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宿借りの星
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宿借りの星の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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中二病な読みにくい造語がずーっと続くが いったい何が面白いのかさっぱり分からん。 あまりにも世界が違うので登場キャラに感情移入もできないため、 何が起こっても「ああそうですか」と、何の感想も湧かない。 | ||||
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「皆勤の徒」では圧倒的世界観に飲み込まれ、独特な単語やその意味を理解する事に腐心しながら読み、ある種の達成感とともに読了し、すっかりファンになりました。その作家が賞を受賞した作品、という事で期待して読みましたが、結論から言うと「皆勤の徒」を超える驚きや読者を唸らせるアイデアは無かったように思います。物語を読み進めやすいようにしたのかもしれませんが、あまりに人間的なストーリー性により、ディズニーのバグズライフのようなほのぼのとしたファンタジーに近い印象になってしまっており、その点が残念でした。 | ||||
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取っつきにくい文章で、はじめは入り込めるか不安だった。 読書中コーヒーを淹れようと立ち上がりかけて、ふと自分が二本足であることに妙な違和を感じてしまった。 いつのまにか小説世界に完全に没入していたらしい。 とんでもなく性能の良いVRに深く入り込んだ後みたいに、しばし身体感覚の違和感に付きまとわれた。 一般に500ページ前後の本が含む情報量は概算で300万ビット足らず。 DVDなどの映像に含まれる情報量の1秒分にも満たない。 にも拘らず、文字列だけで読者を呑み込むような大伽藍を造りあげてしまう力業。そんなことができる書き手は、今この人しかいないんじゃなかろうか。 | ||||
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このボリュームで皆勤の徒をやられたらよう読み切らんよ、皆勤の徒ですら読み切らんかったのにと思ったあなた、ちゃんと読み切れます。安心してください。思考の位相を人類側に寄せてきてる本作、そこまでエキサイチングな展開は無いのですが、読める、読めるぞ!と勢い読み切れます。メリハリに乏しく決して読みやすい文体ではないはずなのにこの体験。おもしろいです。 | ||||
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SF小説を読むのは、時間がかかる。この本も例外ではなかった。 しかし、ページをめくる速度が遅くても、倦むことなく読み終えることができた。 それどころか、読み終わるのが惜しかった。 マガンダラやマナーゾたちとの別れが惜しかった。 用いられる語彙は一見難しいが、それでも辛抱強く読み進めていってほしい。 数々の造語は、字面からの想像によって、ある程度理解できるものだし、 とりわけ、微細な筆致で描かれた挿絵がわれわれの想像力を助けてくれる。 独特な語彙に慣れる頃には、次第に明らかになっていく謎が、読者の知的好奇心をしっかりと捕らえていることだろう。 この他にも、たくさんの魅力がある。 食事の場面では食欲を刺激(あるいは減退)され、グルメ小説かと勘違いしそうになる。 個性豊かな登場キャラクターたちには愛嬌があり、惹かれずにはいられない。 とりわけ、生き物たちの習性、寄生・共生関係、ヒエラルキーを緻密に記述する文章は、もはや異世界生態学だ。 | ||||
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異世界における異生物の話だな、と思って読んでいたら・・・途中から意外な展開に! もしかしたら、「皆勤の徒」に次ぐ名作の予感。 | ||||
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試し読みをお勧めする。 こういう作品を書きあげたこと、出版したことに見事と称えたい。 この物語りに類すものを上げるのは私の拙い経験では難しくあるのだが。 筒井康隆の虚航船団。 あるいは漫画でいえば弐瓶勉の作品が、一番近いかもしれない。 全くの異世界を旅するような気持ちになれる、珍しい本である。 なぜか不思議なリアリティがあり、広い宇宙にはこういうこともあるのではと 感じさせてくれるわけだ。 | ||||
