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蠕動で渉れ、汚泥の川を
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蠕動で渉れ、汚泥の川をの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 1~20 1/2ページ
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短編ではなく、一冊通した西町貫多の物語。 17歳の若い貫多は、変わらないというか、その後の短編群の貫多と違いを感じない。 その生い立ちにつまづきはあっても、この物語で出会った人々の多くは、前向きに人生を生きる人たちで、貫多にも優しい。 にもかかわらず、貫多はなぁ。 劣等感と自己顕示欲のためなのか。 読んでいて辛くなるほど、環境は貫多に優しいのに、貫多の偏狭さがその環境を壊して行く。きつい人には反発し、優しい人には見下し蔑む。自身の置場を自ら 壊して行く様は、無意識なのだろうけどどこか自覚的に見える。 | ||||
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つまりは、この作者の作品は西村賢太というジャンルなのだろーな… 他に類を見ない 下関係にしても普通はここまで書けないから、誰もかなわない | ||||
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小学生が大人ぶって書いた文章のようで、読みにくかった。 | ||||
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人生はトントン。全般、苦労した人は死ぬ前には幸せ。そうでない人は死ぬ前に悲惨。人生はトントンかなあと思います。 | ||||
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西村賢太様 良き作家を亡くしてしまいとても残念に思います。 ここまで書ける人はいないのでは。もっと、もっと読みたかったです。 | ||||
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北町貫太17歳。 洋食屋でバイトを得たものの、案の定、最後は暴発して職を失ってしまうまでの数か月間の日々を描く長編です。 長編とは言え、読者へのサービス精神も随所に垣間見え、文体の読みやすさもあることから一気に読めてしまいます(もちろん読みやすい文体というのも高いレベルの技巧があるからこそ)。 かと言って決して軽い読み物というわけではなく、ああ、やっぱり西村賢太は巧いや、とすっかり感心してしまう文学作品でもあります。 そして読後に振り返るに、有益な読書時間であったと心地よささえをも感じさせる。 酒もたばこもまったくやらなかった父親の体質遺伝を完全否定するがため、17歳にして、酒やたばこなしでは生活できぬほど自らの体質改善に努めてきた貫太。 貫太は、どういうわけか家賃というものを払えない。家賃を払うという行為がなんとも無意味で虚しき行為に思えてしまう。そして家賃を踏み倒しては強制退去となることを繰り返す。 そんな貫太が情に訴えかち得た住み込みでの洋食屋のバイト。 ところが根がときどきの気分にひどく左右されやすく、妙にプライドも高いがため、自らを虐げられたと感じるや、恩を仇で返されたように理不尽な不満がタラタラと高まり、それが態度に現れる貫太。 確かに17歳という年齢からして、性欲満々で、自らの感情をうまくコントロールできない面があることも分からなくはないものの、そういう自分をどこか冷静に見ているところもあり、人の善意を踏みにじることに罪悪感を持たない(自分は何も悪いわけではない。そのような目に相手があうのは、相手が自らがまいた種だと決めつける)貫太の性格は、その後の時代を取り上げた別作品をみても、やはり同じような行動を見せており、彼が心から反省することはありません(一旦反省するものの、気が付けばやはり同じことをやっている)。 さすがにちょっと、これは女性にはお勧めできないなあ、と顔をしかめるほどの下品でドギツイ捨て台詞を吐きまくるラストの大爆発。何もそこまで言わなくても・・、と呆れながらも笑ってしまう。 このような人物が主人公の作品なら、胸糞悪くなって本を放り出しそうなものの、西村賢太作品に限っては、そうはならず、次の作品、次の作品へと手が伸びていってしまう。 そこはやはり、著者の巧さなのでしょうね。 そんな貫太も、前述のとおり破滅的行動をとる一方、古本屋で数多くの文学作品を購入して読みふける文学青年の一面も併せ持つ。 中卒というコンプレックスを持ちながら文学の道で成功した北町貫太こと西村賢太の文体は、前述のような破滅的な行動をとりながらも、古本屋で得た数多くの良質な文学作品を読破していくという多面性のある性格により獲得された、彼ならではの文体と言えるのかもしれません。 | ||||
