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薄灰色に汚れた罪
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薄灰色に汚れた罪の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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SF・サスペンスと多様なジャンルで才能を発揮したアメリカ・ハードボイルド小説の巨匠ジョン・D・マクドナルドの代表作シリーズ「始末屋トラヴィス・マッギー」久々の登場です。著者は70年の生涯に犯罪小説の長編を60冊刊行しており、本書は最も高い人気を誇るトラヴィス・マッギー物全21作中の第9作で日本での翻訳11冊目です。このシリーズは必ずタイトルに色がつけられている趣向で、虹の七色を超えて3倍の21冊も出されているのですから、それを考えるだけでも苦労されただろうなと感心します。仲間から短く「トラヴ」と呼ばれるマッギーは、金に困れば人のトラブルを解決する「始末屋」として金儲けに励み、それ以外の時は愛船〈バステッド・フラッシュ〉号で悠々自適な生活を楽しむ遊び人です。今回は不器用な旧友が土地買収の絡む事態に巻き込まれ不審な事故死を遂げた現場に偶然行き合わせ、あっさり自殺と断定する警察に反し殺人と確信して、溢れる怒りの念をどうにか堪え心にふつふつと復讐の炎を燃やします。彼はさすがに暴力や殺人に走る事はしませんが、その代わり「難波金融伝 ミナミの帝王」の様に友人のマイヤーと組んで旧友を見捨てた関係者達に非情な罠を仕掛け金をむしり取る手際が、真にえげつなく鮮やかです。ミステリーとしては自然に犯人の方から馬脚を現わす展開で意外性はありませんが、このジャンルならではの手に汗握るアクションの見せ場がちゃんと用意されていますのでご安心ください。本書のもうひとつの読み所は、マッギーの大柄な赤毛の恋人パス・キリアンが情熱的に見えて物語の半ばで不意にあっさりと別れを告げた謎が最後に解明される場面で、辛く哀しい事情を秘めた愛の形が心に沁み込み、たかが金に振り回され右往左往する人間の性根が情けなく思えて来るでしょう。腐敗する現代社会を描き、切ない哀感が漂う社会派ハードボイルドの雄編をじっくりとお楽しみください。 | ||||
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