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闇の穴
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闇の穴の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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人間がそれぞれ置かれた立場に抗し、あるいは抗し切れずに流され続けていく悲哀を綴った珠玉の7短編集。「小川の辺」で好演した東山紀之もその一人か。“ジャニーズ問題”ではすっかり味噌を付けた。 | ||||
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紙の色が茶色に変色してて読みにくい状態でした。 | ||||
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藤沢周平という人は、怖い小説の達人でもあるのだなあ、とつくづく実感させられる短編集。ことに最初の「木綿触れ」は、なにか変事を思わせる出だしが、実は妻が久しぶりに活き活きとして晴れ着を縫っていただけのことだった、という明るい話に転じ、そこから、それが微妙に掛け違って、悲劇へと展開してゆくーー運命の歯車といった言葉を思いおこさせる逸品です。かと思うと、表題作の「闇の穴」のように、なにか得体の知れない不気味さがぽこりぽこりと浮かび上がってくるような作品もある。そして、そのどれもが、間違いなく藤沢周平の世界を感じさせてくれる…。藤沢周平ファン必読の一冊であります。 | ||||
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表題作「闇の穴」は最後のセリフが、底なしの暗い展開を予想させて印象的です。藤沢周平のサスペンスものの真骨頂だと思います。 「木綿触れ」「小川の辺」は主人公の救いようのない境遇を描いてはいますが、武家ものの潔さをファンの期待に違わず描いています。 本書所収の他の作品とは趣を異にして、「荒れ野」「夜が軋む」は『今昔物語』に見られるような日本の民話が持つ独特の不気味さを醸し出しています。藤沢作品の新しい魅力を感じました。 | ||||
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映画化もされた本書所収「小川の辺」をしみじみと読んだ。 奉公人・新蔵の主家の娘・田鶴への身分の違いを超えた一途な思いが、一本の軸のように作品を貫いており、田鶴の無条件に新蔵を信頼する心が、過酷な物語をあたたかく包んで幕を閉じる。 主人公の台詞ではなく、しぐさを描写することで、余韻を残して物語を終えるので、美しくおぼろな影絵を見るような趣だった。 | ||||
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好きなのは最初の2作品だけ。 後は…好きじゃない。 こういう感じの作品も書かれてたのですね。 途中から気分悪くなり、断念。 | ||||
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実に人間を様々な角度から描いている。表の清らかさだけでなく、奥深い襞に分け入って、複雑な相を丹念に拾う。藤沢周平ならではの暗さが、リアリティに重さを添えてもいる。文字を連ねて物語るに込めた、氏の想いまで伝わって来る小篇集、と云えよう。 | ||||
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民話調の物語も含めて、7編全て面白い。藤沢周平ワールドとは、少し異なるが、やはり、面白い。 | ||||
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武士の悲哀を描いた2編 「木綿触れ」 子を失って悲嘆にくれている妻を励まそうと苦しい生活の中、絹の着物を作らせたことが仇となり以前の上司とのことで妻は自殺を遂げる、という下級武士の無念と悲劇 「小川の辺」 脱藩して江戸へ逃亡した義弟と実妹を主命によって討手として斬らねばならなくなった武士の不条理 江戸の町を舞台に繰り広げられるミステリー3編 「闇の穴」 江戸の路地裏に住む職人の女房 前夫が突然訪ねてきたことから始まる落ち着かない日々 「閉ざされた口」 殺人現場を目撃したショックから言葉を話せなくなった子供を抱えて働く薄幸の寡婦 「狂気」 川べりの草むらで姦されたうえ殺害された幼女の骸が見つかる 幼女が握りしめていた根付けから犯人を追いつめていく町役人 東北の民話のような味わいの2編 「荒れ野」 京の寺から陸奥国へ行こうとしていた若い僧 あと少しというところで道を間違え、しばし世話になった荒れ野の中の一軒家の女主人の正体は? 「夜が軋む」 飯盛り女が客に問われるがままに語る身の上話 大雪の夜、地震でも強風でもないのに激しい家鳴りがした翌朝 家の外で雪に埋もれた男の死体が見つかる 読後すぐは、映画の印象でしょうか「小川の辺」ばかりが思い出されましたが、時間が経つにつれ、あれも良かったこれも良かった状態になりました 藤沢周平さんの原風景の中で創作された物語の数々 まだまだ未読本が多くあって嬉しいです | ||||