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西村作品はほぼ全て読みましたが、これが一番印象深く私の中では最高傑作です。 北町貫多の17歳頃の下町洋食屋でのアルバイト体験を核とするものですが、短編が多い北町貫多ものの中では珍しい長編ものであり、どっしり落ち着いた展開で話が進んでいきます。貫多のゲスぶりは相変わらず。 勝手に他の従業員をロリコン趣味であると決めつけ、心の中で悪しざまに罵る場面(でも、かっこ付きで「勝手にそのように想像しているだけだが」と注釈している)とか、他の女性従業員のキュロットをこっそり拝借して鼻を近づけ「クッ」と叫ぶ場面とか、筆者は意図しているかどうかはともかく高度なギャグに昇華されています。マンガでもないのに思わず声を出して笑ってしまう小説を私はあまり知りません。 そしておなじみの「根はスタイリストであるから」「根はローンウルフを気取っているから」もたくさん出てきます(笑) 昭和末期の上野御徒町入谷下谷あたりの風景描写は、このあたりに縁があった人には心地よい懐かしさを感じさせてくれると思います。私もあの辺りで過ごした時期が重なりますから、ひょっとしたら西村賢太氏とどこかですれちがっていたかもしれないなと感傷に浸ったりします。 | ||||
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久しぶりに悪態をつく賢太の 真骨頂を堪能しました。 | ||||
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一面識もない人の死を、これほど残念に思うのは、自分でも意外なほどでした。酒とたばこをやめて、節制していれば、こんなことにはならなかったろうに。本作では、酒もたばこもやらなかった父親と別人格であることを証明するために両方やったとあり、東大講義時の映像ではあこがれの先輩作家をまねるために飲めない酒を飲み続け、肥満して肝臓を痛めたと語っていました。現在の西村賢太は将来の北町貫多でなければならず、その意味において必然的な不節制だったような気もします。何はなくともスマホがあり、匿名で愚痴や悪口を書き散らかすことで鬱憤晴らしができるようになってしまったこの時代、彼のような作家は2度と出てこないでしょう。合掌。 | ||||
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時系列でいうと、『瓦礫の死角』の直前に当たる長編だ。 洋食屋に出前持ちとして就職した貫多は、親切な先輩のおかげで珍しく恵まれた日々を送る。 が、例によって平穏は長くは続かない。 貫多のゲスぶりには、なぜこんなに共感できるのだろう。 周囲にいる女性を勝手に採点する。職場の仲間を意味もなく見下す。プライドだけは高く傷つきやすい。 女の気持ちはわからないが、男と生まれたからには貫多に共感できない者はいるまい。 あなたがリア充であろうが非リアであろうが、リッチであろうが無かろうが、立場には関係ない。 普遍的なハイテンションで痛々しい少年の姿が、ここにある。 成人男子(もと少年)で「まったく共感できない」という人は、とんでもなく傲慢か、さもなくば嘘つきだ。 唖然とするようなエピソードが二つ含まれている。内容は書かないが、両方ともトラウマものだ。 以前のジャガイモブスに加えて、今回はブタババアと股臭女という新顔が登場する。 貫多フィルターを通した人物評は理不尽だが、妙に気持ちいいのが困る。 | ||||
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もうネタがつきました?ラーメン屋に行ってタンをはくくらいのまたやってくださいよ。パンチがなくなって来てますよ。 | ||||