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この物語の語り手は、「わたし」 「そうだ。わたしはどこへだって行ける」(14頁) 「わたし」は、主人公のマガンダラ。 14頁の本文挿画の右側にいるヤドカリみたいな生き物。19頁にはその拡大図。 本書の装画と本文挿画は、この本の著者である、イラストレーターの「酉島伝法」さん。 まず、本文挿画だけを漫画のように拾い読みしてみました。 この本は、奇妙な生き物の世界を描いているようです。 地球上には存在しないような生き物たち。 もしかしたら地球の海底深くで、人知れず生きているかも知れない海の生き物たちかも。 文字だけでは表現できない姿の「生き物」のようです。 頭の「前後にはそれぞれ四つ、胴體や肢々にあるものを含めると三十二あるという御眼」(37頁)がある動物? 「化け物」(494頁)みたいです。 「脚搬(きゃはん)」についても「本文挿画」(140頁)があったのでイメージできました。 「いままさに聖盃を中心に、異なる宇宙へ向けて自らをおくぐりになる御惑惺様の姿も見える」(511頁) 自らをくぐる、とは? 「裏返し」を繰り返す、無限の輪廻転生か? 無限の宇宙。 どこかへ行かなくても、「裏返し」て自らをくぐれば、別世界が開けてくる? 異形の自分。 さらに不思議なのは、 「ここに含まれる地球人とこの天体の先住生物との融和者もまた。問わない有機体であるか情報体であるかは」(494頁) <情報体>! 有機体と同等の<情報体>。 遺伝子<情報>みたいなものも、それ自体「征物(せいぶつ)」ということでしょうか? すると、言語も「征物(せいぶつ)」? 「梵語座の言語情報一式」(494頁)も「征物(せいぶつ)」? すごい話しになってきました。ワクワク、ブルブル。 「卑徒」(28頁)には「ひと」とルビがありますが、人間ではなく、䖝(むし)です。 「卑徒䖝」(333頁)。「腸の外側に食い込んでいる卑徒䖝(ひとむし)」(362頁) 人と魚の世界が「裏返し」になったような奇妙な世界。 漢字がたくさん出てきますが、万葉集の時代の万葉仮名のような、音を中心にした文字です。 登場する漢字は、ダジャレのようでいて、妙に漢字の意味あいを「感じ」させてくれて面白い。 「宇視辺(うみべ)」(14頁) 海辺? 宇宙が視える海辺? 「卑徒」(28頁) 卑弥呼の子孫? 「異相巾着(いそうぎんちやく)」(197頁) 磯のイソギンチャク? その異相の異形? 「濾巾着(こしぎんちやく)」(252頁) 腰巾着? 「御加締(みかじめ)」(300頁) みかじめ料? ヤクザな世界? 「曼珠巾着(まんじゆきんちやく)」(301頁) 曼珠沙華のような形の磯巾着? 「血闘値」(343頁) 血糖値? 決闘する時には数値が上がります。 「捌腸堀(はつちようぼり)」(361頁) 八丁堀? うまい魚の店がありそうです。 「唾油(つばきあぶら)」(361頁) 椿油? ペッペ? 「個籍登録」(494頁) 戸籍登録? そういえば、個人個人の登録でしたね。 「征物(せいぶつ)」(495頁) 生物? 戦争で征服した生き物? 「侃彌処(かんみどころ)」(512頁) 甘味処? この物語の舞台は、「宿借りの星」という天体と、地球でしょうか? 夢の舞台は、海辺? この物語は、何を読者に伝えようとしているのでしょう? この疑問に関して、気になった箇所を引用します。 「地球人とこの天体の先住生物との融和者」(494頁) 「共に卑徒を滅ぼす日まで(さようなら。お元気で)」(502頁) 「否応なく地球民にされた者たち」(502頁) 「世界が滅んでしまうまで待ちなさい」(504頁) 「世界が滅ぶのも悪くないね」(505頁) 「わたしは侃彌処(かんみどころ)の屋上に観測処を作り、滅びゆく宇宙の変化を捉えつづけている」(512頁) 著者の「酉島伝法」さんは、人間とヤドカリを同一視しているように思いました。 自分は生まれ変わってヤドカリになる。 ヤドカリになった気持ちで滅びゆく宇宙の変化を捉え、「世界が滅ぶ日」を幻視しています。 滅びゆくのは、宇宙ではなくて、地球だったりして。こわー。 海辺で一日中、ビールを飲みながら寝転がっていて、気が付いたら夜。「はぐれ夜」(490頁) 夜空の星を見ていたらヤドカリが寄ってきて、著者に語りかけた。 その語り手の言葉(ヤドカリ語? 梵語座の言語?)を日本語に翻訳したのが、この長篇小説になった? 「酉島伝法」さんは、翻訳者のように思えてきました。 | ||||
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大好きになっちゃいましたよ。 美味しいお菓子をゆっくり味わうように楽しんで読みました。 難解なSFは苦手ですが、この話は感覚的に身近に感じられました。 (同じように独自の名前や世界設定でも、前作の『皆勤の徒』は、ブラック企業に働く辛さみたいな感じがしんどくてとうてい続けて読んで行けなかったのですが) この話は、いわば仲間を殺しちゃって追放された中間管理職な30代が、都落ちのあと新しいバディと帰郷してきて故郷のピンチを救おうとするストーリー、でしょうか。 筋立てからいうと、アクションでも復讐譚でもなく、ラストは80年代的なSF(壮大)。 盛り上がるクライマックスという感じでもないし、主人公は終始冷静というか戦わないために努力してるというか、でもラストはなんか泣いちゃったです。グッときた。 筋の進行としてはやや冗長なんだけど、丁寧に語られる生活や日々の感覚(主人公たちは人間ではないので)がなりきり感覚で楽しめます。 唯一の不満は、死んだ幼馴染であり恋人でもあった同僚について、現在の主人公の気持ちが全く述べられないこと。 新しいバディに対しての信頼や期待や反省や追慕やらが語られるのに、大きな存在だったはずの幼馴染についてはなぜ無言なのか。 (なぜ無言なのか、と追及すると二次作品になりそうです) この話の映像化はたぶんムリだと思うのですが、映像化できない物語が語られているというところで、小説という形の圧倒的勝利を感じました。 読んでて快感です。 続編出ないかなー | ||||
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