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藤沢作品は、オチというようなものが無いのに、 そのじわりとくる読後感をもう一度味わいたくて 何度も読むことが多いけど、これはちょっとしんどいかも…。 映画にもなった「小川の辺」を含む短編集ですが、 人の性が非常に有り体に描かれているものが多いです。 そのエグさは、もしかしたら作者が意図したもので 人間という生き物の一側面であるのかも知れませんが、 救いようがないと言えばあまりに救いが無く、 「はあ、嫌なものを見た…」という気分にさせられました。 個人的には「冤罪」や「時雨みち」「麦屋町昼下がり」「橋ものがたり」 などの方が、また、氏の作品では武家ものの方が好きです。 ああ、でもタイトル通りこれは 人の中にある「闇の穴」を覗き込むようなお話なのかも… | ||||
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2011年東京のラジオ局ニッポン放送で放送されている「藤沢周平傑作選」を毎週楽しみにしている。2月までは案内を俳優、そして読書家としても有名な児玉清さんが務められていましたが、鬼籍に入られた為、現在は女優の壇ふみさんが務められている。彼女は作家檀一雄のご息女。作家の娘という立場からの藤沢周平 さんへのアプローチが、時折ユーモアを交えながら藤沢周平の横顔を氏の関係者や随筆などを交え紹介されており楽しめる。 今年、この「闇の穴」所載の「小川の辺」が朗読された。全4回にわけて放送されたが、文庫片手に読むのとはまた違った味わい深さがある。藤沢作品は短編が多いので、こうした読み切り作は尺の都合で4回程度で毎回作品が紹介されている。「木綿触れ」他に「夜の橋」所載の「鬼気」も楽しかった。 「小川の辺」は劇場映画にもなり、まもなく2012年新春にDVDとして発売される。映像化されることの多い藤沢作品だが「小川の辺」は藤沢先生の筆が、まことに終盤において省略の技法が見事であると思う。 ぜひ、年末年始、旅のお供にもお勧めいたします。 | ||||
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短編の名手と呼ばれた藤沢周平氏。 この本には7編納められています。 最初の2編が、武家もの。残り5編が町人ものと分けられるかと思います。 町人ものは、ミステリータッチです。 この中では、映画化された『小川の辺』が特別印象深かったです。どれも良いですけど。 藤沢作品は、どれもこれも素晴らしい映画になりますが、短編を原作にすると映画監督の創造性が発揮されるのだと思います。 『小川の辺』を読んで、大胆な省略が行われていることに気づきました。 短編の切れ味につながっている一方で、この部分を映画監督は想像力を発揮するのでしょう。 読んで良し、映画を観て良し。本当に凄い小説家だと思います。 | ||||
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藤沢周平の短編集「闇の穴」を読了。映画「小川の辺」を観ていたので、その原作をと手に取った。映画は原作どおりというかまったく同じ。読みながら主演の東山紀之が浮かんできました。原作も凜としたいい作品です。それより特出すべきは他の作品です。小川の辺以外は全てミステリーの範疇といっても過言ではないラインナップです。それもホラーあり、謎解きありのバラエティにとんだ内容。それが藤沢の世界観で書かれたら、ノンストップで読み進めてしまいます。 時代小説で現代に通じる心の闇を描いた作品。また新たな藤沢周平の世界観を堪能することができる、贅沢な作品集でした。 | ||||