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時系列的には苦役列車で、イカだのタコだのの冷凍の塊を運んできたころの一年前くらいの話になります。 なんと、洋食屋でコックとか出前と言った今までとは趣向の違うバイトをしています。 相変わらずの書き割り、話の流れは、これまで読んできた方にとって安心して読むことが出来るものになっています。 そして、今回は初期のような濃ゆい目の文章と表現が多いので、その点でも満足出来ると思います。 ちょっと、原点回帰した感じですね。 話は、幸運にも自芳軒という洋食屋のバイトにありつけた初日から始まります。 最初は新しいバイトに胸を躍らせる貫太ですが、やはり徐々に仕事内容への不満や同僚への不満が噴出し、挙句には自ら自爆と言う道を選んで、続行不可能な形で全てをうっちゃって逃亡するかのように終わらせてしまいます。 この辺りの流れは毎回同じなのですが、やはり最初から「来るぞ、来るぞ」と期待させられてしまいます。 始めは口中のみで呪詛っていた貫太が、自分の身勝手な願いが叶わないと分かると得意の開き直りで、啖呵を切るところは一種のカタルシスですね。 起承転結で言うところの結になるのでしょうか。 全ては、ここに至るまでの設定と物語と人間関係なんだと思います。 相変わらず難しい言い回しや単語も出てきますが、今回は、「忖度」と言う言葉が随所に出てきます。 この小説は2014年にすばるに掲載されていたようで、今2017年流行の「忖度」はこのころ流行っていません。 後に政治の世界で流行するところを見ると、先見の明があると言うか、言葉のチョイスは相変わらず優れてます。 「東京方眼図」「根が余りにもXXX」「遠国者」とか古っぽい表現を貫太は良くするが、その世界に 「キュロット」「インチメート」とか横文字を入ってくると、途端に貫太が時代錯誤者のように見えてくる。 恐らく、この言葉の混ぜ方は意図的なんだろうけど、そうすることで緩急が付くというか、貫太がいかに落伍者と言うか取り残されている感じと言うのが良く伝わる。 そして、滑稽で面白い。 他の人は現代風の物言いをしているのに、貫太だけが昭和初期の文学青年のような物言いをしていて、それで会話が成立しているのも、何だかこれと同じような気がする。 要は、貫太は別世界の人なのかなとも思ってしまいました。 ゲスなところも相変わらずで、バイト先の女の子を「練習台」として品定めした挙句、失格の烙印を押したならば、優越感の目で馬鹿にするという最低さでした。 読む側としては貫太視点で話が進むので、貫太に寄った見方をしそうになりますが、やっぱり違うだろってなって踏みとどまってしまうくらい、酷いことをやっています。 それでいて、貫太弁護というか周りのせいでこうなったみたいな理由や心理描写が解説されるため、周りが悪いと納得させられそうになります。 この納得させられそうになるのが面白かったりします。 個人的に一番面白かったのは、後半の誰もいなくなった店内での悪行の限りでしょう。 ある理由で自暴自棄になった貫太が、店の商品を好き放題食べまくったり、同僚の女の洋服にやましいことをしようとします。 いつもよりも過激です。 落ちて行くところまで落ちて行く心地よさと、もう頑張らなくてもいいんだという気楽さ、悪いことを周りのせいで俺はこんなふうなことをせざる負えないんだと思いながらやってる感じは、何か誰にでも経験がありそうで、自分も身につまされました。 | ||||
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清々しいくらいのゲス。多感な若い頃は誰もが本能的で変なプライドってあるんじゃないかな。多少なりとも共感できました。こんなにゲスでわがままなのに西村さんは嫌いにはなれない。その理由としてまず彼は人を陥れたり嘲笑ったり押し付けたりするタイプではない、この手のタイプが世の中で一番のゲスであり害虫です。次に己の恥部を惜しみなく発揮するあたりがもうお笑い芸人と同じレベルで本当に尊敬してます。 実際近くに居ると揉めそうですが(笑) | ||||
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17歳の北町貫多を主人公とした私小説。 2014年から2016年にかけて「すばる」で分割掲載された作品。 昭和五十九年夏、御徒町の洋食店「自芳軒」で住み込みのアルバイトとして 働き始めるのも束の間、自ら犯した不始末が原因となり、店を馘首されるまでの顛末を描く。 父親が性犯罪を犯して逮捕されたことに対する負い目や家賃滞納に纏わる大家との遣り取り、 身も蓋もない性欲との格闘、バイト先での人間関係が徐々に悪化し最終的には最悪の形で 破綻を迎えるまでの、虚勢と劣等感がないまぜになったモノローグの連発と粘着質な心理描写等、 未成年時代の貫多を扱った作品に接した読者にはお馴染みのモチーフではあるが、 飽きを感じさせることはない。 