Vol.1 届かなかった叫び "The Scream"」(ヨルン・リーエル・ホルスト, ヤン=エーリク・フィエル 小学館文庫) 2026/5/4。
クライムキャスト: Vol.1 届かなかった叫び (小学館文庫) Amazon書評・レビュー: クライムキャスト: Vol.1 届かなかった叫び (小学館文庫)より
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