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悲しすぎる。むなしすぎる。 小説なんだから、作り話なんだから、もっとすっきりする話になっていいんじゃないかと思うくらい。 やるせない。なんとかならないのかと思ってしまう小説が冒頭から2本続けて掲載されている。 藤沢周平は江戸時代のいいところも描くし、このような負の部分も描く。 百姓の逃散は死罪だったらしいが、武士の逐電はどうだろう。 江戸時代は、逃げ出すことも命がけだったんだと思うと、脳天気に江戸時代はステキ!なんて言えなくなる。 | ||||
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表題作を含め、ミステリアスな話が多く収められています。 但し、私自身は、今回映画化される「小川の辺」を読みたくて買ったし、今まで読んできた海坂藩を舞台にした作品が好きなこともあって、前半の「木綿触れ」「小川の辺」の二作品を面白く読むことが出来ました。 藩と言う組織の中で、どうしようもない事態に対して、下級武士が悩みながらも「自己」を貫き通すのが、読んでいて清々しく感じられ、それは又社会の中の日常生活にもありうることであるだけに、興味深くもあります。 後半には、「闇の穴」「閉ざされた口」「狂気」「荒れ野」「夜が軋む」と、広い意味でミステリーに属する作品が並びます。 藤沢周平の世界の中でのミステリーと言うことで、これはこれで楽しい作品でした。 | ||||
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7つの小品から成る短編集である。 「木綿触れ」は、子どもを亡くした悲しみから立ち直ろうとしていた妻が、絹物を着て法事に出たことから起こる悲劇である。淡々とした文体を読み終えた後、理不尽へのやり場のない怒りと悲しみがじんわりと伝わってくる。 「小川の辺」では、剣の腕の立つ下級藩士である朔之助が上意討ちの藩命を受けて脱藩した妹婿を斬りにゆく物語である。兄妹とともに育った奉公人の新造がその旅の伴をするが、朔之助は、幼いころの記憶をたどるうち、実は新造と妹の田鶴が互いに惹かれあっていたことに気づく。武士として不条理を引き受けながらも、強情な妹を思いやる兄の、やり切れなさや寂しさが、川べりの美しい景色とともに描かれている。2011年初夏に東山紀之主演で映画化が予定されている。 表題作「闇の穴」は、別れた亭主からの頼まれごとを気軽に引き受けた女性が、その背後にある恐怖を知るという話である。堅気の世界と裏の世界とが交差するところの怖さなのだろうか。 「閉ざされた口」は、殺人を目撃して口を利かなくなった娘とその母を中心に、つつましい生活と、その隣にある恐怖が描かれている。 「狂気」は、親切心から保護したつもりが、幼女へのゆがんだ欲望に突き動かされてしまうという悲劇である。 「荒れ野」は泊めてもらった家の女が人肉食を?という、山姥や雪女の民話を大人向けにしたような雰囲気のホラーである。 「夜が軋む」も亭主と隣人の木こりが誰かに殺されていたことを娼婦が語るホラーであり、言いようのない薄気味悪さが心に残る。 個人的には「木綿触れ」と「小川の辺」が☆5つ、ほかは☆4つ。 | ||||
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江戸時代の東北辺りを中心とした様々な人々の生活の中の大きな出来事を切り取った短編集です。中でも私が読んで気に入ったのは「木綿触れ」です。城に勤める下級武士の、子供を幼くして亡くしてしまったことからふさぎ込んでいる妻への思いやりを描いた作品はかなり濃密で短編でなくとも良さそうな話しを短編にした事でのスピード感を文章でも損なわないテクニックも上手いですし、面白かったです。陳腐な表現になってしまいますが、男の、あるいは女の、その時代の息遣いまで表されていて、しかも自然でよかったです。時代設定が違うことに自然に入り込めることはとても技術のいることだと思いますし、なかなか自然な流れとして情景が浮かびにくかったりしますし、妙に人間関係が濃すぎて興醒めだったりしやすくなりますが、その辺も細やかに気遣われていて良かったです。 表題作「闇の穴」よりも、私は「木綿触れ」や武士のしきたりというか不条理に耐える「小川の辺」の臨場感や不安感を押します。毛色の違う民話のような作品の「荒れ野」や、語り手の怪談「夜が軋む」も良かったです。ただ割合アレ方面の話しが直接的で、その辺がどうも鼻につく感じもありました。 良かったですが、何作も追いかけたくなる程ではなかった、老後の楽しみにとって置いきたくなるような感じです。多分歳をとるともっと素直に、ストレートなモノを好むようになるのでは?と思うので。 時代劇が好きな方に、腑に落ちるのがスッキリする方に、年齢を重ねた方にオススメ致します。 | ||||
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