罵詈雑言の中、滅茶苦茶な形で結末を迎える際に訪れるある種のカタルシス、 主人公である著者が後に芥川賞作家となる事実とのギャップのもたらす面白みも、 読者の心を惹きつける要因として挙げる事もできるだろうが、著者特有の 軟硬を交えた文体が生み出す諧謔味も西村作品の魅力に大きく寄与していることは 確かだろうと思う。 どこから拾ってきたのか不審に思うような難読漢字を混ぜ込んだ硬めの文章の中に、 「その常日頃から意識的に放っているところの、 孤狼のムーディーで危険な香りには些かの自信をふとこっている」(69頁) などといった徹底した自己戯画化を目論んだ異質な文章が組み込まれているのを目の当たりにすると、 それらの軟硬の対比から醸し出される滑稽感には、 相当な時間と手間が掛けられているのだろうと思わないわけにはいかない。 更に言えば三人称単視点での語り手(西村)の溜息が聞こえてくるような、 最終盤に於いて出現した記述-- 「まったく今回も、その繰り返しではあった。あれから一年近くが経とうと云うのに、 まるで、何も成長していない」(258頁) にも、貫多の心理描写とは異質の、貫多と西村との関係性から期せずして生み出されたような面白みが有る。 これは父親が息子の駄目さ加減を嘆いているような感じで、読み手を和ませるタイプの面白みなのだった。 この一文が本書の読後感をずいぶん良好なものに変えているように思う。 | ||||
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貫多・・・いくら若さ故に世の中をまだ何も知らないと言ったって、 こんなのが自分の周囲にいたら、不快でならない。それほどのゲスでですね。 しかも、これが私小説だっていうんだから凄すぎますw 笑うしかないっw でも、ここまでのクソ野郎なのに貫多憎めないのはなぜなんだろう。 もはや馬鹿を超えた馬鹿だからなのかなぁとも思ったけど、やっぱり何より西村賢太の文章のうまさ、これに尽きるのではないでしょうか。 言葉のチョイスがサイコーにうまくて、不愉快さも笑いに変えちゃう。 貫多がブタ女房に真正面から本音を言い放った場面はこれ以上ないほどスカッとしました。 数々の蛮行も若いからできちゃうんだろうけど、 できれば貫多には心の成長はせず、いつまでもゲスなままで、私達を爆笑させてほしいものであります。 道徳観なし、人(特にレディーたち)には決してお薦めできないけど私は大好きです。 | ||||
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んもー何なんでしょう、この人の小説の面白さ! 短編も良いのですが、長編も長く楽しめる分嬉しい限りです。 貫多17歳の、どうしようもない「どん底青春物語」、、 、、よくぞこんなに素晴らしいネタをこれまで温存していたものです。 というか、どこまでが実話なのか、興味深いところです。 この人の新刊だけは、これからも真っ先に購入する所存です。 | ||||
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破壊力抜群の解放感がたまらない。無表情でスマホをいじる現代人全てに読ませたい大傑作! | ||||
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個人的には"やまいだれの歌"の方がセンチメンタルで好きだが、これまた面白くあっという間に読み終えてしまいました。本当に血が通っている数少ない小説の一作だと思います。 | ||||
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主人公が若い頃の作品 浅草の飲食店でバイトしていた頃の作品 殆どストーリーはおぼていないのだが、スルリと脳の中に 割り込んでくる この作者の一番の特徴は匂いを描くことが出来るという点である バイトの同僚の国立大学で文学を学んでいる女性のキュロットみ たいなものを隠れて匂を嗅いだという行為の一連の表現こそが 最高の盛り上がりだと個人的に思う 匂いとともに風景が浮かんでくる 音楽の様に気持ちよく流れており、しかし、それはまた、強烈なサビで脳裏に 強い印象を残す マテリアル、それが糧になる | ||||
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面白いかすらすら読めます。後半になるにつれてどんどん面白くなります。おすすめです。 | ||||
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